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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々7
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第70話:魔王と監視




ーーーー帰り道ーーーー





「長かったなぁ~・・・・

歩達も帰っちゃってるし僕も帰るか」


自分の下駄箱から靴を取り出し上履きから履き替える鋳鶴君

そんな鋳鶴君の背後と前方には小型でボールの様な衛星が浮いています

鋳鶴君は全く気づいていないようですが小型のボールの様な衛星には

カメラが内蔵されています

鋳鶴君が靴を取り出すと衛星は周りの景色にとけ込む様に

変色し鋳鶴君に見えない様に姿を眩ました


「なんか体中がギシギシするなぁ~・・・

まぁいいか・・・気づいたら学園長の部屋だったんだし・・・」


独り言を呟きながら鋳鶴君は上履きから通学用の靴に履き替えて

下駄箱を後にした





ーーーー陽明学園某所ーーーー





「学園長の部屋にいてギシギシアンアンだと!?」


過剰にギシギシに反応している魔王科会長の結さん

ここは陽明学園の某所にある会議室

そこで魔王科、魔法、銃器、科学、機会、普通科の会長たる面々が

一つの長細い机で向かいあわせになって

その間にあるモニターで鋳鶴君の様子を衛星でモニタリングしていました


「ギシギシアンアンは違うであります!

望月君は不純な男の子ではないであります!

我が輩が断言するであります!」


小柄で眼鏡をかけた可愛い女性、

機械科会長の金城沙耶さん

鋳鶴君の優しさは体育体会でもう目の当たりにしています

今は身体の負担を減らす為に沙耶さん状態になっています

ムチムチのナイスバディの苅愛さんが私は見たいんですけどねぇ


「ギシギシアンアンはどうでもいいだろう!?

それよりも今は彼の様子見じゃないのか?

それに彼が最初に来る科がどこかでも色々変わるんじゃないの?

私はそういうもんだと思ってるけど」


二人の卑猥な発言にツッコミを入れたのは月野蛍つきのほたるさん

銃器科の会長さんで雑賀鉄砲隊のリーダーを務めています

常に頭には髪飾りと緑ときみどりの色が装飾されたバンダナを巻いています

そして常に迷彩柄の少し大きめのズボンと陣羽織、中々イカしてます


「蛍ちゃん、ギシギシアンアンってなぁ~に~?」


隣から蛍さんに声をかけたのは科学科会長、朝倉藍子あさくらあいこさん

いつもおっとりほんわか美少女と科学科の中で呼ばれています

家はもの凄いお金持ちで世界になをとどろかすグループのご令嬢だとか

いつもおっとりほんわかで白衣を着ていますがおっぱ・・・大盛りないい物が二つ

お腹の上についていますプライベートでは若干露出の激しい服にコートに身を包んでいるそうです

蛍さんとは昔から仲の良い間柄という


「藍子は知らなくていいから!変なことばかり覚えなくていいから!」


真面目にツッコミ&藍子さんへの適切な対応

流石雑賀鉄砲隊のリーダーを務めるだけはあります

藍子さんに比べて魅力的なパーツは足りない様ですが


「物好き君には許可はとったのかしら

許可をとってないのなら私があの衛星を壊しに行くわよ?」


その藍子さんの前で腕を胸の前で組み足を机の上に乗せ

どこか不機嫌な雰囲気をかもし出す魔法科会長の虹野瀬縒佳さん

鋳鶴君に体育体会で負かされた上にさらに自分の病気を治す為に

頑張る鋳鶴君を目の当たりにしていますだから色んな意味でホの字です

わざと名前を間違えるのも愛嬌、いわゆるツンデレというやつだと私は思います


「もうみんな静かにしようよ?

望月君の様子をどんな人かをするために僕が仕掛けたんだよ?

だからもっと僕に敬意を表してなんか御礼でも言うべきだと思わないかい?」


普通科会長の駄眼鏡、風間一平さんが声を上げた途端周りはしーんとなりました

けして彼が何をしたとかではありません

ただ彼と絡むとあまり良いことはありません

皆さん落ち着きを取り戻し席にも戻ります

まるで何事もなかったかのように鋳鶴君の監視に戻る皆さん

流石生徒会長軍団です


「ひぃふぅ・・・」


モニターを見ていると鋳鶴君の目の前におばあちゃんが膝を突いて腰をさすっていました

おばあさんの近くには少しだけ大きな荷物がありました

若者が持って運ぶならまだしも手が細く筋肉も弱っているおばあさんには持つことも辛いはずです

鋳鶴君はおばあさんの目の前で止まりました

すると何も言わずにおばあさんの目線に合わせかがみました


「おばあちゃん

おばあちゃんも歳なんだからゆりや神奈がいない時は僕を呼んでって言ってるでしょ?」


「でも鶴ちゃんに電話したんだけどねぇ・・・

鶴ちゃん忙しかったみたいで出てくれなかったのよ

ゆりちゃんも神奈ちゃんも部活とかで忙しいでしょう?

だからたまには自分1人で荷物ぐらい持ってお買い物でも行こうと思ったのだけれど・・・

やっぱり歳を取るっていやねぇ」


おばあさんが微笑すると鋳鶴君はおばあさんの荷物のビニール袋を左手に抱えて

おばあさんの前でかがんでおばあさんをおんぶした


「ごめんね鶴ちゃんもう少し私も若かったらねぇ・・・」


「別にいいよおばあちゃん

そういえばちゃんとご飯食べたりしてる?

ちゃんと栄養つけて健康にならないと老人ホーム行きになっちゃうよ?」


鋳鶴君がおばあさんに注意を促す

おばあさんは申し訳なさそうに鋳鶴君の背中で鋳鶴君に謝罪する


「でも老人ホームは嫌だねぇ・・・

私もそこまで行ったら墓も近いなこりゃ」


ハハハハとおばあさん

鋳鶴君とおばあさんが笑顔で話しているのを見て

ほのぼのしているのが5人嫉妬しているのが1人


「望月君は噂より優しいんだね

ちょっと見直しちゃったよ」


椅子の背もたれにもたれ頭の後ろで腕を組みながら

モニターを見ながら銃器科会長の蛍さんはそう言った


「だね~

キス魔かと思ってたけどそうでもな~さ~そ~う」


ゆったりふんわりと科学科会長


「望月君はとっても優しいんでありますよ!

拳を交えれば分かるであります!本当にいい人なのであります!」


にぱぁと屈託の無い笑顔で機械科会長


「そうね

少々おいたとかがすぎるのもあるけれど物好き君は優しい?かしらね」


怪しい屈託ありまくりの笑顔で魔法科会長


「望月君はやっぱり誰にでも優しいと思うよ?

彼のスローガンはたぶん自分の身の回りの人に優しく慎ましくだろうね?」


「ふむ流石我が愛弟だ何もかもが素晴らしい」


部下を自慢する上司の様な普通科会長

愛故にベタ褒めまくる魔王科会長

鋳鶴君がおばあさんを家に送るために歩き出すと会長勢がモニターに釘付けになります

おばあさんを背負った鋳鶴君の前には近くの高校か中学の制服を着た女の子が複数人いました


「あ望月君だ!」


鋳鶴君の進路を女子生徒達が塞ぐ

彼女たちは陽明学園の生徒では無いが

おそらくどこかの学校の生徒なのだろう

それを見て虹野瀬さんと結さんが椅子から立ち上がった


「奇遇だな虹野瀬、私もそう思った所だ」


「あら本当に?奇遇にも私も物好き君を締め上げたくなってきたの

ただし場合によってはだけれど」


既に結さんの手には刀、虹野瀬さんの手には魔道書が

場合によってですからおそらく大丈夫でしょう

女子学生と仲良く話している鋳鶴君を見て二人の堪忍袋は限界です


「あ、お姉さん達ですか今度は何ですか?

僕にできることなら相談とかに乗りますけど」


「鶴ちゃんは人気者だねぇ」


鋳鶴君の後ろからおばあさんが声をあげる

女子生徒の皆さんは学生カバンのジッパーを開き

その中からクリアファイルを取り出した

そこには難しい文字と英語が並んでいた


「望月君これ日本語訳してもらえる・・・?

私達じゃ読めなくて・・・ごめんねぇ~・・・」


クリアファイルから取り出されたプリントを鋳鶴君は見つめた

英語が乱立していてなおかつ活字で描かれている

とても普通の学生では読めないしかし鋳鶴君はそれを・・・


「たぶん、

これはお姉さんの学校の英語の先生か誰かからの御礼の文だと思います

でもとても長く鮮明に書かれていますお姉さん達に感謝してるんじゃないんですか?

きっとそうだと思いますよ

最後の所にコングラッチュレーションみたいなことが書いてありますよ」


鋳鶴君がプリントを入っていた時と同じようにクリアファイルにプリントをしまい込み

女子生徒の1人にプリントを渡し、女子生徒は満面の笑みでそのプリントをしまい込んだ


「ありがとう望月君!

御礼は私達、いま私達お金持ってないし・・・

今度学校に遊びに来てよ!何か奢るからさ!」


女子生徒の皆さんがノリノリで鋳鶴君を誘うが鋳鶴君は腕を振った


「行きたいところなんですけど・・・

ちょっと最近忙しくて遊ぶ時間も無くて・・・」


鋳鶴君の表情が曇る

その表情を見て女子生徒達が集合し鋳鶴君に聞こえない様に話し出した

鋳鶴君はおばあさんが若干さがって来たので一度おばあさんを抱えたまま

少しだけジャンプした

その間に会議?を終えたのか女子生徒が鋳鶴君を見てニコニコしていた


「もしかして望月君・・・彼女とかいたりするの?」


「ブハッ!かかかかかか彼女っ!?

そんな人僕にはいませんよ!?

忙しくても家事とか色々ですよ・・・

彼女作る暇なんてありませんし

彼女作る暇があったら姉達を自立させることを最優先にしてます・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」


生徒会長達と女子生徒達が黙り込む

そもそも鋳鶴君にはあの姉達の面倒を見ているので基本的に暇な時間は無いのです

休みの日は買い出しなど衣服の購入、そして毎日の様に炊事に洗濯、

無限に全ての当番は鋳鶴君なのです

たまに妹のお二方が兄の身体を気遣ってお手伝いしているそうですが・・・


「そっか~・・・

望月君のお姉さん達結構有名なんだしね~・・・

仕方ないか~でも彼女さんがいないんだったら私達の誰かが立候補してもいいかな!?」


「いえっ!いいです!皆さんお綺麗ですけど僕の彼女なんて大変ですよ!?」


「やっぱりそうだよね~・・・」


女子生徒達の反応を見て鋳鶴君はホッとする

一方生徒会長達はというと

結さん以外の生徒会長全員が結さんに死んだ目で視線を送っていた

きっとこいつの生で望月君は女の子と、異性と付き合えないのだろうと

結さん以外はさっしたのである虹野瀬縒佳を除いては


「む?どうしたのだみんな監視はまだ終わってないのだぞ?」


結さん以外は全員黙ったままディスプレイを再び見つめ直した

本当のことを全員言ってやりたいのだが本人が自覚してなさそうな為

全員言いたいという気持ちを必死で抑えたのだった

鋳鶴君は女子生徒と別れた後おばあさんを無事送り届けた

おばあさんは鋳鶴君に御礼をと1000円を渡そうとしましたが

鋳鶴君はそれを断り家路につこうとしていました


「やっと家か・・・その前に買い物しないとな・・・」


そう言って鋳鶴君は家からすぐにあるスーパーマーケットに立ち寄った

買い物篭を取って淡々と野菜売り場に向かう

今日はレタスの特売の日らしく鋳鶴君の目付きも変わっている

目付きが変わった途端、鋳鶴君はあるものに視線が釘つけになった

その視線の先には


「いっ!鋳鶴!?どどどどどっ!どうしたんだっ!!!???」


学校で見る三河さんとはひときわ違う

ポニーテールにカジュアルな服そしてその上にエプロンの姿の三河さんがいた

制服と違った雰囲気が出ていて元から三河さんのことが大好きな鋳鶴君はドキドキが止まらなかった


「ああっ歩?歩もお買い物だよね・・・」


結さんが対等していた刀を抜いて静かに型をとった

と思いきやその手には刀は握られておらず木刀もない

そこはあえて突っ込むまいと他の生徒会長達は結さんを無視して

ディスプレイに釘付けになっているふりをした





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