表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/98

064 ”夢”の合わせ技 <04/05(金)PM 02:39>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見し、”G百足”の急襲を受けるも撃退し、合計4つのアイテムを入手した。

 続く3つ目の”中部屋”で更に3つの宝箱を発見し、周囲の大量の”オイシイ”モンスター、”G竈”LV16を”条件”を満たしたケイ1人の”無双”により一掃し、宝箱の回収も無事に終了したのだった。



「さっさと次に行くぞ」

 ヒイラギがアイテムを回収したのを見て、ケイはすでに部屋の出口へ向かおうとしている。


「そうだな」

「了解です」

 この”中部屋”は色々と大量だった。しかし今はもう”宝箱”も無いし、”G竈カマド”LV16も居ない、長居しても仕方が無いだろう。


 「………」そう言えばここまで”G竈”に1体しか遭遇しなかったのは、この部屋で「大量発生してしまったから」だったのだろう。


 以前に話した様にモンスターには、ダンジョン、階層毎に”設定されたMAX生息数”というモノがある。”ランダム”や”無制限”にしてしまうと、このダンジョンの場合、大量にうごめくのが”中ボス”扱いの”G百足”LV18になってしまう、かもしれない。

 そんな事になると”適正LVのプレイヤー”程度では、”翌月になってMAPが新生される”まで、とてもダンジョンに入れないだろう。「月が変わって、おs・・・挑戦よっ!」


 そのため、このダンジョンだと、”Gフライ”、”G亀”、”Gブラック”の3種は大量に、”G竈”は10~15体程度?、”G百足”が3~5体程度?ぐらいになっている、はずだ。

 正確なところは分からないが、少なくなるほど補充の為にPOP(出現)率が上昇し、多くあふれて”MAX生息数”に近付くほどPOP率は減少しているらしい。(これにより狩りつくされたり、大量にあふれ過ぎたり、”しにくく”なっている)

 ただし この[夢の洞窟]の3種の様に、”異常なPOP率”になっていて”常にMAX数に近い”とか、はじまりの街[スパデズ]の”イルカモネ山猫”のレアPOP、”トシマ山猫”の様に”常にPOP率が低い”・・・などの例外はある。


 しかし「ダンジョン、階層毎に設定されている」だけで、部屋毎・・・などにはなっていない。そのため、たまたま”この中部屋”で”G竈”が大量にPOP(出現)してしまい、MAX生息数に近くなり、他の通路、部屋ではPOPしにくく、又は出来なくなり、見かけなかった、と推測出来るわけだ。



 ケイを先頭に”中部屋”を出て、T字路を西(←)に進みはじめる。この虫通路も狭めで、緩やかに左へカーブしていて先の様子はよくわからない、・・・いやまぁ”ウジャウジャ”、”ワサワサ”の”虫地獄”なのは見るまでも無く わかってますよ?

 例によって混雑して大渋滞なので移動速度は、かなりゆっくりだ。「プ~ン」、「ガサガサササ・・・・」、「バサーッ・・・」「キチキチキチ・・・」「ブーン」、と大騒ぎである。うぎぎぎ、せっかく回復したSAN値がまた減少してしまう。(※TJOにSAN値や正気度といった概念はありません)



「む!」

 と、ケイが手で”止まれ”の合図をする。それを見て俺とヒイラギは立ち止まり、黙ってケイの様子をうかがう。


「”G百足”が2体だ」

 小声でそう言いながら、ケイが指さした方を見ると、3種の虫達がワサワサ退散していった後の、右手(北)側の壁に”G百足”LV18が2体、2mほどの間隔を空けて張り付いていた。まだこちらには気付いていない様だ。


「とりあえず罠を調べとくか・・・探知:罠[トラップディテクション]」

 ヒイラギが周辺の罠を調査する。


「あ~、南西の壁の向こう13mほどに、例の・・罠LV32、の”スライム”がある、だけだな」

 そう言えばスライムがある(居る?)んだった。MAPを確認すると ぐる~っと”スライム”の居る地点、を囲む様に周って来た感じだ。円周の中に部屋があるパターンだろうか?


「俺達は少し戻って待ってるから、ケイは何とか1体だけ誘い出して戻ってこい」

 と”リーダー”のヒイラギが作戦を立てる。まぁ壁役が”誘い出し”をやるのが無難だろう、憎しみ(ヘイト)管理もスムーズに出来る。


「わかった」

 ケイが”通常状態”のまま”じりじり”と2体の方へ近寄っていく。俺達は通路を戻って戦闘に備える・・・まぁ俺は(略。見ると奥の方の”G百足”は上(天井)側を向いている。この隙に手前側の”G百足”がケイに気付いてくれれば、上手く”各個撃破が狙える”だろう。


「!!・・・GYOGYOOoo!」

 手前側の”G百足”Aがケイに気付いて威嚇いかくの声、音?をあげた。ケイはすぐさま俺達の方に戻りはじめる。(混乱を避けるため、これより手前の”G百足”をA、奥の方をBと呼称する)

 ”G百足”Aの声を聞いて、少しの間”G百足”Bが周囲を見回した様だが、すばやく逃走したケイは”G百足”Bにはタゲ(攻撃対象ターゲット)られなかった様だ。


 すでにかなり戻っていたケイは、丁度”G百足”AB達が居た地点と、俺達がいる地点との中間地点ほどで”戦闘状態”に切り替えた。戦闘BGMが流れはじめる。


「よし、上手くやったな」

 ヒイラギも”戦闘状態”に切り替え、腰の”鋼のメイス”を右手に持ち、左手に”鋼の小盾バックラー”を持った。”鋼の小盾バックラー”は通常時には、左腕にベルト?を通す形で、左ひじ辺りに装備?している。



 ケイは俺達のすぐ近くまで戻って来ると、振り返って追って来る”G百足”Aを向いて”棒立ち”になる。”狂戦士”なので、まずは”30%以上のダメージを食らわなければ”ならない。


「GYOOoooo!」

 追ってきた”G百足”Aが頭部の”毒牙”でケイに”噛み付き”攻撃をしかけてくる。


 「………」この後、俺がダメージを回復して、ケイが攻撃して”本FA”を取ってから、ヒイラギが攻撃、後はケイが攻撃後に、ヒイラギが追撃を入れていく・・・という予定だ。


 ガブッっ!、ズブシューッ!(ピカッ)・・・”G百足”Aの”毒牙”で噛み付かれた瞬間、鈍い音が響き、ケイの左肩から大きく”血しぶき”があがり、そして一瞬眩しく光る。クリティカルヒットだ。


「うがあああぁぁぁっ!!」

「ケイっ!」

 ケイは激痛で苦痛の声を漏らし、その場に崩れ落ちた。ケイの身体全体からシュワシュワと、水色の煙(蒸気?)の様なモノが立ち上っている。HPゲージを確認すると「80%の大ダメージ」を食らって、ケイのHPバーが”激しく点滅”している。慌てて治癒魔法をかけた。


「・・・治癒魔法[ヒーリング]」

 ”G百足”Aはケイを発見しただけ、つまりまだ”仮FA”である。ヒイラギは迂闊うかつに手を出す訳にもいかず、右手の”鋼のメイス”を握り締めて”ぐっ”とこらえている。


 「………」この「HPバーの激しい点滅」は、俺が70%のダメージを食らった時の、眼前が真っ赤になり、心臓音がバクバクと鳴っていた、あの”危険演出”中の状態だ。あの時の俺もオプション設定で”危険演出表示”をONにしたプレイヤーから見れば、この状態だったはずである。


 俺達”回復職”は「回復優先度が一目でわかる」様に、この”危険演出表示”を”ON”にする訳だ。「自分が危険なのを知る為では無い」って事である。まぁ自分がピンチなのは”こんなもん”無くても分かるからな。(特に”痛み””苦しみ”がある、この世界なら尚更だ。)



 治癒魔法によりケイのダメージが回復していく。しかし”わずかに”全快しなかった。どうやら俺の治癒魔法1回で、ケイは77~8%ほど回復していたらしい。ともかく”ほぼ全快”したのを見て、ヒイラギもほっと安堵あんどした様だ。


 「………」俺は1回の”回復量が45%だった”、しかしおそらくLVUPで、42~3%くらいに落ちているハズだから、ケイのMAXHPは”俺の半分ちょっと”程度しか無い?という事になる。まぁ俺が「MAXHP増やしすぎー」・・・とも言えるか。


 TJOも序盤には、そこまで強力な”防御貫通攻撃”を仕掛けてくるモンスターは居ない。しっかりと”鎧や盾などの防具”を購入して装備しておけば、VITが”0”でも「LVUP時のHP増加」でやっていける。


 無論VITに振れば”安定感”が増すのだが、STRや、INT上昇による”攻撃力の増加”は、”戦闘時間の短縮”に繋がり、結果として”被弾によるダメージも減る”ので「攻撃は最大の防御」が成り立つ。

 戦闘職が俺の様にMAXHPだけ増やしても、いつまでも敵を倒せず被弾しまくって”無意味”という事だ。まずは”倒せ”である。


 しかし終盤、難易度が上がり、強力な”防御貫通攻撃”を仕掛けてくるモンスターがあらわれはじめると、VIT不足による”MAXHPの低さ”は、時に致命的な弱点となる。

 ゲーム時代も「VITはMAXHPが増えるだけだしーwww」と馬鹿にしていたプレイヤーが、高LVになって、特定の敵に出くわす度に”大ダメージ連発”、”死亡祭り”になって涙目になっていた。

 そして高LVになるほど”なかなかLVUPしない”から、VITに振ってMAXHPを増やしたくても思う様に増やせない・・・という地獄を、長く味わう事になるのである。



「ぐう・・・すまん、助かった」

 ケイが礼を言いつつ体勢を立て直し、背中に背負った”鉄の大剣”を右手で掴んで、”スッ”と抜いて、真っ直ぐ天に向かってつき上げた。そして左手をそっと添えて両手で構える(”蜻蛉トンボの構え”?)と、


「っりゃぁーっ!」

 と、巨大な”鉄の大剣”を、”G百足”A目がけて力一杯振り下ろす。その瞬間、


 ズガガガーーーーンッ、と爆音と衝撃音が響き渡り、”G百足”Aがその場に叩きつけられて、100本の足をウゾウゾモゾモゾと不規則に動かしながら のたうち回る。そしてそこへ、


「おりゃあ~っ!」

 「”待”ってたぜェ、この”瞬間とき”をよォ!!※」とばかりに、ヒイラギが右手の”鋼のメイス”を思いきり振りかぶり、のたうち回っている”G百足”Aに力一杯叩き付けた。

※(問い1)この時のヒイラギの様子から、ヒイラギのどんな気持ちがわかりますか?

(解答例)ケイが”本FA”を取ってヘイトを集め、自分が攻撃に参加出来る様になるのを心待ちにしていた様子。


 ドガンッ、と鈍い音が響き”G百足”Aの硬くて堅固な外殻にヒットする。”G百足”Aは(苦痛で?)少し仰け反った様に見えた。今度は”鋼の剣”の時のように、弾かれたり、滑ったりしていない。派手さは無いが しっかりと”衝撃”を内部へと伝えて、ダメージを与えているだろう。殴りつけたヒイラギは、すぐに”G百足”Aのそばから離脱する。


 この間に、俺は再度”治癒魔法[ヒーリング]”を使用してケイを完全回復させた。この数%が命に関わるかもしれない・・・というのは嘘だ。治癒回数稼ぎのためである、ほぼMP満タンだったしな。


 ともかく離脱したヒイラギを見て、再び”鉄の大剣”を振り上げていたケイが、両手でしっかりと構えて振りおろす。


「うらああぁぁぁっ」

 力を込めて振りおろされた”鉄の大剣”が、


 ゴガガガーーーンッ、と爆音と衝撃音を響き渡らせ、再び”G百足”Aを地面に叩きつける。重い一撃を食らった”G百足”Aが苦しそうに のたうち回る。そこへヒイラギの追い打ち(ダウン攻撃?)が入る。


「てやあぁぁぁっ」

 振りかぶった右手の”鋼のメイス”を、力一杯”G百足”Aの外殻に叩きつけた。


 ボゴンッ、と鈍い音が響き、”G百足”Aが一瞬ビクンッと跳ねたかと思うと、ウゾウゾと動いていた100本の足の動きが止まり、少しずつ霞んで消滅していった。


「おぉ?、俺がトドメ(FB〔※1〕)・・・か?」

 というヒイラギの戸惑った様な声の後、その足元に”1,062G”と”百足硬殻”が落ちていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:4,961G

武器:なし

防具:布の服

所持品:14/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)



〔※1〕TJOにおいて、

 ”最初の攻撃”を、ファーストアタック(略されてFAと呼ばれている)という。そして”トドメの一撃”を、フィニッシングブロウ(略されてFBと呼ばれている)という。これらはどちらも討伐時に”経験値ボーナスが加算され”獲得できる。

 戦国時代などにおいての”一番槍”や、”首級をあげる、首を取る、討ち取る”、といった行為に相当する、と考えていただくとイメージしやすいかと思われる。



「(ジトー)・・・」

「なんだ?、その目は?」

「・・・ご主人さま・・・せこい~」

「・・・まぁ”回復しか”する事が無いからな。それに”MPに余裕が無い”時は、さすがに無駄回復はしない」

「(ジトー)・・・・・・」

「それにほらっ、一応、全快しておく方が安全だしなっ」

「(ジトー)・・・・・・・・・」

「・・・回復職は、大変なんだよ・・・」

「せちがらい~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ