■第26話 〜帰宅〜
(セイラも無事だったし、俺の傷もあの後セイラが癒してくれた。もちろん、まだ2本の傷跡は残っている。でも、ここまで治れば十分だ。)
「森には癒しの力もあるの。少しなら体の疲れが取れたり、傷が回復したりするわ。」
「セイラの力って本当にすごいな。」
「ウフッ。ありがとう。ミコトに言われると、素直に嬉しく感じるわ。」
セイラの一言に胸の鼓動が早くなるミコト。目のやり場に困ったミコトは腕時計を見る。
「あっもうこんな時間だ。」
時計の針はすでに10時を回っていた。
「やばい。」
「ううっ…。」
先ほどまで倒れていた二人が目を覚ましだした。
「もう、いきましょう。見つかると面倒なことになるわ。大丈夫。あの二人の傷も、私が治しておいたわ。折れた骨の方は、まだ痛みはあると思うけど…。」
「そっか、かわいそうなことをしちゃったな。」
そう言って二人は自転車置き場へともどった。
「正門が閉まってる…。」
「まったく。・・・警備員はいないよな?」
どうやら警備員はいないらしい。二人は先ほどまでとは違った緊張感をもちながら、すでに暗くなった夜道を歩き出した。ミコトは自転車を引きながら、セイラの隣を歩く。夜10時。裏門から家に向かう二人だが、セイラの家は門を出て逆向きにあるらしい。なんと歩いて10分のところにあるという。
「そんなに近かったんだ。親、心配してるだろ。」
「大丈夫よ。…いえ、きっと心配してるわ。久しぶりに遅くなってしまうものね。でも、私は母親には理解してもらっているの。弟には言っていないけど。」
「お父さんには?」
「父親は弟が生まれてすぐに死んでしまったわ。」
「そうなんだ。ごめん。」
「いいの。仕方のないことだから。」
「そっか。親の理解か・・・やっぱり、親に分かってもらわないと無理かな。」
「あれば楽よ。それに、親についている守り神たちも、きっといいように理解してくれると思うわ。」
「そうか。誰にでも守り神っているんだもんな。」
「そうよ。自分からそれを感じようとしない限り…。」
会話を続ける二人を丸い月が照らす。初夏の風が10時だというのにその寒さを感じさせない。電灯の明かりを頼りに、坂を5分ほど下り、角を3回ほど曲がってセイラの家についた。
「ただいま。」
「お帰り、セイラ、今日はずいぶん遅かったわね。」
セイラを見つめる母親。
「心配したわ。傷を作ってるんじゃないかって。」
セイラを抱きしめた。
「大丈夫よ。…紹介したい人がいるの。」
「えっ」
セイラの母親はあっけにとられた表情でセイラを見つめ返した。
「失礼します。」
(気まずいなあ。本当はそのまま帰りたかったんだけど…。「できるだけ隠し事はしたくないの」って言われちゃったしなあ。)
「まさか、…彼氏かい?」
そういわれて顔を赤らめるセイラ。
「…いやね。ママ。そんなんじゃないわ。」
(だよなあ。ハア…。)少し落胆の表情を見せるミコト。
「彼も人の虚無が視えるの。」
「神崎ミコトです。セイラさんとは、今朝知り合いました。」
(そうか。知り合ったのは今朝なんだ。なんだかずいぶん前に会った気がしてた。はは・・・疲れてるのかな?俺。)
「そうかい。なかなか明るそうでいい子じゃない。」
横目でセイラを見る母親。
「だから、彼氏じゃないわよ。」
「分かってますよ。」
いやー、戦いの描写って難しいですね。
ここでちょっと一息です。
のほほん系の話、嫌いじゃないということに気付きました。今度は恋愛小説に挑戦か?ありえなーい。という感じの筆者です。
セイラとミコトの関係はどうなっていくのでしょうか?
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今回のお勧めは、・・・パッと思い浮かばなくなってきました。
そうそう、YUIのローリングスターいいですよね。某アニメのソングになっていたということは知らなかったのですが、ノリノリの曲が好きみたいです。




