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はい、イエス様のおっしゃるとおりです。

 魔女にも色々な部族があるあの会話からそう、理解が出来たのだがこの世界は一つの妖怪でも何通りからの部族から、妖怪の民族ができる。

先ず、私がなろうとしている魔女でも魔女自由党、魔女人民党がありそれぞれのカラーができている。その中にはきちんと魔女を統括する存在もいるし、年に1回妖怪総会が各団体の集まりから成り行われる。


 そこいらへんの詳しい成り立ちなどを、誰に聞こうか考えているが今、思い浮かぶのは居候をさせて頂いている、探偵事務所の「癒のおっさん」同じクラスで同じ人間出身の「シスタークミ」である。


 そしてその日の放課後、クラスメイトと個人的に?(個人的というか妖怪的というか)話す機会が訪れたのである。まずは学校の事から聞くのが筋だろうと云う事なので、

顰蹙を買う事だけには気をつけてできるだけ、このクラスに馴染もうとした。


「こんにちは。人間も久しぶりで僕、感激です。

今度、一緒に読書でも致しませんか。」


そこに現れたのは学校の妖怪としても有名な二宮金次郎であったがこの銅像の場合は動きが滑らかであった。まだ人間に近い容姿だったので驚かずに済んだ。


「あ、ありがとう……、確か二宮金次郎さんよね?」


「へー。やっぱり人間界でも僕の名前は有名みたいですね。光栄です」


「有名もなにも、知らない学生の方が珍しいくらいよ。あはは」


「いやいや、こないだクミに聞いたら

『あんたみたいな時代遅れの石器物、何て誰も見たくもないわ』

とか、冷やかされたんですよ」


「そんな事ないわよー。私の小学校では学校の七不思議に入っていたくらいよ。千葉県の学校だったけど」


いつの間にか私の周りには二宮金次郎と一緒に囲い、クラスメイト達が集まってきた。

それを不機嫌そうに聞いているのがシスタークミであり、彼女は黙々と妖怪タブレットをいじっている。


「あっそうそう、掃除当番だった。残念だけど、僕はこの辺で失礼しますよ」


「掃除当番???二宮金次郎君が………」


莉は黒板の方の掃除当番表をみたが当番は違う妖怪の名前が書いてあった。

今日の当番は傘であった。


「ええ、図書室の」


「そっ、そう…。偉いわね」


見た目と思った通りだったので思わず顔を、引きつって笑ってしまった。

こんな表情をしてしまったら相手に失礼だとは思ったが、思わず相手にも解る表情くらいに出てしまったが二宮金次郎はそんな事はお構いなしの様子であった。


「人間だって人の事を言えないわよ」


いつの間にか雨女先生が戻ってきたらしく、強めで注意をされた。妖怪からしてみれば人間の方が余程、奇妙な生きものに見えると雨女先生は冗談交じりながら結構な注意をしていたようにも思えた。


「ごめんなさい。気をつけます」


「解ればよろしい。まあ、私もそんなに他人や

妖怪の事ばかり言えないんだけどね。」


 教室にどっと、和やかな雰囲気が漂った。ただ一人を覗いて。

席を立つ音が静かに響き渡った。ミスターミクは、無表情タブレットを終いながら歩き

帰宅をしようとしている。


 一瞬、その姿に周りの空気が萎縮してしまう。


「あんまり、気にするなよ。彼奴はああいう奴なんだ」


 気さくな性格の五枚舌が心配そうに言った。

普通、五枚舌はターゲットとなった人間を孤立させるように悪い噂で仕向る傾向にあるが、幸い私のクラスに居た五枚舌は性格は大丈夫そうであったので、安心をした。


「そうなの…

まあ、これから時間は幾らでもあるから、どんどん仲良くなっていけるわよね」


「俺なんて、最近は言葉の暴力を受けるぜ…

金にがめついクソ妖怪とか」


「それはそれでかわいそうね」


 雨女先生がつぶやく…。

確かにいくらなんでもそれは酷い…彼女には他人?を思いやるという気持ちがあるのだろうかと、ちょっと考えこんでしまった。

 機会があればだが彼女も、人間出身ということで人間界からどうやってここへ来たかを聞いてみようと思う。


「はい、今日はここまでもうすぐ下校時間よ。皆、帰りなさーい」


「おう、じゃあな」


「また、明日」


「人間くせえんだよ。くたばれ」


 帰り際に酷い言葉を浴びせる奴らが時折いる、そういう奴らは生きている人間に劣等感を感じてしまっている妖怪らしい。ここに来た時に酷い連れてこられ方をしたのか…、とにかく色々な事情があるらしい。


帰宅途中、私はこのまま帰宅しても一人ぼっちな訳なので、紳井探偵事務所に寄って見ることにした。

あの建物から出た瞬間、こちらの世界に来た訳だしお祖母ちゃんが「トンネルから妖かし世界へ通じる」と聞かされていたが、トンネル何てなかったしと色々と考えこんでも答えがでないがそのうち、この妖かし世界で過ごせば答えが見つかるのだろうと、強く願った。

 いや、願わなければ私が人間である事を自然と忘れそうで怖かったのである。


 「私、竜火莉は人間であることを証明する」

 気休め程度にしかならないが、ノートの端に、日付付でそう記入をした。


気がつけば、紳井探偵事務所の前に着いていて扉をノックしたら自動に木の擦れるような音が耳に響き渡るように聞こえながら開いた。


「ああ、あんたかい紳井さんなら依頼人と話し込んでるよ」。とこないだの顔おばさん(仮名)だが怪訝そうな顔をして私に教えてくれたがどうやら悪い人ではなさそうである。


「ありが…と」ニョゴニョゴ


「声がちーさい!!」


「あああ!はっい、ありがとうございます」


 私は顔おばさんにびくびくしながら、

休憩室で待たせてもらう事にした。顔おばさんは味方に

つければ何かと、頼りになりそうである。などと色々近い将来の展望を細々と頭の中で描いていた。


「ありがとうございます。これで安心できました、やはり不当解雇ですか」


「ええ、それでは手続きはこちらの方で行なっておきますので、失礼いたします」。


 『不当解雇』と私の耳にはきちんと聞こえた、妖かし世界にも不当解雇がきちんとあるという事が解ったというより、妖怪民法の教科書を少し読んで解った事なのだが、この出来事が人間世界に大なり小なり、影響を与えていると言われているので、それを悪い方向へ行くのを食い止める法律がまさに『妖怪民法』『妖怪刑事罰』であるという。


「おお、竜火殿!来ておられたのですか」


「ごめんなさい、このまま家へ帰っても

まだ友達もいないし、やることがなくて…一人だとナーバスな事、ばかりを考えてしまって」


「いずれにしろ、近々、この世界での過ごし方に戸惑い、行き詰まるという人が必ず出てくるという事が解ってから、そういう依頼も受ける事にしましたので、安心をしてください、竜火殿ははじめてでお金がないのが解っていますので、無料で良いですよ」。


「む、無料で良いですよって私は、別に依頼人でもなんでもなく『イソーロー』でしょーがよー。イ・ソ・ウ・ロ・ウ!解る?良くもか弱い女の子から、料金を取ろうと何て頭によぎるわね。その神経、探偵向きな事は間違いないわね」


「はは、褒め言葉ですね。私にとっては、竜火殿の依頼って言っても何から聞いていいか解らないからこの世界の要点だけでもざっと、説明しようかとおもいます」。



 そういうって癒のおっさんは奥からプロジェクターと周辺機器を取り出し、古臭い巻物を出した。その巻物には妖怪1年という和暦みたいなものが時系列に並び、起こった事件が、描かれていた。

この世界の簡単な事すら知らなかった私が、大まかな概要を知る事となった。


「妖怪1年、この世にはまだ陸と海と風、太陽、月しかなかったころ

イエス様はアダムとイブ以外のものに一人の妖怪をお作りになった」


「そのころ、アダムとイブは人間界で仲良く暮らしていたのだが、やがて知恵がつき、言葉を交わすようになった」


「え…これってキリスト教の神話じゃあないの???」


「まあ、まあ見ててご覧よ。こっからがあんたらが知っている

イエス様とはかなり違うところだからさ」。


 何が違うのか私は気になったので真剣に聞く事となった、そこには私の知るイエス様の神話ではない残酷で恐ろしい、真実がこの妖かし世界を作った原因になっていると解った。

 続きはまた、その後のお話ってことで。

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