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077 もうちっとだけ続くんじゃ(本当) <04/05(金)PM 05:26>

 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索した俺達3人は、大量の”G竈”LV16と、数体の”G百足”LV18、それからLV21の”ミミック”を討伐した。

 そして合計で15個もの宝箱を発見、1つは”スライム”付きであったので諦めて、14個のアイテムを回収して無事にダンジョンより脱出した。

 フィールドに戻った俺達は装備を整えてから、近寄ると襲って来る”アクティブモンスター”達を、”行き”と同じく大きく迂回して戦闘を避けながら、出会いの街[ヘアルツ]”南口2前の広場”へと戻ってきたのだった。


◆◆◆出会いの街[ヘアルツ]”主要街路”イメージ図◆◆◆

(※東1、南1の十字路の中心にクリスタル)


  21

  北北

2西╋╋東2

  ┣┫

1西╋╋東1

  南南

  21



「よ~し、無事に街まで戻って来れたな」

「あぁ」

「帰りは早かったですねぇ」


 「………」[夢の洞窟]の入り口から、「西口1方面に繋がる石壁の切れ目」を避けるために、南(↓)へと進み、それからしばらく東(→)へと進んで”切れ目”を通り過ぎた辺りから、北東(/)へと進んで、[ヘアルツ]の南門2を目指して帰ってきた。

 ”行き”は”岩山”の[夢の洞窟]の正確な位置と、距離感?が掴めないため、カクカクと無駄のあるルートだったが、”帰り”はオートマッピングでMAPも埋まり、”位置関係”も分かっている。南(下↓)へ進んで”切れ目”を避けたら、北東(MAP右上)の”南門2”を目指して最短ルートを進めば良い。(もちろんモンスターは迂回したが)

 そのため、”行き”より、短い時間で帰ってこられた、というわけだ。



岩山  ━━━┻━━━南門2━━━╋━━━南門1━━━┛


(※大体こんな↑イメージです、[夢の洞窟]は岩山のふもとの”ほぼ中間地点”の南側”辺りです)



「さて、一応これで探索は終了だ」

「はい、おかげさまで”経験値”も”G”も、思った以上に稼げたと思います。ありがとうございました」


 「………」まぁ正確にはクリスタルでチェックしたり、鑑定してみないと、どれだけ稼げたか?はわからないのだが、ケイが”狂戦士”だったので、被ダメージが多く、しかも安定?していたため、治癒回数、経験値はかなり良かったはず。(通常のパーティだとノーダメージだったり、”壁役が頑強”で治癒経験値があまり稼げない、という事も多いのだ)

 宝箱も大量だったし、何よりLV21”ミミック”のドロップ(”44,100G”)も貰ってしまったので、”G”も稼げている。嫌な嫌な[夢の洞窟]には、しっかりと”リターンがあった”と言っていいだろう。



「あ~、そうじゃ無くてだな。え~っと、マサヨシはこれから何か用事があるのか?」

 俺の返事に対してヒイラギが苦笑し、頬をポリポリかきながら質問してきた。


「いえ・・・まぁLVUPチェックしたり、食事したり・・・ですかね」

 時間は夕方、まだ”宝箱探し”には早い時間だしな。そう言えばLVUP次第では”南口1方面”だけでなく、”南口2方面”の宝箱チェックも視野に入るかもしれない。そうなれば”素材収集”がはかどるな。


「よっしゃ、そんじゃ”もうちょっとだけ”付き合え」

 そう言いながら、ヒイラギが俺の肩に手を回して北(↑)の方へと引っ張っていく。


「え?いや・・・俺は・・・」

 いつもの様に、さっさと”解散するつもり”だったので、若干戸惑っていると、


「まぁまぁ、いいからいいからw」

 と、ヒイラギが笑いながら、肩に回した手でバンバンと叩く。ケイは何も言わずに黙って俺達に付いて来ていた。


 南門2から帰ってきて、真っ直ぐ北(↑)へとヒイラギに連れて行かれた俺は、”中央西”の区画の丁度”中心部”?辺りにやって来ていた。


◆◆◆出会いの街[ヘアルツ]”区画ブロック”イメージ図◆◆◆


□□ ←北

■□ ←中央

□田 ←南


↑↑

西東


(”中央、西”は”■”のあたりです。”田”(南東)の中心にクリスタル)



「あの・・・どこまで行くんですか?」

 肩を組んで居酒屋をはしごする、”おっさん”2人の様な体勢で、ヒイラギに連れられながら尋ねる。


「おぅ、もうすぐだ」

 ヒイラギは笑いながら答える。大通り?を真ん中あたりまでやって来て、東(→)へと進路を変える。ケイも相変わらず黙って歩いている。

 ・・・さらにそのまましばらく歩いてから、


「着いたぞ、ここだ」

 ヒイラギに言われて、見てみると・・・プレイヤーショップ?。庭の門が開いていて”看板”が出ている。しかし看板には「営業中」としか書いていない・・・いや”何が”(何を?)だよ?、さすがに不親切、説明不足すぎるだろ。


 そのまま3人で門から庭に入って石畳の上を進み、一軒家っぽい店?の前に着いた。家の外壁には、適当な間隔で「川」と書いてある・・・かわ???、店主の名字か何かだろうか?。


 そのままヒイラギはズカズカと家の中へ入っていく。ケイも続いているので俺も後に付いていくと、


「いらっしゃい、1人500Gポッキリだよ!」

 と、威勢の良い店主?が迎えてくれた。


「おぅ、3人分な」

「毎度~、今日は左だよ」

 そんなやり取りをしながら、ヒイラギが店主?の女性プレイヤーに1,500Gを払っている。


「いえ、俺「いいから、いいからw」」

 ヒイラギは笑いながら、さっさと払って、慣れた感じで左の奥の部屋へと歩いていく。ケイも歩いていくので俺も続いた。左の奥の部屋へ入ると、先に入ったヒイラギもケイも、装備を外してインベントリに放り込んでいる。


「マサヨシは”そのまま”でいいぞ」

 装備を外しながらヒイラギが説明?してくれた。


「はぁ・・・?」

 ”そのままで”と言われたので、そのまま待つ。


「それじゃ行こうぜ」

 そう言いながら、ヒイラギとケイが、俺と同様”布の服”(初期装備)姿で、さらに奥の扉へと向かう。俺も2人の後に付いていく。そして扉を潜ると・・・、


「は?・・・」

 思わず変な声が出た。先に行ったヒイラギもケイも”布の服”が装備(表示)されていない。当然俺も、何も装備していない。ミケネコさん待望?の「ぜんら~?」だ。まっぱ・・・である。


 「………」しかしさすが?TJO、全裸帽子・・・全裸防止のためか、この部屋に入った瞬間から「不自然な湯気」で、「”あんなところ”は巧妙に隠されている」。抜かり無いね、お子様にも安心だ、ヤマコウ△(さんかっけー)。

(※表示されてないですよ?、慌ててR18違反で報告しないで下さい)



「ははは、面白いだろ?、ゲーム時代には無かったもんなぁw」

 ヒイラギが笑いながら、壁際に向かい、適当な椅子に座る。そして桶?でお湯を汲んで、ザバーッと頭からかぶった。


「うお~、気持ちいぃ~、ほらマサヨシも洗ってサッパリしようぜ」

 ケイもお湯をかぶって汚れ?を洗い流しているようだ。皆様のご想像の通り?、ここは「公衆浴場」、「銭湯」の様だ。


 「………」確かに、ゲーム時代には”風呂”的な施設は無かった。言ってしまえば”必要無い”からだろう。

 裁縫職があるので”水着”的な服は、ビックリするぐらい大量に作製され販売されていたが、結局のところ”ファッション”であり、泳いだりするためでは無かった。


 しかしリアルっぽくなったのと、大工、裁縫等の生産職や、プレイヤーショップの機能で、「銭湯」を再現する事も出来た、のだろう。ゲーム的な部分があるから”風呂に入る必要は無い”のだろうが、やはりリアルっぽいと”全く風呂的なモノに入らない”のは気になってくる部分だ。特に今回の様な”アレなダンジョン”の後だと尚更だ。

 実際俺も”何か落ち着かない”から、朝起きたら洗顔等を行っているが、あれも厳密には不要だろう。気持ち、気分の問題なのだ。



「ふあぁ~生き返るぜ~」

 一通り身体を洗い終えたヒイラギが湯船に浸かって、おっさんくさいセリフを吐いている。まぁ確かに色々とアレな[夢の洞窟]探索で、身も心もボロボロだ。俺も手早く身体を洗って湯船に浸かる。


「ふはぁ~~~、これは・・・いいですねぇ~」

「あぁ、癖になりそうだろ?w」

 ヒイラギは笑いながらお湯で顔を洗っている。ケイも湯船の縁に頭を乗せて、気持ち良さそうに目を閉じている。俺もゆったりと湯船に浸かる。[夢の洞窟]でガリガリ削られた、俺のSAN値が回復していくようだ。

(※TJOにSAN値や正気度といった概念はありません)


「前に一緒に探索に行った奴に教えてもらってな、手頃な値段だし時々利用してるんだが、変な事を考えつく奴もいるもんだよなぁ」

「そうですねぇ、”風呂好き”な人が集まって、研究したりしたんですかねぇ?」


 「………」ゲーム時代には無かった、難しかった、不要だった・・・そんなモノ等も、多種多彩の色々な職人や、発想や工夫で、再現、実現出来るとしたら、”この世界”はゲーム時代以上に自由度が高い。

 ゲーム時代には”無かった”、”無理そうだった”・・・事も、「出来るかもしれない」「やれるかもしれない」と思う事が大事なのか?・・・これも、挑戦者魂チャレンジスピリット開拓精神フロンティアスピリット?。


 俺は、まだまだ”頭が固かった”のかもしれない。「TJOは挑戦を、開拓を求めている。安定と停滞とマンネリは悪なのだ。」、そう頭で理解していた”つもり”だった。

 しかし”TJOに似たこの世界”で、「TJO(ゲーム時代)では、”こうだった”、”こうすればいいはず”」などという、”安定”や”マンネリ”、”停滞した思考”は、”悪”なのだろう。もっと柔軟に、挑戦し開拓しようとする精神を持たなければならないようだ・・・。



「まぁともかく、マサヨシが参加してくれたおかげで、今回の探索は大成功だった。感謝してるぜ」

 ”ビチャン、ビチャン”と俺の肩を叩きながら、笑顔のヒイラギにお礼を言われた。


「いえ、俺は・・・回復しかしてませんし」

「いや、助かった」

「そうだぜ、回復職が居なけりゃ、俺達は普通に”狩り”に出てた。そしたら他の奴が探索に行って、俺達が行った時には、宝箱は”全部無くなってた”かもしれん」

「まぁ確かに、”今”[夢の洞窟]へ行ったパーティは、宝箱は”ほとんど見つからない”でしょうねぇ・・・」

 俺達が脱出し、周囲にプレイヤーが居なくなったので、いくらかPOP(出現)し始めているだろう、しかし”蟻酸ぎさん”?の入った”固定箱”は、ボス部屋などじゃ無いので、”中々再POPしない”はずだ。


「あぁこれからしばらくは、宝箱は”期待薄”だろうな」

 あんな”嫌な思い”をして、宝箱が全然見つからない・・・、「ようやく発見した」と思ったら”スライム”付き・・・悲惨すぎる。


「それに”ワクチン”?のおかげで、”感染”もしなかったしな」

「う~ん・・・”おかげ”なのか何なのか・・・」

 まぁ結果として誰も”感染”しなかったので、それでいいのだが。


 ・・・そんな感じで湯船に浸かりながら、今日の探索の感想や、色々な他愛も無い話などをして、[夢の洞窟]探索での(心、精神?の)疲れを癒した。

 たっぷりと入浴してから銭湯?を出たところで、


「また一緒に探索に行こうぜ」

「助かった、また頼む」

「はい、また同じ条件で良ければ~」


 と、別れの挨拶をして”解散”となった。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 05:46>と表示されていた。まだ少々宝箱チェックには早い、つまり晩飯にも早い時間だ。


 ・・・せっかくだから、この辺りの”プレイヤーショップ”や屋台?を適当に覗いてみるかな。そう考えた俺は、ぶらぶらと”中央西の区画”の散策に繰り出したのだった。

LV17 ヒイラギ 斥候(CV:平田広明)

LV15 ケイ 狂戦士(CV:中井和哉)



万能抗原体[オールマイティーワクチン] あらゆる状態異常、病原体への抵抗力をあげ予防する、万能だが過信は禁物、感染してからは効果が無い。


※実は、状態異常に対して”抵抗失敗”や、”感染の判定”が出た場合に、『90%の確率で強制的に回避する』という結構”強力な効果”なのだが、”何度回避しても運悪く元の”感染などの判定”が出まくる”、”運悪く10%に当たる”等で、プレイヤーにとってみれば「食らう時は食らう」ため、”気休め”呼ばわりされている不憫ふびんなスキルである。



「あぁ!?、そうか!」

「な~に~ ご主人さま~?」

「ひょっとして、「かわ」・・・じゃなくて、温泉マークの”湯気”の”つもり”だった・・・のか?」

「おんせんまーく~?」

「楕円?から3本の湯気、湯けむりが出た、”こんなの ♨ ”だ」

「ゆけむりさつじんじけん~」

「・・・殺すな。”ゆ”でいいと思うんだが、今度店主?に聞いてみるかな」

「てんしゅをよべ~」

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