069 ”夢”の続行 <04/05(金)PM 03:29>
※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。
出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見しアイテムを回収した。
続く3つ目の”中部屋”で更に3つの宝箱を発見し、周囲の大量の”オイシイ”モンスター、”G竈”LV16を”条件”を満たしたケイ1人の”無双”により一掃し、宝箱の回収も無事終了する。
そして十字路?の直進(右)通路の先の”らっきょう”部屋で8つ目の宝箱を回収し、”スライム”部屋では2つの宝箱を発見、1つの宝箱を諦め、1つの宝箱を回収したのだった。
「一旦出て、外の空気を吸いたい気もするが、ここまで”かなり時間がかかってる”し、このまま続けるか?」
と”リーダー”のヒイラギが俺達に相談してきた。
「………」”スライム”LV32の居た(あった?)部屋で、宝箱を1つ諦め、もう1つの宝箱を回収した俺達は、残っていた”元の入り口へと戻る通路”を通り、その通路で”G竈”1体に遭遇し、何事も無く普通に討伐してドロップの竈汁を回収、最初の”大きめの北に伸びた長方形の大部屋(もしくは広い通路?)”まで戻って来ていた。
これで、”東(→)の脇通路”は全て見て回った事になる。
北(↑)
┃
┃
┠─ これまで探索していた東(→)の脇通路
入り口
(※↑大雑把に この様な感じです)
「面倒だ、このまま続けよう」
「そうですね、続けましょう」
ケイと俺は、このまま”探索の続行”を提案する。
「………」正直一旦、外に出てしまうと”二度と入りたくなくなりそう”だ。
格闘技(ボクシング?)とかで、無心に殴りあっている間は平気?なのに、一度座りこんでしまうと、立てなくなる・・・みたいな?
マラソンなどの長距離走などで、立ち止まったり、座ったりすると、再び走り出せなくなりそうで、ずっと立ったまま、歩いたり軽く走り続けているような?
とにかく「出たら終わる」そんな予感がしてならない。
”ドーパミン”、”アドレナリン”、”βーエンドルフィン”、”セロトニン”・・・、緊張だか、麻痺だか、興奮状態だか、高揚感だか、酩酊感だか、何だか知らないが、”そんな感じの”が、今の俺をギリギリ支えてくれている(多分)。
「よく覚えとけ。[夢の洞窟]ってのは、平常心で、クールで居ちゃならねぇんだ」、冷静になっちゃダメだ、頭カラッポで流されてないと、全員でカッカしているべきだ。
「それじゃそうするか、ま、その先が、すぐ”行き止まり”かもしれんしな」
そう言ってヒイラギが笑っている。まぁ確かに「大きめの通路(大部屋)だから」といっても、しょせんは”ランダム生成”されたモノだしな。
「そうだ、場所が場所だし、(ワクチンを)かけ直しておきますね」
「お~そうだな、頼む」
まぁ現状それほど”MP管理”が厳しいわけでも無い。気付いたら”かけ直しておけば良い”のだ。
「では・・・万能抗原体[オールマイティーワクチン]、はいOKです」
「………」幸いここまで誰も”感染”していない、少しは効果があった、のか?、しかしまぁ”狂戦士”のケイが”凄い火力”ですぐに戦闘を終わらせているから、”通常のパーティ”と比べて、格段に戦闘時間が短いんだよな。
戦闘時間が短いから、被弾も少ない、だから”感染”する確率も低い、・・・つまり”ワクチン”があっても無くても”関係無い”のかもしれない、という。
ちなみに、こういう”かけ直し”の場合は、治癒、支援回数に”カウントされていない”らしい。”完全に切れて”から再度かけ直せば良いのだが、それで”状態異常”を食らうと馬鹿らしいので、俺はMPに余裕がある時には、ケチらず”かけ直す”事にしている。
こういった効果時間は、かけ直す事で”重複”したりはせず、上書きされている様だ。例えば”効果時間が10分”のスキルなら、
×残り10分 →残り5分 →かけ直し →残り15分 では無く、
〇残り10分 →残り5分 →かけ直し →残り10分 である。
「よ~し、それじゃ北(↑)ルート?の探索開始だ」
「あぁ」
「了解です」
ヒイラギの合図で、ケイを先頭に俺達は北(↑)ルート?の探索を開始した。
ここは今までの通路の3倍ほどと、かなり広くなっているので、虫達もそれほど混雑せず”普通に歩く程度”の”快適な速度”で移動出来る。「ガササササ・・・・」、「ブーン」、「バササ・・・」、「キチキチキチ・・・」、と”陸海空3軍の覇者”達がスムーズ?に退散していく。
そうして快適に”広い通路”を歩いていくと、前方で少し右にカーブしているようだ。そこに近付くにつれて、少しずつ移動速度が落ちてきた。
段々と右に曲がりつつ狭くなっていっている、”3車線”だったのが、いきなり”1車線”になる、みたいな感じだ。そりゃ混雑して渋滞しだすだろう・・・あっという間に”快適な移動”の時間が終わり、”牛歩”に戻った。
「まぁまぁ、そう急がずに。[夢の洞窟]観光を楽死んで、ゆっくりして逝ってね?」、とヤマコウが・・・殴るっ、絶対に殴るっ。
再び”ゆっくり”と歩きながら、周囲を(嫌々)警戒しつつ歩いていく、右に少し曲がった後は、また左に少し曲がり、結局は北(↑)へと続いている様だ。
「おっ!」
ヒイラギが声をあげた。見ている方を見てみると、曲がり角の陰になっていた”通路の左の壁”付近の虫地獄の中から、宝箱が姿を見せ始めていた。
「お~」
思わず俺も声が出る、これで計10個目(スライム宝箱を除く)だ、「祝、宝箱二桁突入~」である。しかもこんな”通路にある”という事は、この先の”宝箱”も無事?という可能性が高い。(まぁ”罠LV”が高すぎて”諦められた宝箱”という可能性もあるが)
「よっしゃ、それじゃ少し離れててくれ」
虫達が退散しきったのを見てヒイラギが宝箱に向かう。ケイは通路の前方を警戒し、俺はいつものように回復の用意をしながら成り行きを見守る。
「さて・・・分析:罠[トラップアナライズ]」
ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて”光る板状のモノ”がス~っと降りていく。
「罠は”仕込み刃”、で・・・罠LVは32だ」
「………」”仕込み刃”、俺達が[山の洞窟]1層で諦めた「居合いの達人」の様なトラップだ。識別せずに開けた場合、やはり”不意打ち”補正でクリティカルヒットする。
”僧侶”LV12の俺が、この宝箱を開けようものなら、LV32の”クリティカル攻撃”を食らうのである。”G竈”がケイに”一刀両断”されていた様に、開いた隙間から”高速でなぎ払われる刃”によって、俺もズバーッ、と”真っ二つ”にされる事だろう。
「ま、大丈夫だろう・・・解除」
キンッ!
ヒイラギは少し考えた後で”解除”にかかり成功した。お馴染みの謎の金属音(罠解除成功音)がして、錠前がポトリと地面に落ち、霞んで消滅していく。
「え~っと・・・また俺か?」
「あぁ、さっさと開けろ」
「はい」
一応確認してからヒイラギが宝箱をガバッと開ける。宝箱の中から取り出したのは・・・”斧”だ。じっと見つめてみると、
《名:鋼の斧 所有者:ヒイラギ 〈警告〉取得すると窃盗となります》
「おぉ、”白アイテム”ですね、おめでとうございます」
「良かったな」
「………」俺達の様な”鑑定スキルの無い”プレイヤーは、ノーマル装備品(0、白、基本)だけ”辛うじて鑑定出来る”ため、ノーマルアイテムだけが「確定名」で”入手出来る”。(という設定である)
装備品には、”初回鑑定ボーナスが無い”ので、鑑定して売ると”鑑定代分が損”である。つまり最初から鑑定されているノーマル装備品は、”鑑定代が不要なので得”である。
さらにTJOでは、『(不確定名)の装備品は、装備出来ない』。そのため探索中に”+3武器”などを入手していたとしても、活躍するのは次回の探索から、という事になる。その点ノーマルアイテムは”確定名”なので、すぐ装備出来る = ”即戦力”となる、という利点がある。
しかし”鑑定が出来るプレイヤー”がいれば、これらの利点は無くなるし、長い目で見れば、”鋼の斧”より”鋼の斧+3”の方が”絶対に良い”ので、ノーマルはしょせんノーマルなのだ。
そんな訳で、初心者の内は(不確定名)の付いた品を喜び、ノーマルアイテムを「また白アイテムか」等とガッカリしたりするのであるが、TJO経験者や高LV者になっていくに従って、「よっしゃ、白アイテムだ」、「やったな」等と喜ばれる様になる。
いかにTJO経験者、高LV者が「”灰色アイテム(”-9” ~ ”-1”)”に苦しめられてきたか」を物語るといえよう。普通って素晴らしい。ふ・つ・う。しかし”普通”で満足していては、”レアアイテム”や”高品質品”は手に入らないのだ、ヤマコウめっ。
「おぅ、まぁ”斧”ってのがなぁ」
とヒイラギは笑いながらも、頬をポリポリかいて微妙な喜び方をしている。
「………」”斧”とは、山ゾック(斧)LV6、”盗ゾック(斧)”LV8先輩で、”お馴染み”?の”切断”、”衝撃”属性の武器である。
この2体は、高STRで”攻撃力は高い”のだが、”動きが鈍く、緩慢”であるので、初心者に多く狩られるモンスターであり、どちらも通常ドロップが”青銅の斧”、レアドロップが”鉄の斧”なので、多くのプレイヤーが”斧祭り”を味わっている。
最初は嬉しいのだが、すぐに「NPC売りするしか無い」という事がわかり、ガッカリする事になる。(溢れかえっていて、知人に配っているような状態なので、わざわざ買ってくれるプレイヤーが居ないのだ)
今回ヒイラギが入手したのは”鋼の斧”なので、”青銅の斧”や”鉄の斧”よりマシなのだが、それでも多くのプレイヤーが「もう”斧”はいいよ・・・」という感じで、つまり”あまり人気が無い”のだ。
さらにケイが使用しているのは、”鉄の大剣”であり、同じ”切断、衝撃属性”だから不要だし、ヒイラギも、切断の”鋼の剣”、打撃、衝撃の”鋼のメイス”と、あまり”鋼の斧”の出番は無さそうだ。
しかし”斧”というのは、戦闘以外でも”使い道”がある。売らずに「道具として活用する」のもアリだろう。
「他には無いな、先に進むぞ」
とケイがゆっくりと北に向かって歩きはじめる。
「おぅ、そうだな」
「了解です」
ヒイラギは”鋼の斧”をインベントリに放り込み、ケイの後に続いて歩き始め、すぐに俺も続く。虫通路の前方は北(↑)へと伸びていて、また少しずつ広がってきている?のか、”陸海空3軍の覇者”達の退散速度が上がってきていた。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 03:33>と表示されていた。
修正前)
・(だから後半は椅子に座らず、ロープにさばる様にして立ったままの選手がいるとか)
追加、修正後)
・方言である事と、事実と異なるかもしれないので該当部分を削除しました。
LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:15/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、篭手(不確定名)
万能抗原体[オールマイティーワクチン] あらゆる状態異常、病原体への抵抗力をあげ予防する、万能だが過信は禁物、感染してからは効果が無い。
※実は、状態異常に対して”抵抗失敗”や、”感染の判定”が出た場合に、『90%の確率で強制的に回避する』という結構”強力な効果”なのだが、”何度回避しても運悪く元の”感染などの判定”が出まくる”、”運悪く10%に当たる”等で、プレイヤーにとってみれば「食らう時は食らう」ため、”気休め”呼ばわりされている不憫なスキルである。
「ぞっこ~」
「そうだな、1度冷静?になると多分しばらく入れない」
「れいせ~?」
「あぁ、夢中になってて”感覚がマヒ”していたり、”慣れ”ていたのとかが、”我に返ったり”、”リセットされる”危険がある」
「われにかえったりせっと?」
「雪の中を走り回って遊んでいたのに、1度家に帰って”あったかい物”を食べて温もったら、コタツから出なくなる子供・・・みたいな?」
「こたつ!!、ご主人さま~ こたつ~」
「しまった!!」




