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人間の感覚、妖怪の感覚

翌日―――――

へんてこりんな箱を叩く音に莉は起こされた。

そこには、見慣れたような形の箱があるがデザインがいびつなものがあった。

そう癒が、カチャカチャとキーボードを叩いているのは恐らく人間界でよくいうパソコンである。

OSはYOUKAI7最新式である。メーカーはYOURYOK。



「おはようございます。

朝っぱらからインターネットですか」


そう質問した莉は確認をしようとした、これが現実かどうかを昨夜、この現実を受け入れたとしても全てを受け入れられた訳ではない…まだ、これが何かの冗談だとしたらという思いがどこか胸の奥に、残像として残っていた。

もしかしたら何かの強い衝撃で帰れるのではなど色々と、頭の中を張り巡らせていた。


「ええ、貴女の世界でいうところのね。

しかしこっちの世界では鬼人ネットという名前が、

ありまして現世の情報も見れるのです。大変便利でしょう」 



 莉はその言葉を聞いてピンと来た!!現世という事は私に関するニュースが何かしら乗っているのかも、知れないとそう思った。


「ねぇ、私にも貸して!ちょっと気になる事があるから」


莉は座っている癒を蹴飛ばして壁に向かって漫画のように、勢い良く転がした。


「いたたた…まあ、検索しても無駄だとは思いますけどね。

貴女の知りたい情報は」


(え…今、何て………私の心が読まれている)


 そう相手が口にした言葉で全て確信をしたがまだ、信じたくないこんな世界そう思いつつ、異世界検索サイトの検索エンジンで「女子大生 行方不明 東京都」と打ち込んだが、そんな記事はどこにも掲載されていなかった。


「知らない方が幸せという事も人間必ずある」



大勢を立て直しながら癒が意味深に呟いた。この言葉の意味がこの後、日常を過ごしていく中で明らかになるなんて、思いもよらなかった。


「さて、そろそろ時間ですよ。学校に行きましょう」


 そういうと癒はシャットダウンをしてパソコンの電源を落とした。

電源の落ち方は通常の莉が知っているパソコンと一緒であった。ただ違うのは、「あの世」ともいうべき世界の情報が普通に見れるという事、そしてこの現実世界に非似てる世界は、時間軸が基本的には同じだということ。


その時はただ、そう思っていた―――――

そう、その時までは――――


目が痛くなるように白い朝日が登る中、大学に向かう途中の徒歩での会話


「そうそう、貴女の戸籍登録をしないといけないことになりますので、

妖怪市役所に行きます。名義は私でも良いのですがさすがに年が離れすぎに見えるので貴女の世話役を一人、つけてさしあげることにいたします。」


「世話役っていうと弟子みたいなものですか?」


「ええ。まあ、弟子というよりもこちらの世界でそれ相応の年の差での

保護者という事なので、両親みたいなものですよ。両親は頼めば、現実のお母さんや、家族の魂を呼び起こせますよ。」


「ふざけないで!人の心を何だと思っているの!!」


「いや…別に………」


癒のこの世のものとは思えないブキミな顔が脳裏から離れない。そう莉の味方と言っても所詮は妖怪や化物の仲間、ここの世界の食べ物だって、そう昨日出された晩ゴハンの材料だって…。




 昨夜、夜が更ける頃――――


「美味しいわね。

この豚肉みたいな味は何なの?」


「え、あれを聞く勇気あるの。止めといた方が

良いと思うけどね」


「な、なんでよ…」


「それはだって、人間の腸」


ゲロゲロゲローーーー


美味しいと思って食べていたのがそんな物だったりしたら、誰だって警戒するようになるわよ。あー昨日の事を思い出してしまった。


 現在――――


「あんたもやっぱり

人間の心は持ってないのね。がっかり」


「前はありましたよ。前は…

しかし今は何もかも感じなくなりました」


「貴女にこういった話をするのはまだ、酷のようです。すいませんが私が身元引受人になりましょう。」


 暫し、無言の時間帯が続き沈黙の時間が続いたが、この世界で生きていくことはすなわち、人間の感覚をなくすことらしいとこの時はにわかだが、そう感じた。


街の真ん中辺りにようやく到着すると、市役所が見えてきた。市役所は案外どこにでもあるような、古風な建物であった。中に入ると、冷たさが異様に感じる。




 「お!紳井のおやじさんじゃねえか、今日はどうした」


どうやら、受付の一つ目で胴体が動物のような毛むくじゃらとは、化物とは癒は顔見知りらしい。

何回か過去にこういう来客がきてしまったのか、色々とここで起こっていることも今の自分に当てはめて行く。


 「いやいや、私の遠い親戚の娘がちょっと両親の都合でこっちに来ていて、

変わりに暫くの間面倒を見て欲しいって言われたから、私の方で面倒を見てやることになったのさ。」


「は!あんたがかい!紳井のおっさん!そう言って結局、尾骨ババアに世話係を任せたのは何回あったんだっけかあ。今度は何日、持つかなあ」


「なあ、お前らここは一つ人間のガキんちょの面倒を、紳井のおっさんが何ヶ月持つか

掛けねーか」


ハハッと一斉に雰囲気が和む、どうやらこの癒は面倒を見てくれないタイプらしいがその尾骨ババアというのがどういう妖怪なのかが気になった。

手続きは至って簡単、ただ登録者の覽に莉の名前を記入するだけであった。



 結局、その場は尾骨ババアの情報はそれ以上解らず終いで終わったが大学にその足で向かう事となった。



妖怪大学――――


 「さてと、目的である大学に到着しましたので私はこれで…そうだ帰りには今から渡すこの最新型の携帯で私と連絡を撮り合いましょう」


「えっ!ちょっと、私を一人にする気?」


「大学なので保護者が一緒だとクラスのお友達にも、笑われますぞい」


癒はちょっといたずらに笑った、決して見下したりすることなく子供のようないたずら心を、持っていたような感じだった。


「へー。それは、こっちの世界でも同じなのね。

解ったわ、じゃあまた、後で」



そう言い残し別れを告げると職員室へと向かい始めたが、ある程度足取りは今までより、軽くなっていたのが本人でも解った。

莉はこのあと待ち受けている世界をその時はまだRPGの世界に出てくるような物だろうとしか、認識をしていなかったがこの世界で起こる出来事は、そんな単純なものではなかった。

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