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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々6
63/94

第55話:魔王と伝言

ついに歩さん1人の普通科・・・

そして計は成るのか否か・・・!







ーーーー魔王科校舎ーーーー





「火の手が上がっています!

皆さんで消火してください!」


魔王科校舎中に放送アナウンスが流れる

鋳鶴君は放置されたまま魔王科拷問部屋で待機していた

火がどこから出火しているかは分からないが激しい爆発音と共に

魔王科の校舎が破壊されたのは間違いないと悟った

しかし鋳鶴君は十字架に貼り付けられ拘束されたまま

誰か助けなら助けを魔王科の生徒なら運び出してほしい所だった


「こんな時に誰だよ全く・・・

でも脱出したいなぁ・・・

でもどうやって脱出するんだ・・・?」


鋳鶴君は考え込んだ

家事でモニターの確認が出来ずに悩んでいた

普通科はどうなったかと無事でいてほしいと必死で祈る

家事は消火される事なくどんどん開けっ放しの拷問部屋前の廊下から

魔王科の生徒達が右往左往して火消しの作業に取りかかっている

鋳鶴君はそんな魔王科生徒達を見て声をかけようとしたが

そんな事はお構いなし、自分で逃げれば?と言わんばかりの

魔王科生徒の一斉の無視、無視、無視

魔王科生徒一斉の鋳鶴君の無視は今の鋳鶴君の寂しい心に

ヒシヒシと響いていった


「みっ・・・皆さん無視・・・?」


鋳鶴君が救出またはここから出して貰えるのを諦めたとき

さらに爆発音、爆発音、そして爆発音

三回の爆発音が魔王科校舎全体を揺らした

そしてその爆発音と共に魔王科校舎全体にアナウンスの報を知らせる

音声がスピーカから流れ出た


「魔法科の火日ノと氷室です!

皆さん配置に付いてください!次の爆撃が来ます!

彼らをまず取り押さえてから消火に移ってください!

爆発させる根源を捕らえるのを優先してください!」


甲高い声でアナウンスが流れる

火日ノ?氷室?えっ?なんで?

鋳鶴君の脳内心理は現状を全く理解できていなかった

魔法科の矛盾コンビが何かの恨みが魔王科にあったとしても

魔王科には手を出さない筈

魔法科のエースといえども魔王科の恐ろしさを知っている

嫌でも耳に入るし嫌な風の噂としても来る事がある

しかし魔法科が魔王科に攻め込む理由は考えられない

鋳鶴君は散々迷った末、思った

魔法科は自分を殺しにでも来たのかと

それもそう鋳鶴君には公衆の面前で二人の魔法科の

陽明学園トップ1,2の美女を一日に一回ずつ見せつける様に抱きしめたのである

大観衆と魔法科生徒と普通科生徒の目の前で

それゆえ今になってその事を思い出し鋳鶴君の表情は真っ青になっていた


「どっ・・・どうしよう・・・

殺されるのは嫌だよ!

ちょっと早く逃げないと!」


鋳鶴君が十字架と自分を繋げている鎖を振り回した

鎖は普通の鋳鶴君に引きちぎる事も突き放す事もままならない

そんな鋳鶴君を見て笑う淑女がいた

鋳鶴君を目の辺りにして藻掻く鋳鶴君を見てクスクスと笑っている

鋳鶴君もその笑い声に気づいたのかもしかしてといった具合に

視線を目の前に向けてみる正直言ってみることはあまりオススメ出来ません


「あら物好き君

こんなところで何をしているの?

上半身裸でいやらしいそうやって私に自分の肉体美を自慢しようとしているのかしら

でも残念ね私物好き君の体なんかに興味ないんだからねっとでもいいたいけど

正直貴方の肉体は良い具合に締まっているのね

あまり運動をしない人だと思っていたから

でもとりあえずこの前私を抱きしめてくれっちゃった反省を聞きに来たの」


虹野瀬さんはそう言うと鋳鶴君の向かい側にある大きな椅子に腰掛けた

鋳鶴君はまさかの人物の登場に顔が引きつっています


「さぁ早く土下座して私の足をペロリンチョと舐めて頂戴

それで許してあげるわ物好き君」


冷淡な口調で微笑みながら虹野瀬さんはそう言った

そして鋳鶴君の前で黒いストッキングをスルスルと音を立てて降ろす

鋳鶴君の目の前に虹野瀬さんの白く汚れのない足が近づく

そんな虹野瀬さんの発言と物言いと態度に鋳鶴君は啖呵を切るかの様に

口を大きく開いた


「あのな!

僕は今土下座なんか出来る状態じゃないんですが!?」


突っ込む所じゃそこなんですか!

といった感じです

でも鋳鶴君は半切れでもなく全切れでもありません


「あら物好き君の事だから

私みたいな女性の足なら犬の様に喜んで舐めると思っていたのに

非常に残念だわそして今此処で二つ謝る事が出来たわね

私の初めての経験を奪った罪と私を失望させた罪ね」


「僕は何一つ悪くないと思うけど!?」


「いえ悪いわよ

多分魔法科のみんなが聞けば飛んで貴方を殺しに来るわね

私がこう言えばいいのよ

物好き鋳鶴は私を抱いてそのままベットに引きずり込んだと」


「抱きしめたのは認めますが!?」


鋳鶴君は大きな声で激しくツッコミを入れた


「抱きしめたのは認めるのね

ベットに引き込んでまるで野獣の様な手つきで私をまさぐって

それにプラスα私の全ての初めてを奪っておいて

ホントに無責任な男ね物好き君は」


「まさぐった記憶など何一つございませんが!?」


鋳鶴君は冷静さを欠いたツッコミを繰り出す

虹野瀬さんはそんな鋳鶴君を見て楽しそうに笑った


「あら今週私の頭の妄想の中で物好き君は私をまさぐったわよ?

私の全身をまんべんなく嫌らしい手つきで」


「それはお前の妄想の中での話だろ!!?」


「だったら全裸だった私を物好き君は襲わないとでも?」


「襲わないよ!」


「だったら物好き君は女の子の体とかボディラインとかに欲情しない

とんだBL童貞野郎って所ね」


「僕が童貞だと!?」


「違うの?」


「すみません・・・童貞です・・・」


落ち込む鋳鶴君、

正直鋳鶴君の体のダメージよりも精神的ダメージの方が心配です


「そうそう貴方の所の会長さんから伝言を預かって来たわ

とっても長くて覚えきれなかったのだけれど少しぐらいは覚えてきたわ

物好き鋳鶴君へ」


せめてそこは望月といいましょうよ・・・


「今回も君にかかっている

正直、僕はこの戦いの為に異能を使わなかった

君ならきっとやってくれる筈だと思ったから

魔王科の生活の方が良かったら僕に言ってほしい

そのときは遠慮せずに僕は君を笑顔で送るよ

あと体育体会の結果だけど

正直勝てる確率は1割にも満たない

でも君なら奇跡を起こしてくれると信じている

それと大将は三河さんに任せてあるから彼女が最後に残る

その時は君が誰よりも何よりも早く彼女を救ってあげてほしい

普通科の勝利よりも三河さんの事を重要視してほしい

君は魔王だけれど優しくてお人好しだから

それでは頑張って下さい

風間一平」


虹野瀬さんはそう言うと鋳鶴君の表情が先ほどとは一片している事に気がつく

いつもの自分には見せない魔王の表情、真面目な顔つきに変わっていた

気の弱そうな望月鋳鶴では無く

あの時自分の前に立ってくれた望月鋳鶴を虹野瀬さんは目の当たりにした

自分を救ってくれた時夢で見た顔

体育体会で見せてくれた本気の顔


「という事らしいわ物好き君

そうそう私も言おうと思っていたの

正直、今の貴方に言うべき言葉では無いのかもしれないけれど

この対決正直勝って欲しいのよ貴方にはね

勿論、今は凄い戦況、勝率0%、

誰がいても覆せないこの状況でも信じてるんだから

望月君なら勝ってくれると私は信じている

だって魔法科の私と神宮寺を抱いた男だもの

そして私を重みから解放して自由に動ける体にしてくれた

だからこそ勝ってほしいのよこれは心からの本音

出来る筈よ正直たいした事無いものね」


とんでもない事を言う虹野瀬さん

でも鋳鶴君はそんな彼女の言葉を聞いて満足げな表情で頷いた


「そうねそんなに満足げに頷くんなら私にも考えがあるわ

何か特典を付けましょう物好き君が満足してくれる特典を」


虹野瀬さんは無表情のまま動かなくなった

鋳鶴君は起きていますか~?といった感じで

彼女の前で手を振っている

虹野瀬さんはいきなり何か考えついたのか

鋳鶴君にポッケに入っていた鋏を抜いて鋳鶴君に突き付けた


「もしも魔王科に物好き君が勝つことが出来れば私とデート

もしも魔王科に物好き君が負けたら私とデート

どうかしら?悪くはないでしょう?」


「ちょっと待て!

結局デートじゃないか!」


「あら嫌かしら?」


不満げに虹野瀬さんが首を傾ける


「いや・・・

お前にも好きな人ぐらいいるだろう

こんなくだらん魔王とデートしたら勿体ないだろう

それに僕なんかよりももっといい男が・・・」


鋳鶴君が最後まで言う前に虹野瀬さんは鋳鶴君に

自分の右腕の人差し指を鋳鶴君の唇目がけて突き付けた

そしてまっすぐな眼差しで鋳鶴君を見つめると若干の間を開けて


「I LOVE YOU」


と言った

鋳鶴君は呆気にとられて何を言われたか全く分からない

理解不能といった様子、呆気にとられている鋳鶴君を見て

虹野瀬さんは笑っている

笑ったまま虹野瀬さんは鋳鶴を拘束していた十字架を切り裂いた


「あっありがとう・・・」


「返事はいつでもいいわ

とりあえずもう三河さんが危ないから行ってきなさい

ここは私たちが何とかするから」


「何かどっかの漫画みたいなセリフだな」


「私は本が好きだもの

こういうセリフも大好きなのだからすぐに言葉に出してしまうのも当然よ

それとも最近覚えた深窓の令嬢のツンデレヒロインが歌うキャラソンでも

ここで歌って欲しい?それともまたガハラさんとか言うのかしら?」


「最近・・・

お前の存在そのものがガハラさんに思えてきた・・・」


「物好き君は次元の区別も出来ないのかしら?

次元の区別が出来ないのは中学2年生の最後までよ?

何々萌え~とか何々蕩れ~とかそんな事言ってられるのは中2までよ」


「お前は世界のヲタク達を否定しているのかっ!?」


「私が否定するのは物好き君だけよ」


「何か傷つくなそのいい方!

そもそも僕はヲタクじゃない!ただ美少女とかロボットに詳しいだけだ!」


「妹さんに聞いたわよ最近お兄ちゃんは深夜アニメなどに現を抜かしているって

それにガハラさんならまだしもカンバルさんや撫子ちゃんに嵌っているそうね」


「前言を撤回します!!」


完全に虹野瀬さんペースです

鋳鶴君の精神が崩壊しかけています


「それに物好き君はエロいと聞いているし

かなりの大変変態なヲタクと言う事ね

大変変態の物好き望月・・・」


「全てを重ね合わせるなっ!」


ツッコミがキレキレの鋳鶴君

虹野瀬さんから笑みが消えません


「そろそろ行ったらどう?

三河さんが待っているんでしょ?

行ってきなさい負けたら・・・許さないんだからね・・・!」


「いきなりのツンデレは止めろっ!」


そう言いつつも鋳鶴君は内心落ち着いていた

戦う前の全く必要性の無い無駄な会話

そして彼女なりの心遣いなのだろう鋳鶴君を励ます様に

彼を送り出そうとツンデレセリフを吐いたのである


「さてと・・・

魔王科の皆さん・・・

戦争を始めましょう」


虹野瀬さんは全身から文房具という名の凶器と

数々の武器を取り出し、魔王科の大量の面々を見据えて

さすがにこの人数は虹野瀬縒佳といえど無理があるのかもしれない

しかし彼女は笑みを浮かべた

そして右手に日本刀左手にチェーンソーを構えて





ーーーースタジアム3階ーーーー




刀を用いて最後の一本を用いて

血に塗られた服を纏い刀を持ち

三河さんは結さんと戦っていた


「どれだけ一撃を食らっても

私の前に立ちまだ諦めない

面が59回、胴が46回、小手が62回、突きが0回

まだまだ私も甘いな、情けは人の為成らずという言葉を知っている私が

此処までたった1人の剣士を倒す為にこれだけの攻撃と時間を費やしているのか

まったくもって甘いそろそろ終わらせるべきだと私も思う

誰も私には勝てないのだ

現状ではな世界の強者なら倒せるだろう

しかしお前では勝利出来ないそして陽明学園の生徒ではな

私を超える事は出来ないんだ

もう諦めて鋳鶴を差し出して欲しい

そうすれば三河歩

貴方を解放しよう・・・この無限地獄から」


三河さんは力尽きてはいないが着々と疲れとダメージが堪っていた

血が滴り制服は血まみれになり目はとても開けられるものではない

体には結さんに斬られた痕が多数見られ

見るモノ全てに嫌悪感を与えるような仕上がりになっている

三河さんの事を応援していた応援団もいつしか静まりかえっていた

先ほどまで賑やかだった観覧席

今は三河さんを助けようとしようとする人間達が観客席から乗り出している

観客の中にはもうやめてと耳を塞ぎ訴える者

目の前の現状が見たくないのか目をふさぐ者

そして誰かが乱入してこないか期待する者

しかしその願いは虚しくも叶わないだろう

乱入の予定は現在も無い

望月鋳鶴はもうこのスタジアムには現れない

観客席も解説席も現場も結さんの声もまったく響かない

響いているのはスタジアムの3階に集まる

魔王科の選手の足音しかしていない


「お兄ちゃんはまだなの・・・?

このままじゃ三河さん本当に死んじゃうよ・・・!

ねぇ・・・お姉ちゃん・・・」


恐子さんの側で神奈さんが涙を堪えながら必死に耐えていた

「仕方ないだろ・・・

私が剣士ならこんな体育体会で死にたくはないが・・・

仕方ない事なんだ・・・

鋳鶴は来ないのかもしれないしな・・・」


「結の馬鹿者・・・

六法で叩いてやりたい・・・

鋳鶴を自分のモノにしようとか滅茶苦茶言って

絶対に牢屋にぶち込んでやる・・・」


「兄ちゃんは来る・・・

私は信じてるから・・・

兄ちゃんは絶対に来てくれる・・・

だっていつも良いところで来る

信じてる・・・絶対に来るって・・・

三河さんを救って結姉ちゃんの眼を覚まさせてくれるって・・・

約束はしてないけど兄ちゃんは大切な人の為なら

一瞬で日本からブラジルに来るぐらいの行動力・・・

絶対に来てくれる・・・」


ゆりさんは涙を堪えながらそういった

隣に斬彦さんのズボンを強く握り

斬彦さんの胸の中で蹲っていた

現状を見ないように

現実を逃避する様に

ゆりさんを疼くませながら

斬彦さんは配慮を取りながらしかめっ面をしていた





ーーーー望月病院ーーーー





「院長~?

見なくていいんですか~?

今、多分・・・良いところですよ~・・・?」


「三河がボコボコにされているんだろう?

それに鋳鶴も出ていないようだし・・・

興味無いしな・・・」


そういう院長の雅さんを急かす様に蓮さんが

雅さんの裾を力強く引っ張った


「三河さんが危ない・・・

私・・・陽明に行きたい・・・

院長・・・お願い・・・」


蓮さんが弱々しい声で雅さんに縋り付く様にそう言った

しかし雅さんはため息をつくと蓮さんの髪の毛をぐちゃぐちゃに掻き回した

蓮さんは呆気にとれれて雅さんを見つめながら困っている


「あいつは来るよ・・・

だって霧谷と同じで良い所を右から現れてかっさらう・・・

そういう事する父子なのさ・・・」


蓮さんは納得していない様子で首を傾げていた

嗣さんは納得したのか再び書類整理をしながらテレビを見始めた





ーーーー軍令部ーーーー





「将軍、弟さんが出ていないそうですが・・・」


1人の兵士が大きな椅子に座っている将軍帽を被った赤毛の女性に声をかけた

女性は新聞紙を顔の上に乗せて昼寝していた様だが部下に起こされ少し顔がふくれている


「鋳鶴はきっと来るさ

私の愛弟はブラコンの姉などに屈したりなどしないからな

それに戦いはこれからだ

もうすぐ来るよ・・・

さて・・・ワインを持って来るんだ

今日は新しいセラーを開けようじゃないか」


そう言って真宵さんは大笑いしながらおつまみをつまんで口に含んだ


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