第48話:魔王と親父
結さんにたたきのめされ
魔王科の自分の部屋にとじこめられてしまった鋳鶴君
果たして部屋から出て普通科に戻れるのか!
そして囚われの鋳鶴君に怪しい人影が忍び寄り・・・
「決勝戦は明日にしよう」
「何を唐突に話込んできたかと思ったら
どんな事かい?」
風間さんがいつも通りに唐突に普通科会長室に入って来た
結さんに問いかけます
「構わんだろう?
お前達の準備も過ぎている頃だろうと思ったし
私からの提案だ呑むか?」
風間さんはしばらく黙り込んで考えると
何かひらめいたように笑みを浮かべた
「別にいいよ?
本来なら先週やってたはずだし?
ハンデを背負って戦うのも悪くないってね?
でも何を唐突にそこまで急ぐ必要性があるんだい?」
「いや?急いではいないんだがな
こちらにも言えない用事があってだな
早急に体育大会を済ませたいんだ」
「さっさと僕等を倒して望月君を魔王科に入れたいんでしょ?
だったら早い方がいいのかもしれないね?
さしずめ彼は今眠らされているか気絶させられているか
それとも太陽の光さえ届かない牢獄に閉じこめられているとか?
本当にやる事なす事無茶苦茶だよね~?」
風間さんがそう言うと
結さんは動揺もせず眉一つ動かさす高らかに静かに笑った
「さしずめ?さしずめの使い方を間違えているんじゃないか?
姉である私がそんな極悪非道で残酷なやり方を愛弟に強いると思うのか?
こんな健全でなんとも優姉を貴様は極悪非道と愚弄するのだな?」
「愚弄なんかしていないよ?
ただ君が望月君に酷いことしてないかなぁって思っているだけかな?
だってブラコンって度が過ぎると怖いよ?
度が過ぎてその子を弟、兄、姉、妹を殺してしまう事もあるしね?
まぁ愛しすぎてしまうとどうしても自分だけの物にしてしまいたくなるんだよね?
君もそのブラコンや色々なコンプレックスを持った人たちは正直怖い
ブラコン、シスコン、マザコン、ファザコン、ジジコン、ババコン、ロリコン、ショタコン
ファミコン、エアコン、ポップコーン、合コン、リモコン、ソロコン、ラブコン、ゼネコン
ボディコン、ダイコン、レンコン、シリコン、ウコン、パソコン、デキチャッタコン
ファジコン、ケッコン、サンコン!
世の中には幅広くたくさんのコンプレックスがあって実在するんだよね?
でもどれも危ない物ばっかりだと思わない?」
何かたくさん間違ったコンプレックスがある様ですがそこは突っ込まないであげて下さい
たくさんのコンプレックス良くこれだけ思いつきます
ファミコンはスーファミも入るのでしょうか
それはともかく我等が駄眼鏡風間さんはニヤニヤしています
無性に腹がたちます
もうぶん殴って内臓・・・
失礼!自重しましょう!
「だからどうしたというんだ?
それを聞いても私は鋳鶴を愛する事は辞めないし
まだ一線を越えてしまえばいいと思っている
様々なコンプレックス?くだらんな
私のはコンプレックスをとうの昔に通り越した
もはやこれは衝動だな」
風間さんは一旦黙り込んだ
何かを考えているのかそうでないのか
それは結さんには分かりません
じっとただじっと唇に右手の甲を添えて何かを考えています
そして何かひらめくと再び口を開きました
「衝動ね
それじゃあその衝動を断ってしまえばいいんだよ
でも残念ながらそれは出来ないんだよね?
もうこれ以上話しても無駄なものは無駄だし?
君の意志が変わらない限り僕等、普通科の選択は一つだよね?」
そこまで言うと
風間さんは一度深呼吸をした
長い長い深呼吸を
「だったら僕たちは君らと戦うよ?
勿論、望月君無し条件変更無しでね?
それで勝ち負けの景品って言っちゃあ失礼だけど
まぁ双方条件として
僕等が普通科がもし君らに勝利したと考えよう
望月君は今後も普通科で魔王として僕等と生活する
それじゃあ君ら、魔王科が勝利した場合だけどね?
望月君を好きにするといいよ?
それとも望月結婚とかをしたいなら僕に言えばいいと思うよ?
僕の異能の圧倒的普通者を使って結婚させてあげるよ?
全て普通になるから世の評価も変わるけどね?
近親相姦Okとか?姉弟、兄妹で結婚Okとかね?
引き分けの場合は・・・う~ん・・・
引き分けの場合はじゃんけんで勝った方が勝ちってのは部が悪いからね?
僕等は普通科という点で勝利してしまうだろうから?
引き分け、僕等が君らを全員倒せなかった或いは君らが僕等が倒せずに終わったら
一週間だけ望月君を魔王科に留めさせてあげるよただし一週間だよ?
それ以上は駄目だ
まだまだ終わりじゃないよ?
引き分けだった場合、君には鋳鶴君に何か教えてあげてくれない?
自分の剣術とか最高に強い魔法とか勉強とか?
条件はそれだけかな?」
「それだけでいいのか?
普通科の敗北は目に見えていると言うのに
魔法科との戦いでお前は消耗している
そんなもぬけの殻の様な普通科で最悪引き分けでも狙う気か?」
結さんのそのセリフに風間さんはニコッと笑う
「いいや?
最悪でも勝つよ?
本当は良くて引き分けかもしれないけどね?
まぁ強く無かった普通科をもうイメージとして置かない方がいいよ?
だって僕等なんかに負けたら屈辱でしょ?
だって普通科以外はエリート集団なんだからね?」
結さんは風間さんの当たり前のように言う口調を聞いて
重く腰掛けていた椅子から立ち上がった
「問題無い
寧ろその方が面白い
私たちがお前達に負ける要素は何一つ無い」
「みんなそう言ってたよ
金城沙耶も虹野瀬縒佳もそして君も
同じような事を当たり前のように述べたんだよね?
でもその当たり前は当たり前じゃなかったんだ?
奇跡なんて何一つ起こしちゃいないよ?
僕等は貪欲には大袈裟だけれど本当に勝ちに行ってるよ?
だって30年間普通科の優勝は無いんだよね?
だから勝ちたいし今年は勝てる気がするんだよね?
だから僕も消耗するほどみんなの為に戦えたし異能も使いすぎなぐらい使った
それはみんな一緒だよ?
みんな揃って1なんだからね?
みんな消耗してるし異能も使っている
赤神君は魔法科でもないのに魔法を覚えて少しでも力になろうとしているし
土村君は自分の最大の能力、影をいかして偵察までしてくれた
鈴村さんは自分の非力に嘆く事はあるけれど彼女も立派な回復士だ
雛罌粟も自分の出来ることを最大限までやってくれる
荒神さんは不器用だけれどみんなの役にたちたいから毎日走っている
僕だって普段はこんなに動かないし異能も使わない
三河さんは必死に剣を振ってくれている
それに僕等の為に編み出した技も使ってくれた
城やんだって本当は殺したい程憎かった魔法科の人間を殺さなかったし
ちゃんと体育大会に参加してくれたさらし者になる事を恐れずに
でもやっぱりこんだけみんなが一つになったのは望月君のおかげだと思うんだよね?」
「鋳鶴が・・・?」
「彼は僕等の為に面白いものをたくさん見せてくれた
機械科会長の胸目がけて倒れたり
全校放送で三河さんの事が好きなのを暴露しちゃうし
魔法科の二人の美人を落としちゃうし女装をしてまで潜入してくれた
僕は会長として思った
みんながこれだけ頑張ったのになんだこの体たらくは!ってね
だから次は本気出しちゃうかもね?
圧倒的に君らを普通にしてあげるよ?
覚悟しておいたほうがいいんじゃない?」
「くだらんな
どのみちお前達の敗北は確定だ
私は負ける気など微塵も感じていないのだから」
「それはいい事だよ?
おおっと?もう時間かな?
決勝戦は明日でいいよね?
勿論第一競技場で」
「構わん」
「それじゃあ決まりだね?
僕は直接大会実行委委員に話しをつけてくるよ?
それじゃあまた明日だね?
明日が楽しみだ」
風間さんはそう言うと結さんの部屋のドアを開きそこから出た
結さんは椅子に腰掛けたままそのまま無言になった
ーーーー魔王科拷問部屋?ーーーー
鋳鶴君が捕らえられえしまっているこの部屋
今度こそリア充拷問の日が・・・!
「あのさシャル・・・僕そろそろ」
「駄目だよ!
こっから出ちゃ駄目だからね!」
シャル君に抱きつかれています
ていうか拷問部屋なのに全く拷問されていません!
なんか男同士の抱き合いなのになぜか嫉妬してしまう私
なんなんですかねぇっ!この感情はぁっ!
はっ!自重しないと!
とりあえず今はシャル君が1人で鋳鶴君の監視をしているそうです
腐った方々にはBLに見える絵ですね
美男子と美男子?が重なっています
正直見ていられません
「どうしても普通科に帰りたいんだ・・・
ケガも治りかけてるしそろそろ出してくれないかな・・・」
ちょっと疲れている鋳鶴君
しかし疲れているにも関わらず話し方は女の子を落とそうとする時の甘い声です
「だっ!駄目だよっ!
どんなに言っても駄目なものは駄目なのっ!
それに何か甘えた話方しないのっ!全く・・・」
シャル君もちょっとお疲れのご様子
ちょっと荒々しくなっています
そんなシャル君を見てか鋳鶴君は少し微笑みました
「シャルでも慌てる事とかあるんだね・・・」
「へっ!?
そんなに慌ててないけど?」
「あっそうだ!
一緒にお風呂入りに行かない?
この前の約束今しちゃおうよ!
せっかく今ちょうど二人揃ってるしさ」
「えっ!?
いいよ!いいよ!
鋳鶴は今日は疲れてるでしょ!?
それに傷があるからお風呂入れないしねっ!?
とにかく今日はここで安静にしててね」
「シャルがそう言うなら」
「それじゃあ僕はお風呂の時間だから
脱走だなんて考えちゃ駄目だよ!」
「分かってるよ」
「それじゃあ行ってきます」
シャル君は少し振り向きざまに鋳鶴君を見ると
鋳鶴君は苦笑いで返した
シャル君は半ば鋳鶴君を疑ったまま自分用のシャンプーと着替えを持って大浴場に向かった
「はぁ・・・シャル可愛いなぁ~・・・
なんであの格好で男なんだろう世の中って広いなぁ~・・・」
んなのんきな事言ってる場合か!
脱走はどうしたぁっ!と言いたいところですが
皆さん我慢してください
鋳鶴君は自分の周りを見回すととんでもないものから
えげつない物までさまざまな物がやたらめったら揃った拷問部屋を見て少し顔が青ざめています
「あれは・・・本気だった・・・」
鋳鶴君が珍しく考え込んでます
昨日斬られた腹部をさすりながら考え込みます
自分の事を愛してくれている人に斬られた
それ以前に家族に斬られた
鋳鶴君の中に一つの結論が生まれます
ーーーー僕は魔王科にいた方がいいんじゃないか?ーーーー
必死に他の事を考えようとしても考えつきません
ただただ考えつくのはその結論だけ
どんなに考えてもなにを考えてもその結論だけが浮かびます
鋳鶴君が考え込んでいるその時部屋の扉が開きました
そして鋳鶴君が開けられた扉の方向に視線を向ける
そこには
「やぁ鋳鶴ww
何してんのww?
こんな所でww
捕まったww?」
「親父・・・?」
超弩級な人がいました
しかも超秋葉な人が
要するに超弩級超秋葉人の鋳鶴君のお父さんが現れたのです
この鋳鶴君しかいない空間の中で目の前にいきなり
「いやぁ~ww
ちょっと学園長に用事があってさ~ww
道に迷っちゃったんだよね~ww
それよりどしたのww?
なにがあったの~ww?」
「まぁ色々あったんだよ・・・
それよりうるさいんだけどっ!」
鋳鶴君のお父さんは嫌われ者です
えっ?誰に嫌われてるかって?
家族にです
雅さんは恐らく好きなのでしょうが
「いやぁ~ww
俺の妹の一番くじ買い占めてた~ww
テンションが上がりに上がってさ~ww
も精神的にもう無理ポぅて感じかなww」
「あのねぇ・・・
そんなお金あるんならちったぁ家に回してよっ!
酒代とか食事代とか馬鹿高くて作るこってが苦労するわっ!」
叫ぶ鋳鶴君
無理もありません低賃金、重労働のような毎日ですから
「えっww?
たくさんあげてるじゃんっww
毎月1億は入れてあげてる気がするけどww
まぁすぐになくなっちゃうか~ww
雅と恐子は良く食べるからなぁ~ww」
「1億じゃ足りないというか足らないよっ!
まったく!その3分の2は母さんの病院の色々な代金でしょ!
こちとら味とか工夫してやってんだよ!
もうちょっとこっちにまわしてよ!」
「雅に頼めば~ww?」
「命が幾つあっても足りないんで勘弁してくださいっ!」
土下座する鋳鶴君
お母さんがよっぽど怖いんでしょう
若干想像したのか震えています
「そういえばいつもご苦労様ww
これはすこしばかりのご褒美ww」
霧谷さんは鋳鶴君に腕を出すのを頼むと
鋳鶴君は腕を開きました
そこに霧谷さんは美少女フィギュアを置きました
黒いゴスロリちっくな服に頭に猫耳をつけた少女が手に置かれました
左目に泣きほくろがあります
「これ黒○じゃねぇかっ!」
「そうだよww?
黒○ちゃんだよっw?」
「母さんに怒られるよ!?
またこんなの買ってきたら!
次はボコボコどころか地球何周させられるか!」
「黒○ちゃんの為なら構わないサッww!
花澤○菜ちゃんバンザーイww!
黒○バンザーイww!」
あっ駄目だこの人って感じになるのも当たり前
鋳鶴君のお父さんはまぁ色々と凄い人なのですが
人間としてはカスの部類に入ります
それでもまぁ良いお父さんという事には変わりないのでは・・・?
「はぁ・・・相変わらずだね・・・
自由奔放で羨ましいよ・・・」
「本当にそう思ってるww?」
「思ってるよ
思ってなきゃこんな事言わない」
「全然自由じゃないよww
世界はまだまだ平和になってくれないしww
どの国も首相がゴミみたいな連中ばっかだww
下手したら僕よりゴミかもww」
「世界の首相がゴミだったら
世界の人間全部がゴミじゃん!」
「嘘嘘ww
訂正訂正ww
でもさww?そう思った事無いかなww?
誰だってあると思うよww
世界の首相より俺がやったほうが絶対良いとか言う人ww」
「そりゃいるだろうさ
世界は広いんだし」
鋳鶴君が珍しくお父さんに肯定しました
「ねww?
いるでしょww?いなきゃおかしいんだよww」
「それがどうかしたの?」
「じゃあ何で実行し移さないww?
自分の方が有能ww
自分の方が自分の方がと言って結局何もしようとしない
それが世界の現状さww
世界に無理に変われと僕は言わないww
寧ろ変わらずそのままでいろって感じかなww
一生人間として生きるのではなく
一生ただ生きているだけの人間になれって感じかなww」
「珍しく難しい事を言うね・・・」
「そりゃあこの話は難しいからさww
なぁ鋳鶴、君はここにいるべき人間かいww?」
鋳鶴君は首を横に振った
「だったら脱走しないのはなぜww?
結の為ww?さっきの子の為ww?
それとも何かの為ww?」
「結姉の為・・・かな・・・」
「そういえば昨日斬られてたねww
結の為と言ってるけどそれは鋳鶴は損してないww?
結にこの狭い空間に監禁されてww
友達にも会わせて貰えないしww
家に帰ることも出来ないww
果たしてこのままでいいのだろうかねww
それじゃあお前は一生ただ生きているだけの人間にならないww?
そろそろ色々逆らっていこうよww
世界とか周囲の人間とかww
雅とかさww
別に無理とは言わないww
それに・・・
普通科が大好きなんでしょ?
だったら普通科に帰ったら?
明日ぐらいにさww
今日一日たっぷり考えてあした実行すればいいww!
鋳鶴は若いしまだ先があるww
一日だけ失っても多分大丈夫ww
自分を信じろww」
「なんて説得力がないんだ・・・」
まったくもって同感です
「少年立ってどっか適当に歩きなさいww
そうすればおのずと世界が多分色々教えてくれるww
はずっww!今日は忙しいからこれまでww!
それじゃあね~ww!」
「最後まで何言ってるかわかんなかったんだけど!」
そう突っ込む前にお父さんは消えていました
鋳鶴君は口では何を言ってるかは分からないと言う
しかし彼は少し理解しているはず!でしょう!