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先立つものは……

かなり間が空いていましたね……

「タツヤ。重要な事を伝えるのを忘れたいた。」


 龍矢がこの世界について一通りの説明を聞き、街中に向かおうとした所でクロードに呼び止められた。


「え?重要なことですか?」


「あぁ。言語翻訳術式に関係する事なのだが」


 クロードが言う言語翻訳術式とは、龍矢がこの世界の言葉がわからなかった時にクロードが使った物だった。


 クロード曰くこの術式によって発動する魔法は、言語通訳を役割とする精霊と対象者を契約させる為の魔法を発動するらしい。それにより、言語を自動的に認識できるようになるのである。


「実は他人の力で精霊との契約を行う場合、精霊との契約は仮契約にしかならなくてな……」


「仮契約……ですか?」


「うむ。仮契約状態だと精霊の気まぐれで契約が解除されてしまうのだ」


 マンガや小説のように都合よくはいかないらしい。


 精霊との仮契約の保証期間は24時間。それ以降は精霊の気まぐれで言語が急に通じなくなるのだ。簡潔に表現するならば、24時間毎に再度魔法を使ってもらうか、自分で言語翻訳術式を使って精霊と正式な契約を結ぶ必要があると言うことである。


「でも魔法なんて私には使えないですよね? だとするならば誰か頻繁に使ってくれる人を探さないと……」


 龍矢はこの世界に来たのがつい先程なのである。とはいえ現実がそこらのファンタジー物語のように上手くはいかないことを把握してしまった。


 だからこそ龍矢は魔法を使えると楽天的に考える事などできないのであった。


「いや、それはわからんぞ?」


 龍矢の気持ちを知ってか知らずかクロードは少し勿体付けるように言った。


「魔法を使うだけならばおそらくできるだろう。 ただ使える魔法には適正が存在するんだ」


 龍矢は過去にも異世界からこの世界に辿り着いた人がいる事は聞いていた。クロード曰くその異世界の人も魔法を使えたとのことである。


「と言う事はまずは適性の有無を調べない事には言語問題は解決できない……か」


「そういうことになるな。まずはここに行って言語翻訳術式の適性を調べてもらうといい。言語翻訳術式の適性は少し値が張るから一万ゴルムは必要になってしまうが……」


 ゴルムとは《サンズバルス》で使われているお金の単位だ。ちなみにこの世界の平均的な月収は十万ゴルムである。一万ゴルムはかなり痛いかもしれない。


 しかし、異世界の人はその適性を調べる事については特段困ることはないと言う。


 この世界にもマニアと呼べるような存在が多数いるらしい。


 マニアはたとえ使えなさそうなガラクタや既に《グランツバンク》に存在する物であっても異世界の物であれば高値で買い取ると言う。どんな物であっても"異世界のオリジナル"の価値は消えないらしい。


「よし。それではお世話になりました」


「うむ。また見かけたら気軽に声をかけてくれ」


 龍矢はクロードからマニアとの仲介業者|(どちらかと言えば質屋に近い)の場所と魔法適性判定所の場所をメモした紙をもらって街の中へと出かけた。


 ちなみに龍矢は筆入れに入れてあったボールペンをお礼代わりに一本クロードへプレゼントしてきた。龍矢の世界では大量生産されているはずのボールペンでも売ればかなりのお金になるらしく、龍矢はマニアとはすごいものだと改めて感心せざるを得なかった。



===================



 龍矢は異世界の物を買い取ってくれるという店を訪れていた。


「あの……これなんですけど買い取ってもらうことは……?」


 龍矢は店の主人に向かって黒くて細長い物体をそっと手渡した。


「ほほう? こんな物は見たことがないな」


 龍矢は主人の言葉に一瞬だけ身体を強張らせた。


 理由は至極単純だが失礼極まりないことである。


 龍矢は店の主人が怖かった。


 店の主人は体格よく身長は百九十センチを超える大男だったのである。さらに顔には耳元から顎付近まで大きな裂傷の跡が残っており、何よりも視線がとてつもなく鋭いのである。兎にも角にも見た目が怖いのである。


 そんな龍矢の緊張した様子が目に付いた店主は豪快に笑った。


「ハッハッハッ!! 別にとって食いやしねぇからそんなに怯えなさんな。ところでだ、これはどうやって使うんだ?」


 豪快に笑い飛ばされた龍矢は呆気にとられてしまった。しかし、唖然としているままではいられないので気を取り直してその物体、シャープペンの芯についての説明を簡単にした。


「という使い方をします。それで、失礼なのですが、その……鑑定の方は……」


 説明を終えた龍矢は鑑定の結果を店の主人に問いかけた。もしも買い取ってもらえないならば別な道具を鑑定してもらうことになるだろう。


「そうだな、これは今まで見たことがない分奴らも高値を出すだろうな。一本二千ゴルムでどうだ?」


 龍矢は驚いた。高値で買い取ってもらえると聞いていたとは言え、シャープペンの芯が二千ゴルムになるのである。五十本もあれば平均的な家庭の月収相当である。


 龍矢はひとまず二十本程芯を売り、代わりに四万ゴルムを受け取った。


「毎度あり。ところでタツヤとか言ったな。お前はこの世界に来たばかりってことはまだ仕事も見つけなきゃならないのだろう?」


「あ、はい。そうですね。」


「それなら用事を済ましたら後でまた顔出せや」


 龍矢は理由を問おうかと思ったがさしたる問題ではないかと考え、先に魔法適性を調べに行く事に決めた。


「わかりました。ところで、聞き忘れていたのですがご主人のお名前は?」


 龍矢は何故か聞き忘れていた店主の名前を今更聞いていた。


「おう。俺の名前はバンドゥームだ。近所の連中にはバンさんと呼ばれてるからタツヤもそう呼んでくれ」


「わかりました。ではバンさん、また後で来ます」


 龍矢は礼を言って魔法適性判定所を目指した。

というわけで……先立つものと言えばまずは何よりもお金ですよね?

なんていうノリで書いた訳ですが。


このお話ってほんとにどこに転がって進むのかわからないですね。作者である私すらわかっていないのに読者の人がわかるのだろうかと思うのですが……とりあえずやっちゃえ♪という心境でございます。


物語に出している言語の設定等はまだまだ公開していない分が多いですがある程度はちゃんと決めています。(今後の仕様変更は差し支えない程度にあるかもしれないですけど)

ですからきっと読み進めるうちに色々なことが判明していくことになります。


次回は魔法適性判定についてですのでお楽しみに!!

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