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選ばれし者!?

 まずは手始めに、何を思ったか、莉はその場所に行って見ることにした。この情報誌がいたずらかどうか、何故、自分なんかにこんなうす気味悪い線が見えるのか、真相を確かめたかった。

自宅は千葉県にあるので都内に行くまで結構、時間はかかるが母親には適当な事を言っておいて電車で出かけた。

夕日を背に受けて鳥籠みたいに気持ちのよい車内、莉は眠たいのであろう仮眠を取りながら電車に揺られること1時間弱、ついに住所のところに着いたが何一つ建物何てなく町外れにでる道がぽつりと一本あるだけである。住所の番地の4というものが気にはなったが、帰ろうとした瞬間普段外出している時にはつけている大叔母様の宝石が光り出した。


 先ほどまで見えなかった道が存在し始めたのである。

何も、現れなかったが確実に景色に違和感を覚える………。似たような道ではない、先程の曲がった道と確実に同じである。4度目……先程の古びた木の塀と自動販売機があったが自動販売機もちょっとずつ見た目が古びて行く。

何か、背筋がいままでに感じたことのない異様な寒気に襲われたが、私はそれどころではなかった。

怖いというよりもどこか懐かしい雰囲気がしてどんどん進み、ついには大きな通りに出てそこは、異世界にたどり着いていた。


すれ違う者、すれ違う者幾度と無く莉を見ている。まるで莉の方を化物見たく目で舐め回すように捉えている。


「あの子、かわいそうに人間だろ……こんなところに迷いこんで」


「くひひ…あたしゃあ。あんな子が好みなんだよ」


「もう、おばあちゃんたら」


(に…人間…何なのこの人達は………。いや、人のにおいはしない)

莉は大叔母様の宝石が微かに、胸元に触れるくらいに震えているのを見る。


「あのー。すみません」


謙遜な態度のような好青年っぽい声がしたのでそちらの方を、振り向くとそこには世のものとは思えない目ん玉が充血をしていて、右目の方が飛び出ていてかぶっている学生帽は、もうぼろぼろで人間の血みたいなものが付着している。

 私は普通に対応しないと殺されるという恐怖感があったが驚いて声も出ず、その場に青ざめて時間が分からないくらいに釣ったっていた。


「ねぇねぇ。あんちゃん!よく見てよ!こいつ。人間だよ。おいらたちと匂いが違う」


「えっ。どれどれ、本当だ!」


そこへ郵便配達の格好をしている青白い顔で片足のない、おじさんがすれ違ったところで、自転車を止めた。


「ケン坊!お母さんが待ってるぞ。はよ、帰り!今日の夕飯は処刑された人間の目玉汁らしいぞ」と言いながら、持っているバッグから手紙を彼に差し出した。


「ははは。本当ですか!それは楽しみですね」

途中、ものすごい事を会話にしていたような気がしないでもないが、突っ立ていても無事に帰れない気がしたので勇気を振り絞って、声になっていないような言葉で質問をしてみた。


「郵便屋さん!紳井探偵事務所ってご存知ですか」


「おや。人間の娘だねえ。こんなところにいると、いつか食われちまうよ!まあ。何か訳ありで、呼ばれたんだろう。ケン坊、悪いけど案内してやり」


そう言い残すと最近の人間はと文句を言いながら仕事に戻っていく郵便配達屋。

それを笑顔で見送るケン坊と呼ばれた化物と、ちびすけは先程の敵対心は消えているようにも思われた。


「失礼、失礼、私はてっきり普通の人間だと思ってね。危うく食べてしまうところでしたよ。ははは………ところで紳井のおじさんに何か用事でも、あるんですか」


莉は彼の顔にはなれずにまだ、怯えていた。この世のものとは思えない顔つきの者が目の前に2人もいればそうなる。


「ああ。失礼、この容姿が気になるというのでしたら」


といい何か、本を取り出してお経っぽいのを、読み上げたら何と人間の美男になってしまったのではありませんか。


「あら、イケメン」


冗談交じりに、莉は茶化してみた。


「へーじゃあ。元の姿に戻ろうかい」


「じょっ、冗談です……」


 それから2人に案内をして貰って何とか紳井探偵事務所に到着をした。

胸元につけている宝石の光が止まった。ふと、周りを見ると異世界から現実世界へ戻っている。莉はどういうことか頭が混乱をした。


頭の中の整理がつかないまま、事務所の入口を開けて中に入ってみる。

中ではパソコンを叩いたりして仕事をしている者や、電話越しに依頼人相手と話している者もいる。中は至って普通の探偵事務所である。


「おーい、紳井さん。珍しいお客さんだよ」


見た目は40代半ばの派手なおばさんが自分の席から、こっちを見ている様子を確認できた。

奥から、お茶がテーブルを目掛けて音を立てずに飛んできた。重力に逆らっている訳でもないのに、体が勝手に席へと向かう。


「面倒くさいね!今、私はちょいと手が離せないから紳井のおっちゃんが、来るまでそこで、待ってな」。と結構、離れた席にいる彼女の声が確認を出来て彼女の席をみるが口を開いている様子はなく、ただ漠然とパソコンを叩いている。


 「ドン臭い子ね。テーブルよ。テーブル」


言われたままに、テーブルを確認する莉が腰を抜かした。

何と、驚くことにテーブルが彼女の顔でいっぱいであった。先程から変な体験ばかりで、気が滅入りそうで更にこの感覚には耐えられそうもなかった。


「悪かった、悪かった。からかいすぎだね。あー忙しい」


と悪女のような笑いでケタケタと陰湿気味に笑ってみたがそこまで悪意は感じられずに、意外と内申は良い人なのかも知れないと、思った。


するとの奥の部屋から乾いた木造ドアの開く音がした。耳障りな音に聞こえた。


「いやー、待たせてすまなかったね………。私はここの事務所をやっている紳井癒と申します。以後、お見知りおきを…」

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