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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々7
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第65話:魔王と学園長


「学園長…

僕になんの用があるんだろう…

何か怖いな…」


学園長室に向かう鋳鶴君、

やはり彼でも学園長に呼ばれるともなると緊張するようです

この陽明学園の学園長は人の前に出ることが嫌いではないのですがあまり人前には出ようとしません

なので人を呼び出す事などさらに珍しく先生方でもそうそうありません

そのため今日のこの時間に流れる今の空気はざわつきではなく鋳鶴君に何があるのかはたまた何をされるのかといった生徒達の視線やひそひそ声の塊なのです

学園長室への道のりを辿って行くうちに鋳鶴君は行き止まりにさし当たりました

気づけば背後以外は壁で道はありません

あるのはコンクリートで丈夫に固められた壁しかありません後ろには鋳鶴君の後をつけてきた大量の生徒達

鋳鶴君が戸惑っていると壁に歪みが現れ道がうまれました


「これは…?」


「あなたが望月鋳鶴君ですね?

その道を直進してください

私はその道の先にいます早くきてくださいね

あなたの顔を早く私はみたいの

それとも私が恐い?」


壁から声が響き渡り鋳鶴君に声をかける

野次馬の生徒達は今、何が起こっているか分からないようです鋳鶴君は驚きながらも壁に声をかけます


「恐れはありません

ただ学園長直々のお呼びだしと聞き

緊張しているだけです

それに学園長に会いたくない訳でもありません

顔はもうすぐご覧にいただけますよ

すぐ向かいますので」


「良い顔をしていますね

そうですね…簡単に私の所に着いては面白くありません私の所までにトラップを仕掛けましょう

その方が私もあなたの実力を知れますしあなたへの特訓にもなります

体育大会で普通科を優勝に導いた実力を見せてくださいね?

それとお気づきのようかもしれませんがこの会話はあなたへテレパシーのような伝達方法で話しています

外部の人間には聞こえていません

それとその正面の扉も外部の者には見えません

安心してください」


「分かりましたそれでは今から向かいます

心してお待ちを!」


壁に向かって鋳鶴君が歩き出す

背後にいる生徒達は鋳鶴君の行動に驚きざわついている

生徒達に構わず鋳鶴君は歩みを進めた





ーーーー国会議事堂ーーーー





「やっぱり彼女が魔女だったか…

やっぱりあの時に手を加えるべきだったかな~…」


霧谷さんに笑顔はない

いつもの笑顔ではなく考え事をしている

珍しくも真剣な眼差しで霧谷さんと


「我々も予想外だった…

若い魔女が増えているとはいえ甘かった…

完全に我々のミスだな」


前神大臣は深々と頭を下げる

霧谷さんは腕を組んで二人の間にある机の真ん中に置かれた

A4用紙のプリントをみつめている


「困ったもんだよね~ww

いくらなんでもこの歳でこんな大きな事されちゃうと将来が楽しみだww」


霧谷さんの笑顔に前神大臣と霧谷さんの緊迫とした緊張が解かれる


「確かにそうかもしれないな

しかぁし!霧谷君、彼女は自称する程魔王の力に近い力を持っているのだ

君の力でも魔王の力はやはりどうしようもならないのかね?」


「いやぁ~ww

もう流石に闘うのはあまり避けたいなぁ~ww

それに僕が闘っちゃあ今の若い人たちが成長しないww

僕も大臣も戦争とかをきちんと経験して今、今日この立場にいるんだよねww

正直面倒だしww溜まったゲームとかもあるしそれに家族の事もあるしさww

それに今の日本に魔王はいるwwそれを対抗戦力にすればいいww」


霧谷さんは笑いながら前神大臣の背後にいる文官を呼び出し

小声で文官に飲み物を頼んだ


「ゴホン!だがしかし霧谷君の御氏族はまだ中学3年生ではなかったか!?

そんな彼に未来を託すのは私には心配でたまらん

鋳鶴君には荷が重いしまだ時期尚早、若すぎる・・・・・・」


霧谷さんは眼鏡を外して文官が運んできたティーカップに手を伸ばした

それを少しだけ啜ると前神大臣に右手を指しだし人差し指を指した


「時期尚早ww?

魔王にそんなものないさww

それに覚醒だとか強くなったとかww

魔王は最初から最強なんだよww

僕みたいに貰った力を使いこなし強くなった訳でもなくww

最初から最強なんだよねww

でもなぜ今、僕の息子があの程度の力しか使えないのかというとその原因には3つある

一つ目は迷いかなにか拒絶反応がある

自分の力を使う事に躊躇いや使うと何か考えてしまう事もある

それが力の解放を邪魔している

僕の息子は自分で言うのもなんだけれど優しすぎる得に女の子にはね

女の子に悪口は言われても自分でそれを受け止めてしまったりするからね

それに僕に似て顔が美形なんだよねwwこれがまったww」


それは違うのではと思いつつも大臣は口を噤んだ


「だから女の子に優しくしたらまぁーまぁーこれがいつもの三倍増しぐらいイケメンに見えるんだよ~ww

まぁある一の感想なんだけどね?それと鋳鶴の中に何か迷いがあるっていうのは僕にもわからない

僕はこの国の所為で忙しすぎて昔の息子娘達をしらない

でも何かあってそれがキーだとすれば鋳鶴は魔王の力を完全には使えない」


大臣は内申謝りながらコクリと頷いた


「そして二つめがこれがまた・・・・・・

身体能力の限界かな

人間には限界というものが存在する

身体の限界、精神の限界、様々な限界がある訳だ

今の鋳鶴の限界の壁が現状の魔王の力だったらまだ伸びしろはあるのかもしれないし

ないのかもしれない

だから今の鋳鶴の体力や体の関係で全開は無理だろうね

魔王の力を使っても精々、ドイツの魔王さんには傷一つ与えられないね

彼女も魔王だとしたら彼女も全力を出していない

だけど鋳鶴よりは上だよ勝算は無いし日本はこのままじゃ終わりだね

でも僕は闘わない僕がいればみんな手をゆるめて気を抜いてしまう

だから参戦しないあえて闘わない、叫ばない、意見しない、疑問を持たない

次世代だよもう僕たち古い世代は終わりだ

四大皇王の4人も僕たち元魔王討伐軍も16英雄も次世代に任せようじゃないか

そうしないと未来に小坊を託した僕の仲間達に申し訳がたたない」


霧谷さんは国会議事堂内部、中央部にある祭壇を見つめた

そこには今まで世界の為に貢献し奮闘し死んでいった者達の棺

数え切れない棺の囲いの中に13の棺が囲いの真ん中で他の棺よりも上に置かれている


「そう

みんなが報われない

世界の為に未来の為に全てを賭けて戦った

だから・・・・・・

未来に託そうよww世界はまだ良い物で満ちあふれているww

僕ももうそろそろ隠居したいしww

大臣も早く総理大臣変わっちゃいなよ~ww

隠居始めたら毎日メイド喫茶にゲーセンに~ww」


霧谷さんが満面の笑みを浮かべると大臣は大きなため息をついて頭を抱えた

大きなため息をついて落ち込んでいる大臣の後ろからなにかが大臣の背中を小突いた


「ん?」


「随分と楽しそうですね大臣」


そこには着物を着た美しい女性が

大臣と話そうと大臣の背中を自分の手で小突いたのでしょう

女性は薄い笑みを浮かべ微笑している

立ち回りも美しく配慮しながら霧谷さんと前神大臣の眼中に入る


「まっまさかww!神室かむろ!?相変わらず可もなく不可もないでありますなww!」


「目付きが随分といやらしいです霧谷様」


よく見ると大人びた女性はまだ幼い女性にも見える

しかし体の肉つきは可もなく不可もなく平均的な体格をしている

霧谷さんは神室の体を見つめてなめ回すように神室の体を見た

大臣も一緒になって神室さんを見ている


「・・・・・・・・・・・・」


「これは・・・・・・」


「如何したか?望月君!」


自分の体をなめまわすように見られて30秒


「これはDカップブォウハッ!!!!!!」


神室はゆっくりと右手の白い手袋を取った

そして霧谷さんの顔の前で思いっきりその右手を天井に向かって掲げる

思いっきり掲げられたその右は平手状の構えになり

霧谷さんに向かってその右手を振り下ろす

黄金の右平手が霧谷さんの左頬を直撃し国会議事堂の壁に見事に霧谷さんの型を残した

さらに霧谷さんの頬にも平手の腫れを残した


「あまり見ないでください

私は大臣のモノ(女)ですから」


「相変わらずだよ大臣!

僕の事をビンタ出来る女性なんてこの子と雅しかいないよっ!

相変わらずの大臣は良くて他人は駄目なんてっ!

ある意味最低だよ!とにかく最低だよ!エロゲーとかギャルゲーに出るような

メイドキャラかよ!僕にもメイドほっしいよ!大臣っ!」


「霧谷様

私は貴方に最低などという低俗な言葉など吐かれたくもありませんし

最低という言葉は霧谷様にはお似合いです霧谷様は最低の塊というか

地球規模を越えている最低の塊です強いて言うのなら最低の太陽です」


きっぱりと言う神室さんに対し返す言葉すらない霧谷さん

霧谷さんの悔しがる表情を見ても神室さんはずっと霧谷さんを見下したままです


「何かお困りでしたら私がドイツまで行きましょうか?

それともお二人で行かれますか?それとも霧谷様無しで二人でハネムーンと行きますか?」


椅子に座っている大臣の肩を取りながら神室はそう言った


「そういえば神室は前の奥さんに似てやっぱりキレイだよねww」


「そうですか?私は普段通りなのですが」


霧谷さんに褒められて少し赤くなる神室さん

赤くなった神室さんの表情を見て前神大臣は神室さんを思いっきり抱き寄せた


「凄いだろう?私の自慢の家内だ!

べっぴんさんだろう!?羨ましいだろ!?」


程良い力で神室さんを抱きしめる前神大臣、

霧谷さんもそんなラブラブな二人を見て嫉妬中の模様です


「僕だって全盛期は大臣夫婦よりもラブラブだったから!

それに雅だってまだまだ可愛いし僕の雅の方が断然っっっ!可愛い!」


「そんな事はない!私の神室だって非常に可愛いし

霧谷君の嫁よりもムチムチのエロエロだっ!」


「あんまし爺が調子に乗らない方が良いんじゃないのかなぁ~ww?

ぎっくり腰にすんぞ~ww?」


「はん!まっだまだ若い者には負けんわ!愚か者!」


「愚か者はどっちか今此処で証明してあげようか!?」


「あぁ!いいだろう!証明してやる!」


お互い拳を構える前神大臣と霧谷さん

自分の嫁を馬鹿にされた事が堪忍袋の緒を一瞬で切ったのでしょう

二人が構えあいお互いの視線があうだけで国会議事堂の中は地震の様な

現象が起こっています


「お二人ともやめなさい」


神室さんが火花を散らしあっていた二人の間に割り込み

霧谷さんの頭と前神大臣の頭を適度な強さで叩きました

二人ははっとなると辺りを見回し国会議事堂の中の荒れ果てた様子に気がつきました

辺りは騒然会議中だった国会議員達も椅子から転げ落ち議事堂内は大変な騒ぎになっています

二人はそれぞれの顔を見合わせると手と手を取り合いました


「大臣、神室も雅もムチムチのエロエロじゃ駄目かな?

このまま僕と大臣が闘ったら国会議事堂だけでなく東京自体が消えてしまうかもしれない

互いの奥さんを認め合って評価しあうのもいいけどこのままだと評価どころじゃない死合いになりそうだよ

それにここはスカイツリーとか東京タワーに次ぐぐらいの有名スポットというか・・・・・・

政治家達の集まる所だから壊したりしたら大変だwwww」


霧谷さんは笑い声も混ぜながら真剣な眼差しで大臣の手を取り目を見つめた

大臣も霧谷さんの態度と視線を疑って手をがっちりと組んだ


「そうだな霧谷君の嫁も神室と同等にいい女だ

ツンデレだった事もあったしなそれに強い女は私も好きだ

それ故に神室を選んだそれだけのこと!

それに雅君は腰のラインが素晴らしいと聞く!

今度、此処に連れてきてはどうか、すまない彼女は此処が嫌いだったな」


楽しそうに話していた大臣の表情が悲壮感を帯びた表情に変わる

雅さんがこの国会議事堂が嫌いどんな理由があるのでしょうか

現在の国会議事堂は過去の国会議事堂とは違い階段は全てエスカレータ式

至る所にエレベーターが備え付けられ年配の方々の国会議員さん達に無理のない様に作られています

外観は変えず中を変えており外から見れば昔から何の変哲もない国会議事堂

議会を行う部屋の内装も変えられており全て浮遊する透明の机と椅子

投票権には指紋と本人を確認するセキュリティシステム

そして極めつけは外からの攻撃から耐える様に作られた建造物そしてそれを更に守り固めるための魔法の壁

国会議事堂には前神大臣が許可して入れる者または政治家のように特殊なパスを持つ者のみとなっている


「まぁww気にしないでよww

大臣が気に病むこともないしww

それに雅は僕がいれば大丈夫さww

だから安心して政治しなよ外交とか戦争とかは僕1人でやっとくからww」


「霧谷君に頼む事になるとはなんとも忍びない・・・・・・

君はもう一般市民に近いというのに・・・・・・」


「世代交代までは頑張るよww

あと最近ランキングが更新されたんだww」


そう言うと霧谷さんは徐にポケットから皺だらけになって丸められた紙を取り出した

それを丁寧に広げると机の上に広げた

そこにはプリントや印刷ならではのコンピュータで打たれた文字でランキングがのっていました


1位 望月雅 完全破壊者


2位 高津伸也 拒絶


3位 ジャンヌ・アルカヌス 聖銃士


4位 氷点下の魔女 完全凍結


5位 本多兵五郎 古今無双


6位 マルコ・カリアメンヌ・ジャスティス 聖十字


7位 武練ぶれん 中国三大無双



七人の名前が記されていた

前神大臣はあ然としたまま固まっている

霧谷さんはそれとは対照的にキレイな笑みを浮かべている


「というかこのあだ名みたいなのは?」


「あ~wwこれww?

僕が勝手につけましたww

でもみんな強いよww?僕の服を破れる能力はあるからねww

まだまだ強い人はいるよwwこれ以上ランキング的なの作っても面倒だしww

七人だけでも並べてみたんだww」


霧谷さんが笑顔でニコニコとしている中神室さんが徐に国会議事堂の壁にかけられえた薙刀を抜いた

それを霧谷さんに向けて思いっきり振り下ろす

霧谷さんはその薙刀を受け止めようともせずかわそうともせずただただ立ったままだった

しかし神室さんの振り下ろした薙刀は霧谷さんから逃げるように振り下ろされ廊下に突き刺さった

神室さんは驚きで開いた口が塞がらない、対照的に霧谷さんはニコニコしている

大臣は呆れた表情で神室さんの硬直を見てため息をついている


「薙刀が避けた?」


「避けたんじゃない、受け流したんだ

これが僕の能力の一つ単なる受け流しだよ」


霧谷さんは自分の服に付着していた塵を払った

神室さんは硬直したまま動かない


「ならばこれはどうです」


神室さんが薙刀で霧谷さんを捕らえようと目にも見えぬ速さで刺突の連撃を始める

霧谷さんは着ていたコートを脱ぎ刺突を全て受け流しながらコートを地面に置いた

この間も神室さんの高速で放たれる刺突全ては霧谷さんによって受け流されている


「教えてあげるよww

僕の第2の能力ww

大丈夫wwケガはさせないからww」


霧谷さんはほくそ笑みながら神室さんをあしらった

次の瞬間神室さんと大臣の前から霧谷さんは何の前触れもなく忽然と消えた



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