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075 ”夢”のある防具 <04/05(金)PM 04:10>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の”大きめの北に伸びた長方形の大部屋(もしくは広い通路?)”から、右、東(→)の脇通路ルートを探索し、合計9個もの宝箱を発見しアイテムを回収した。

 元の入り口付近まで戻ってきた俺達は、続けて北(↑)ルート?の探索を開始し、最初の曲がり角で10個目の宝箱を発見、アイテムを回収する。

 その後その先の”コブ状の小部屋”で発見した宝箱は、LV21の”ミミック”と判明、”激闘”のすえ、何の盛り上がりも無くヒイラギがトドメをさしてしまい、アイテムとドロップを回収した。

 そして探索を再開した俺達は、”コブ状の小部屋”から続く通路の先で、かなり広めの”中部屋”を見つけ、宝箱を2つ発見したのだった。


北(↑)

┠─ これまで探索していた東(→)の脇通路

入り口


(※↑大雑把に この様な感じです)



 最初の宝箱から俺が取り出したのは、かなり残念な”銃(不確定名)”ちゃんだった。そしてその隣の宝箱から、ヒイラギが重そうに引っ張り出したのは、”大きな塊”であった。じ~っと見つめてみると、


《名:鎧(不確定名) 所有者:ヒイラギ 〈警告〉取得すると窃盗となります》


 「………」”鎧”とは、鎧ですよ。

 防具の中でも一番の人気を誇る・・・まぁ他の部位を装備しなくても、鎧、胴部分に何も装備しないヤツぁ居ねぇですよ?(俺は何も装備していない様なモノだが)


 そう”盾”、”兜”、”篭手”、”ブーツ”を装備して、”鎧”を装備していない、などという戦士や騎士、勇者、なんてのを見た事が無い様に、「まずは”鎧”」という事で、とても需要が高く、良品であれば、もの凄く高く売れる。


 TJOでは「防具類の価格設定は安め」・・・ではあるのだが、プレイヤー間での需要が高く、とても競争率が高いため、実売価格、市場価格は高い、という事だ。


 「NPC販売価格の1割引が相場」とは言ったのだが、こういった「事情や状況などで相場などは変動する」ので、ロクに調べもせず1割引で売ったりすると、”転売屋さん”に飛びつかれて、目の前で”5倍ほどの値段”で売られて、”とても悔しい思い”をする事になったりするハメになる。


 例えば「10円と書いてある、だから10円で譲った」・・・言っている事は正しいのだが、「10円青銅貨(現在の物)」と、「10円金貨(明治頃)」の場合では、話は全く違ってくる。

 よほど”物の価値がわからない人”で無い限り、「10円金貨」を10円で売ろうとは思わないだろう。「金貨を10円で売るとか馬鹿じゃないの?」と思うに違いない、”買った人”よりも”売った人”を非難するだろう、つまりは”そういう”事なのだ。

(※ちなみに、現在は使用出来ない「10円金貨」も銀行(日本銀行?)に持っていけば、「現在の10円」に”両替”してくれるそうです、親切ですね)


 いつもの事であるが「情報収集、市場、相場調査を怠った自分が悪い」のだ、「安く仕入れて高く売る」という商売の基本を無視し、「苦労して入手して、安く売った」という”愚か者”は自分なのである。

 ”転売屋”と呼ばれる連中が”あまり美味しい思いを出来ない程度”、”仮に転売されても悔しくない程度”の価格にする。その為に特に興味が無い、今はあまり関係が無い様な売買や、プレイヤーショップの価格でも、一応は調べて頭の片隅にでも入れておく。俺が結構な時間を”クリスタル前の市場調査”や、”プレイヤーショップ巡り”に費やしているのは、そういう事だ(キリッ。


 ・・・ハイハイ嘘ですよ、綺麗なお姉さんのショップを探してました。どこもかしこも”量産型おっさん”だらけ、の世界とは早く”オサラバ”したい・・・、おのれディケ・・・ヤマコォォォゥ!。


 まぁともかくTJOで”鎧”は高く売れますよ?。一番人気と言っていいかもしれない。うらやまC(し~)。



「”鎧”ですね、おめでとうございます」

「いや・・・なんか悪ぃな」

「”鎧”か、よこせ」

 ヒイラギは、直前の俺が”かなりアレ”な”銃(不確定名)”だったので、頬をポリポリかいて申し訳無さそうだ。そしてケイがストレートすぎる、いっそ清々(すがすが)しいな。


「いえ、まぁ「最後で~」と言ったのは俺なので、気にしないで下さい」

 第一、仮に”俺が順番の最初だった”としても、ヒイラギと同じモノが出たか?は、わからないのだ。もっと”酷いモノ”だったかもしれない。


 「………」それに”スポット参戦”?で、”大して活躍もしていない”俺が、あまり良いモノばかり獲得しても居心地が悪いモノだ。”少々悪い”ぐらいの方がいい。2乙?して「天鱗?が出たwwww」とか言うと、ヘイトが上昇しまくってしまう。(まぁ今回は かなり”悪い方”に偏った気がしないでも無いが・・・ひどいやっ)



「まぁいい、先に進むぞ?」

 例によってケイは、すでに”宝箱の無くなった”、この”中部屋”に興味を無くしたようだ。さっさと北東(右上)方向の、通路?へと歩き出している。


「そうだな、次だ、次」

「そうですね」

 ヒイラギは”鎧(不確定名)”をインベントリに放り込み、ケイの後に続く。俺も気持ちを切り替えてケイの後に続いて歩きはじめた。



 虫通路はかなり狭くなっている様だが、それほど速度が落ちていない。すると「この先は”広くなっている”のだろうか?」、そんな事を考えていると・・・隣のヒイラギが”ハッ!”とした様な表情で叫んだ。


「!!、上だっ、1体来るぞ!」

 ヒイラギは右前方の天井の方を指差している。見ると天井を”ウゾウゾ、モゾモゾ”と、100本の足を動かしながら、”G百足”LV18が1体やって来ていた。


 「………」ヒイラギの”みならい斥候せっこう”系の”常時発動パッシブ”スキル、警報:急襲[レイドアラート]が、天井に居て、こちらの接近?に気付き、奇襲しようと?”戦闘状態”に切り替えた”存在”を、いち早く”察知”したのだ。



「ちっ」

 先頭のケイが”戦闘状態”に切り替え、天井の”G百足”を睨みつける。戦闘BGMが聞こえはじめる。まずは先に”攻撃を受ける”必要がある”狂戦士”の辛いところだ。


 「………」そうそう、もう1点、”忘れがち”であり、”ゲームに詳しく無い方も居るかもしれない”ので解説しておきたい。ケイが(基本的に)、まず相手に攻撃させる理由だが・・・、「オンラインゲーム(今はゲームでは無いが)だから」という事がある。


 これは”オフラインのゲーム”や、”MO?”と呼ばれる、あまり多くのプレイヤーと関わらないタイプ、のゲームしかやって居ないと、わかりづらい感覚であるかもしれないのだが、「自分以外にも大勢の人が居る」という事だ。


 ようするに、他のプレイヤーが戦闘中に「逃走したり」、「死亡や、全滅したり」していると、その時に戦っていたモンスターは「HPがMAXでは無い」のだ。今元気よく「キーン!」とやって来ている”G百足”ちゃんも、”残りHP1”かもしれない。


 他の”G百足”が”3撃”、もしくは”2撃”&”ヒイラギ2撃”だったから、と言って、コイツも”そう”だとは限らない、「とりあえず1撃くらい」などと迂闊うかつに通常攻撃をすると、その1撃で昇天してしまう・・・その”可能性はある”のだ。

 家庭用ゲームでよくある「ちょっとした個体差」では無く、TJOで遭遇する”ほとんどのモンスター”のHPは、「1~MAXHP」の状態である、という事だ。


 この仕様というか、”他のプレイヤーの存在”を忘れていると、「何故か1撃で倒せちゃった (・ω<) テヘペロ 」という”条件”を満たさない戦闘が頻発するため、注意力の足りない、不慣れな”狂戦士”プレイヤーが、「気が付くと”狂戦士”から”強制降格クラスチェンジ”させられていた」という事になりやすい、トラップの1つとなっている。



 ちなみに、モンスターは、回復スキルを持つモノは、一定間隔リキャストタイムごとに、そのスキルを使用して回復し、スキルが無いモノは”時間経過による微回復”や、”イルカモネ山猫”の様に”捕食”によって回復している様だ。また多くの”非アクティブモンスター”は、”草食系モンスター”なので草などを食べて回復している(らしい)。


 よって「”HP1”で徘徊しているモンスター」は、可能性として”存在し得る”というだけで、”厳密にはほとんど居ない”だろう。だからFA時には「あまり強力で無い攻撃」をしておけば、「一撃で倒してしまう」という事態はそうそう無い。そういった理由で、相手が”非アクティブモンスター”の場合、ケイは殺してしまわない様に、どうでもよい”キック”でFAを取っている。



「とにかく降りてきてくれねぇと何も出来ねぇな」

 ヒイラギも”戦闘状態”に切り替えて、”鋼のメイス”を右手に持ち、左手に”鋼の小盾バックラー”を持って、天井を移動する”G百足”を見上げている。


「そうですねぇ」

 しかしヒイラギが”察知”、”警告”してくれたから、”戦闘準備”を整えて”のんき”?に”様子を見ながら待ち構えている”が、”みならい斥候”系が居ないパーティだと、突然天井から?急襲されていた事だろう、斥候すごい。



 俺達3人は少し離れて天井を見上げている。とりあえず誰が”G百足”に、仮FA(敵の潜水艦を発見!)されたのか、固まっていては分かりづらい。


 そんなわけ?で戦闘が開始?され、少しの時間、俺達は天井を”ウゾウゾ”と移動する”G百足”を見上げていたのだが、元気良く俺の真上にやって来ると、「どうにでもなれっ」とばかりに俺目がけて降ってきた。

 100本の足を”ウゾウゾモゾモゾ”動かしながらの、かなり見たくないタイプの、”フライングボディアタック”?だ!・・・うぎゃああぁぁ、気持ち悪いっ。「駄目だ!」、「ネガティーーブ!」



「マサヨシッ、避けろっ」

 少し離れていたケイが走ってくる。俺は”G百足”とケイから離れる様に回避を試みた。DEXの低い(無い)俺だが、先に発見し、ずっと様子を見ていたおかげで、ギリギリ回避出来た。

 プロレスラーがトップロープからの攻撃を外して自爆するかの様に、降ってきた”G百足”がビターンッと地面に叩きつけられ、その衝撃で?一瞬動きが止まる。そこへ走ってきたケイが、流れるようにサッカーボー・・・”キック”を繰り出し、FAを取った。


「GYUGYUoooo!」

 ”G百足”が”自分を攻撃してきた憎いケイ”を向いて、威嚇いかくの声、音?をあげた。しかしケイは平然と棒立ちしている。ヒイラギも”ケイが条件を満たす”のを待っている。


 「………」これも疑問に感じている方が居るかもしれないので、一応解説しておくと、今ケイが”キック”で”本FA”を取った、のだが、”狂戦士”の”条件”は満たしていない。


 ”戦闘状態”に切り替え、攻撃をした以上、ケイは”条件”をクリアしなければならない。しかし、ここでヒイラギが攻撃して、「”クリティカル”や、”残りHPが少なかった”」などの理由で、「うっかり倒してしまう」と、”狂戦士”の”条件”を満たせないまま”討伐”してしまい、ケイの貯金は”使用”されてしまう。

 運良く”戦闘状態”の間に、自分のLV以上の他のモンスターがやってきて、30%以上食らえれば”なんとかなる”、だが居なければアウトな訳で、毎回そんな”運頼み”では、すぐに”貯金”は無くなってしまう事だろう。


 そういった事故?を防ぐため、ヒイラギは「ケイが ①FAを取り ②条件を満たして攻撃を開始する」までは手を出さず、”破壊力のあるケイの攻撃の邪魔にならない”様に、「③ケイの攻撃(②)後に”追撃”する」のを徹底しているのだ。


「おっしゃあぁぁ!」

 ヒイラギが勝利の雄叫びをあげている。例の”何もさせない”パターンで、フライング”G百足”は、問題無く片付けた、”俺以外”の勝利だ!。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 04:17>と表示されていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:49,061G

武器:なし

防具:布の服

所持品:16/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、篭手(不確定名)、銃(不確定名)



警報:急襲[レイドアラート][P] 半径15m範囲の”戦闘状態”の存在を察知する。



「ふらいんぐぼでぃあたっく~」

「そうだな、この時”反撃”出来れば、当然”飛行状態”扱いになるので”クリティカルヒット”する」

「くりてぃかる~」

「だが例によって”俺達は先制攻撃出来ない”ので特に何もしない」

「ふ~ん」

「あと実際には”飛び降りて来ただけ”で、”アタック”では無い。正確には、ダイビング・ボディ・・・なんなんだ?自爆?、ともかく突然落ちてきて俺達を驚かせ、いつもの”噛み付き”攻撃をしてくるつもり?だったのだろう」

「あっとおどろく~」

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