■第16話 〜使命の重み〜
「本当に部活やめてよかったの?」
「ああ。大丈夫。やらなきゃいけないことがあるだろ。うちらには。」
「そうね…。」
少しうつむいて、わずかだがこちらに笑顔を向けた。慈しみに似たその表情は、ミコトの胸を高鳴らせるのに十分であった。使命の重さを肌で感じているミコトであったが、躊躇無く退部してきたことは、やはりセイラの影響も大きかったのだろう。
二人はさっそく行動を開始した。
「初めてっていうのは、どきどきするな…。」
「安心して。わたしもどきどきしてるから。」
そう言って歩き出すセイラ。肩を並べて歩くミコト。遠くから見れば二人は付き合っているようにしか見えないだろう。向かう先には今朝の不良3人グループの中の一人がいた。
「今日はあの子の影をやりましょう。きっと、二人なら大丈夫よ。」
「だといいね。…虚無羅は、こっちが近づいたときに襲ってきたりはしないのか?」
「するかも知れないわ。…わたしが、虚無羅を本人からひき離すから、あなたはあの人に触れて祓詞を唱えてくれる?」
「ああ。分かった。」(とはいうものの、だいじょうぶか?)
「‘もろもろのまがごと、つみ、けがれあらむをば はらえたまい きよめたまへと もうすことを きこしめせと かしこみかしこみ もうす’でいいよな?」
「ええ、よく覚えたわ。」
「必死だからな。」(そう。必死だけど、少しわくわくしている。なぜだ?本当は怖いはずなのに。)
「気をつけるポン」
ポンポンが話に入ってきた。守り神達は二人が話しているときはよほどのことが無い限り話に参加をしない。(「ポンポンは守り神ポン。本当は人間同士で話をするのが一番ポン。」って言ってたな。よっぽど心配なんだろう。なんせ俺の初仕事だから。)
「ああ。ありがとう。」
「ちゃんとポンポンも守ってあげなきゃだめよ。」
「えっ、ポンポンも襲われるの?」
「ええ。そういうこともありえるわ。」
「なんだか大変そうな仕事になりそうだ。」
そうするうちに人通りの少ない神社の近くまできた。
「ここで勝負をしかけましょう。」
「そうだな。ここでなら少しくらい怪しい動きをしても大丈夫そうだな。」
「うふっ。そうね。頼りにしてるわよ。私が影を引き離すのはだいたい1分間よ。後はしっかりお願いね。」
そういうとセイラは走って前の不良生徒に近づいた。近くで囁く。
「オン コロコロ マカリシエイ ソワカ。オン コロコロ マカリシエイ ソワカ。」
何かの呪文だろうか。トカゲ虚無羅にすぐに変化がおとずれた。
いよいよバトルモードになってきました。
制約の多い戦いで、非常に書きづらいですが、
自分が決めたことなので頑張ります。
★筆者コーナー★
小説を読もうの中では、「厄神様はかくかたりき」が好きですね。読者数は圧倒的に違いますが。コメディーって言うジャンルもいいなあと思いました。ちなみに、この小説のジャンルがファンタジーっていうのもいいのかどうか分かりません。(違うよね・・・。)
次回もどうぞ見てやってください。




