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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々8
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第73話:魔王と魔王科体験


「魔王科でやることは概ね普通科と変わらない

ただこの科にはもう女の子しかいない

この科にいる女の子は何かしらの問題や障害を抱えて生きている

それでいて尚且つ美少女?といった類の女の子しか入学させない

まぁ・・・私はただ会長をやっているだけだからその理由は分からんが

私好みの美少女しかいないのは確かだな」


誇らしげにふんぞり返って鋳鶴君に自慢する結さん

鋳鶴君は自分が着ていた魔王科男子生徒用のブレザーをミンチェさんに掛けていました


「結姉の好みってやっぱりライアや明乃さんの事じゃないの?」


鋳鶴の質問に結さんではなくライアさんと明乃さんが赤面する

まぁ・・・二人ともそういう趣味がありますから嫌でも反応してしまいます


「確かにそうだが・・・皆可愛いし同じぐらい私は愛している」


あらやだと明乃さん

ライアさんは茹蛸の様に真っ赤になって発熱しています


「私を愛してくれる女の子は結ぐらいしかいないものねぇ・・・

どちらかというと私は責めだけれど結だけが唯一私を受けにさせるのよ」


とんでもないことを嬉しそうに言っている明乃さん

鋳鶴君の思考回路はショート寸前です


「鋳鶴、ライアはいつもこうふんぞり返っているが意外と素直な面もあってな・・・

そういうところが可愛いと私は思ったりしている」


「確かにライアは結姉の前ではかなり・・・

弱くなってるって言えばいいのかな・・・?」


「うぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」


何も言えず赤面しながら二人の話を聞き続けるライアさん

あれ?もしかしてライアさんは・・・

こういうイメージは駄目ですね!はい!でもこう可愛いところがあると

人とは必ずいじりたくなったりするものです


「それでは行くか!私と明乃が案内する

ライアはミンチェの面倒を頼む」


「わっ・・・わかりました・・・将軍・・・」


顔は赤面したままライアさんを教室に残し

鋳鶴君は結さんと明乃さんの後をついていくようにして教室を出た




ーーーー大廊下ーーーー




鋳鶴君たちが教室から出るとそこにはとても大きな廊下が目の前に現れた

たった今、鋳鶴君は廊下から見える景色で外の時間を知った

まだ生徒たちが起きるには早い時間なのか廊下には人っ子一人いない


「誰もいないんだね・・・まぁ朝早いから仕方ないか」


「いや?この時間なら礼拝堂だろう

それに毎朝五時に起きれるものは起きて八時まで時間をつぶして授業を受ける

それが魔王科の授業前みたいなものか

皆、この校舎で寝泊まりしているから基本的に遅刻はないんだ」


「でもミンチェみたいにお寝坊さんもいるのよ?

まぁ私たちや先生たちはミンチェに怒らないけど」


「なんで怒らないんです?」


「あんまり優しくしすぎるとつけあがるからあまり甘やかさないようにしてるの

一人で起きられない女の子は・・・」


話の途中で明乃さんはしゃがみこんで鋳鶴君の下腹部を優しく擦った


「男の子を癒したり、ご奉仕するのに支障がでるでしょう?」


微笑みながら凄い事言っている明乃さん

鋳鶴君も明乃さんの視線に思わず唾を飲み込んでしまいます


「鋳鶴はメイドさんとかが大好きだものな!

お姉ちゃんはお前の事をなんでも知っている

ご奉仕プレイが好きとはとんだ変態極まりない男だろうか」


「いやいやいや!?メイドさんが好きな理由は卑猥な意味とかじゃなくて!

単純にお金をもらっているとはいえ

ちゃんと依頼人の面倒を見たり値段以上の仕事をする事に尊敬したからだよ!」


自分にはそういう趣味はない!と言わんばかりの鋳鶴君

しかし弁解を図る鋳鶴君を見てお二方は悪い笑みを浮かべています


「じゃあ鋳鶴メイドはどうすれば雇えるんだ?」


「はい・・・?」


「駄目よ結!

鋳鶴君は思春期なのよ!?

メイド服を着せて変な道に走ってしまったらどうするの!?

でもそれはそれで面白くてイメージしたら可愛くてある意味堪能したけれど」


「なんて妄想してるんですか・・・」


「違うな・・・それがいいんだろうが!」


「魔王科は絶対に入学しないな・・・」


そう言って鋳鶴君は二人の妄想話を聞きながら呆れていた




ーーーー普通科生徒会室ーーーー




いつもの通りの普通科の生徒会室

そこにはいつも通りに社長椅子の様なソファに腰かけている駄眼鏡生徒会長

それを見守るプラスチックの板にプリントを挟みそれを抱えている秘書風の女性


「望月君・・・普通科に帰ってくるでしょうか・・・」


心配そうに涼子さんが駄眼鏡に問いかけます

駄眼鏡は鋳鶴君を心配するどころかコーヒー片手に微笑んでいます


「心配はいらないよ?彼はきっと帰ってくるよ?」


そう言いながら一平会長は自分の書斎の棚を開いて一枚の紙を取り出した

その紙には禁と大きく中心部に書かれ何者かの写真が添付されている


「その男は?」


「名前?彼の名前は僕も知らないよ?」


禁と書かれた紙に添付されている男の写真を涼子さんは覗き見ました

17歳と書かれていますが見た目からすれば17歳には全く見えません

鋭くとがった目じりに整えられていない白髪

身長は鋳鶴君より大きいぐらいでしょう

一平会長の資料には基本的に普通科や陽明学園近辺に存在するまたは居住している人間のデータが集められています

しかしそれは一般人ではなく全員、社会上や国自体に異常をきたす人間などが記されています

そこから普通科や陽明学園の戦力そして有力な異能力者、または魔法使いなどの協力を得ての国力の向上を図っている

データはいつもすべて埋められているのですが今回の人にはその異能と魔法の能力が表記されていません


「この人に関してはほんとに困ったもんだ・・・

でも一回見てみないといけないからね~・・・

普通科に編入させて普通科を強くする!?なんて燃える展開じゃないか!」


「はぁ・・・分かりました・・・特性ジャケットでも用意しておきますよ・・・

彼らには秘密でいいですかね?」


「それなら前のやつがあるからいいよ?

それに新しいのは臭いしね~・・・?」


そう言って一平会長は普通科会長特性のジャケットを羽織った

背中には大きく普通と書かれています

とても・・・ダサいです・・・

漆黒をベースにしたスーツなのになぜかダサさが滲み出ています

ですがそこが一平会長のこだわりなのでしょう


「それじゃあ行ってくるよ?」


「わかりました

くれぐれも気を付けて・・・」


涼子さんの見送りの言葉を聞くと一平さんは優しく微笑んで会長室の窓から外に飛びだした





ーーーー公園ーーーー




ジャングルジムの上で寝そべりながら一人の男が朝日を眺めていた

その目はまるで輝きがなく黒く淀んでいる

やる気がないというわけではなく

ただただ無気力という感情を彼から髣髴をさせている


「今日は・・・晴れ・・・か・・・」


男はそう呟いてあくびをした

彼以外、空き地に居る人間はいない

ホームレスも子供も健康のために毎朝走るご老人も


「誰か・・・来るか・・・

悪いが今日の俺の気分は雨でな・・・

申し訳ないが・・・晴れにはできない・・・

たとえ太陽が出ていても関係ない」


男の発言と共にみるみるうちに太陽を大きな積乱雲が覆い始めた

前兆などなく、何も「起こす」ということもせず

まるで男の言った事がそのままになるように

雨が降り始めていた

そこに一人の白髪の老人が近づく、それは望月三十郎だった


「元気だったかの?」


「あぁ・・・あんたか・・・」


男が目をこすりながら三十郎さんの存在に気付く


「そろそろ孫のお友達が来るだろうだからちとお前の顔を見に来たんじゃ」


「珍しい・・・そのお孫さんのお友達は面白いやつなのか?」


「相変わらずふてぶてしい態度じゃのう・・・

それだから記憶も無ければ友達もおらんのじゃい」


ハハハと男は笑う

それにつられて三十郎さんも大笑いする


「とても面白い少年だぞ?

歳で言えばお前さんぐらいか・・・それにすこぶる強い

わしも久々に面白い異能と呼べるものを見たと思うのじゃ」


「それは楽しみだ・・・

同い年と言われるとなおさら負けられないな」


「殺したらわしが許さんぞ?

孫の大切な友人の一人じゃからな」


三十郎さんの目つきがその言葉と同時に変わる

あまりの変わりように男は苦笑いを浮かべ冷や汗をかいている


「わかりましたよ!そんな顔で見ないでくださいよ!?」


「孫が助けに来るかもしれんが負けたら快く協力してやってくれよ?」


「わかりましたよ・・・

でも負ける気はさらさらないんで」


「じゃあ負けたら仲間になる+名無しのお前に鋳鶴から名前をつけてもらうか」


「負けませんよ・・・

負けたらその時ですしね

俺の魔法には誰も勝てませんよ

誰もは盛りました・・・

そんな怖い顔でみんといてください!

高校生には負けるつもりはありませんからね」


三十郎さんは男のその言葉を聞いてほほ笑むとその場を後にした

三十郎さんが立ち去ったほんの数秒後男の辺りは何の前触れも無く土砂降りになった

感想などお待ちしております!

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