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076 ”夢”の終わりに <04/05(金)PM 04:17>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の”大きめの北に伸びた長方形の大部屋(もしくは広い通路?)”から、右、東(→)の脇通路ルートを探索し、合計9個もの宝箱を発見しアイテムを回収した。

 元の入り口付近まで戻ってきた俺達は、続けて北(↑)ルート?の探索を開始し、最初の曲がり角で10個目の宝箱を発見、アイテムを回収する。

 その後その先の”コブ状の小部屋”で発見した宝箱は、LV21の”ミミック”と判明、”激闘”の末、何の盛り上がりも無くヒイラギがトドメをさしてしまい、アイテムとドロップを回収した。

 探索を再開した俺達は、”コブ状の小部屋”から続く通路の先で、かなり広めの”中部屋”を見つけ、宝箱を2つ発見、回収し、その北東の通路でフライング”G百足”と戦闘になったのだった。


北(↑)

┠─ これまで探索していた東(→)の脇通路

入り口


(※↑大雑把に この様な感じです)



「おっしゃあぁぁ!」

 ヒイラギが勝利の雄叫びをあげている。例の”何もさせない”パターンで、天井から落ちてきたフライング”G百足”は、問題無く片付けた、”俺以外”の勝利だ!。

 そのままヒイラギは足元の”G”と”ドロップ”を回収している。


「おい、まだ居るぞ」

 ケイが通路の先の広くなった方を見ている。その先には”G竈カマド”LV16が2体、ぼ~っとしていた。ご存知の様にヒイラギが”察知”出来るのは、”戦闘状態”の存在だけ、なので、”通常状態”の存在を発見するには、しっかりと周囲を警戒、索敵する必要がある。


「このまま片付けるっ」

 ケイは”戦闘状態”のままだったので、そのまま”鉄の大剣”を引きずりながら”G竈”に向かっていき、あっという間に2体とも”真っ二つ”にした。う~ん、探索の最初は”探り探り”で時間もかかっていたが、戦法や対処法が確立していくと、手早く、安定して戦闘が終わるなぁ。


「お疲れさんっ」

 ヒイラギはとっくに”通常状態”に戻していた。まぁ”斥候せっこう”に「”戦闘状態”を維持しておく」意味は無いからな。ケイも周囲を見回してから”通常状態”に戻し、”鉄の大剣”をブンッと振った後、背中に背負う、戦闘BGMが止まる。



「どうやらアレで終わりみたいだな」

 ケイが右隅の方をアゴでシャクりながら、そう言った。ケイのところへ行き周囲を見回してみると、そこは”少し長い小部屋”の様になっていて、”行き止まり”だった。つまり北(↑)ルートも終了という事だ。ケイの見ているところには、すっかり虫が退散し姿を見せている宝箱がある。


「これで最後か」

 ”G竈”のドロップを回収してから、俺達の方へとやって来たヒイラギが、最後の宝箱へと向かう。一応ケイは部屋の出口側を警戒し、俺は回復の用意をしておく。


「さて・・・分析:罠[トラップアナライズ]」

 ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて、”お馴染み”の”光る板状のモノ”がス~っと降りていく。


「罠は”ガス爆弾”で、罠LVは30だ、問題無いだろう・・・解除」

キンッ!

 ヒイラギは識別と同時に解除にかかり、問題無く成功した。いつもの謎の金属音(罠解除成功音)がして、宝箱の前面の錠前がポトリと地面に落ち、錠前は霞んで消滅していく。


「え~っと、ケイの番だな」

「そうですね」

「そうか」

 ヒイラギが宝箱の前を譲り、ケイが宝箱をガバッと開ける。ケイが”かなり不満そう”に取り出したのは・・・”10cmほどの小さなビン”だった。一応じっと見つめてみると、


《名:瓶(小)(不確定名) 所有者:ケイ 〈警告〉取得すると窃盗となります》


 ・・・と以前の2つと同様だ。今回も”罠LV30ぐらい”の宝箱から、”瓶(小)(不確定名)”が出たのでおそらく、



「最後も”蟻酸ぎさん”か?」

「やっぱり蟻酸?ですかね?、おめでとうございます」

「ちっ」

 ケイは”かなり不服そう”だが、”初回鑑定ボーナス経験値”が無い代わりに、”ブタスキノコ”の様に2つ目からは”鑑定代”が必要無いので、その分儲けも大きい。羨ましい限りだ。


「マサヨシはコレが出なかったな?やる」

 ”羨ましい”という思いが顔に出ていた?からか、ケイは取り出した”10cmほどの小さなビン”を、そのまま俺に差し出してきた。


「いえ、さすがにそれは・・・」

 順番的にも、コレは貰うわけには”いかない”だろう。何かの”お礼”や、”山分け”ぐらいなら許容範囲だが、あまりに”貸し借り”が出来るようなのは問題だ。「タダより高いモノは無い」、引け目や負い目が出来るほどの”施し”や”めぐみ”は受けられない。



「・・・・・・そうだ、マサヨシは”篭手”を拾ってただろ?、アレと交換したらどうだ?」

 俺達の様子を見ていたヒイラギが、左手を”ポンッ”と叩きながら提案してきた。


 「………」”交換”か・・・そう言えば”篭手”が出た時、ケイの反応が良かったな。”ミミック”戦でも”レザーグローブ”だったし、”篭手”は”良い物が拾えて無い”のかもしれない。


 そして俺にとって”篭手(不確定名)”は、かなり微妙な代物シロモノだ。必要な装備品でも無いし、”マイナス品である可能性も高い”、加えて”この世界での人気”もイマイチっぽい。

 まぁ”蟻酸”?も”確定”しているわけでは無いが、3つも同じ様なモノが出たのと、同じ様な罠LVだったので、勝算は高いだろう。最悪”別の何か”でも”初回鑑定ボーナス経験値”は入るわけだし、次回からは”識別”出来る様になる。そして”素材”、”アイテム”類は”鑑定”して”売って”も”赤字”にはならない。


 それに「罠LV31の”篭手(不確定名)”」と、「罠LV30の”瓶(小)(不確定名)”」の交換なら、ほぼ同LVだし「宝箱の入手順を入れ替えただけ」みたいなモノだ。これもある意味”ラプンツェル”か?、”うらみっこ無し”の”不確定な未来”同士の交換になる。



「そうですね、”交換”で良ければ是非」

「あぁ、それでもいい」

 ケイはそのまま、俺に”瓶(小)(不確定名)”を渡してきた。う~ん、こういう場合は、一応「ちゃんと(正式に)交換トレードした方がいい」と思うのだが、ケイは”大雑把”なのか?、まぁ”持ち逃げ”なんかする気は無いけども。少し”不用心”では無かろうか。

(※自分が”鉄の長剣”を、ホイホイ渡した事は忘れている様です)


「はい、それじゃ」

 俺は受け取った”瓶(小)(不確定名)”をインベントリに放り込み、”篭手(不確定名)”を取り出してケイに手渡した。


「ありがとうございます」

「いや、2つもいらんしな、今は”とにかく防具が欲しい”から、俺も助かる」

 ケイもニヤリと笑い〔※1〕ながら”篭手(不確定名)”をインベントリに放り込んだ。まぁ”鋼のガントレット+1”とかの”良い物で無かった”としても、元が”レザーグローブ”だったら、例えば”鋼のガントレット-2”くらいでもパワーアップするかも?しれない。

 そういう意味ではケイに取って「分のいい賭け」なのだろう。いや、そもそも「くれよう」としていたし、”わりとどうでもいい”のかもしれない。「なんだか分からないが、防具が手に入った!ラッキー」程度なのかも?



「よっしゃ、これで終了だな?」

「そうだな」

「そうですね」

 俺達はオートマッピングされたMAPを確認しつつ、そう結論づける。


 「………」結局この”北の辺り”は、先ほどの”中部屋”に、この”小部屋”がくっ付いた、”ひょうたん”みたいな形状の部屋だった様だ。そしてこの”ひょうたん”部屋で、こちらの”北(↑)ルート”も終了なので、[夢の洞窟]は全MAPを制覇?した事になる。後は”脱出するのみ”だ。



「それじゃ、こんなところ、さっさと出ようぜ」

「あぁ」

「了解です」

 ”リーダー”のヒイラギの号令で、俺達はケイを先頭に”ゆっくり”と歩きながら戻っていく。もう”さっさと脱出したい”のに、そう簡単には出してもらえない[夢の洞窟]観光ツアー・・・。

 「ガサガサササ・・・・」、「バサーッ・・・」「キチキチ・・・」「ブーン」、と虫達に退散して貰いながら、宝箱の無くなった通路を戻る。東(右→)の通路はぐるっと周って帰ったから、そうでも無かったのだが、1度通過して”探索済みの通路”を、虫達とゆっくり歩いて戻って行くのは結構ツライものがある。


 せめて”行き止まり”に行っている間に、(帰りのルート上に)新たに宝箱がPOPしていれば・・・、そう言えば宝箱は全部で14個だった。つまり、14個÷3人 =1人4個、余り2個だ。あと1つ見つかれば、う~む”スライム”さえ無ければ、計15個で俺も5個だったのに。



「ようやくか」

 ヒイラギが前方を見てつぶやく。出口だ。どうやら俺の願いもむなしく宝箱はPOPして無かった様だ。ノー”追加POP宝箱”でフィニッシュです。そのまま歩いてフィールドへ続く出口へと進み、[夢の洞窟]を脱出した。


「うお~、外だぁ~~」

「あぁ外だな」

「外ですねぇ」

 俺達の周囲には、”ヘドロ”だか”腐ったナマモノ”だかで、ベチョベチョのグチョグチョである。(いやらしい意味では無い)時折、”鼻ちょうちん”みたいに泡が膨らんでは、ポンッ、ポフッとあちらこちらで破裂している、そしてその度に悪臭が・・・漂ってきている?・・・多分?


 周りでは、[夢の洞窟]から あふれ出た「少数」の”陸海空、3軍の覇者”達が飛び回ったり、這い進んでいる。・・・・・・・・・やる気あるのか?貴様ら。そんな「少数」で何が出来るっ!「戦いは数」だぞ!?



「よしっとにかく”家に帰るまでが遠足”だ、気を抜かずに元の広場(南口2前)まで帰ろう」

 と、”リーダー”のヒイラギが出発前に注意を促す。


 「………」フィールドに戻った以上、この付近に俺達が「戦闘出来るLV14以下のモンスター」は居ない。周囲をよく見て、「逃げ帰る」必要があるのだ。

 それに色々と戦闘やトラップを潜り抜けて、「大きく成長した様な気になってしまいそう」だが、TJOではクリスタルに触れなければLVUPしない。俺達の強さは「出発前と何一つ変わっていない」のである。油断は禁物だ。


 この辺も経験値がたまる毎に”LVUPして強くなる”RPGに慣れていると、”間違いやすい”、”勘違いしやすい”ところである。行きも帰りも「基本的には何も変化が無い」のだ。行動や戦法が最適化され、慣れたから、後半は安定し楽勝?だった、だけなのである。

 LV17、LV15で”装備もまとも”な2人と違い、俺はLV12で”布の服”、防御力0なのだ。この”南口2方面”をうろつくには、少々厳しいプレイヤーなのである。


 まぁ幸い周囲はまだ明るく100mほど見えるので、要注意な3体、STRの”盗ゾック(斧)”LV8、DEXの”盗ゾック(ナイフ)”LV9、STR&DEXの”孤独のウルフ”LV13・・・の姿を見逃さない様に、見つけたら迂回して帰れば問題無いだろう。



「あぁ!、すまん、装備を戻すから待ってくれ」

「おぅ、そうだな・・・あ~俺も戻しとくわ」

「はい」

 ケイが装備をフル装備、”後期型”に変更する。”鋼の兜”、”鉄の鎧”、”レザーグローブ”、”鉄のブーツ”だ。戦闘をしない以上”ダメージを食らう”ための装備をしている意味は無い。


 第一”先ほどの装備”は、[夢の洞窟]内の”G竈カマド”LV16(と”G百足”LV18)に、”30%以上食らう様に調整した装備”だから、[夢の洞窟]から出た今「何の意味も無い弱い装備」でしか無い。


 ヒイラギも”鋼のメイス”から、元の”鋼の剣”へと戻した。全てが”ほどほど”で取り扱い易い、使い勝手の良い武器だ。



「よし、OKだ」

「よっしゃ、それじゃ明るい内にとっとと帰ろう」

「あぁ」

「了解です」

 こうして[夢の洞窟]から”あふれた夢”、「少数」の”陸海空、3軍の覇者”達に見送られ?、俺達は[夢の洞窟]を後にした。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 04:53>と表示されていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:49,061G

武器:なし

防具:布の服

所持品:16/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、銃(不確定名)、瓶(小)(不確定名)



〔※1〕ただ笑っただけである。

 ”麻痺”したり、”エナジードレイン”されて、”LVが下がったり”しないので安心してほしい。慌てて”うさぎのマークのトムキャット”で、”ちょっとコンビニ”まで(テト〇ジャマーを買いに)行ってきたり、しないように。


分析:罠[トラップアナライズ] 宝箱等に仕掛けられた罠の種類と罠LVを識別し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)

  補足:ミミックだった場合は、そのミミックのLVも識別する、ただしミミックのLVは半減出来ない。



「ゆめのおわりに~?」

「あぁ、[夢の洞窟]の最後に、”蟻酸”?を手に入れる事が出来たが、本当に”蟻酸”なのかは不明だ」

「ふめい~」

「つまり”不確定な未来”なわけだが、俺は期待でウキウキしている」

「うきうき~」

「・・・なんだか”ラプンツェル”というより、”浦島太郎”っぽいな、いやそんな・・・」

「ご主人さま また、ふあん (で) ぶるー?」

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