第63話:魔王と決着
手甲を破壊され鋳鶴の手にもう武器は無い
ついに決着か!?
それとも?
会場中。学園中がカメラから映し出された映像をテレビで見ている
そこには結さんが全力で振り抜いた刀の衝撃で鋳鶴君がふっとんだ
様子が放映されていたそして手甲が割れているのに観客達は気づいた
鋳鶴君もそれに気づき体勢を立て直す
「手甲が・・・・・・ついに破壊されてしまったか」
「私の勝ちだなお前ではやはり姉は越えられなかったのだよ
本当に諦めろ私には勝てないもう私の下に来い」
鋳鶴君は手甲を手に添えたままその場を動こうとしない
結さんは鋳鶴君の手を取ろうと鋳鶴君に触れようと手を近づける
その時、鋳鶴君はその場から忽然と消え周囲から会場とスタジアムが消えた
「出るぞい?鋳鶴の本気かわしも喰らった事あるからもう見たくもないんじゃが
仕方ないのぅ
本気でいくと鋳鶴自身で決めたのだから
わしは止めはしないし皆も止めてはならぬ!
最も今、この場で本物の鋳鶴を見れているのはわしぐらいかのぅ」
三十朗さんが自慢の髭をさすりながら呟いた
「おじいちゃん!お兄ちゃんがいないよ!?」
「うん!兄ちゃんがいないよ!どうなってるの!?」
「私にも全く見えない・・・・・・眼鏡がおかしいのか?」
「私にも見えませんねぇ、恐子姉さんは見えますか?」
「幻術でも使っているんだろ・・・・・・?
私にも全くと言っていいほど見えない・・・・・・
というか全く見えない・・・・・・」
望月家の女性陣がみんなしかめっ面でスタジアム跡を凝視する
観客席の人たちも皆何処に鋳鶴君が居るか分からずざわついている
勿論スタジアム跡周辺にいる結さんでさえも戸惑っていた
「鋳鶴が消えた・・・・・・?一体何処へ・・・・・・?」
ーーーー中央保健室病院ーーーー
「鋳鶴が消えた!?」
「どうなってるんだ?あたしにも見せろ!」
「幻覚・・・・・・?幻影・・・・・・?」
「私にも見えない」
「私の眼鏡にも映りません勿論、風間会長の目にも」
「僕にも見えないね?本当にビックリだ」
「どうなってんだ?まったくみえねぇぞ?」
戸惑う普通科陣営それを見て魔王科陣営の皆さんが口を開いた
「これは幻術とか幻覚、幻影の一種ね勿論私達にも見えていないわ
ライアの魔眼でもミンの視力でも捕らえることは出来ない
でも結には見えるはずそれがいつもの結ならの話なのだけれど
今の彼女にその冷静さがあればどうにかなるし見えるはず
けれど望月君に集中、執着するあまり周りが見えていない結に
あの幻影を破る力は、技術は無いと言っていいわ
本当に・・・・・・おませさんなんだから」
明乃さんが甘い吐息を吐きながらうっとりしている
そんな明乃さんを見て外国人二人と侍少女はムッとした表情をしている
「でも!望月君ならやってくれるよ!
私、知ってる!日本人強い!特に男の子はここぞと言うときに!
師匠も言ってた!私分かる!望月君は勝つ!」
ーーーースタジアム跡ーーーー
「何処へ行ってしまったのだろうか
鋳鶴、出てきてくれこんな悪あがきは止めてお姉ちゃんの所に来てくれ
もう終わりにしよう喧嘩は終わったんだ
それともお前の最期の一撃とやらと私の一撃をぶつけ合おうとも?
こんな膨大な魔力を使う幻影だ
そう長くは使えまいお前の最期の一撃を放つには魔力が必要だからな」
結さんの掲示の様な言葉を聞き鋳鶴君が幻影を解除した
モニターにもテレビにも鋳鶴君の姿が残っている
「ねぇ。結姉、いきなりなんだけどさ」
「なんだ鋳鶴?」
「引き分けにしない?こんなのはやっぱり良くないよ
姉弟喧嘩も結姉とこんな事するのも
だからやめようよ
ね?僕は争う事が嫌いなんだそれは僕の事を愛しているぐらい好きな
結姉なら百も承知なんだと僕は勝手に思っているんだけれど」
「私はお前が欲しいんだ
引き分けじゃあ鋳鶴は手に入らない
私の物にならない私の傍にいてくれないんだろう?
だから引き分けでは納得いかない
だから私はこの大会に出たんだ
だから私はここに立ってお前と対面しているんだ
それは大好きなお前の為
そして今まで自分に厳しく生きてきた自分へのご褒美だ
だから私は剣を刀を取る
だから私はこの戦いにおいて勝利を求める
何も得ない何の得にもならない剣道の試合などどうでもいい
お前が手にはいるならそれでいい
私も剣道部など引退してやろうじゃないか
あんなくだらない部活お前の為なら即座に辞めてやれる
さぁ鋳鶴、お前に時間をくれてやる
魔力の回復でも傷の回復でも存分にするがいい
私は確実に勝利する
いいや勝利せねば私はどうにかなってしまいそうだ
最期に一つ言っておく
鋳鶴、私はお前を死ぬほど愛している」
そう言い残し結さんは刀を取り型をとった
鋳鶴君は大きなため息をつき、
何かがまるで決まった様な顔立ちで鋳鶴君も型をとった
「結姉、神様って信じてる?」
「何を今更?
信じていないが今日は信じている
なにせ私が鋳鶴を娶る様な日に近いからな
そして私をこの日まで生きさせてくれた神様に感謝しようじゃないか」
結さんは眉間に皺を寄せさらに力強く刀を握った
ギリギリという音が鋳鶴君の耳に入る
鋳鶴君はふと空を見上げた
だが決してそれは神に祈る神を信じる信仰などではない
ただ単に空を仰ぎ見た何かを得ようとするように
「僕も神様なんて信じていない
神様なんているって言っても何もしてくらないし何にもならない
神様の所為にしたりする人間もいれば神様のおかげと
神様が居るという考えで自分の努力で成し遂げた事を100%自分でしたと認めないこと
僕はそう言う人間が嫌いだし神様が嫌いだ
勿論、仏教とかイスラム、キリストなどなど様々な宗教も信じていない
だが今日の僕は違う、今日の僕だけは神様を信じる
神様はいないよ?でも神様を信じたい神様の所為にしたい神様のおかげにしたい
だから・・・・・・」
鋳鶴君の右腕に力が集まる
大気が震え鋳鶴君の右腕に何かが集中する
蒼く光る何かが鋳鶴君の右腕を取り巻いている
「結姉に勝ちたい
それが今の僕の率直な意見だ
結姉の物とか以前に貴方に勝ちたい」
「それは良い心がけだろう
どの道負けると分かっていても負けを認めないその度胸、根性、
お姉ちゃんは嬉しくて目から涙がこぼれ落ちそうだ
さぁ最期だ始めようか」
そう言って両者は向かい合い相手を垣間見る
真剣な眼差しそして相手を倒すという目
それは姉弟喧嘩という安い物言いでは表現できない程に大気がそれを表している
近くの小さい石は浮いて観客席まで震わせる
二人が一緒に動タイミングで足を動かす
魔王の力で強化された身体能力と今までの武術で得た身体能力
どちらが勝っても恨みっこ無しの真剣勝負
姉の物になるかはたまたそれに抗う力を示すか
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
二人の拳と刀がぶつかる二人を蒼い炎が包み外からは観覧を禁じるかの様に
蒼い炎の壁が二人を包んだ
そして鈍い音が鳴り響き観客席をざわつかせる
観客席の視線の先には折れた刀そして・・・・・・蒼い炎を掲げる少年の姿
アナウンス席にカメラで証明された明らかに彼女の敗北はキューブに記された
割れんばかりの大歓声と喜びの声が上がる
「どうやら・・・・・・私の敗北の様だな・・・・・・」
結が倒れたまま鋳鶴に話しかける
「なんで刀を使わなかったの?
歩と同じ力を使えば最初から結姉の勝ちだった筈だ
それなのになんで刀一本で」
結はフッと笑うと口から出た血を拭った
「私はお前が欲しかった
私はお前が大好きだ
だがなぜかさっきまでその思いが勝っていたのに
鋳鶴とのぶつかり合いで気づいてしまった
「私達は姉弟なんだでも結婚が出来ない事はない
でもそれでいいのか?私が武で鋳鶴を奪っても」と
そこで正気に戻った
私は間違っていた体育体会を汚してしまった
剣道も家族も汚してしまった
魔王科も友人も汚してしまった
なぜ気づかなかったなぜ冷静になれなかったんだ」
結さんの瞳からは涙がこぼれ落ちていた
それを見て鋳鶴君は結さんの頭を優しく撫でた
「誰にだってそんな事はあるさ
だって人間なんだから誰にだって間違いはある
大好きな人が欲しいなら欲しいでいいし
その人の為に色々したりするのもしょうがなくないけどしょうがない
たまたま結姉の本性が出ちゃっただけだよ
それに僕は良い方法を知っているからみんな傷つかない様にしてみせる
だから泣かないでよ結姉はいつもどっしり構えていた方がいいし
魔王科のみんなも安心する事が出来る
ほら立って」
鋳鶴君が結さんに手を差し伸べると結さんはそれを素直に受け取った
結さんの顔にはまだ涙が残っているが鋳鶴君がそれを自分の手で拭ってあげている
会場は何が始まるのかと鬼気迫る表情で鋳鶴君を見つめている
「皆さん!魔王科会長望月結は素晴らしい演技を見せてくれました!
それに普通科の皆さんも力を貸してくれました
血が出たりとか刀が壊れたりとかスタジアムが両断されたりとかありましたけど
あれは全てこちらで企画されたものです!
だから結さんは何も悪くありませんそもそも全員緊急装置なんて外していません」
そう言って鋳鶴君が右手を観客に掲げるそこにはありありと壊したはずの
失血感知機が手に巻かれていた
結さんの手にも失血感知機がつけられていてこちらもランプを点滅させ
動いている
「少し作戦に使う加薬などを間違えただけです!
それにみんな気絶なんてしていないし装置の誤作動です!
だから皆さんご安心下さい!我々は相手に致命傷を与える様な攻撃は与えていません
それでは失礼!」
鋳鶴君は法衣を召喚すると結さんを抱えて緊急装置を作動させた
「なぁ鋳鶴」
「なに結姉?どこか痛い?」
「私はまだ諦めていないからな覚悟しておけ」
「はいはい分かりました
そろそろ保健室だから離れてね」
「いーっや!今日は鋳鶴とお風呂はいるし寝るし全部一緒!」
「離れてくれない!?さっきまでの態度はどうしたのさっ!」
鋳鶴君に運ばれてた結さんはずっと満面の笑みを浮かべていたそうです
何年も良く笑ってなかった所為か鋳鶴君にはその表情が可愛くてたまりませんでした
保健室病院に向かい自分の傷の治療を終えた後、
鋳鶴君は普通科の皆さんや学校関係者の先生に怒られたそうな
その日は病院内で大騒ぎパーティー状態だったそうです
ーーーー望月家ーーーー
「いょっしゃー晩飯・・・・・・」
三十朗さんが勢い良くリビングの席に座るもそこには非常食用のライスの袋とカレーの袋
それと器と箸しか置いていなかった
「どっ!どーゆう事じゃ!じいちゃんが来とるのに!」
叫び声をあげる三十朗さんするとキッチンの置くから神奈さんが出てきました
「ごめんねおじいちゃん
今日、お兄ちゃんがいないからご飯ないの
それで我慢してくれる?」
ゆりさんの必死そうな表情を見て三十朗さんはやれやれと袋を切り取り線に沿って開いた
梓さんがリビングに入って来て三十朗さんの隣の席に座ると大きく息を吐いた
「お爺様?知っていましたね?鶴君が勝つことを」
梓さんが真剣な面持ちで三十朗さんに問う
「あぁじいちゃんは知っとったぞい?」
三十朗さんは笑顔でその問に答えた
「まったく貴方という人はそれならみんなに言ってあげれば」
「言ったらつまらんじゃろう?
でもわしは鋳鶴を信じておったからな!
当然の結果じゃ!それと一つ鋳鶴は来週からテスト週間というものらしいのう」
「そうですか私の出番ですね
だからこの時期に」
「そういう事じゃ
頼んだぞスパルタでもいいし甘々でもいいからとにかく鋳鶴の成績を上げてやってくれ」
「素直に娘の笑顔が見たいと私に言ってくだされば」
「それではつまらんわしはシャプライズが大好きだからのう」
「お爺様サプライズです」
「あれっ?そうじゃったか!気にするな」
望月家は料理以外ではいつも通りまたはそれ以上に賑やかだったそうです
最期のにじファンでの投稿・・・
哀しいですねこの小説はまたどこかのサイトで書かせていただきます
ちなみに移転先はTINAMIというサイトです
URLはのせませんが
魔法使いの大家族と検索してくださいたぶんですが出ると思います
それではまたどこかで