■第28話 〜新たな一日の始まり〜
本編第二章の始まりといったところです。
ミコトとポンポンののんびりとした会話です。
いろいろとつっこみどころはあると思いますが、
勘弁してくださいね。
まるで昨日までの出来事がうそかのような清々(すがすが)しい朝の光によってミコトは目を覚ました。不思議と、昨日の疲れは感じられなかった。セイラに癒してもらった効果が大きかったということもあるが、家族に真実を話し、それが受け入れられたということが何よりもミコトの心を軽くした。
「ああー、いい朝だな。」
ミコトの隣にはポンポンが丸くなって寝ていた。(こんなかわいいやつが、自分の守り神なんて、信じられないよな。)
耳をピクッと動かしたポンポン。人間と同じようにあくびをしている。
「おはようポン。」
「ああ、おはよう。…なあ、ポンポンって自分の守り神なんだよなあ?」
「当たり前ポン。」
「前にも聞いたけど、何をしてくれてんの?」
「うーん、難しいポンな、…。まずは、ポンポンはミコトが幸せな人生を送れるように導いてあげることが仕事なんだな。仕事というか、趣味というか、…。」
「へえ。って、趣味かヨ…。守り神ってみんなについてるんだよな?」
「そうポン。生まれた子には必ず守り神がついているはずポン。」
「…だったら、悪いことをするやつなんて、いなくなりそうなのにな…。」
「うーん、そこが難しいポン。守り神もがんばってその人がいい人生を送れるように協力は惜しまないポン。ただ、やってあげられることは、実はほとんどないポン。さっきも言ったように無意識に語りかけたり、ある程度危険から遠ざける予知をしてあげたりするくらいポン。人が与えられた命をどう生きていくかは、やっぱりその人の選択にかかっているポン。」
「そうなんだ。」
「そうポン。で、ポンたち守り神も、その人たちのあったかい想いがないと、どうしてもその人に憑いていられる元気がなくなってしまうポン。」
「そっか、それで守り神が憑いていない人がいるんだな?」
「そうポン。守り神の力の源は、‘ありがとう’や‘生きててよかった’というその人の想いポン。そういう願いや想いがあれば、守り神も元気でいられるから、本人もたいていいい気持ちで過ごせるポン。」
「そっか。…でもさ、人間って、うまくいってるときはいいけど、調子悪いときはなかなかそう思えないもんなんじゃないか?」
「そこは、すごく大事なところポン。でも、実際はそうじゃないポン。例えば、本人の魂を磨くためには、必ず苦しいことが必要になってくるポン。そうしたときは、本人が辛い、苦しいって思えても、守り神も耐えることができるポン。でも、幸せを幸せと感じなかったり、いつも満足しなかったり、他人のせいばかりにしていたりすると、ポンたちはどうしようもなくなって、先にポンたちが消えてしまうポン。」
「そっか、なんか、じいちゃんが言ってたことを思い出すよ。『いいか、ミコト、お前はありとあらゆるものに生かされているんじゃ。感謝の気持ちを忘れちゃいかんぞっ』って。」
「そうそう。その気持ちがポンたちの元気のもとポン。」
「へえ。じゃあ、ポンは、きっと大丈夫だよ。オレは今、すげー感謝してるから。」
「エヘへへへ〜。」
なんか、ポンポンとミコトとのノロケになってしまいましたね。
次からは、少しシリアスになっていきます。
シンジとその虚無羅の話がメインになっていきます。
★筆者コーナー★
バンプオブチキンの「メーデー」
この、メーデーは労働者が春に行う春闘ではなく、
フランス語の救難信号という意味だと思います。




