068 ”夢”も希望も無い配置 <04/05(金)PM 03:08>
※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。
出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見し、アイテムを入手した。
その後3つ目の”中部屋”で更に3つの宝箱を発見し、周囲の大量の”オイシイ”モンスター、”G竈”LV16を”条件”を満たしたケイ1人の”無双”により一掃し、宝箱の回収も無事終了する。
再び探索を再開し通路を進み始めた俺達は”G百足”を2体発見、上手く1体だけを誘い出し、各個撃破する事に成功、障害を排除し、十字路?の直進(右)通路の先の、”らっきょう”部屋で8つ目となる宝箱を回収したのだった。
「あ~っ、臭かったなぁ」
「そうですねぇ、匂いが”濃縮”されてたというか・・・」
狭い通路の先の”細長い小部屋”で宝箱を回収した俺達は、元の十字路?、広間?へと戻って来ていた。正面左には俺達が”中部屋”からやって来た通路、右には”罠LV32、スライム”の部屋?、右斜め後ろ方向が俺達が最初に”G竈”LV16に遭遇した地点へ戻っていく通路となっている。
「次は、あの右の部屋?だな?」
ケイは早速歩きはじめている。冷静というか、”せっかち”なのか?
「どんな感じですかねぇ」
「まぁ部屋?っぽいから、”通行止め”じゃないのは助かるな」
「………」ダンジョン内で発見した罠が、この”スライム”などの、”罠、トラップ扱い”のモンスターだった場合、当然?だが『”解除”は出来ない』。宝箱の”ミミック”が”解除”出来ないのと同じである。
そうなると「”立ち去る”、”迂回、Uターン”する」か、「”討伐”する」しかないわけだが、これら”罠、トラップ扱い”のモンスターは”罠、トラップ扱い”であるために、
>ダンジョンの罠、宝箱の罠、ミミック・・・と、”そのダンジョンの適正プレイヤー”のLVの倍~それ以上あっても普通だ。[夢の洞窟]に出現するモンスターはLV10~18であるが、罠類のLVは 20~40?とかだろう。
に当てはまるため、ほとんどの場合「適正プレイヤーのLVにそぐわない高LV」で、しかも”ミミック”と同様に「LVを半減出来ない」ため、下手な”中ボス”や”ボス”より厄介なのである。
>そのため、よほどの格下のダンジョンでも無い限り、プレイヤーは避けて探索をする。
となるわけで、ようは”スパイス”というか、”ちょっとしたアクセント”というか、”通行止め要員”というか、”嫌がらせ”である。俺達プレイヤーが、ダンジョンを”我が物顔で歩く”のが、許せない男がいるに違いない、”誰”とは言わないが。
このあたりも通常のRPGなどだと「行ったダンジョンの”宝箱は全て入手”して、MAPは全て埋めて、出てくる敵、中ボス、ボスは皆殺しにして、”完全攻略”して当然」という感覚ではないかと思う。(一部”思わせぶりな開けられない扉”などがあり、「後でイベントで来るのか?」という程度だろう)
しかしTJOでは、”そのダンジョンの適正プレイヤー”では、倒せないモンスター、開ける事が難しい宝箱、対処出来ない罠、それによりMAPも全て埋められない・・・というのが「当たり前」なのだ。(そもそも無理してMAPを埋めたところで、翌月にはリセットされて白紙になってしまう)
しかも「どこまで挑戦し、どこから諦めるのか」という”さじ加減”も、俺達プレイヤーの”判断”、”選択”に委ねられている。「どのLVの罠まで解除する」、「諦めて立ち去る」、「どのモンスターと、何体まで戦う」、「何階層まで探索する」などだ。無論、「”完全制覇”に挑戦」してもいいし、そもそも「ダンジョンに入らない」という”全てを諦める”選択もアリだ。
[山の洞窟]の1層で、”宝箱”や”扉”を「さっさと諦めて」帰還したのを、「え?なんで?」とか、「へたれ過ぎじゃね?」などと感じておられた方も、中には居るのでは無いか、と思うのだが、TJOとはそういう”ゲーム性”なのだ・・・としか言えないのである。まぁ”やればわかる”さ、あり・・・がたくねぇヤマコウイズム。
特に序盤は、ステータスも低く、装備も貧弱で、ロクなスキルも無い・・・と非常に死にやすい。”残機が0”かもしれない現状では、慎重で臆病なくらいで丁度良い。
しかしその一方で、挑戦者魂、開拓精神を要求されるという、ホント TJOは地獄だぜぇ!(略。
「ヒイラギ、”スライム”はどこだ?」
先頭を歩いていたケイが、”スライム”部屋?の入り口で立ち止まって、”斥候”のヒイラギにたずねている。俺とヒイラギも入り口に行き、中の様子を伺う。そこは、先ほどの”中部屋”くらいの部屋だった。”陸海空3軍の覇者”達がワサワサと少しずつ退散をはじめている。
「あっちの右隅の・・・げ」
「「げ?」」
ヒイラギが”指差している方向”を見ると、そこでは虫地獄の中から”宝箱”が姿をあらわしつつあった。9個目の宝箱だ、3の倍数だから俺の番だが・・・
「え?・・・もしかして?」
「あぁ、ありゃダメだわ」
そう言いながらヒイラギは、”宝箱”と”宝箱”の真上の天井辺りを見比べている。一緒になって宝箱の真上辺りの天井を見てみるが・・・う~ん「シミ?がある」と言えばある?、ような?、というか天井中ベトベトで、シミだらけで、あの程度の”シミ?”を「”スライム”かもしれない」と警戒しながら行動するなら、このダンジョンは”どこも歩けない”のでは無かろうか。斥候すごい。
「まぁ仕方無ぇな、よくある事だ」
と、ヒイラギは両手を広げて首を傾げた、「こいつぁ~お手上げだわ」という事だ。まぁ俺達に”攻撃魔法”は無い(断言)から、仕方無いな。
「………」実際こういうのは”よくある”事だ。・・・というか、「そういう風に出来ている」のだろう。
TJOでは、こういった”自然系”ダンジョンには、罠、トラップが少ない。まぁ普通は”罠”などは、侵入者を撃退、殺傷するために、”誰か”によって仕掛けられるのだから、”ただの自然洞窟?”にあるのは不自然だ。
しかしそれでは”楽勝”になってしまうので、こういう自然系ダンジョンに”相応しい、”罠、トラップが”お目見え”するわけだ。こちらは数は少ないのだが、”解除が出来ない”事や、”対処が限られる”等、ほとんどの場合、厄介さでは上であり、軽視したり、楽観視するなど、もってのほかだ。
むしろ「罠が少なくて楽勝~」などと思っている所へ突如、凶悪な罠が襲いかかるという、陰湿なところがある。まぁTJO経験者はそんな事は無いだろうが、初心者だと「自然っぽいダンジョンって、”斥候”が居なくても大丈夫なのでは?」とか考えそうだ。いや逆だから、斥候が居なくちゃヤベェから、マジヤベェッスよ?
ところで今回の様な場合、下の”宝箱”には「何の因果関係も無い」。必死で”スライム”LV32を倒したとして、宝箱が高LVミミックだったり、”爆弾”罠LV40だったりして、結局”諦める”しか無かったり、逆に罠LV18とかで中身も大したモノでは無いかもしれない。
まぁ[山の洞窟]の1層で、ピット(落とし穴)LV18の、向こうにあった”罠LV12”の宝箱の様に、
>危険な所にあるから、苦労して入手したから、良い、高い物ばかりとは限らない。なんと言っても”あの嫌がらせの様な場所”にあったのは多分たまたまだろう。
・・・という事なのだが、”スライム”はよく”宝箱”の上に居る(ある)。こちらは”たまたま”では無さそうだ。「どう考えても”ただの嫌がらせ”です、本当にあり・・・がたくねぇ」
ちなみに「ダンジョン新生時に、まず”正解ルート”が生成される」と説明したのだが、その正解ルート上には、これらの「”罠、トラップ扱い”のモンスター」は基本的に※設置されない。(※いくらか例外が存在する)
つまり「ダンジョンが攻略出来なくなったりはしない」し、同時にほぼ「”ハズレルート”である事が確定する」ので、安心?してUターンすれば良い。無論、”討伐”を選択しても良い。そこはプレイヤーの自由である。
「おい、あっちにもあるぞ」
「ん?、おぉ!、あっちは大丈夫だ」
ケイが指差した方を見ると、部屋の左の端っこの方でも、少しずつ”宝箱”が姿を見せはじめていた。部屋をキョロキョロと見回してみても、右のスライム”宝箱”と、左の宝箱の他に目ぼしいモノは見当たらなかった。
「よっしゃ、それじゃアイツだな」
ヒイラギは気を取り直して、左の端っこの宝箱へと向かう。ケイはそのまま部屋の出口の方を警戒し、俺は少しヒイラギ寄りに立って回復の用意をしておく。
「さて・・・分析:罠[トラップアナライズ]」
ヒイラギがスキルを使用し、宝箱の上面部から下底部に向けて、いつもの”光る板状のモノ”がス~っと降りていく。
「罠は”爆弾”で、罠LVは31だな」
「………」”爆弾”罠LV31・・・いたって”普通”の罠で、”普通”の罠LVだな、半減して罠LV15だ。”普通”の”斥候”なら”普通”に解除出来るだろう。ふ・つ・う。
当然”普通”の僧侶である俺が”解除しよう”とすれば、リア充じゃないのに”普通”に爆発するだろう。ふ・つ・う。
「楽勝だな、・・・解除」
キンッ!
迷う事無くヒイラギは解除にかかり、”普通”に解除に成功した。いつもの謎の金属音(罠解除成功音)がして、宝箱の錠前がポトリと地面に落ち、霞んで消滅していく。
「それじゃ・・・次はマサヨシだな?」
そう言いながらヒイラギが宝箱の前を譲ってくれる。罠LV31だったので、”小さなビン”が出てくれば、”蟻酸”?かもしれないので期待が高まる。そっと宝箱を開けると・・・
「え~と?”篭手”?」
宝箱から取り出したモノを、じ~っと見つめてみると、
《名:篭手(不確定名) 所有者:マサヨシ 》
「………」”篭手”とは、まぁ”剣道”とかで”腕に着けるヤツ”ですよ。
TJOでは、他に”手袋”、”グローブ”、”ミトン”、”ガントレット”、”ヴァンブレイス”などが、この”篭手”というカテゴリーに入る。
防具の一つであるので、当然ながら需要があり、それなりの値段で取り引きされるが、TJOでは防具を一式集めるのが大変であるため?か、防具類は”武器より若干安め”に設定されているため、同程度の武器よりは安くなる。
またゲーム時代には無かった要素?だが、指先までガッチリガードされるタイプは、”手先の自由度を損なう”ため?か、”この世界”では”篭手”を装備していないプレイヤーが多く見られる。
まぁ”本格的なバイクのグローブ”を着けて、”裁縫”をする・・・みたいな感じ?だろうか。「うがあぁぁ、邪魔くせぇっ!やってられっか!」となるのだろう。
そんな訳で需要はあるだろうけど、ちょっとハズレ気味?な感じの一品だ。・・・いや、待てよ。そうすると鑑定して”ヴァンブレイス”だったら、需要が高い?のか?
「お~”篭手”か、良かったな」
「”篭手”か、いいな」
ケイは防具なので珍しく反応が良い様だ。
「ありがとうございます」
そう言って”篭手(不確定名)”をインベントリに収納した。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 03:14>と表示されていた。
LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:15/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、篭手(不確定名)
探知:罠[トラップディテクション] 半径15m範囲の罠の存在、形状、名称を探知し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
補足:”罠、トラップ扱い”のモンスターだった場合は、そのモンスターのLVも識別する、ただしモンスターのLVは半減出来ない。
分析:罠[トラップアナライズ] 宝箱等に仕掛けられた罠の種類と罠LVを識別し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
補足:ミミックだった場合は、そのミミックのLVも識別する、ただしミミックのLVは半減出来ない。
「ご主人さま~ れいがいってなに~?」
「あぁ、TJOでは色々なシステムや仕様があるんだが、大体の場合「例外が存在」する」
「なんで~?」
「「〇〇だ」、「〇〇は無い」と確定してしまうと、”油断”や”侮り”に繋がるから、では無いか?、とか言われてたな」
「ん~?」
「ようするに、「例外があるかもしれないよ?常に緊張感を持ってろよ?」という、ヤマコウの”ありがたくねぇメッセージ”、なんだろう」
「やまこう は かみさま~」
「そうだ、ありがたや、ありがた・・・くねぇ!、出会ったら殴るっ」




