表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/98

060 ”夢”の無双条件 <04/05(金)PM 01:57>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の小部屋で宝箱を2つ発見しアイテムを入手、次の小部屋で更に2つの宝箱を発見し、1つ目の宝箱のアイテムを入手する。

 続いてもう1つの宝箱を分析中に、[夢の洞窟]で唯一の”アクティブモンスター”、”G百足”の急襲を受けるも、なんとか討伐し残る宝箱のアイテムを回収した。

 そして北(↑)へと進んだ先のT字路で右(→)に進んだ俺達は、その”中部屋”の中に、たくさんの”オイシイ”モンスター”G竈”LV16と、3つの宝箱を発見し歓喜したのだった。



 宝箱の前にまず”部屋内の大量のG竈カマドLV16ども”を片付ける事にした俺達は、戦闘を開始しようとしていた。


「よし、部屋の中央のコイツからだ、回復は頼む」

 そう言いながらケイが中央付近の”G竈カマド”LV16に近寄っていく。


「了解です」

「あぁちょっと待て・・・探知:罠[トラップディテクション]」

 ヒイラギが、この”中部屋”全体がスキル範囲に入る辺りで、罠を調べる。


「大丈夫だ、この部屋に罠は無いぞっ、やっちまえ」

「わかった」

 ヒイラギの”GOサイン”を聞いたケイが”中部屋”内をキョロキョロと見渡して、丁度”部屋の中央”付近で”戦闘状態”に切り替える。すぐに戦闘BGMが流れはじめる。

 そして初戦と同様に、目の前で”ぼ~”っとしていた”G竈”の後部(尻?)を、”布の靴”(初期装備、防御力0)で蹴り上げた。(”青銅のブーツ”を外して収納したため、自動で装備されたモノ)


「ギチギチギチ・・・」

 やはり歯軋はぎしり?に似た音を出して、”G竈カマド”の憎しみ(ヘイト)が、FAを取ったケイに集中する。俺とヒイラギは「ケイがFAを取った”G竈”」を3角形の中心にして、囲む様に位置取る。俺達3人の10m範囲から”陸海空3軍の覇者”達が退散をはじめた。中央付近なので、ほぼ部屋内から3種の姿が無くなっていく。


 しかし”逃走本能”が弱い”G竈”達は、その辺りで”ぼ~”っとしていて、時折ピョンと飛んだりしている。まぁ普通の”非アクティブモンスター”的な習性であるだけ、・・・なのだが、この[夢の洞窟]だと”G竈”だけが、”やけにのんき”なモンスターに見えるから不思議である。(”バルーンラビット”や”シマブタ”、”饅頭マントウひつじ”なども、ずっと”こんな感じ”だった、というのに何故なのか?)


 ・・・そんな事を考えていると、蹴り上げてFAを取った後、何もせず突っ立っている(憎い)ケイを目掛けて、G竈が”後ろ足”での”キック”を繰り出した。


 ドガッ、と鈍い音を立て、ケイの腹部の”鉄の鎧”にヒットした。やはり32%?ほどのダメージだ。


「・・・治癒魔法[ヒーリング]」

 すぐにケイのダメージを回復する。当然1回で全快した。


「フフフ・・・それじゃいくぞっ!」

 そう言いながらケイは”ニヤリと笑い”〔※1〕、背中の”鉄の大剣”を右手で掴むと、そのまま”スッ”と抜いて、真っ直ぐ天に向かってつき上げ、左手をそっと添える様に両手で構えた。やはり”蜻蛉トンボの構え”?に似ている。


「そらっ」

 構えにそぐわない”気の抜けた声”を出しながら、その”鉄の大剣”を”G竈”目がけて振り下ろす。


 ドガガーーンッ、と爆音と衝撃音が響き渡り、”G竈”が”一刀両断”されて霞んで消えていく。そのままケイは、叩きつけた”鉄の大剣”を両手でズルズルと引きずる様にして、別の”G竈”に向かって走っていき、


「くらえっ」

 と言いながら、引きずってきた”鉄の大剣”を左下段から右上段に向かって斬り上げた。


 ゴウッ、と空気を斬り裂く様な音と、ズバッ、と2体目の”G竈”が”寸断された音”が聞こえ、2つに裂けて霞んで消えていった。ケイはそのまま、右上段に振り上げた”鉄の大剣”を右肩に担ぎ、次の”G竈”目指して走っていく。


 ”鉄の大剣”を肩に担いだ状態から、両手に力を込めて右上段から左下段に、ズガガガーンッ、と振り下ろし”G竈”を”一刀両断”する。そのまま”鉄の大剣”をズズズ・・・っと引きずっていき、次の”G竈”を左下段から右上段に、ブオンッ、ズザーーッ、と斬り上げて”真っ二つ”にしては、また担ぐ・・・


 ケイはそのまま”中部屋”の”G竈”に向かって行っては、ドガーン、ズバーッ、っと”鉄の大剣”を振るい続けた。



 「………」ところで、突然であるが「TJOのゲーム時代の画面範囲はおおよそ20mである」という話を覚えているだろうか。そして「モンスターは「プレイヤーの周囲20m範囲にはPOPしない」という条件」、「”戦闘状態”では逃走出来ない」という仕様。


 TJOのこれらの仕様、システムを列挙すると、ゲーム時代の”様子”、”流れ”が見えて来たのでは無いだろうか?、ようするに”戦闘状態”に切り替えると、このプレイヤーのゲーム画面(20m範囲)が「固定」されるのだ。

 一般的なRPGなどではプレイヤーが”画面の中心”に表示され、移動にあわせて画面も移動するので、プレイヤーが”常に中心や決まった場所に表示される”というモノが多いが、TJOも似たシステムであった。


 そしてTJOでの戦闘は通常は”シームレス(画面が切り替わったり、途切れたりしない)”で行われる。”戦闘状態”に切り替える事でステータス等が反映され、移動速度の上昇や”戦闘専用スキル”が使える様になり、”通常状態”のプレイヤーとは戦闘力が桁違いになる。

 当然そのまま冒険した方が”強い”し”速い”わけだから、高価なポーションをガブ飲みするなど”財力”にモノを言わせれば、「”通常状態”での”微回復”など”クソ食らえ”だ」などと、常に”戦闘状態”で冒険、探索するプレイヤーが出るだろう。


「せいっ」

 ブンッ、ズバーッ・・・


 そこで”戦闘状態”に切り替えた時に、その画面移動を”固定”して、固定された20m範囲が『そのプレイヤーの戦闘区域(バトルエリア、バトルフィールド)』となるわけだ。

 もちろん”その戦闘区域内”では、プレイヤーは本来?の能力を発揮して戦闘を行う事が出来るし、その戦闘区域内は、プレイヤーの20m範囲であるのでモンスターはPOPしない。


 そして画面が固定されているので『戦闘状態”のままでは、逃げられない』というわけだ。”通常状態”に戻して、”画面の固定”を”解除”して、”逃走”する事になる。

 このあたり”リアル”になって分かりにくくなっているが、†カムイ†を見た感じ、やはり固定?された20m範囲の外には、”透明な?見えない壁?的なモノ”があって逃げられない(俺を追いかけられない)様だった。


「うらっ」

 ズガガーーーン、ズズズズ・・・・・



 ・・・さて突然こんな話を始めた理由であるが、ケイは”狂戦士”である。その正確な条件(であり制限、制約)は、『自分のLV以上の敵と戦い、戦闘中に一度以上、一撃で30%以上のダメージを食らう』だ。


 このうち『自分のLV以上の敵』と戦う、という前半の条件は、”絶対不可侵”、”他に何の解釈のしようも無い”。


 だが『戦闘中に一度以上、一撃で30%以上のダメージを食らう』、・・・という後半の条件には”拡大解釈”の余地がある。


 TJOにおいて、”戦闘中”とは、”戦闘状態”の間、の事である。”通常状態”に戻さなければ・・・・・・”戦闘中”なのだ。


 つまり、先ほど「戦闘中に一度、32%程度のダメージを受けた」”狂戦士”のケイは、以降「”通常状態”に切り替えるまで、『自分のLV以上の敵』であれば、いくらでも倒しても良い」・・・という事になる。


「おらっ」

 ゴウッ、ズバーッ・・・


 もちろん、”戦闘状態”の間は”微回復”が止まり、戦闘区域(バトルエリア、バトルフィールド)の20m範囲では、新たな標的モンスターがPOPしないので、いつまでも”戦闘状態”のまま、狩り続けられるわけでは無い。


 だが、こと”条件”さえ合えば、今 俺とヒイラギの眼前で”大暴れ”、”無双”しているケイの様に、自分のLV以上の相手を、軽々と蹂躙じゅうりんして回る破壊者デストロイヤーとなる。その有様は、これぞまさに”狂戦士”と呼ぶに相応しい姿である。


 まぁ”G竈”が”非アクティブモンスター”だから出来る事であって、30%もダメージを食らう”アクティブモンスター”の集団相手に”こんな真似”をすれば、回復が追いつかなくて、あっという間に死んでしまうだろう。『”条件”さえ合えば』、なのだ。


「終わりだっ」

 ドガガーーーンッ、と最後の”G竈”が”一刀両断”されて霞んで消えていった。俺達(ケイ1人)の勝利だっ!(キリリッ)


 「………」ところで”狂戦士”が暴れ回る場合、大体は今の様に、FAの30%、本体100%、FBの20%の、計150%分の経験値が得られる、ガメてしまう。

 つまりパーティの”他のメンバーに経験値が入らない”のだ。高い攻撃力 = 取得する経験値%の多さ、であり、高すぎる・・・・破壊力 = 経験値の独り占め、に繋がってしまう。


 元々俺は”回復”による経験値、治癒回数稼ぎが目的なのであるが、今回の場合、それも最初の32%ダメージの”治癒”1回分だけだ。


 ヒイラギに至っては経験値0である。戦闘前に”探知:罠[トラップディテクション]”を使用したが、”新たな罠”が発見出来なかったので、経験値は得られず使用回数もカウントされないのだ。

 俺の”治癒魔法[ヒーリング]”で、「HP満タンのプレイヤーを治癒しまくっても、経験値も得られず治癒回数もカウントされない」のと同じである。不正防止のための仕様だ。


 よって”モンスターにダメージを与える”事で経験値を稼ぐ、”純粋な戦闘職”のプレイヤーには、「”狂戦士”の人と(冒険、探索)は ちょっと・・・」という者も多かった。まぁこれは仕方の無いところだろう。



 ともかく”中部屋”内の大量の”オイシイ”モンスター”G竈”は、こうして”条件”を満たした、ケイ1人の”無双”により一掃されたのである。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 02:14>と表示されていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:4,961G

武器:なし

防具:布の服

所持品:12/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)



〔※1〕ただ笑っただけである。

 ”麻痺”したり、”エナジードレイン”されて、”LVが下がったり”しないので安心してほしい。慌てて”うさぎのマークのトムキャット”で、”ちょっとコンビニ”まで(テト〇ジャマーを買いに)行ってきたり、しないように。


探知:罠[トラップディテクション] 半径15m範囲の罠の存在、形状、名称を探知し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)

  補足:”罠、トラップ扱い”のモンスターだった場合は、そのモンスターのLVも識別する、ただしモンスターのLVは半減出来ない。


理力塊[ランプフォース] 術者の精神力の塊を、対象1体にぶつけてダメージを与える。



「ご主人さまは、せんとうじょうたい にしないの~?」

「あぁ、戦闘に影響するステータスに振って無いし、補正も無いからな」

「ふ~ん」

「それと僧侶には”戦闘状態”で無くても使えるスキルが多い、切り替えの隙が無いから逃げやすい」

「べんり~?」

「まぁそういう職だ。もちろん 理力塊[ランプフォース]を使用するなら、”戦闘状態”に切り替える必要があるが、まぁ使う僧侶は居ない」

「らんぷふぉーす つかえない?」

「あぁ、なんなんだろうな。早い内に「魔法で倒すのは諦めろ」というメッセージ、なのかもな」

「やさし~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ