■第15話 〜踏み出した一歩〜
図書室でのミコトとセイラの話は続いていた。
「なんか、虚無羅の浄化の方法がわかっただけでも、かなり胸のつかえがとれたよ。ありがとう。」
「い、いいえ。わたしは知っていることを話しただけだから。」
セイラの表情が少し照れているようにも見えた。
「あのさ、セイラってよんでいいかな?」
「…どうして?ええ、もちろんいいわ。…あなたのこと、なんて呼べばいいかしら?」
「うーん、まあ、普通は神崎先輩とかだろうと思うけど、そうだな、これから二人で鬼退治と決めこんだことだし、ミコトって呼びなよ。」
「…ミコト…ええ。分かったわ。」
「それじゃ、あのことば、祓い詞、覚えておくよ。今日の帰りにでもあの3匹を捕まえようか?」
「…そうね。いえ、無理をしないようにしましょう。私もそれほど経験があるわけではないの。できれば一体ずつがいいわ。」
「じゃあ、部活が終わったら、もう一度会える?」
「部活?あなた、…ええと、ミコトは部活に入っているの?」
「ああ。親父がうるさくて。剣道部。これでも次期主将って言われてるんだぜ。大会も近いしな。」
「そう…。」
「どうしたの?」
「いえ、わたし、部活に入ってないの。授業後の部活の時間が主に虚無羅に対する活動時間だったから。」
「…そうか。そうだよな。…」
(どうする?剣道をやめる?)
(やめられるか?)
(今、やめないと・・・)
「そうだな。もう、悠長に部活はやってられないか。なんてったって、自分にしか出来ない‘使命’だからな。」
気になることはあった。部活の仲間。シンジもその一人だ。しかし、いつまでも部活をやっていることは出来ないだろう。この先、本当に高校生として過ごせるのかすら、ミコトは不安に思っていた。
「先生、ありがとうございました。…やめる理由ですか?今は、まだ何も言えません。」
「…そうか。残念だ。」
まっすぐに剣道部の顧問を見つめるミコト。ただし、剣道部顧問といっても、剣道をやっていたわけではない。たまに来て見ているというくらいだ。顧問の先生もミコトの目を見て、これ以上何をいっても無駄だということを理解したのだろう。
(そうか、ここではもう練習はできないんだよな。)放課後、武道場に立ち寄ったミコトは、感傷に浸っていた。ふとミコトの目に一筋の雫が流れた。武道場に一礼をした。静寂がミコトをつつむ。涙があふれてきた。制服の袖で涙をぬぐい、武道場を後に、ミコトはセイラの待つ、1年B組にむかった。
剣道部だったんですね。
部活に入っているのが一般的だと思い、入らせました。
やめる決断力。筆者が話の都合上、掛け持ちは無理だということで即決めました。
ちなみに筆者もスポーツは好きだし、スポーツ系の漫画も好きです。
マガジンのバトミントン漫画や、「オーバードライブ」という自転車漫画も好きです。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。子供から大人まで幅広く読んでいただけたらと思います。これからもどうか応援お願いします。
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