067 ”夢”のある?たんけん <04/05(金)PM 02:58>
※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。
出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見し、アイテムを入手した。
その後3つ目の”中部屋”で更に3つの宝箱を発見し、周囲の大量の”オイシイ”モンスター、”G竈”LV16を”条件”を満たしたケイ1人の”無双”により一掃し、宝箱の回収も無事終了する。
再び探索を再開し通路を進み始めた俺達は”G百足”を2体発見、上手く1体だけを誘い出し、各個撃破する事に成功、障害を排除したのだった。
「よっしゃ、それじゃ探索を再開だ」
「あぁ」
「行きましょう」
ケイから正式に”鋼のメイス”を譲り受けたヒイラギの号令で、俺達はまたケイを先頭に”ゆっくり”と、”緩やかに左へカーブ”している狭い虫通路を進み始める。やはり”陸海空3軍の覇者”達は「ブーン・・」、「ガササササ・・・・」、「クチクチクチ・・・」、「バサバサーッ・・・」、っと”押すな押すな”の大混雑、大渋滞だ。
しかし歩いていく内に若干だが移動速度が上がりはじめた、少しずつ前方の通路がひらけてきている様だ。
「ん?、広間・・・か?」
と先頭を歩くケイがつぶやく。
「………」移動速度が若干上がったとはいえ、ゆっくり歩いている様な状態だ、前方に変化があっても中々現場には着かないのだ。
”シーズン真っ最中”で混雑している時期の”観光地巡り”をしている感じ?とでも言おうか・・・「もうココは十分見たから、さっさと次の所が見たい」のに、なかなか前の人が進まなくてイライラする、ような?、初詣で、なかなか鈴をガラガラと鳴らせず、お賽銭も入れられないような・・・そんな状態である。
もっとも「全く見たく無い」観光で、「全く有難くも無い」お参り、なのだが・・・おかゆがうまいっ、テーレッテレー。
「こりゃあ・・・十字路、か?」
ヒイラギも前方の様子を見ながらつぶやく。十字路といってもきっちり90°で”+”の様になってはいない。ほぼまっすぐ?前方(西←)へ続く狭い通路、かなり左にカーブしている中央?の通路、そして左に急カーブしている通路・・・の3方向に分かれている。
「MAPで見ると、”中央の通路”は、最初に3つに分岐していた北(↑)の通路みたいですね」
オートマッピングされたMAPを見ながら俺が報告する。
「おぅ、そうみたいだな。そんでこっちの左の方は、スライム(罠LV32)がある部屋?だろう」
”斥候”であるヒイラギのMAPには”察知”、”探知”した、”解除”していない”罠”や、”戦闘状態”の存在が表示されている(はず)。だから探知して放置している”スライム”は表示されっぱなし(のはず)だ。
「どうする?」
ケイが振り返って今後の方針の決定を待っている。
「ん~、”ともかく右”で、直進するか。そんで次に左の”スライム”部屋?を調べて、中央は元に戻るから最後・・・でどうだ?」
と、”リーダー”のヒイラギが提案した。
「………」確かに「右に手をついて進む」はダンジョンを”攻略する”には向いているが、MAPの中央付近の部屋などの”浮いた”場所には辿り着けない。
頭でっかちに「絶対に右」と言っていると、”スライム”部屋?を素通りして、一番最初のダンジョン入り口すぐの大部屋、大通路?に戻ってしまう。こういう”明らかに部屋?がある”様な場合には”臨機応変”に対応する事も必要だ。
「いいと思います」
「あぁ、そうしよう。直進だな」
ケイは割と”どうでもよい”ようだ。さっそく”ゆっくり”と直進しはじめる。俺達もそんなケイの後ろについて、少し広めの十字路、大広間?を「周囲を警戒、索敵」しつつ”ゆっくり”と直進した。
”直進ルート”の通路は、これまでで一番狭かった。虫達が「クチクチクチ・・・」、「プ~ン」、「ガサガサササ・・・・」、「バサーッ・・・」「キチキチ・・・」「ブーン」、「カササササ・・・」と上を下への大騒ぎだ。そして狭いので臭いもキツイ・・・うぐぅ、気分が悪い。
「………」ちなみに今回の俺達は、「LV14以下のモンスターと戦闘出来ない(したくない)」ので、こうやってひたすら”退散する”のを待って、”牛歩”させられている。
しかし通常のパーティの場合は、こういう時は「少しずつ狩って間引いてやる」のだ。そうすると、いかに異常なPOP(出現)率だと言っても、パーティメンバーの20m範囲にはPOPしない(出来ない)ので、若干余裕が出来る、そうすると虫達の混雑、渋滞が、多少は解消されて移動速度が上がるのである。
もちろん狩られ、間引いた分はダンジョン内のどこかで、すぐにPOPして虫地獄が再生されているので安心?だ。[夢の洞窟]は、いつやって来ても、”夢”いっぱいの”変わらぬサービス”が受けられます、・・・ヤーマーコーーーウッ!!
「む」
先頭を歩くケイが立ち止まった。
「どうした?」
「どうしました?」
ヒイラギと俺が前方を見ると、そこは袋小路、つまり小部屋になっていて、狭くて虫まみれの地面の上に、宝箱が少しずつ姿を見せはじめていた。
結局この”直進ルート”は、狭い通路の先に”少しふくらんだ細長い小部屋?”という、”らっきょう”みたいな感じの構造だったようだ。
「よっしゃ、いいぞ」
「順調ですねぇ」
「さっさと調べろ」
「………」ダンジョンでは、”ボス部屋”、”宝物庫?”みたいな部屋が、宝箱の出現(POP)率が一番高く、通常の部屋や広間の様な場所は”そこそこ”で、通路などは”時折”・・・という感じだ。部屋も大部屋、中部屋、小部屋などで違いがある。この極小部屋みたいなのだとあまり宝箱は出ない。
まぁこれも”傾向”であるし、他のプレイヤーも居るので、他のプレイヤーが”ひっきり無し”にやって来るような、メインルート付近の部屋には全然無かったり、見落としがちな部屋や、あまり近寄らないハズレルート?の部屋に多かったり、と一概には言えない。
「よし、それじゃ少し離れててくれ」
ヒイラギは虫達が退散しきったのを見て、宝箱に近寄っていく。いつもの様にケイは小部屋の通路側を警戒し、俺は回復の用意をしておく。
「・・・分析:罠[トラップアナライズ]」
ヒイラギがスキルを使用すると、宝箱の上面部から下底部に向けて、”光る板状のモノ”がス~っと降りていく。
「罠は”仕掛け弓矢”で、罠LVは32だな」
罠LV32、半減してLV16だ。・・・罠LV37”の警報”、罠LV33の”クラッカー”を、無事に”解除”出来たヒイラギなら大丈夫、か?
「………」ゲーム時代の話であるが、バンバン”解除”していたLV以下の罠を、何故か「突然失敗してしまったりする」という事はよくあった。”解除の仕組み”はよくわかっていないのだ、”油断は禁物”なのである。(ただしDEXで上回っていた場合の”失敗報告は無かった”らしく、「DEXは正義」という空気になっていた)
とは言え、ヒイラギは”識別した”ので”不意打ち”補正によるクリティカルは無い。もし”解除に失敗した”としても、”罠LVは半減”されているので、LV16の”仕掛け弓矢”、つまり”通常攻撃を一発食らう”だけである。LV17でしっかり装備も固めているヒイラギなら、即死するダメージでは無いだろう。
「まぁ大丈夫だろ、・・・解除」
キンッ!
少しだけ考えた後で、ヒイラギは解除にかかり、無事に解除に成功した。いつもの謎の金属音(罠解除成功音)がして、宝箱の錠前がポトリと地面に落ち、霞んで消滅していく。
「え~っと・・・?」
「ケイの番ですね」
「そうだったか?」
宝箱が大量なので段々と”あやふや”になってくるが、8つ目の宝箱なのでケイの番だ。
「それじゃケイ」
「あぁ」
ヒイラギが宝箱の前を譲り、ケイが宝箱をガバッと開ける。ケイがまたも不満そうに取り出したのは・・・30cmほどの小さな剣だった。じっと見つめてみると、
《名:短剣(不確定名) 所有者:ケイ 〈警告〉取得すると窃盗となります》
「………」”短剣”とは短い剣、一般に”ナイフ”や”ダガー”などと呼ばれる武器である。
序盤には”切断or刺突”属性の、威力が”控えめ”で、攻撃範囲が”狭く”、”軽く”非力な者でも取り回し易い、”安価”な武器であるが、中盤以降になってくると、少々他とは”趣きの異なるモノ”が出てくる。
TJOでは、”ナイフ”の他に、”ドス(匕首)”、”脇差”、”スティレット”などや、”苦無”、”マン・ゴーシュ”、”ソードブレイカー”なども、この”短剣”カテゴリーに入る。
鑑定の結果が”ナイフ”であれば”鋼”だとしても、俺の持っている白、ノーマルで”18,000G”、残念ながら、運良く”プラス品”が出ても「それほど良い値段にはならない」だろう。
もっともこれは”拾ったり”、”売ったり”する方の理屈である。”使ったり”、”買ったり”するプレイヤーにしてみれば、安く手軽に”グレードの高い武器”を入手、購入出来るので”利点である”と言えるだろう。
しかし実は”ナイフ”以外は”NPCが売っていない”ので、鑑定の結果”マン・ゴーシュ”や、”ソードブレイカー”などであれば、”-1”くらいなら、普通に売買が成立する。
”ガード”、”受け流し”、”パリィ、パリング”、”ウェポンブレイク”等を行うにあたり、”マイナス品”である事は、それほど”デメリット”とはならないから、である。
とは言え、切れ味、”攻撃力”や”耐久値”は、当然 0、白、ノーマル品質のモノより劣るので、さすがに”-3”や”-4”などを”わざわざ購入しよう”というプレイヤーは居なかったが。”-2”で「凄く安ければ欲しい」とか、「自分で使ってしまおう」というプレイヤーが居た程度だ。
つまりは「当たりハズレの大きい”未確定武器”である」と言える。鑑定結果が”ナイフ”以外なら「”短剣”ゆうても、ワンチャンあるでwww」なのだ。・・・そう、可能性はゼロでは無いよ?・・・まーヤマコウだからなー(棒)。
「ちっ」
と、ケイはどうでも良さそうに、”短剣(不確定名)”をインベントリに放り込んだ。
「そんじゃ、”スライム(罠LV32)部屋”を見に行ってみるかぁ~」
「そうですね、一体どんな感じなのか・・・」
「あぁ、さっさと戻ろう」
この”らっきょう”みたいな狭い小部屋?は、狭いだけに臭いがキツイ。ケイの言う通り”用が済んだ”なら、とっとと”オサラバ”するべきだろう。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 03:03>と表示されていた。
LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:14/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)
探知:罠[トラップディテクション] 半径15m範囲の罠の存在、形状、名称を探知し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
補足:”罠、トラップ扱い”のモンスターだった場合は、そのモンスターのLVも識別する、ただしモンスターのLVは半減出来ない。
分析:罠[トラップアナライズ] 宝箱等に仕掛けられた罠の種類と罠LVを識別し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
補足:ミミックだった場合は、そのミミックのLVも識別する、ただしミミックのLVは半減出来ない。
「・・・どうでも良い事だが、”らっきょう”、”ラッキョウ”も、じ~っと見ていると”何か”が間違っている様な気がしてくる。」
「ご主人さま、また~?」
「ゲシュタルト崩壊シリーズだ」
「げしゅたるとほうかいしりーず?」
「・・・これも”何か”が間違っている気が・・・あれも・・・」
「!!、ご主人さまが”しょうき”じゃない~」
「なにぃ?、俺はずっと”正気”だ」




