第41話:魔王と白魔術士
攻撃をせずに魔法科黒魔術師の神宮寺寿さんを攻略!
しかしまだ白魔術師の虹野瀬縒佳が魔法科本陣で待ちかまえる
圧倒的普通者にも倒せなかった魔女を鋳鶴君は倒せるのか!
ーーーー観覧席ーーーー
観覧席は魔法科対普通科のスタジアムが崩れ場は騒然としている
救出隊が送られたが瓦礫の作業に手こずっていていつまでたっても
普通科と魔法科の生徒の無事の確認はわずかにしか出来ていなかった
そして観覧席には心配する普通科、または魔法科の関係者で溢れかえっていた
「おい!まだみつからねぇのかよ!
あいつらを早く助けてやれよ!」
「神宮司様と虹野瀬様がまだ中に居るんだぞ!
救助隊早く作業を進めろ!」
怒声や罵声が飛び交う中、
家族が中に居るのにもかかわらず
まとまって観客席に座り込むある家族がいた
「恐子お姉ちゃん!
鋳鶴お兄ちゃんを助けに行かなくていいの!?
お兄ちゃん死んじゃうかもしれないよ!」
望月家8女の鋳鶴君のマイシスターの神奈さんが
鋳鶴君達の居るであろうスタジアムを見て挙動不審になっている
そして神奈さんの大声を聞くと恐子さんがあくびをしながら目覚めた
しばらく辺りを見回すと再び目くじらが下がり眠りについてしまった
「神奈落ち着け
姉さん達は鋳鶴を信じてこきに座っているんだ
救助隊の人たちも落ち着いてと言ってただろう?
ところで・・・だ・・・
私の眼鏡は何処にいった・・・?」
「お姉ちゃん頭の上にかかってるよ!?
しっかりして!一番落ち着いてないのは安奈お姉ちゃんじゃないの?」
あまりの安奈さんの挙動不審っぷりに驚く神奈さん
ゆりさんは耳栓を付けたまま寝ていますし
それに恐子さんは耳栓無しで爆睡なう
穂詰さんは救助隊の応援に
真宵さんと梓さんは海外で居ないし
結さんは魔王科の試合でそれどころではありません
お母さんの雅さんは出張で海外に
お父さんの霧谷さんは東京に単身赴任中で居ない
神奈さんの瞳から涙がこぼれ落ちました
「お兄ちゃん・・・」
「む!むむ!
感じるよ~!
お兄ちゃんが女の人口説いてるときのあれだよー!
神奈!お兄ちゃんは生きてるから!泣いちゃ駄目だよ~?」
「えっ!そうなの!?
なぁんだ・・・心配して損した~・・・」
呆れながら内心ホッとする神奈さんでした
ーーーー機械科会長室ーーーー
「失礼します!
芳賀です来週の超弩級帆船の予算なんですが・・・」
芳賀茶々さんが扉をノックして会長室に入る
そこにはいつもの姿の金城さんが・・・
「誠・・・
あの馬鹿者・・・何をしている
何が勝ったら飯を奢るだ・・・
誠ぉ~・・・死ぬなよ・・・
ん!ゴホンゴホン!
予算の話を始める茶々座れ
それとここで今、見たものは全てまやかしだ
お前は何も見ていない!それを肝に銘じておけ!」
そう言って羞恥から赤くなった顔を隠す金城さん
それを見てる茶々さんは口を膨らませ笑うのをなんとかこらえています
茶々さんは資料を金城さんのデスクに置くと部屋を後にしました
そして走ってモニターに向かうとそこには妹の江さんがいました
「江ー!
お姉ちゃんね!面白い事発見したの!
金城会長がねー!」
「へっ?
会長がですか?」
あまりにも大きな声で茶々さんは金城さんの秘密を話していた
ーーーー魔法科本陣ーーーー
「やっと来たようね
待ちくたびれたわそれに貴方が来るまでに準備も出来た
歩いてここまで来た事を貴方は後悔しなくちゃならないわね
そして魔王になった貴方には何があるのかしら
希望?それとも破壊衝動?罪悪感?悲しみ?喜び?怒り?」
虹野瀬さんの周りには無数の魔法球と
禁忌魔法の一つ衛星魔法陣の魔法陣が描かれていた
その魔法陣の中央から1、2m浮いた所に虹野瀬さんは浮いている
「知ってる?
この魔法陣は「グングニル」と言うの
空から落ちる光の雨を一つに固めて一点に打ち落とす
魔王討伐戦にも使われた禁忌魔法の一つ
そしてこの魔法は光の力で出来ているの
だからここは貴方の墓標、魔王の墓になる予定なの詳しく言うと
15歳で魔王となった愚かな少年の墓
これでいいわそして私は英雄扱いになって
魔王殺しと名付けられ国民栄耀証、陽明学園から表彰されるかもしれない
だからここで死んで貰える?望月君、いいえ物好き君」
「それは僕に不満が残りますよ
それにここでくたばる気もなければ
貴方に殺されたくもない
だから負けられないし死ねない
ここは誰の墓にもならない僕の墓でもなく
貴方の墓にもならないそしてここは新しいスタジアムに新築される
だからここに誰も埋まらない僕が埋めさせない
だから」
鋳鶴君は「魔」と書かれた法衣を羽織った
髪も銀髪に変わり目は赤くなっている
「僕が貴方を倒して
ここから出せばいい
それでめでたしめでたしになります」
鋳鶴君の生真面目な表情を見て虹野瀬縒佳は笑った
「それが出来るのかしら?
ごめんなさい余りにも貴方が不可能な事を言うから
お腹を抱えて笑ってしまったわ
もう余談はたくさん
さぁいい加減、始めましょうか
どっちが踊り疲れるか本当に見物だわ」
虹野瀬縒佳が右手を天に掲げると
激しい光が天から降り注ぎ鋳鶴君がいる付近20mを
修正ペンがまるで黒い字を上から修正するときのように一筋の光が彼を白で塗りつぶした
ーーーー観覧席ーーーー
白い光がスタジアムがあった上空から差し込み
地面しぶつかる
光は地面にぶつかると強大な振動とともに観客を驚かせた
口を開きっぱなしになる者、恐怖してふるえる者そして
「さて、そろそろ行ってやるか」
立ち上がる者
会場の中で唯一立っている女性がいた
彼女は光を見ると先ほどまで居眠りをしていた
観覧席から目をこすりながら渋々立った
「さてと鋳鶴もそろそろ助けに行くか?」
怯える神奈さんを見て恐子さんは神奈さんの頭を撫でながら同意を求めた
神奈さんはこくりと頷きゆりさんと安奈さんに目で合図を送ると二人ともこくりと頷いた
安奈さんは恐子さんに近づき肩をポンと叩いた
恐子さんは笑みを浮かべ救助隊の居るスタジアム付近に向かった
ーーーー魔法科本陣ーーーー
「望月君はどうしてそこまでして戦うのかしら?」
「あなたでもそういう事を聞くんですね」
法衣で光を完璧に防御した鋳鶴君
光の落ちた所を見ると鋳鶴君の法衣があった場所以外は溶けて無くなっていた
虹野瀬さんが放つ魔法球を回避しながら鋳鶴君は
会話を始めたこの間も魔法球は縦横無尽に魔法科本陣内を駆けめぐっている
「驚きねグングニルを避けるのではなく
法衣で防御するなんてそんな人間初めて見たわ
さすがは魔王ねでも何のためなのかしら
私はそれを普通に考えていたわ
あれ程愚鈍な会長に仕えてるあなたが不思議でしょうがないの
なぜ愚鈍な者の下に仕えるのかしら?
あなたは魔王ならば今すぐにでも魔女達を先導出来たりするのよ?」
「それをして何になるんです?
じゃあ僕が今、貴方に従えと言えば従うんですか?」
「従わないわ
私は私よそれにあんたはまだ自分が魔王だと公表していないでしよ?
それに私は言わなかったかしら?貴方を私の駒、つまり奴隷にするって
だから今は貴方の前で浮いて魔法球を飛ばして魔王を討伐しようとしている
勇気ある魔女を熱演しているんじゃない
私の駒になりたくないのなら私を殺せばいいそうすれば貴方を狙う人間は
限りなく少なくなるまだ魔王と公表していない今が好機だと思うわよ?
貴方の事を魔王としったら世界はどうなるかしら
そして貴方の周りの人間達、友人、家族はどうなってしまうのかしら
非常に興味深い所だけれど私は貴方に殺させない
貴方は私を殺せない無垢で可憐な女子高生お嬢様魔女なのだから」
魔法球を再び飛ばすと
鋳鶴君はその魔法球を全て回避してみせた
「よく言えますね!
そんな言葉が貴方の口から出てくる事が驚きだ
それに僕は魔王じゃない上に魔王になる気なんて微塵もない
貴方の駒にもならなければ奴隷にもならない」
「それは貴方の傲慢よ?
人間にはどれか選択をせねばならない時が来るの
貴方はその時でも今言った事みたいな言葉を並べてそれを乗り切る気?
いいえ乗り切れないわ人は絶対に選択をしなければならない
両方という選択が出来る人間は限られている
もし貴方が世紀の大猟奇殺人犯に
魔王の力は勿論使えなくて貴方は普通の男子中学生
家族を人質に取られたとする
そして大猟奇殺人犯はこう言う
「家族を殺されたくなかったら
お前が死ぬか俺を見逃せ!」
そう聞かれたとしたら貴方はなんて言うのかしら
「僕を殺せ!」
と言うか
素直に見逃すか
しかしその思いによってたくさんの罪のない人間が死ぬかも知れない
貴方は普通の中学三年生
どうするのかしらねでも人間はそういう選択をせねばいけない時が来る
両方なんて選択は傲慢なのよ
貴方に両方選択する権利なんてまずないわ
だから貴方は私の奴隷になるか私を殺すかのどちらかを選択しなさい
今ここで、私の前で」
鋳鶴君はそう言われると
自分の法衣を脱ぎ魔法球に囲まれる中
鋳鶴君は手を上げたそして法衣を手に持って振り回した
「確かにそうなのかも知れない
僕は傲慢で愚かかも知れないいざというときにも選択も出来ない
僕は友達もあまり居ない、決して運が良いとも言えない
欠点ばかりの人間だ一族では1、2を争う馬鹿だ
弱くて何一つ人の為になんて出来る事は無い
でも僕にもしたい事ややりたい事はたくさんある
魔王かもしれないけれど僕は人間だ
でも人間である限り選択しなければならない時もあるのかもしれない
でも僕は選択するのが怖い
生まれて何回も選択を間違えた
だから今の僕はこう考える
選ぶしかない選択は止める
僕が選択を作りその選択を僕が実行する
だから今選択を作り加えた
「僕は君を僕の物にする」
これが一番良い考えだと思って付け加える
これなら誰も死なないし誰も損はしない
僕は綺麗で高飛車でドSな君を側に加えられる
学園で1位と2位の美をもつ生徒を二人も僕の物になるそれでいい」
そう言うと鋳鶴君はいつもの屈託の無い笑顔とは違う
虹野瀬縒佳がする様な妖しい笑みを浮かべた
「それは無理な相談ね
私は魔女よ?しかも女子高生
私の心と体は人間より重いわ
だれよりも重くとても純白で綺麗な心を持っている美少女」
「後半は美少女以外間違っていると僕は指摘するけれど?」
「だったら貴方はそう思えば良い
こんな女を貴方は管理出来るのかしら?
そして最高位の魔女クラスとなると扱いは難しいし神経質
そして背中に魔法陣はあるわ人間としては重い」
そう言うと虹野瀬縒佳は
自分の上着を脱ぎシャツを背中が見えるように脱いだ
そこには黒い入れ墨で魔法陣が掘られていた
「これが上位クラスの魔女の証
15歳にそうなると背中に掘られるの
とても痛いわそして一生取れることが無い
戒めの様な物ねまぁ年が違ってもこの入れ墨、刻印は彫られるのだけれど
これはさらに自分の中に魔法を取り込むのいつでも使えるようにね
寿の背中にも掘られているわ
これを抱えて貴方は生きていけるかしら
そして貴方は生きてここから出られるのかしら
無駄話はそろそろ終わりにしましょう魔法球も尽きてきた
魔法陣ももう使えないぐらい浪費した
そして私は背中に刻まれた魔法陣を展開したこれでチェックメイト
貴方の死は決定し魔法科は決勝に進み貴方の姉と戦う」
彼女の背中から大量の魔法陣と禁忌魔法、衛星魔法陣、魔法球、白魔法が展開された
謎の物体やうごめく影そして大量の魔法球
それらを見て鋳鶴君は驚愕した
しかしその驚愕が嘘だったかのように「魔」と背面に刻まれた法衣を振り回した
「何をしているの?
降参・・・かしら・・・
魔力を・・・
使いすぎたようね・・・
でも・・・貴方は終わり・・・ここで・・・」
「終わらないよ」
鋳鶴君がそう言うと彼女が展開した魔法は全て光になって飛び散った
そして優しい光となって跡形もなく異形のもの達は消えた
鋳鶴君は虹野瀬縒佳を抱き抱えたそして崩れた瓦礫の頂上に光が
差し込んでいるのを見つけるとそこに彼女を抱えたまま飛び乗った
「気分はどうですか?」
「愚問ね
最悪よ今まで生まれて16年間、こんな屈辱は初めてだわ
これはもはや陵辱よ好きでもない男にお姫様抱っこされて
大衆の前に晒されるなんて一生の恥だわ
そしてこのまま私に負けてという事をみんなに知らしめる事を言わせるのね」
「大丈夫ですよ
みんな分かってくれるか分かりませんけど
きっと虹野瀬さんは魔法科の為に頑張ってくれたと思ってくれます」
「普通科に負けて?
滑稽だと思われるだけよ
それにこれで私の大好きな怪異はしばらくお預けね・・・」
肩をガックリとあからさまに落とす虹野瀬さんを見て
鋳鶴君はやれやれと肩をすくめた
そしてふと思いつくと虹野瀬さんの耳に自分の口を寄せた
周りは歓声や罵声が響いているそれ故この距離で鋳鶴君は
二人にしか聞こえない距離でこう言った
「僕が面白いものを見せてあげますよ
絶対に僕という怪異よりも面白いものを」
鋳鶴君の話を聞くと
虹野瀬さんも鋳鶴君の耳に口元を寄せた
「そうでないとつまらないわ
貴方は魔王なんだもの
当然私には玉座を用意してくれる筈だわ
期待を裏切ったら私は迷わず貴方を殺すから」
内心びびりながら鋳鶴君は救助隊に虹野瀬さんを渡した
そして残りの普通科、魔法科共に全員救助され大会は無事ではないが
普通科の勝利に終わった
第2回戦
勝利:普通科
敗戦:魔法科
となった
そして鋳鶴君は全員を1人で病院に運び
普通科メンバー全員の治療が終わるまで不眠不休で起き続けたという