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参上!竜火莉!!

「はいー。こんにちは。紳井探偵事務所です!のヒロイン竜火莉でーす。これから、私メインの話が始まるわよー!」(あのー…主人公はこの私なんですけどねー…一応、確かに竜火君の方が若くて話は書きやすいんでしょうが)「あー。何か呟いている変なおっさんがいるけど、主人公はこの私よ!」ギロ(止めに入ろうとする紳井癒を睨む竜火莉)「もう、良いですごめんなさい……」

 某年、秋。ここに就職活動に踏み切ろうとする、ごく平均的な女性がいた。就職活動に踏み出そうとしてはいるのだが他の者よりは確実に遅いタイミングであることには、ほぼ間違いない。

その女性の名は竜火莉、中国人と日本人のハーフで将来は日本で就職をしようと、日本で暮らしていた。彼女の国籍は日本国籍である。

「うーん、将来かあ………」。暗闇の中に、吐き捨てるかのように息を漏らす。他の学生は爛々と、抗議を聞いているのだが莉だけが身に入らないと言った状態であった為、最近では酷くゼミの教授から目をつけられていた。

そんな事を言われる前に解っているのだが、学生特有の中弛みというものだろうか自然と楽な方向に体と脳が向かっていってしまっている。

莉の家族だが母は専業主婦で、父が日本企業と関係をしている一流企業で働いている、いわばエリートサラリーマン。どうやらそこの会社で、課長をやっていて幾つかのプロジェクトを掛け持ちしていると

聞いたことがある。

その影響か将来の話のことになると、雷おじさんと慕われている近所の頑固親父より、うるさく耳にタコができるくらいに、「将来は数年働いて、会社の偉い人と結婚しろ」と毎夜、毎夜、自宅に帰れば嫌気が指すほど聞かされる。

莉はそんな男みたいな当たり前な生活は真っ平ごめんだと思い、親の助言を聞かずという訳にはいかないので、憧れていた「弁護士か探偵」になる為に大学卒業後に専門学校で必要となることが想定される学費を稼ぐ為に、両親に内緒でファーストフード店、飲食店でバイトを行なっていた。バイトの掛け持ちは結構きつく、女性ではしんどいので、抗議には身が入らないという最悪な蟻地獄にはまってしまっている。


 「うーん。君は接客の話をしていると活き活きしているから、飲食店や小売業界の就職を目指したらどうだい」とゼミの先生にまでも莉と思っているのと違う道を、推されてしまった。

 (うーん…みんな、解ってない。)


放課後、いつものように進路相談室に行き同級生は進路希望書を就職課に、既に提出をしていた。仲の良い友達に「面接、どこまで進んだ」という質問をされていても「う…うん」や趣味の小説を読みあさっているといった対応しかできないで、悩んでいた。

 

 「椅子、立つ時に気をつけて0.78秒後。ハイヒールが椅子のあしに引っかかるから」

 

 「えー、何それー。やめてよ。こないだも莉に言われた時に、転んで顎打ったんだから、二次面接に進んだ私に対するヒ・ガ・ミ!キャッ!」と友達にもからかわれる始末だ。

  

 その時違う方向から、微かに女性物の靴が鉄に当たるような音がした。


 「キャッ!」

 

 「いたた…」

 一緒にいた友達は驚いた。莉といる時は必ずと言って良いほど地味ではあるが予言が当たる。誰だという当事者は外れている場合があるが、必ず、莉が言った通りに誰かがなるという、奇妙な現象だ。今では煙たがれることはなくなったが、心ない者の中には「薄着見悪い女だな」とか言われ、それ以降近寄ってこなくなった、ことがかなりある。

これは竜火家に代々、引き継がれる能力だと叔母から子供の聞いた覚えがある。更にこれは竜火家に代々引き継がれる話なのだが、この世界は莉がいる現実世界とあやかしが人間に化けて暮らしているあやかし界があるという現実世界とあやかし界は、人間があやかしに騙される為にあり、恐ろしい怨念が漂う世界だとも聞いたことがある。その日現実世界が現実世界に少なくとも影響を及ぼすとのことであった気がした。

自宅近くの庭に入り口があり、トンネルを抜けるとあやかし界に出ると聞いているが、そんな馬鹿な話しはと信じてはいなかった。



 放課後、大学から帰宅後をして就気の進まない活情報誌をまるでホームレスのゴミ箱あさり見たく、無心で読みあさる莉であったがなかなか、良い企業が見つからない何とこの時期になってまだ一つも、エントリーしていないのだ………。

 「あーあ。つまらない!ちっとも、私が目指しているような。探偵業の求人募集じゃないじゃない」と、情報誌を投げつける。

 そういえばいつもは情報誌なんて両親か親友から勧められないと、読まない筈なのに今日は何故かこの情報誌に興味を持った。

すると突然、誰かに呼ばれるような気がした。そこには情報誌から一途に、赤い糸のような線が莉の部屋の床から外へとドアを突き破って、気持ちよいくらのラインが引かれているのを目撃した。

 その時は全く不自然に思わなかった。普通、現実ではこんな線があってはならないものなのだから、その情報誌を持ってみると線も情報誌に釣られるように赤い線も曲がった。

何だか、この本が次第に不気味に見えてきたので、大学の就職課に確認の電話を入れた。

 

 「もしもし、京葉附属大学ですか。私は情報化3年の竜火莉ですが…」

 

 「え?そんな情報誌、大学では取り扱ってない。…だってありましたよ!さっき、就職課の部屋に。そもそも、その出版社は存在するが記事はでたらめで誰かのいたずらだろですって……もし、もーし、すいませーーーん」。とぶつ切りされる電話に向かって、「クソがっ!」と女の子らしかぬ、乱暴な口調で電話を投げつけるように、切れた。まるで電話から痛いと、聞こえたような気がした。

 

 「どうしたの?莉???あなたはいつもそうやって」と家事をしていた母が音に気が付き、部屋に入って来たのであった。

 「ママ、何でもないよ。」

 その時、莉は情報誌から飛び出している赤い線の事が気になったが母親との素っ気ないやりとりで私にしか見えていないんだと、悟った。


 ――――この時はまだ、あんなことになろうとは思いもしなかった。

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