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優しい魔王の疲れる日々  作者: n
優しい魔王の疲れる日々5
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第42話:魔王と故人の墓参り

怪我をした普通科の皆さんを

中央保健室病院にいる高橋さんのもとへ連れて行った鋳鶴君、

高橋さんにしばらく皆さんは目覚めないと知らされ

対魔法科戦の時に沙綾さんと約束した墓参りに行くことにする



「鋳鶴~?

皆はしばらく目を覚ます事はないわね~

あとさっき言ってた沙綾の墓参りにでもいってきたら?

ここには私がいるしそれについでの仕事も出来るし行ってきたら?」


小柄な体型に頭からすねまで伸びたツインテールを揺らしながら鋳鶴君に近づいた


「確かにそうかもね…

凛に任せて大丈夫そうだし

んじゃあ遠慮なくお墓参りに行かせてもらうよ


鋳鶴君は高橋さんにそう言うと病室から出ようと扉に鋳鶴君が手を掛けたその時

勢い良く向かい側から扉が開き何かが鋳鶴君を押し倒した

鋳鶴君はいきなり自分の上に乗ってきた物体を確認しようと顔を上げた


「鋳鶴様!

私が普通科の皆様の傷を癒やしに来ましたわ!」


乗ってきた謎の物体は魔法科の神宮寺さんだった鋳鶴君は半ば呆れ顔で神宮寺さんを抱き抱え自分の体の上から離した


「その気持ちは嬉しい

でも皆が起きて僕がいないと皆はまた君が来たと思って攻撃をするかも知れないからね~…

だからう~ん…一緒について来てくれる?

お花とか選び方しらないから選んでくれると嬉しいんだけれど…」


「了解致しましたわ!

お花は一流の物を用意しますわ!」


神宮寺さんは張り切って携帯を取り出すと

誰かに電話をかけて即座に切った


「すぐに来るそうですわ

ざっと100万束の花を注文させて頂きましたわ

たった1000万円くらいですから

お気になさらずに♪」


神宮寺さんは屈託の無い笑顔を見せた

鋳鶴君は神宮寺の発言を聞いて


金持ちは恐ろしいと


心から感じた

そして鋳鶴君は鞄の中に線香と蝋燭とマッチを一通り鞄の中に入れた


「神宮寺さん!

花束のお礼をさせてほしいんだけど

なにがいいかな?」


鋳鶴君が神宮寺さんにそう聞くと

神宮寺さんの表情が真っ赤に染めた

鋳鶴君は赤く染まった神宮寺さんを見て


「エッチな事とかは駄目ですよ!?」


鋳鶴君が慌ててそう言うと

神宮寺さんは顔を俯かせ冷めてしまった

彼女の表情を見ると鋳鶴君は両手で彼女を抱きかかえた


「えっ!

鋳鶴様!?

大丈夫ですわ!

それに私はあまり体重も軽くありませんし…」


「全然軽いと思うよ?

それに昨日はずっと椅子に座らせちゃってたからねそれに腕力には少し自信があるから」


神宮寺さんは鳩が豆鉄砲をくらったような表情をしたまま鋳鶴君は病室を後にしようとすると

扉の前で神宮寺さんをお姫様抱っこしたまま立ち止まった


「凛~!

皆の事はお願いするね

それじゃあ行ってきます」


高橋さんはこの時、

神宮寺さんの表情を見た

頬は赤い紅葉の様に染まり目はうっとりとしている

その姿を見て高橋さんはこう思ったが

小声で呟いていた


「また一人鋳鶴の毒牙が牙をむいたのかな

また彼女作って…知らないんだから…」




「鋳鶴様!ここでいいですわ!」


「本当に?

それじゃあ降ろしますね」


抱きかかえた神宮寺さんを優しく地に立たせると


神宮寺さんは再び鋳鶴君の顔を見て頬が赤くなっていた


「神宮寺さん?

大丈夫?かなり顔が赤いけど

ちょっとごめんね」


そう言うと鋳鶴君は神宮寺さんの額に自分の額をくっつけて体温をはかり始めた

大好きな鋳鶴君を前に神宮寺さんは真っ赤になりっぱなしです

それにしても羨ましいです

私もお金持ちのお嬢さんと某週刊誌の執事みたいにイチャイチャしたいもんです



「ところで今日は何処へ?

私は知らされていませんしそれに鋳鶴様も一言も

お花がいるという事は誰か大事な人に会うのですか?」


「えぇ~とね

死んでしまった人に会いに行くんだ

この前約束したからね

有町沙綾って言うんだ」


名前を聞いた途端神宮寺さんは氷りついた

自分がしてきた事をまるで分かったかの様に

自分があの日有町沙綾を利用しいかに卑劣な事をしたのか

今になって反省が溢れ出してきた

そして愛も自然と溢れ出してくる

この人はこんな下劣で卑劣な作戦を行った魔法科を許してくれた事

そして勝たねばならないという思いを消し去ってくれたこと

思いの枷が外れたとき彼女は目の前の人に頭を下げた

自分は謝り方を知らないそれに誠意もしらない

精一杯今の自分が出来る謝罪の格好をした


「鋳鶴様・・・

申し訳ありませんでした・・・

私はなんてことをっ・・・」


謝っていて表情は顔は見えないが彼女の顔の下の地面には涙が滴り落ちていた


「えっ!?いや!

謝らなくていいですよ!!

あれは作戦でしょう?僕がまんまと騙されたそれだけです

それに僕の為に涙を流すのは止めてください

水分が勿体ないですよ

それに神宮寺さんは泣いてるより笑顔の方がいいですよ?

それに一族の顔なんですからしっかりしないと!」


鋳鶴君に許して貰った上に励ましの言葉も貰い

再び涙を流しまくる神宮寺さんそれにしても流しすぎでしょう・・・

目の下が赤くなっています

そんな事があってしばらく歩くとそこには広大な墓地がありました

いくつかのお墓が連なっています

鋳鶴君は手桶と柄杓を手に取ると手桶に水を入れました

神宮寺さんは今度自分の家族の墓参りの為に必要事項をメモしています

少し水で重くなった手桶のなかに柄杓を入れてお墓はどういう所なのかを説明する鋳鶴君

神宮寺さんはどれだけ非常識というか世間知らずなんでしょうか・・・


「これが・・・お墓ですの?」


「そうですよ

これが日本の墓地にある

棺桶みたいな物です

えぇっと確かまず水をくまなく柄杓で水をすくって上からお墓にかけてあげます

僕がいつもどうりにやるとしたらこの後水をタオルで拭いてあげます

それでまたお水を掛けて掛け終わったらお花をそえてお線香たてをつけて

これで終わりですそれにしてもお花が綺麗です

沙綾もきっと喜んでくれると思いますありがとうございました」


鋳鶴君は少し不器用そうに敬語を使い神宮寺さんに頭を下げた

神宮寺さんもいいえいいえと手を横にふって鋳鶴君にお墓参りの作法を教えてもらった御礼に

お辞儀をしています少しほのぼのしいです


お経を読み終わり荷物をまとめて帰り支度をする鋳鶴君

その鋳鶴君の後ろから数人の人が近づいてきました


「鋳鶴・・・久し振りだな」


そこには望月家6女結さんと魔王科の見たこともない人たちが立っていました

でも皆さん美人ですこれが魔法科の生徒だと思うと鋳鶴君は唾を飲みました

神宮寺さんはその隣で何か攻撃がこないかと見構えています


「久し振りだね・・・

今日は大勢連れてきてどうしたの?

墓荒らしでもする気?」


「そんな事はしない

ただ鋳鶴に挨拶しに来ただけだ」


「ただの挨拶?

じゃあそんなに人数は要らないと思うけど?」


「有町沙綾への墓参りも兼ねてお前に挨拶しに来たんだ

だから花束も持っている」


結さんは花束を沙綾さんのお墓に添えた

鋳鶴君は添えられた花を振り払って落とした


「何の真似だよ・・・

今まで沙綾のお墓参りなんて一度も来なかったじゃないか・・・」


「今日はたまたま来たかったんだ

そしてお前に伝える事もあったから来た

魔王科に来い鋳鶴」


あまりにも唐突に魔王科への誘い

鋳鶴君は唖然とした頭での認識が出来ないぐらいに

呆気にとられた鋳鶴君を見て神宮寺さんはそれを見てることしか出来なかった

向こうの戦力の方が上で今逃がそうにも鋳鶴君を逃がせないからである


「僕は魔王じゃないし魔王科なんて所には行かない

僕は普通科のみんなと体育大会を優勝したい

歴代初の普通科優勝を成し遂げてみせるよ

あなた達、いや結姉達を全員倒して」


「その心意気やよし

だが鋳鶴じゃお姉ちゃんには勝てない

なぜならここで力尽きて体育大会には出れないからだ

さてと花は置き終わった

明乃、ライア二人で相手してやれ体育大会の練習も兼ねてな」


「はっ!」


「仕方ないわねぇ

でも私が鋳鶴君に手を出しても怒らないでよ?

結はすぐ怒るんだから」


小柄で片目に眼帯を催した銀髪少女と

大柄で出るところは出ている明らかに大学生サイズのポニーテールの女性

銀髪少女は両手にハンドガン

ポニーテールの女性は手に杖を持っている

その二人の動きを見て神宮寺さんは魔道書を開いた


「神宮寺!逃げろ!

君は関係ないんだから早く振り返らず走れ!

この二人は強い・・・!」


「駄目ですわ!

今の鋳鶴様では!」


「分かってる

けど・・・君を傷つけさせるわけにはいかないんだ!

僕の事情にどうか・・・巻き込まれないでくれ!」


「鋳鶴様・・・!」


そう言うと鋳鶴君は空間魔法を発動させ神宮寺さんを学校まで飛ばした


「優しいのね~

偉いわ~まだ15歳なんでしょう?

でもごめんなさいねお姉さん本気だしちゃうかも♪

自己紹介が遅れてしまって申し訳ないわね

私の名前は来栖明乃<くるすあけの>

まだ18歳、君のお姉さんと同い年で同級生よよろしくね」


「私はライア・ポーカハイドだ」


「ライア?そんな無骨なドイツ軍人な挨拶じゃ

男性にすかれないわよ?」


「私はこれで構わん、これと決めたら信念は曲げない」


そう言うとライアさんは銃をリロードし発砲体勢になった

明乃さんは杖を持ち聖職者の格好をしている

杖は禍々しい形をしていてとても女性の杖とは思えない歪な形をしている

先端しは悪魔の翼の様な漆黒の装飾を成している

一方、銀髪少女は普通の拳銃を二丁構えている



ーーーー魔王の力が何故か使えない今・・・

どうすればいいんだ・・・戦いたくは無いし勝てる気がしない・・・

どうすれば・・・どうすれば・・・!ーーーー



「私たちの仲間になればいい

言っただろう?そうすれば鋳鶴は傷つかなくていい

それにさらに条件を追加してやる

私達魔王科が負けてやろう

それで普通科は優勝だそれでいいだろう?」


結さんが普通科への無条件降伏を提案をすると

鋳鶴君は拳をグッと握りしめた


「結姉、普通科はもう弱くないよ

僕がそれをここで証明してやる」


「鋳鶴、そう思って拳を構えた時点でお前の負けだ

なぜなら私たちは1人で普通科全員の生徒と戦う事が出来るからな

さすがに風間は無理だが私たちは今、全員で7人

だから陽明学園普通科7校分で私たちと同等に戦える

それに陽明学園普通科の数は中、高、大合わせて

2万4000人は居るそうだな、だから今の私たちの戦力は18万8000だ」


「だからどうした!

だったら僕が全員相手をしても・・・!」


銃声が響くと鋳鶴君の右腹部には風穴が開いていた

そして鋳鶴君を様々な魔法球が取り巻いた

鋳鶴君は激痛にその場に倒れ込む

鉛弾が貫通した後からは血が滴り落ちていた


「ごめんなさいね~

これも命令というか結の意志なの

だから素直に捕まってくれないかしら?」


「嫌です・・・!

僕はここでは・・・!」


「腹に風穴を開けてもなお立つか・・・

しかし私の顔を覚えていないとはな

お前では魔王科も人間を誰1人倒すことは出来ない

お前は弱いと前も言わなかったか?」


「君は・・・!

ウグッ・・・!」


鋳鶴君は呻き声をあげると

お腹を抱えてその場に横たわって気絶した

気絶した鋳鶴君を結さんが抱き抱えて転送魔法を使いどこかへ送った





ーーーー陽明学園中央保健室病院ーーーー





「あれ・・・ここは一体?」


「私たちは勝ったのか・・・?」


「分かりません

でも一応勝ったという事では?

望月君が居ないみたいですし」


「私達の分しかないみたいだ

鋳鶴の分のベットが無い」


三河さんが髪を結いながら

周りを見回し8人分のベットしかない事を確認した

土村君はカメラなど備品の整理をしている

虹野瀬さんはこの前の戦いで起こった事をプリントに書き記し

荒神さんと赤神君は寝ていて城屋さんはどこかに行っています

風間さんは音楽を聴きながら横たわっていてまるで聞く耳を持ちません

鈴村さんは赤神君の看護をしています

そこに走り疲れた神宮寺さんが病室のドアを開けた

息は乱れ服も髪も乱れている


「皆さん・・・!

鋳鶴様がっ・・・鋳鶴様がぁ・・・」


その場に泣き崩れる神宮寺さん

土村君は血を吹き出し倒れていますそれどころじゃないでしょう!

雛罌粟さんが神宮寺さんの元に寄りました


「だうしたんですか!?

望月君に何が!」


「鋳鶴様は・・・

ヒック・・・ヒック・・・」


神宮寺さんが何かを伝えようとした時

教室内のアナウンスが響いた


「臨時放送です臨時放送です

教室にいる生徒は教室内のテレビを

外出している生徒は中央モニターをご覧下さい」


三河さんは臨時放送を聞くと

病室に一台だけ置かれている薄型テレビのスイッチをつけた

そこには鋳鶴君のお姉さんにして次戦の魔王科の大将結さんが映し出されていた


「ルール変更とはどう言う事ですか?」


新聞部らしき男子生徒が結さんにマイクを差し向けた


「体育大会のルールを変更しようと思う

普通科は実に強くなったそれに規格外だ

そこでだ魔王科の使用人数量を5人にしてほしい

そして普通科大将は会長または会長以外がする事という事にしよう

それがハンデとなるかも知れんこちらは会長が分からなくなるしな」


「皆さん!体育大会のルール変更!

こんなことは前代未聞です!決勝戦は全国放送になっています!

それでは皆さん臨時放送を終了します!」


新聞部の生徒は手を振るとテレビ画面は砂嵐になった



「ルール変更だと!?」


「・・・聞いてないそれに敵が増えた・・・」


「それでも勝ちましょう!

風間会長!あれ・・・?」


先ほどまで雛罌粟さんの隣のベットで寝ていた風間さんは

跡形もなく消え去っていた



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