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新世界  作者: 北極星11
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■第13話 〜欠席の理由〜

■第13話 〜欠席の理由〜


 山下サトミが自殺をしてから3日目。その間に色々なことがあった。色々という二文字では片付けられないような信じられない出来事だ。

 まずは、サトミの机から声が聞こえたこと。きっと彼女が死ぬ前に経験したり思ったりしたことだろう。その声は悲しみにあふれていた。

 そして、気を失った自分が保健室で見たものは、なんと自分の守り神というものだった。今考えれば、怪しい話だが、実際俺の目の色が光りを帯びた青色に変わってしまい、しかも人の心の影である、「虚無きょむ」が視えるようになったのだから、信じないわけには行かないだろう。

 そして、守り神は一人じゃないらしい。リスのようなふわふわした守り神、えーと、ポンテ・ポンタ…なんとかっていう(ちょっぴり頼りない)守り神だ。自分はポンポンと呼んでいる。そいつがいろいろと俺に話しかけてくれる。まあ、守り神だっていうことはなんだかすごく納得がいく。こいつがそばにいるとすごく温かい気持ちになれる。

 ポンポンの話だと、人には虚無があるけど、虚無の状態ならいいそうだ。しかし、それが強くなって形を作ると危ないらしい。虚無羅きょむらといって、いた人を自殺に追いやったりするらしい。

 自分はサトミの自殺もなんとなくそいつが絡んでいるように思えてならない。

 そうそう、ついさっき緑色の目をしたかわいい1年生にもであった。名前はセイラ。山神セイラというそうだ。同じように虚無が見え、自分よりも少し詳しくいろいろ知っているらしい。まあ、それは守り神の違いによるものだと思うが…。目の色を黒く戻す方法もこの子が教えてくれた。

 その守り神が、これまた神秘的な美しさを持ち妖精のような形をしたリリィだ。まあ、妖精自体見たことが無いが、そう形容するのがふさわしいと思ってしまう。


 さて、本題はここから。自分はあまりにも虚無羅について知らなすぎる。虚無羅を浄化させるのが使命らしい。ただ、どうやって浄化させるかを知らない。それでどうやって虚無羅と戦えっていうんだよっ!


「はあ〜。」

ミコトはため息をついた。(まあいっか。さっきのセイラっていう子に聞けば。)そうやって自分をなぐさめるミコトであった。

(そういえば、シンジはどうして今日いないんだろう?)

 ミコトは何か胸騒ぎのようなものを感じていた。窓から見る景色はいつもと変わらない。(サトミは何を思って自殺したんだろ。明るい子だったのに。いや、でも、確かにここ数週間は暗かったか。ちょっと言葉がきつかったり、一人でいることが多かったよな。やっぱり、あの時聞いた声は、サトミの心の声だったのかな。人が一人自殺をしたっていうのに、本当に変わらないもんだな。自分が死んでも、…いや、そう思うのはよそう。)


「なあ、シンジの休んだ理由、知ってるか?」

「えー、知らない。熱じゃないの?」

「あいつ、サトミに告白されたんだって。なっ。」

「うん。サトミの友達が、そう言ってたわ。サトミがシンジ君と話してたと思ったら、泣いて帰ってきたんだって。」

(おいおい、それは違うぞ。あいつは振られたんだ。)

「それで気まずくなって来れなかったのか。」

 数人の生徒がこの話題で盛り上がった。なぜかミコトはその中に入って本当のことをわざわざ言う気にはなれなかった。

(でも、なんだろう?振られたシンジがどうして休むんだ?何かまだあるのか?)

 

「わたし、事実を確認しようとしてシンジ君に電話したの。そしたら、「えっ、俺はそんなことしてない。」なんて答えたの。信じられないって言ってあげたわ。」


「おいおい、それは違う。シンジは本当に振られたんだ。」

 ミコトが立ち上がり話しをしている集団に近寄っていった。

「えっ、ミコト君はどんなことを知ってるの?」

「どんなことって、とにかくあいつは振られたんだ。俺もサトミが自殺した後電話で直接聞いたんだよ。」

「あらっ、でも、うそかもしれないじゃない。自分が振ったなんていったら、原因にされちゃうものね。」

(机から聞こえた声のことを言うか?いや、言っても誰も信じないだろう。)

「いや、でも、俺はシンジを信じるね。それに、たとえ振ったとしても、それが自殺の原因というわけにはならないだろう。」

「まあ、そうだけど…。じゃあ、どうして休んだの?」

「それは、…本当に風邪ひいたんだろ。」

 口から出た言葉とは裏腹に、ミコトは不思議な胸騒ぎを感じていた。


 ミコトはまだ知る由が無かった。サトミを自殺においやったその影(虚無羅きょむら)が、今はシンジの体を棲家すみかとしていることは。


シンジに取り付く虚無羅がでてくるのは、もうかなり先のことです。

次は、二人の図書館でのやり取りです。

変な呪文も出てきます。

よかったら覚えてください。

★筆者コーナー★

 オン コロコロ 〜 は仏教の御真言です。仏を表す言葉ですが、この小説ではそういう意味は特にありません。興味のある方は仏教に関するホームページをあさってみてください。色々な逸話などがあって面白いですよ。閻魔様とお地蔵様が兄弟だったり^^

ちなみに、「仏ゾーン」の千手君が好きです。地蔵君も好きです。阿修羅君も好きです。

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