■第24話 〜トカゲ虚無羅との戦い〜
ミコトの右手に風の塊ができた。
ミコトは不思議に空気を蹴るという仕草を学び取っていた。空気の壁を右足で蹴って自分が落ちていく方向へ力を加えた。ミコトの向かう先は、ピアスをつけている男だ。その男もミコトを迎え撃とうとしている。ピアスの男の捕まえに来た右腕をはらいのけ、ミコトは男の胸に風の塊をぶつけた。男はその場で2回転ほどしてテニスコートの中央付近へと飛ばされた。そこへ急いで駆けつけ、今度は両腕を取りうつぶせにした。
ミコトの腹の辺りに激痛が走る。うまく言葉が出ない。
「もろもろの…ま、がごと、つみ、けがれあらば…。はらえたまい きよめたまへと もうすことを きこしめせと… かしこみ…かしこみ もうす。」
(やっと、言えたぜ。くそっ、あばら骨おれてねえか。)
次の瞬間、ニットの男とピアスの男からは、先ほどの不良と同じような3つ目のトカゲの虚無羅がでてきた。
明らかにこちらを向いて狙っている。(くそっ、まだ終わりじゃないのかよ。どう考えても、あのトカゲを押さえつけて、祓詞を3回唱えるっていうのはきついよな。)
次の瞬間、2体のトカゲはお互いが呼び合うかのように体を合体させ始めた。一瞬の出来事にセイラもミコトも唖然としてしまった。
「しまった。」
何がしまったのか、確信を持てない二人であったが、その予想は不運にも的中していた。格段にその禍々しさは強くなっている。おそらく、2体にかけた祓詞の力はなくなってないのだろう。この力が働けば、術者(この場合ミコトとセイラ)が倒れない限り、この虚無羅に残された命は、長くても10日程度なのだから。しかし、10日というのは、飛行機に乗って海外まで行かなければ不安に感じる長さだ。
トカゲは人と同じほどの大きさになり、先ほどまで4つ足で立っていたものがいつの間にか2本足で立っている。口を大きく開け、鋭い歯でこちらを見ると、キュアアアと耳を劈くような大きな声で威嚇をしてきた。手にも鋭い爪が伸びている。
ミコトの後ろからセイラの力であやつられた銀杏の木のつるが、虚無羅をめがけて鋭く伸びていった。その木のつるを鋭いつめで難なく切り落とす虚無羅。しかし虚無羅の足にもう一本のつるが絡みついた。しかしそのつるも尻尾で叩き落とし、鋭い歯で噛み砕いてしまった。セイラを視界に止めたトカゲ虚無羅は、その方向へと4つ足で這っていった。トカゲが人の大きさで這うというのが、どんなに速いかこのときセイラとミコトは直々と思い知らされるのであった。
セイラが不意にとられていると、大きな口がすぐそこまで迫っていた。その口はすばやくセイラの腹に噛み付いた。
「セイラー!」
バリボリと噛み砕く音が聞こえる。あまりにも悲惨な情景を、一瞬目を背けてしまったミコトはその脳裏に描くのだった。
「うわああ。」
叫ぶと同時に勢いよくトカゲ虚無羅に飛び込むミコト。その手にはすでに風の塊が作られていた。
「オン コロコロ ブラフマー ソワカー!」
ミコトの叫びと共に、神社で放った2倍ほどあるかと思われる風の龍が虚無羅の体を咥え、天高く舞い上がった。
「ぐわああああ。」
あまりの激痛にミコトの意識はそこで途切れてしまった。
セ、セイラー!!
トカゲ虚無羅との戦いが一気に蹴りがついてしまいました。
まあ、いいです。
セイラも・・・
次回をお楽しみに。
★筆者コーナー★
野球漫画ってはずれが少ないですよね。満喫に行ってなんかないかなと手にする野球漫画は、どれもたいてい読むことができます。この前は「ラストイニング」を読みました。
すごくいいってわけではないけど、悪くありません。
野球漫画では、最近でてきた「巨人の星」(マガジン)が面白いと思います。




