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050 あふれる”夢” <04/05(金)AM 11:16>



 ※※※ 注意 ※※※


 これからしばらく、[夢の洞窟] のお話となる予定です。



 会話などから、薄々と感じられておられる方も居るかな?と思いますが、恐らく想像通りの展開となります。


 大量だったり、黒かったり、テカってたり・・・そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで目印として、無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこうと思います。よろしければ参考にして下さい。



 出会いの街[ヘアルツ]に到着して2日目、俺はLV10→LV12へと2LV”も”上昇し、VITに振ってVIT12とし、しばらくは夜間に”盗ゾック(斧)”LV8先輩に稽古をつけてもらおうと考え、目立ってしまう日中は優良店を探すべく”プレイヤーショップ巡り”に繰り出した。

 ところが南口2前の広場付近にやって来たところで、[夢の洞窟]探索の募集を見つけてしまい、ヤマコウに”呪い”の言葉をかけながら参加、南口2方面の西(←)の岩山にある、[夢の洞窟]入り口の手前までやって来たのだった。



岩山  ━━━┻━━━南門2━━━╋━━━南門1━━━┛


※大体こんな↑イメージです、[夢の洞窟]は岩山のふもとの”ほぼ中間地点”の南側”辺りです。



「・・・着いたな」

「・・・あぁ」

「・・・そうですね」

 俺達3人は、”夢”があふれている[夢の洞窟]入り口を見ていた。

「うはwwww無理wwwww”もう”帰りたいwwwwwww」、俺の中の”何か”が そう言って草を生やしている。うるさい黙れ。



「まぁ・・・とにかく入る前に、ここらで準備するか」

「そうだな」

「了解です」

 とは言ったものの、例によって俺に準備など無い。水でも飲もうかと思ったのだが、[夢の洞窟]の中の事を考え、ここで干し肉をかじって軽く食事もしておこう、と考え直した。



「あの、良かったらどうぞ、[スパデズ]の干し肉ですけど」

 インベントリから”干し肉”を3切れ取り出して、その一切れにかじりつきながら、一切れずつヒイラギとケイに差し出す。


「そうだな、中で食事はアレだな、ありがとう」

「あぁ、ありがたく貰おう」

 2人ともチラッと[夢の洞窟]の方を見てから、俺の差し出した干し肉を受け取って、かじりながら武器のチェックや道具の確認をしている。俺もその場に座って干し肉をかじりながら、[夢の洞窟]と、あふれた”夢”を見る。う~む・・・。


 食べ終わったので、インベントリから樽(中)とコップ(木)を取り出し、コップで一杯分の水を汲んで、ゴクゴクとのどうるおした。少し残した水で軽くコップを洗ってからたずねてみる。


「良かったらどうですか?ただ・・の水ですけど」

 まぁ男同士だし気にする必要も無いだろう。


「お~すまん」

 ヒイラギの返事を聞いて、樽(中)からコップに水を汲んで渡す。


「へ~冷たいんだな、ただの水?でも美味いじゃないか、おいケイも飲んでみろ」

 ヒイラギは一口飲んでそう言ってから、ケイにコップを差し出した。ケイも一口飲んで、


「確かに冷たくて美味いな」

 と感想をもらした。


「宿屋のおばちゃんに言えば、裏の井戸で自由に汲ませて貰えるんですよ」

 道具屋のおっさん情報を教える、まぁこれで”樽”とかが売れれば、おっさんも儲かるだろう。まぁ別人だが、同じ量産型だ、気にすんなっ。


「へぇそれじゃタダか、俺達も持ち歩く様にするか」

「そうだな・・・水は他に”使い道”もある」

 そう言いながら、ヒイラギとケイは回し飲みしてから、少し残った水で軽く洗ってコップを返してきた。


「サンキュー」

「美味かった」

「いえいえ、タダの水ですから」

 そう答えながら、用の無くなった樽(中)とコップ(木)をインベントリに戻した。まぁ干し肉は50Gだが、実際に、ただの水はタダ(無料)である。こんな事でパーティが少しでも円滑になれば”安いモノ”だ。節約とケチは違う、まぁ50Gと本当に”安いモノ”だが。



 ・・・そうこうしている間に2人の準備も大体終わったようだ。

さてここで恒例?の<ピー>コのファッションチェックのお時間です。(※<ピー> は機械音です)



ヒイラギは、”みならい斥候”系の”斥候”でLV17、

 身長は俺より少し高い、175cmくらい?で、笑っている事が多く気さくな感じ、”頼れるお兄さん”の様な、でもなんとなく”頼れないお兄さん”の様な感じだ。

 武器は”鋼の剣”で、”鋼の小盾バックラー”、”鋼の鉢金”、”ハードレザーアーマー”、”ハードレザーブーツ”だ。”みならい斥候”系なのでシノブさんと似た感じの装いである。


ケイは”みならい戦士”系の”狂戦士”でLV15、

 身長は俺と同じくらいで、無愛想で口数が少ないのだが、ヒイラギとは普通に会話している様なので、単に”人見知り”なのかもしれない。

 武器は”鉄の大剣”で、”鋼の兜”、”鉄の鎧”、”レザーグローブ”、”青銅のブーツ”と統一感が無くバラバラだ。

※ちなみにユウコは”ゲーム時代は篭手こて類を装備していた”が、リアル?では”繊細な盾捌たてさばき”などの邪魔になってしまい悩んでいたところ、「盾と長剣で防げばいいんじゃん?」というツカサのアドバイス?を受け、篭手は装備していない、という設定です。同様に”手先の自由度”を重視して、”篭手”を装備していないプレイヤーは結構います。


俺?LV12で、170cm、65kgぐらいの冴えない感じで、素手で布の服ですが?、

  (´・ω・) ・・・・・・、おらおらかかってこいや、ぼこぼこにされてやんよ。=つ≡つ ババババ(AA略



「よっしゃ、準備はいいな?」

「あぁ」

「大丈夫です」

 今回は俺の微妙イベント”ラプンツェル”も無いしな、ハハハ・・・ふぅ。


「それじゃ、いざ[夢の洞窟]へ」

「あ、すみません、一応 (ワクチンを)掛け直しときますね。結構時間経っちゃったので」

「あ~、そうだな、頼む」

 例によって、とっくにMPは満タンなのだ、使っとけば良かろう なのである。


「・・・万能抗原体[オールマイティーワクチン]・・・OKです」


「それじゃ行くぞ、ケイを先頭に、俺達が後ろの左右に付く・・・でいいな?」

「大丈夫だ」

「了解です」

 まぁ俺は、治癒魔法[ヒーリング]の届く”メンバーの10m範囲”に居れば、ぶっちゃけ”どこでも良い”のであるが、離れすぎていて、左右や後方からやってきた”アクティブモンスター”にタゲられる(ターゲット、攻撃目標にされる)と、フォーメーションが乱れて無駄な手間となり迷惑がかかる。なるべく壁役(今回はケイ)が、最初に見つかる(仮FAを取れる)様にするのが理想だ。



「・・・そうだ、最初の戦闘では調整するから、早めに回復を頼む」

 先頭に立ったケイが振り返って俺に頼んできた。


「あぁ!”ダメージ調整”ですね。了解です」

「ほんと、難儀な職業ジョブだよなぁ」

 ヒイラギはそう言って笑っている。ケイは”狂戦士”である。本当に制約、制限が厳しいのだ。しかし俺も同じ様なモノなので、お互い様である。


「よ~し、もう他には無いな? 今度こそ行こうぜ」

「あぁ」

「行きましょう」

 なんだかんだと引き伸ばしていた”夢”あふれる[夢の洞窟]へ、とうとう突入である。やっぱ帰りたい。


※※※嫌な予感がされた方は、ここより読み飛ばし推奨です。※※※



「うわっ、臭っぇなぁ」

 入り口に向かいながら、ヒイラギが鼻をつまんで嫌悪感をあらわにする。


「臭いですねぇ」

 「………」ゲーム時代には当然であるが”におい”という要素は無かった。まぁ最初に冒険者ギルドに入った時にも感じたが、”臭さ”は結構な障害になるかもしれない。入る前から こんなんじゃ[夢の洞窟]の募集に誰もノッて来ないわけだ。

 しかも周囲は”ヘドロ”だか”腐ったナマモノ”だかで、ベチョベチョのグチョグチョである。(いやらしい意味では無い)時折、鼻ちょうちんみたいに泡が膨らんでは、ポンッ、ポフッとあちらこちらで破裂している・・・、そしてその度に悪臭が漂ってきて・・・ぐぅ・・・臭いっ。


 そこへ更に追い打ちをかける様に、モンスターの登場である。いや正確にはずっと見えて聞こえてはいた。見たく無いし聞きたくも無い、アー、アー、見えない聞こえないー。

 「プ~ン」「ブ~ン」「カサカサカサカサ・・・」「バサササ・・・」「クチクチクチ・・・」

 ・・・[夢の洞窟]からあふれ出た”夢”達が周囲を飛び回ったり、這い進んでいる。


 え~・・・それでは、ご紹介します。


 空中を「ぷ~ん」「ブ~ン」と縦横無尽に飛びまわりますは、”Gフライ”LV10さんです。ほぼ”飛行状態”であるので非常に”先制クリティカル”が取りやすいです。しかし高DEXと、謎の危機回避能力?により、その”初撃”が当たらない、という厄介なモンスターです。

 サイズは5mmから、手の平サイズの15cmほどまで各種取り揃えております。色は金、銀、メタリックな青?等々、お好みに合わせてお選びいただけます。


 ヘドロだか腐ったナマモノだかの中を泳ぎますのは、”G亀”LV12さんです。亀という名ですが、ムシです。「クチクチ・・」と聞きたくない感じの音を発しております。カメなムシではありますが、水棲です。亀の様な硬さを誇り、カメなムシの様な強烈な悪臭を放ちます。

 サイズは1cmから20cmほどまで各種取り揃えております。色は緑っぽい・・・もうどうでもいいじゃんっ。


 大地を高速で「カサカサカサ・・」と這い回りますのは、”Gブラック”LV14さんです。遥か3億年の古より生き残ってきた”生きている化石”・・・生き残らなくていいよ、滅んでろよ、”死んで化石”になってろよ。

 その頭部から突き出た2本の触覚で、敏感に危険を”察知”するため、こいつも”Gフライ”同様、”初撃”がなかなか当たらない、という厄介なモンスターであります。時折その背中に隠された羽で、「バサササ・・・」と飛び立つ事があります のでご注意下さい。

 サイズは2cmから10cmほどまで各種取り揃えております。色は”黒色”と”茶色”をご用意、どちらもテカテカと美しい輝きを放っております。



 [夢の洞窟]の入り口では、陸海空、3軍の覇者達が俺達を歓迎?していた。

 ちなみに これら3種は「”アクティブモンスター”は1体だけ」と言っていた様に、”非アクティブモンスター”であり、さらに攻撃を受けても逃げる事が多い。・・・というより、その”最初の攻撃”すら避けて逃げ出す、という”逃走本能の塊”である。(※誤変換ではありません)


 はじまりの街[スパデズ]のダンジョン[山の洞窟]の様に、”ダンジョン内だけに生息”していればいいのに、とも思うのだが、「何も知らずに間違って入ってしまわない様に」という、ヤマコウの有難い配慮であるのかも知れない。もっと別に配慮する事があるだろっ。


 その「中はこんな感じですよ?、覚悟は良いですか?」という最終警告を前にして、


「とりあえず こいつらは、LV14以下だからムシ・・な?」

 と、ヒイラギがドヤ顔で、くだらないシャレを飛ばす・・・誰うま。(誰がうまいことを言えと言った)


「・・・そうだな、さっさと行こう」

「了解です」

 ケイと俺は、”ヒイラギを”ムシして[夢の洞窟]へと入っていった。


「お~い、”虫”だから”無視”でだなぁ・・・」

 と、ご丁寧にヒイラギが解説してくれていたが、虫だから無視無視。視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)AM 11:34>と表示されていた。

LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:4,961G

武器:なし

防具:布の服

所持品:10/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2



万能抗原体[オールマイティーワクチン] あらゆる状態異常、病原体への抵抗力をあげ予防する、万能だが過信は禁物、感染してからは効果が無い。


※実は、状態異常に対して”抵抗失敗”や、”感染の判定”が出た場合に、『90%の確率で強制的に回避する』という結構”強力な効果”なのだが、”何度回避しても運悪く元の”感染などの判定”が出まくる”、”運悪く10%に当たる”等で、プレイヤーにとってみれば「食らう時は食らう」ため、”気休め”呼ばわりされている不憫ふびんなスキルである。



「ご主人さま~、そとは くさいの~?」

「なんだ、ギルドカードの中は臭く無いのか?」

「ん~なかは におい とかしないんだよ~」

「そうか・・・俺も入りたい」

「ご主人さま、そのいきやよし~」

「違う違う、そうじゃない」

「んん~?」

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