表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/98

066 ”夢”のカラクリ <04/05(金)PM 02:52>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見し、”G百足”の急襲を受けるも撃退し、合計4つのアイテムを入手した。

 続く3つ目の”中部屋”で更に3つの宝箱を発見し、周囲の大量の”オイシイ”モンスター、”G竈”LV16を”条件”を満たしたケイ1人の”無双”により一掃し、宝箱の回収も無事終了する。

 再び探索を再開し通路を進み始めた俺達は”G百足”を2体発見、上手くケイが1体だけを誘い出し、ケイがクリティカルヒットを食らってしまったものの、なんとか撃破し、もう1体も片付けたのだった。



「おっしゃぁ!、また討ち取ったぜぇ~」

 と、ヒイラギが右手に持った”鋼のメイス”を高々と突き上げて、勝ちどきの声をあげた。その足元には”1,148G”、”793G”と”百足硬殻”、そして”百足ファング”が落ちていた。

 俺達(俺以外)の勝利だ。


 「………」さて俺達が最初に遭遇した”G百足”戦を思い出してみると、結局ケイ1人の力で”3撃”で倒した(ヒイラギの”鋼の剣”での1撃は無効打?っぽいので除外)のであるが、今回の2体は、どちらもケイが2撃 + ヒイラギ(”鋼のメイス”)が2撃、で倒した。

 それなら「ヒイラギの2撃は、ケイの1撃分に匹敵するのか」というと、そうとは限らない。ケイの2撃では、あと少し倒せない程度・・・のダメージだったのかも知れないからだ。


 ヒイラギは”斥候せっこう”である。通常セオリーは”DEXに多く振る”のと、攻撃の補正も弱いので、「”戦闘”もこなせない事はないよ」程度の攻撃力だ。

 いかに硬くて堅固な”G百足”に対して効果的な”鋼のメイス”を使用した、としても、”攻撃の鬼”の様な”狂戦士”の、”半分に値する様なダメージ”を与えられるか?というと、かなり疑問である。


 推測にしか過ぎないのだが、おそらく「ケイの1撃で45%程度」、「ヒイラギの1撃で5~6%ほどのダメージ」ぐらいだったのでは無いか?と考えている。

 つまり、まずケイの初撃(FA)で45%、ヒイラギの追撃が6%で51%、次のケイの攻撃で96%、そしてヒイラギの追撃でトドメ・・・という流れだ。初戦は、ケイだけで、45%、90%、135%・・・で3撃かかった、みたいな感じだったのでは無いかな?という事だ。


 逆に”狂戦士”のケイの1撃が、”弱い”と感じられる方も居るかもしれない、しかし”鋼のメイス”が打撃、衝撃系で、上手くダメージを与えられる(こうかは ばつぐん)のに対し、”鉄の大剣”は切断、衝撃系で、この”切断”分は”ほぼ無効化”されているはずだ。つまり”G百足”に対し威力は半減している(こうかは いまひとつ)だろう。


 さらに”鋼”のメイスと比べ、グレードが1つ下がる”鉄”の大剣なのである、これらの条件から「大体この様な感じで”G百足”との戦闘が行われたのでは無いか?」というわけだ。(もちろん%などは全て俺の”推測”で、正確なところは知り様も無いのだが)



 ・・・ついでに、もう1点。[山の洞窟]の頃から、ゲームに詳しい方などは、薄々とは気付いておられたのでは無いか?と思うのだが、”仰け反り”などについて。


 格闘ゲームなどに”よくある”システムなのだが、”大(強力な)攻撃”を当てると、相手が”大きく仰け反り”、更に”追撃”が入る・・・という、いわゆる”連続攻撃コンボ”という概念がある。当然”小さい(弱い)攻撃”だと相手は”あまり仰け反らず”、追撃が入りにくい。

 そしてほとんどの格闘ゲームで、攻撃を受けて”仰け反る”、攻撃を与えて”仰け反らせる”事で、”攻撃”や”必殺技”の「発動を、”取り消し(キャンセル)”」する事が出来る、ようになっているのだ。


 そう、TJOでもこれらの”概念”、システムが取り入れられており、こちらが攻撃を受ける前に相手にタイミング良く、攻撃を与えて”仰け反らせ”たりする事で、連続でこちらの攻撃を繋げたり、相手モンスターの攻撃を”キャンセル”する事が出来るのだ。


 ケイの様に”絶大な威力”で攻撃を加えると、大きく仰け反り(というか地面に叩きつけられて のたうち回っていたが)、”G百足”初戦の”鋼の剣”で攻撃して”弾かれてしまった”ヒイラギの様に、”ほぼ無効化”された様な攻撃では全く仰け反らない。


 無論、プレイヤー側も「連続で攻撃を食らったり」、「攻撃やスキルを”キャンセル”される」という事があるので、相手モンスターの数が増える毎に、「加速度的に戦闘の難易度、危険度が増していく」のである。


 ソロの時に10体のモンスターに囲まれたりすれば「ずっと俺達のターン」とばかりに、何かしようとしても攻撃を受けて”キャンセル”させられ、何も出来ずに”モンスター達に嬲り殺されてしまう”だろう。


 俺達が[山の洞窟]1層で「ドアを蹴り開けて、山ゾック(斧)LV6が”3体以上”居たら逃げましょう」、と言っていたのは、決して大袈裟では無かったのだ。

 TJO未経験者や初心者が「1体ならもう安定して倒せるし、楽勝だから」、などと調子に乗って、複数の”非アクティブモンスター”に攻撃を仕掛けて痛い目をみている・・・というのも、はじまりの街[スパデズ]でよく見られる光景だった。


 話がそれたが、つまりヒイラギが”鋼のメイス”に持ち替えて、若干でも”G百足”に対して”有効打”を与えられる様に改善した事で、ヒイラギの追撃によって”G百足”に”仰け反り”が発生する様になって”攻撃を妨害”し、次のケイの攻撃までの時間を稼ぐ。そしてケイが攻撃して、再び”大きく仰け反らせ”、そこにヒイラギが追撃を入れてトドメをさす・・・と、2体目の”G百足”B戦では、相手に”何もさせず”に倒しきったのだ。


 そうすると大勢で”袋叩き”にすれば良い気がするが、TJOには”同士討ち”があるので、あまり密集してもやり辛くなってしまう。また相手も1体とは限らないので、そうそう上手くはいかない様になっている。

 もちろん”固定パーティ”や”クラン”などで、「緻密な連携の練習」や相談等をしていれば、かなり安定はする。”上手くいかない”というのは、俺達みたいな”即席パーティ”とか、”練度が低い”場合の話である。



 普通のゲームの様に、大量のモンスターが居る場所や、大量に集めてから、強力な”スキル”や”魔法”で一気に吹き飛ばせば、”爽快”で”楽”な気がする。

 しかしTJO(に似たこの世界)では、ヘイト(憎しみ)管理、スキル後の硬直、リキャストタイム、そして”同士討ち”などの危険性も増大するため、非常に危険で愚かな行為とされていた。

 ほとんどの場合、1体ずつ確実に「何もさせず」に仕留めていく方が”安全”で”早い”のだ。俺達TJO経験者が、出来る限り1体ずつ、丁寧に”各個撃破”を狙っている理由はこのあたりにある。俺達のやり方に疑問があった方にも、少しはわかっていただけたのでは無いかと思う。


 格闘ゲームだって、相手が1人だから、アッパーなどで浮かしてコンボを決めまくれるし、ピヨったら溜め時間の長い必殺技を叩きこめる。

 だが相手が2人居るだけで、途中で邪魔されてコンボも満足に決められなくなるだろう。発動の遅い”超必殺技”も、どちらかに邪魔されて使えなくなるに違いない。「ざ・わーる(ピシッ)」「ざ・わー(バシッ)」だ。こっちの時間ときが止まってしまう、中の子安?も顔真っ赤だろう。1対1のタイマンだからゲームが成り立つのだ。(※個人の感想です)



「おぉ、今回はドロップがいいな」

 ヒイラギは自分が続けてトドメをさした(FB)のとドロップが良かったので、ニコニコとご機嫌で落ちている”G”と”百足硬殻”、”百足ファング”をインベントリに収納している。


 「………」”百足ファング”は”G百足”LV18の”レアドロップ”である。

 ”ファング”とは、”歯”、”牙”、”犬歯”、そして”(蛇などの)毒牙”といった意味で、強力な”噛み付き”などを繰り出すモンスターのドロップになっている事が多い。(南口2から登場する強敵と紹介した”孤独のウルフ”LV13、の”レアドロップ”も”ウルフファング”という牙である)


 ”百足ファング”は、硬く鋭く”弱いながらも毒性がある”ため、武器、防具の作製などに利用されたり、素材としても利用されるので需要があり、反面”レアドロップ”なので”あまり多く出回らない”事もあって、良い値段で取り引きされている。



 レアと言えば、以前に「シノブさんの運(LUC)が高そう?だから、FBを取りまくって激レアの”BADもーびる”を狙っちゃおう」、という「ツカサさんのワガママ企画?」があったのだが、実はTJOでは”ちょくちょく”出てくる”企画”?である。


 まぁ「モンスターのドロップは、トドメをさした(FB)プレイヤーの運(LUC)が影響する」と言われてはいたのだが、例によって「運(LUC)の数値は知りようが無い」ため、結局いつも「出来るだけ運(LUC)が良さそう?なプレイヤーが倒してみよう~」みたいな割とアバウトな企画?となる。


 そうして今回の様に、たまたま?「運が良さそう?なヒイラギ」がトドメをさして”レアドロップ”が出たりすると、「ほら~」「やっぱり~」みたいな感じになるのだが、「1体目の”G百足”Aのドロップは大した事が無かった」事とか、「先ほどの”中部屋”ではケイ1人が無双したのに、”レアドロップ”の”鉄のブーツ”が3つも出た」事とか、そういう事は(都合良く?)忘れてしまうわけだ。


 「ワラにもすがりたい」、「オカルトにもすがってみたい」のは”人情”というモノなのだろう。「やったねパパ!、今夜も”ササミカツ丼”だ!」・・・そう言えば今朝食べた時は、「4」番で「末吉」だったっけ?、・・・うおおぉぉ”弓(不確定名)”と、棒(不確定名)ちゃんは出来る子っ(自己暗示)。頑張れ「4」番!、・・・そう”人情”なのです。



「さっきの戦闘は、なかなか”いい感じ”だったなぁ」

「えぇ、”さっきの連携”だと安定感があっていいですね」

「そうだな、最初の攻撃だけ食らえば、問題無く終わる」

「フフフ、俺の”鋼のメイス”が火を吹くぜぇ~」

 ヒイラギはまた腰の”鋼のメイス”をポンポンと叩いている。ケイは呆れたように”その様子”を見ながら、


「”俺の”だ・・・・・・まぁいい、”やる”から予備に持ってろ」

「え?いいのか?」

「あぁ、売ってポーションを買うつもりだったが、また”今回の様な事”があるかもしれん」

「そうですね、上手く連携出来れば”ポーション代の節約”にもなりますよ」

「まぁそういう事だ」

「そうか、悪ぃな」

 ヒイラギはあらためて”新たな相棒”となった腰の”鋼のメイス”を手にとって、少し振ってからウンウンと満足そうに また腰に提げた。


「よっしゃ、それじゃ探索を再開だ」

「あぁ」

「行きましょう」

 俺達の前方は、また”ウジャウジャ、ワサワサ”と虫地獄だったが、その向こうの方は少し開けている?様に見えた。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 02:58>と表示されていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:4,961G

武器:なし

防具:布の服

所持品:14/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)



〔※1〕まやかしの切れ味[フロードシャープ]

 半径10m範囲内の”戦闘状態”の、対象1人が装備している武器の品質を、その戦闘中に限り+1する(効果は重複しない、+9には効果が無い)魔法力により対象の武器の鋭さを増し、切れ味をあげる。あくまで切れ味だけであり属性などは付与されない。何故か切れ味の無い武器でも効果はあるので安心。


 ”戦闘時の専用魔法”であるのと、”戦闘状態の相手にしか効果が無い”ため、両者が”戦闘状態”にならないとならず、戦闘前にあらかじめかけておく事が出来ない。(おそらく悪用しての交換サギなどの防止のためであろう、戦闘状態では取り引き行為は出来ない)

 低品質では+1の効果はさほどでも無いが、元が高品質であるほど効果が高くなる。また長期戦が予想される場合には、使用する、しないで総ダメージにかなりの差が出てくる。



「ところで、このところ”クリティカルヒット”が出ていない」

「なんで~?」

「まず”鉄の大剣”は切断、衝撃属性で、”純粋な切断系武器”よりクリティカル率が低い、また”G竈”は”一刀両断”されててよくわからず、”G百足”にはクリティカルの出やすい”切断”属性が効いていないからだ」

「ふ~ん?」

「だから切れ味の良い”切断系の鉄の刀”で”背後”から”ムキ出しの肌(柔らかい部位)”を狙って、クリティカルを連発していたシノブさんの様にはいかない訳だ。まやかしの切れ味[フロードシャープ]〔※1〕で、品質も上昇して”鉄の刀+1”だったしな」

「しのぶさん すご~い」

「・・・・・・「断じて作者が忘れているわけでは無いんですよ?」らしいぞ?」

「・・・ほんと~?」

※実は”G竈”無双時に2回ほど出ている設定ですが、主人公は長考中で見ていませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ