第69話:魔王と因縁
「もう・・・大丈夫です
理事長・・・ご迷惑をおかけしました
あと、マルコさんもありがとうございます・・・」
鋳鶴君は倒れてから理事長室に運ばれていた
いつもはジャンヌ理事長が睡眠を取る大きなベットで横になっていた
いきなりの頭痛そして右手と魔王紋の反応鋳鶴君は
何が起こったか気になっていた
「大丈夫ですか?
マルコと私への御礼よりも立海さんへの御礼を忘れないでくださいね
お墓参りが済んだのならもう下校時刻なので帰った方がいいんじゃないかと
私は思ったのですがまだ用事でもあるのなら早く行ったほうが・・・
貴方を待っている方がいるのではないですか?」
ジャンヌ理事長が鋳鶴君を学園長室から出るように促す
マルコさんも縦に首を振った
鋳鶴君は何も言わずに二人に従って部屋を出ると二人の目付きは変わった
ジャンヌ理事長のいつもの笑顔は表情から消えマルコさんの笑顔も消えている
「貴方ですねマルコ、望月君を覚醒させようとしたのは」
「はてさて理事長言っている意味が分かりません
私は望月君をここまで連れてきただけです」
「嘘はやめてくださいマルコ
すでにミス・白鳥が現場を目撃していました
貴方が祈りを捧げているのを見たと
彼の前での聖なる祈祷をするなど言語道断
今ここで貴方に刑罰を与えてもよろしいのですよ?
マルコ・カメリアンヌ・ジャスティス」
「刑罰だなんて恐ろしいことを言うようになりましたね
ジャンヌ理事長、私はただジャパニーズ棺桶に祈りを捧げただけです
それだけで刑罰は酷いというものではないんじゃないんでしょうか?」
「たとえ私達が見ていなくても神は見ていますよ貴方の悪行を」
ジャンヌ理事長の言葉を聞くとマルコさんは高笑いをした
それは理事長室中に響いている
ジャンヌさんは包み隠さずマルコさんに軽蔑の視線を向けた
まるで汚物でもみるかのような鋭い目つき
マルコさんはその視線を素直に受け止め笑顔で
ジャンヌさんに対応した
「マルコ、あなたは本当に神を信じ
神のために信仰を広めるのをしていますか?
神の教えに背いてはいませんか?」
「えぇすべて実行しています
あなたに言われたことは毎日していますよ
そう心配なさらずとも私は神に背く事はありませんよ」
「そうですかならいいんですがね
日本にはまだ慣れてないと思いますので日本観光でも楽しんでいてください
ありえないと思いますがくれぐれも軽率な行動はやめてくださいね?」
「それは重々承知しています
それでは私はまだ日本観光の続きをしますので失礼」
そう言って理事長室の重々しい扉を開き一礼してマルコさんは去った
ーーーー望月病院ーーーー
「んで助けに行かないのか?結局私を倒しても行かないのか・・・・・・?
本当に胸糞悪いし腹立つなお前といると・・・・・・」
「いいじゃんwwいいじゃんww
鋳鶴は大丈夫だからww久しぶりにご飯でも食べようよww!
丘の上のレストランでも予約してさww」
「いやだ
てめぇとレストランなんて死んでも嫌だ・・・・・・
はいこの話はこれで・・・」
「やっぱり昔言ったところがいいかなぁww
雅はおいしいごはん本当に大好きだからww
本当にっしっかたないなぁ~ww」
霧谷さんが無理やり雅さんの話を切りました
雅さんが明らかにイライラしているのが目に見てとれます
もう握られた拳がギリギリ音を立てているのが聞こえます
「そっそんなにww!?
そんなに怒りを顕わにしてるの!?というかバレバレだしww
雅のそういう所が大好きなんだよなぁww」
「霧谷さんっ危ねぇ!」
遠くから二人を見ていた犬塚さんがそう言ったその時
雅さんの握られた右拳が霧谷さんの右頬目掛け物凄いスピードで襲いかかった
しかし霧谷さんはそれを受け流し雅さんのバランスをうまく崩し
それを優しく両腕で受け止めお姫様抱っこをした
「・・・・・・・・・・・・」
「僕には受け流しがあるんだよww?
だから雅は僕にパンチはできないんだよ~ww
可愛いなぁ畜生め~ww」
「お前・・・まぁ、いいかたまにはいいのかもしれないな」
「そそwwそれじゃあ料理屋さんでも行こうかww」
「おう・・・」
「なっ!院長しごっ・・・!」
雅さんを引き留めようとする犬塚さんを蓮さんと里中さんが犬塚さんを羽交い締めにした
犬塚さんが力を入れてもふりほどける様子はない
しばらくして犬塚さんに力が入らなくなると蓮さんと里中さんは雅さんに握り拳をつきつけた
雅さんはそれが何かのサインだと悟るとお姫様抱っこされながら霧谷さんとその場を後にした
ーーーー学園長室前廊下ーーーー
マルコさんはジャンヌさん理事長との話が終わると日本観光の続きをと
学園長室前のとてつも無く長い廊下を歩いていた
歩けど歩けど道は続き出入り口などないかの様な雰囲気をかもし出している
「ジャンヌ理事長は本当に用心深い方ですね
ここまで廊下を長くしなくても大聖堂よりも長い廊下なんて始めてみましたよ」
マルコさんが独り言を途中で止めた何かの気配を感じたのか構えを取って硬直した
しかし何も無いのかと思い歩を進めると背後から何かを突き付けられる感触を感じた
そして歩を止めるマルコさんの背後には鋳鶴君のクラスの担任の先生
白鳥先生がマルコさんにナイフを突き立て立っていた
いつも学校内で来ている白衣を脱ぎ捨て真っ黒のライダースーツに身を包んでいる
「これはこれはMs白鳥
私が一体何をしたというのですか」
「何をした?貴方が望月君を魔王にしようとした
違うかしら?それにまるで誰かがこの場に居ることを知っていたかの様に
大聖堂の頃から貴方のことは知っていたけれど
なかなかの策士ねでもここで貴方の野望は終わらせて貰うわ」
「そうですか私には野望も何も無いのですが
ただ危ないですよ?私も疑いをかけられて人に優しくできるほど
優しくありませんから」
マルコさんの言葉通りいつ仕掛けられたのか分からないギロチンが
白鳥先生に取り付けられていた白鳥先生も何をされたのか分からないぐらい
ただ早くきづくこともできなかった
「いつのまに・・・首狩りギロチン?」
「いえ、ただの断頭台です
私に野望はありませんと言ったら嘘になりますね
でもここで言うのはあまりにも勿体ないそしてこの上つまらない
そしてこのことをジャンヌ理事長に知られるのが私にとって一番の恐怖なのです
それに首狩りギロチンなのなら留め金が無いので設置そして獲物が入った瞬間
ズドン!ですよ」
「確かに私も理事長から色んな知識を頂いているからそれぐらいは心得ているわ
そして貴方がそれを使えることも私は知っている
だからその攻略法だってねこのギロチンにかかっていなければ貴方を貫けたのに」
白鳥先生は残念そうにナイフを降ろした
それと同時にマルコさんも断頭台を解除して白鳥先生を解放する
「一つお聞きしたいことがあります」
マルコさんが口火を切る
「何?」
「貴方は望月君の担任の教師として彼を心配しているんですか?
それとも貴方が愛した人の面影でも残っているんですか?
似てますよね彼は本当にそっくりだ
顔とか体格ではなく彼の存在自体にそっくりです
本当に残念です大切な人を亡くしましたねMs白鳥
同級生だったあの頃が懐かし・・・・・・い?」
マルコさんが話し終える前に白鳥先生がマルコさんに再びナイフを突き付けた
先ほどとは違い今度は首に若干刺さったのかマルコさんののど仏からは血が滴っていた
白鳥先生の目付きは目尻が上がり怒りを顕わにしている
そしてその怒りでマルコさんを刺してしまわないようにと手が震えていた
「殺さないのですね
それが貴方の甘さなのかもしれませんね」
「そういう貴方も優しくないのね
罠がいっぱい仕掛けられているぬかりのなさはあのときと変わらない」
「お褒めの言葉ありがとうございます
ただ私もビックリしてしいまいました」
白鳥先生は全身を拘束具で覆われていたことに気づいていた
マルコさんの技はそれほどにまで早く繊細で
この一瞬の間にも白鳥先生の首にギロチンがかけられていた
二人の間に奇妙な時間が流れるお互い差し違えるぐらいならできる程の技量を備えている
お互い動かず静かに時間が過ぎていく
「差し違えないんですか?
それとも私を殺す自身が無いのでしょうか
差し違えても私から守りたい、そんな人がいるのではないのですか?
それとも怖じ気づいたのですか?人を殺すことに
いつもやっているのでは無いのですか?
貴方の仕事ではありませんかMs白鳥」
「黙ってくれる・・・?
私も好きでしてる訳じゃないの・・・
仕方なく・・・仕方なく!」
マルコさんの言葉に白鳥先生は心を乱す
マルコさんはまるで罠に嵌った獲物を見るように笑みを浮かべながら白鳥先生を見た
「仕方なく?仕方なく人を殺すのですか?
仕方なく殺される人間は一体なんの為に生まれてきたんですかね
貴方に殺される為に生まれたのでしょうか
殺された人たちが可哀想でたまりませんね
それでも貴方は殺し続けるのを止めない
そうしないと自分を保っていられない
自分がどうにかなってしまうから」
マルコさんはさらに白鳥先生の心を乱す
白鳥先生は全身が震え全身に鳥肌が立っている
言葉も発することもままならなくなっていた
「そんなMs白鳥に朗報です
次のターゲットが決まったとのお知らせが届いています」
マルコさんが出した右手には白鳥先生の携帯電話が握られていた
携帯の画面をスライドするとそこには新着メールが届きましたと表示されていた
それを見てマルコさんは何の躊躇いもなく新着メールを受信ボックスから開いた
from:German army
The following target motiduki iduru
Erase immediately
件名:ドイツ軍
次のターゲットは望月鋳鶴
早急に抹殺せよ
マルコさんが飄々とメールの文章を読んでいく
白鳥先生の目がはっきりと変わったのが見て取れる
「ドイツ軍とメールですか
人気者は辛いですねぇ・・・
ただ次のターゲットは自分の生徒ですか
ドイツも冷酷で非道な作戦ですねしかしそれが貴方の宿命」
「黙れ・・・黙れっ!!!!!!」
両手で突き付けていたナイフを右手だけで持ち
左手でライダースーツのポケットの中に入っていたナイフを
マルコさんの脳天に突き付けた
「私を殺しますか?
私はターゲットではありません
それに私は貴方よりも強い勝算はありません
仮に私を殺せても貴方は犯罪者
世界をまたにかけて仕事していた人間が犯罪者ですか
それを想像したら滑稽ですね」
ハハハハとマルコさんは高笑いをする
白鳥先生は唇を噛みしめ自分の立場を悔やんだ
マルコさんは携帯を近くにあった白鳥先生の白衣の胸ポケットに入れると
白鳥先生を見ることなくその場から立ち去った