■第25話 〜決着の後〜
前話はセイラの安否が気にかかったと思います。
さあ、どうなっているでしょうか。
では、25話、どうぞ。
どこだ、ここは?
バリボリバリボリ
ひどく鈍く嫌な音が聞こえる。
「やめろー。」
どうあがいても、起きることのできない自分の体から、涙が溢れ出してくるのが分かった。
倒れた自分の横では、トカゲに食べられてしまうセイラの姿が無残に横たわっていた。
「うわあああああああ…。」
はっと目を開き、悪夢から覚めたミコトは体中から汗がにじみ出ていた。
「う…」
体中が痛い。
「大丈夫?」
その一言によって目を覚ました少年は自分の目を疑った。
「セイ…ラ?」
「ええ。そうよ。」
「つっ、ここは?」
周りを見ると木に囲まれていて何一つ分からない。分かることといえば、この柔らかな感触だけだ。そう、夢か現かセイラに膝枕をされているのだ。
(天国か・・・)
真剣にそう思うミコトであった。(天国でもいいから、もう少しこの状態でいたい。)
不思議と涙が頬を伝ってセイラの腿にたれた。あまりの緊張と悪夢から、いきなり天国にいるような感覚に陥ったのだ。無理は無いだろう。
(あーあ、泣いちゃってるよ。現実だとしても、かっこわるくてセイラを見れないな。あと、ちょっと、ここを動きたくないし…。)
あまりの疲れから、そのまま深い眠りに落ちるミコトであった。
それからどれほど時間がたったであろうか。いや、それほど時間はたっていないのかもしれない。
「…ト。ミコト。」
はっと目を覚ますミコト。
「ここは?」
先ほどと同じ、木に囲まれてた空間だが、その木々が次第に背を低め、空にはまあるい月がくっきりと見えるようになった。
(テニスコート?)
かわいそうに、先ほど倒れていた二人はまだこの場所に倒れている。
「セイラ?」
「ええ。」
「本当にセイラなのか?」
「ええ。」
「よかった。」
体を起こしたミコトは思わずセイラを抱き締めた。満月に照らされ、お互いの鼓動の音が早く打つのを聞きあっていた。
「…どうして、生きているの?」
どこからが夢なのか分からない状態のミコトであったが、倒れている二人と自分に付けられた傷をみると、どうやらトカゲと戦ったことは確かなことであるようだった。(じゃあ、セイラが食べられたのは?)
「きっと、ミコトは私がトカゲに食べられたと勘違いをしたんじゃない?」
「勘違い?ちがうのか?」
「ええ。あの時食べられたのは、私が木で作り上げたダミーなの。もちろん、そのすぐ後ろに私もいたから、危なかったけどね。」
「そっかー。よかった。」
「ええ。ありがとう。」
セイラは、食べられてませんでした。
大方、予想されていたと思いますが・・・。
変な気苦労をさせてしまっていたら申し訳ございません。(そんな熱心な読者様がいれば嬉しい限りですが。)
戦いがひと段落着きましたが、虚無羅との戦いは始まったばかりです。
ただ、個人的には戦いばかりにならぬよう配慮したいと思います。
次はセイラの母親の登場です。
★筆者コーナー★
「最終兵器彼女」って漫画、知ってますか?実写版にもなったようですね。
なかなか面白い展開です。北海道が舞台のSF戦争物ですか?
漫画家で戦車とか戦争の兵器のことに詳しい方多いですよね。
なんででしょう?




