■第20話 〜ミコトの力(1)〜
「私はセイラさんと同化することによって、私の力が少しですが使えるようになるのです。」
リリィがセイラの使っていた力についての説明をしてくれている。
「そっか。じゃあ、自分はポンポンと同化すれば何らかの力が使えるんだね。」
「そういうことですね。」
「…知らなかったポン。(ウェーン)」
「…大丈夫だから、そんなに落ち込むなって。」
「大丈夫よ。」
「ウウ…最近こればっかりポン。」
「そうだ。ポンポンはどんなことができるの?」
「ポンポンは、…飛んだり、はねたり。」
「すげー。飛べるの?」
「さっそく、試してみたら?」
(やば、すっごいどきどきしてきた。)
「ポンポン。頼むぞ。」
「OKポン。」
ポンポンは静かにミコトの中に入っていった。ミコトの体が空色に輝く。
「これでいいのか?なんか、あんまり飛べるって実感はわかないけど。」
「ええ。そのままだと無理よ。」
「どうして?」
「契約の詞を唱えるの。」
「呪文多いね。」
「そうですね。」
リリィが登場して言った。
「きっと、あなた方の場合は、‘オン コロコロ ブラフマー ソワカ’と唱えるのではないでしょうか。」
「えっ。そうなの?わたしの場合、‘オン コロコロ マカリシエイ ソワカ’よ。不思議ね。」
「そうでもないですわ。力の源がどこに属しているか。お願いの先が違うというだけですわ。」
「さすが、物知りだね。」
「じゃあ、いくよ。‘オン コロコロ ブラフマー ソワカ’」
ミコトの体が青色に強く輝き、その瞳は一層強い青い光を放つのだった。
「すごい。力が漲ってくるようだ。」
「気をつけてね。あまり長い状態でいると二人とも疲れてしまうわ。」
「わかった。…風を感じる。ちょっと、飛んでみる。」
不思議に、ミコトには飛べる感じがしていた。足に今まで感じたことの無いような力を感じるのと、浮いたように軽い体。また、風の気持ちが分かるように心にしみこんでくるのだ。
「エイッ」
軽く地面を蹴ってみる。それだけでも3メートルほど浮いただろうか。神社の屋根瓦を見下ろした。(すげー。めっちゃ感動してる。体が震えてる。ポンポン、すごいぞ。きっと月を歩いていたらこんな感じになるのかな。)静かに体が重力を感じ降下していった。
「よかったですね。すごい似合ってますよ。」
リリィが笑顔で囁いた。
「ありがとう。なんかすげー嬉しいよ。」
「よかったわね。私も、うらやましいわ。」
「そんな。セイラやリリィのもすげーって。」
「ええ。私も、この力、大好きよ。」
「そっか、きっと、自分とずっと一緒だったから、しっくりくるんだよな。」
「そうかもしれないわね。…ええ、きっとそうだわね。」
心に満ち溢れている充足感を感じていたが、一抹の不安を覚えた。
「でも、どうやってこれで戦えばいいんだろ?」
嫌なことがあったとき
そんな時にでも
寝る前に
少しでもあったいいことに
感謝できる人ほど
心の強い人はいない。
信じてほしい。
あなたを守っている者がいることを・・・
〜再びこんな感じの後書きです。〜
★筆者コーナー★
ガンダムシリーズで何が好きですか?と言われたら、おそらく「WING」と答えます。
第一話のヒイロの台詞。「お前を殺す」と、その後に流れる音楽に心を奪われたのを覚えています。




