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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々6
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第64話:魔王と返ってこない平穏な日々


体育体会から一週間が過ぎた

損壊した体育体会施設の修復、校舎の建て直しなど

様々な事があったそうです

鋳鶴君の呼びかけにより結さんへの誤解も解けました

結さんは極度のブラコンから魔王科の誇るべき会長に戻っていました

鋳鶴君もそんな結さんに頭を下げられ鋳鶴君はこんなの当然だよ言い張り

結さんと魔王科の女性陣に対する株を上げまくっていました

そして今鋳鶴君は普通科中等部校舎1組の自分の机でふてくされていました


「ねぇ、桧人、僕ってみんなに何かした?」


「気づかないのか?まったくお前はアホにも程がある」


「自業自得・・・・・・」


「そうだな望月、お前がアホなんだよ」


「ちょっちょっと待ってくれよ僕が一体何をしたっていうんだ!

ちなみに・・・・・・隣の人の事じゃないよね・・・・・・?」


「僕の事じゃないよね?

鋳鶴の隣に座ってるだけだしね」


鋳鶴君の隣にはシャルさんがどっしりとした態度で座っています

桧人君はシャルさんの態度を見てもうお手上げです


「あのなぁ・・・・・・

あんたは何で鋳鶴の事が好きでそこにいるか知らんが

そこはとある生徒の席でなあんたみたいなのが座れる席じゃ・・・・・・」


「此処に座っちゃ駄目なの?

それじゃあ座らないけどごめんなさい」


そう言ってシャルさんは立ち上がって皺が出来たスカートを伸ばした

影太君がカメラのシャッターを連打しています

16連射を軽く陵駕するスピードで連打しています

それほど外国人の美少女は珍しいんでしょう


「は・・・・・・!は・・・・・・!はは!

私の席に見知らぬ女子が・・・・・・!

それも魔王科の・・・・・・!はは・・・・・・!ははは!」


時既に遅し

教室の入り口で三河さんが買い物袋を落としながら叫んでいました

よほどショックだったんでしょう放心しながら棒立ちです

棒立ちのままゆっくりと三河さんは魔法陣を展開し

竹刀を取り出しました


「きぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!」


「ちょっ!歩!しっかりしてくれ!

僕は潔白だよ!シャルとは何もしていないよ!本当だよ!」


「へっ!?そうなのか・・・・・・?

ならまだ・・・・・・」


三河さんが正気を取り戻し再び魔法陣を展開し竹刀を戻します

クラスメイトの皆さんはざわついていてとても賑やかになっています


「じゃあ明乃さんと鋳鶴は夜な夜な何をしてたの?

別に気にする事でもないと思うけど」


「鋳鶴!逃げろっ!このままじゃお前は死ぬっ!」


落ち着いた三河さんにシャルさんの横やりが入ります

桧人君は鋳鶴君の身の危険を考えて鋳鶴君に叫んで注意を促します

三河さんは魔法陣を再び展開し直し棒状の何かを取り出します

そこには銀色の光沢を放つ三河さんの使い込んだ刀が


「誤解だ!誤解なんだ!

僕は明乃さんと行為なんかしちゃいない!検査されただけだ!

大事な物も取られちゃいない!僕は何もしてないよ!」


「問答無用っ!!!!!」


怒りによって三河さんのポニーテールが逆立つ

三河さんの魔力で周囲の文房具や塵が浮いている

それを見て鋳鶴君は真っ先に教室から脱出する


「鋳鶴ぅぅぅ!

お前はどれほどの女子を貶め!辱めれば気が済むのだっ!

私の眼に余る程最近のお前は酷すぎるっ!この色ボケ変態男めっ!」


刀を思いっきり振り下ろす三河さん

鋳鶴君の視線の先ではコンクリートは真っ二つに裂けています

青ざめている鋳鶴君を見ながら三河さんは刀を振り続けます


「本当に誤解なんだ!僕は明乃さんと行為なんてしていないんだ!

ただ一緒に・・・・・・!はっ!」


「ほぅ・・・・・・一緒に?なにをしたんだね望月君」


三河さんの態度がいつもと違います

目元もまるで汚物を見るかの如く冷たく冷ややかな視線をしています

特殊な性癖の方ならお好みの視線かもしれませんが

ノーマルな鋳鶴君はゾッとしています

三河さんは未だに刀を振るのを止めずに鋳鶴君を真っ二つにしようと

まだいきり立っています


「仕方ない・・・・・・歩」


「無駄だどうせ私を抱きしめるつもりなんだろう?

今日はそんな気分じゃないお前を迷わず真っ二つにしてやる

世の女性陣がお前に天誅を下さない代わりに私がお前を斬り殺す

さぁ!鋳鶴!いい加減そこに治れ私が叩ききって・・・・・・」


「望月君、望月鋳鶴君、普通科の望月鋳鶴君

学園長が呼んでいます至急、学園長室にいらしてください

望月君、望月鋳鶴君、普通科の望月鋳鶴君

学園長が呼んでいます至急、学園長室にいらしてください」


機械アナウンスが陽明学園中に響く

それと同時に三河さんは刀を振るのを止める

三河さんと鋳鶴君の喧嘩を見ていた生徒達はヒソヒソ声で会話をはじめる

三河さんは魔法陣を再び展開し刀をしまう

戦意を失ったのか三河さんの剣幕が収まるそれを見て鋳鶴君はホッと胸を降ろす


「鋳鶴・・・・・・

お前、まさか学園長にまで・・・・・・」


三河さんが再び汚物を見る様な目で鋳鶴君を見つめる


「ちっ違う!学園長とは会った事も無いし!

そもそも呼ばれた事すら無いわっ!

それよりもう行くから!お説教なら後でみっちり受けるから

それじゃあまた教室でね!」


鋳鶴君はそう言って三河さんに別れを告げると陽明学園中央部に向かった






ーーーー魔法科会長室ーーーー





「学園長から望月君の呼び出しだってね?

まったく可笑しいとは思わない?虹野瀬さん?」


風間さんがいつも通りの態度で

いつも通りに玉座の様な椅子に座っている虹野瀬さんに声をかける

それも虹野瀬さんの部屋に置いてある机に腰掛けながら

備え付けられたランプの蝋燭の替えを手に取り眺めながら


「それがどうかしたのかしら?風間一平」


虹野瀬さんも風間さんに対しいつもの風間さんへの返事を返す

風間さんは笑いながら蝋燭を元の場所へ戻した


「だって可笑しくない?

望月君が学園長から直々の呼び出しだよ?

それも校内放送で大胆にね?

僕や君、他の科の会長なら分かるけどね?

それでも望月君が呼び出されるなんて偶然とかにしては贅沢じゃない?」


「貴方、それを本当に思っているわけ?

彼は少なくとも私達の様に特別な存在や学校での立場も家庭的にも特別ではない

でも家族構成や今での学校での評価を見ればいくら非凡でぐずな貴方でも分かるでしょう?

それに彼は魔王、という事も入れれば何か分かるでしょう?


「彼は特別、私達よりも」


そう考えるのが妥当でしょう

この前の魔王科戦を見れば尚更、

何か特別な事があるしか考えられないでしょう?

ライア・ポーカハイドの魔眼を防いで最強の侍を倒した

だとすれば科の移動もありえるわね

普通科じゃあ彼にとっては小さいわ

私の所や魔王科へ転科もわるわね

最も彼の意見を聞くんでしょうけど

まぁゆっくりしましょう久し振りの平和な日々なんだし

私もたまには彼の事を忘れてゆっくり過ごしたいわ」


虹野瀬さんは紅茶のティーカップを食器棚から取り出し

ポットに入っている湯を注ぎ紅茶のティーパックを入れた


「良い紅茶だね?

その紅茶僕も好きなんだよね?

いっつも雛罌粟と飲んでるよ」


「そういえば彼以外に、気になっている人がいるの」


「残念だけれどその人の事は好意的には見ていないよね?」


「なぜ分かったのかしら貴方自身だったという事に気づくなんて

勘がいいじゃ言い訳にならないわよ風間一平」


虹野瀬さんの発言に風間さんはやれやれと腕をふった

虹野瀬さんは不満があるのか顔をしかめている


「まぁまぁ?

そんな事別に気にしなくて良いと思うよ?

それに偶然当たったんだと思うし?

それに僕は好意的に見られていない事を残念に思うよ?

それじゃあ僕は本務に戻るとするよ?

じゃあね虹野瀬さん?」


風間さんは会長室に一つだけつけられている締め切られた窓のカーテンを開けて

窓を開けるとそこから落ちる様に出て行った虹野瀬さんのしかめっ面は変わらずのままだった






ーーーー国会議事堂ーーーー





日本の国会議事堂、

そこでは様々な情報が行き交い日本の大臣や重鎮達が弁論や議題を持ちかけ

話し合う場所、日本の首都東京に建てられたシンボルの様な建築物

そんな場所にはまったく不具合で似合わない男が大臣の前でまっすぐな瞳で座っていた


「ところでww

僕になんのようかなww

おもしろい話なら是非とも歓迎だしww

メイド喫茶のタダ券や割引券だったら僕は国でもすぐ滅ぼすけどww

でもやっぱり券じゃ駄目かなぁww

やっぱり一生パスポートじゃないとねww

話したい事って何さww

前神臣まえがみじん総理大臣ww」


彼の目の前に1人どっしりと構え座っている大臣が1人

体は老いていても筋肉質な肉体、髪の毛は黒みがかかった白髪をしている


「望月霧谷、君を呼んだのは他でも無い

メイド喫茶の件は後にして早速だが本題に入ろう」


渋みのある声で霧谷さんに前神大臣は指を鼻のしたで組んでまっすぐに霧谷さんを見た


「ドイツでの大量殺人事件の事についてだ」


「いやぁ・・・・・・

その話はあまり聞きたくないなぁ・・・・・・

何処でも噂になっているよ?

どんなサイトでもどんなニュース番組もその噂で持ちきりだ」


霧谷さんの表情がいつにもなく真剣になる


「その事件について、だが

諜報員から喜ぶべきニュースなのか悔やむべき

はたまた悲しむべきなのだろうか」


前神大臣の表情も自然と険しくきつくなる


「ドイツの隠れ魔女施設が崩壊したんだっけ?」


「その通り

勿論、我々やアメリカを始めとする他国の人間

ドイツの地方自治体などには喜ばしいニュースかもしれまいが

情報によると」


「16歳の女の子だそうだね

それも自分自身の事を魔王の再来だのなんだの

居住区などは分からないのだけれどドイツ人が有力だそうだね

それに崩壊した魔女施設など崩壊した施設の数々

全て倒壊、崩壊したのにも関わらず

人間の死体が一つも転がっていなくて政府も捜査中

そんな事を雅が言ってた気がするよ」


「まさしくその通りだ

それで合っている流石、世界一の望月夫婦だ

だが感心している場合じゃない

問題は魔王の再来と名乗った少女だ」


「そうだよね

名前はアリア・ポーカハイド

16歳それぐらいしかしらないやそれにこの子だと核心はもてないし

よくみていないからスリーサイズとか身長も分からないし本当に申し訳ない

お金を貰ってまでドイツに行ったのに何も掴めなかった」


前神大臣は霧谷さんの発言に首を横に振った


「いいや

君のしてくれた事は大切な事だ

周囲の国への牽制そして大統領の行動の萎縮、そして自重意識を持たせる

それが君への任務だったそれにさらに少女の名前を知っているとは

流石、望月霧谷君には感謝で心がいっぱいだよ」


「そんなことはいいさ

取り敢えずこの事について話し合わないとね」


「本当に大臣である私が何も出来ず

本当に申し訳ない」


前神大臣は頭を下げ霧谷さんに謝る

霧谷さんはそんな大臣を見ていつも通りの表情に戻る


「全然いいよww

大臣は国の中をやってくれればいいからww

大臣には僕も感謝しているよww

フィギュアやアニメグッズ等の割引券とかタダ券くれるしww

メイド喫茶の割引券もくれるし本当に感謝してるww

なによりも一番感謝しているのは・・・・・・」


霧谷さんはそこまで溜め込むと微笑みながら前神大臣を見た


「僕の子供達に暖かい、普通な生活を送らせてあげている事だ

本当に感謝している鋳鶴はたった1人の息子だし

可愛い娘達もちゃんと良く育ってくれているし

僕にとっちゃあメイド喫茶もアニメグッズも張りぼてみたいなもんだよww

どんな親でも一番大事なのは自分の子供だ

本当にありがとう・・・・・・!」


霧谷さんも前神大臣に頭を下げる

前神大臣もそれにつられていえいえと頭を下げる

二人ともいえいえと頭を下げ終わると席に戻った

やっぱり書かせていただきます!

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