第32話:魔王と虹野瀬縒佳
陽明学園を襲った震度4の地震から1日、
千鶴ちゃんの名は学園中に広まってしまいました
潜入作戦・・・どうなることやら・・・
気がつけば1日がたっていました
昨日は千鶴ちゃんが大活躍でしたよ!?
震度4の地震が起こるんですからねぇ~・・・
そんな昨日陽明学園を震源とする地震を起こした千鶴ちゃんは1人寂しく学校に登校します
「はぁ~・・・昨日は大変だった・・・」
独り言をぼやいています
ちなみになぜいつものメンツで登校しないのかというと
普通科の皆さんと一緒に居ると普通科の友達が居る~とか格下の相手と~?
などと魔法科の方々に偏見をもたれひかれてしまうからです
だからいつものメンツは千鶴ちゃんから5mぐらい後ろで歩いています
「そういえば・・・多大な勘違いをうけたな~・・・」
空を見上げる千鶴ちゃん、昨日あのあとに嫌な事でもあったのでしょうか
ーーーー昨日ーーーー
「ただいま~・・・」
試験を終えて鋳鶴く・・・じゃなかった。
千鶴ちゃんが少し肩を落とし自宅の玄関を開けました
「どなた様・・・?」
ゆりさんが先ほどまで食べていたソフトクリームの塊が床にボタボタと落ちています
目は点になっており思考が停止しています
おそらく鋳鶴君だとわかっていないのでしょう
鋳鶴君は考えました
「僕だよ!お兄ちゃんだよ!」
と言えば鋳鶴君は変態として語り継がれる人生を歩むでしょう
もう一つの手を練ってみると
「貴方のお兄さんの彼女です」
と言う手もある
しかしこれはある意味自殺行為であってばれた時の羞恥が半端ないです
男性が本来着るものではない魔法科女子生徒用の制服
ウィッグをつけ髪は後ろに結んでいる
「えぇっと・・・
その・・・お兄ちゃんなんだけど・・・」
羞恥を押し殺して鋳鶴君は自分の女装を告白する
「えっ?お兄ちゃん?
女の人の格好してなにしてるの?
まさか・・・あぁぁぁぁ!
神奈ー!ここに変態さんが居るよー!
お兄ちゃんが帰らぬ人となっちゃったよー!」
ゆりさんは急に叫びだし神奈さんを呼んだ
「なに~お姉ちゃ・・・
嘘!?お兄ちゃん!?
大丈夫!私はお兄ちゃんがどんなになってもお兄ちゃんって呼ぶからー!」
「落ち着こう!?ね!?落ち着こうか!
とにかく深呼吸~!」
鋳鶴君は逃げる二人を捕まえると深呼吸をさせ
正気になるように話しかけた
そして事情を説明した
ゆりさんは中々信じなかったが神奈さんは信じていました
「ねっ?ゆり・・・分かってほしいな~・・・」
鋳鶴君はゆりさんにいつもの様優しく話しかけます
ゆりさんは顔を伏せていたが顔をあげて鋳鶴君の方を向き
「望月ゆりの冒険の書は消えてしまいました」
「え!?消しちゃ駄目だから!
お願いっ!ね!?ほら!お兄ちゃんだよ!?ほら!」
「復活の呪文を入力してください」
「いい加減にせいっ!」
鋳鶴君はゆりさんの頭にチョップをあびせました
ゆりさんはチョップの威力が強かったのか頭をさすりながら半泣きになっている
そのあと続々と家族が帰ってきて鋳鶴君はある意味死にかけました
「大変だったな~・・・」
そうですよね~・・・大変でしたからねぇ~・・・
どんどん足並みが重くなっていく鋳鶴君改め千鶴ちゃん、
俯きながらも前に歩いています
というより・・・自分の兄が女装してる所を見たら妹ならどうするのでしょうか・・・
そんなこんなで歩いていると魔法科の門が前に現れました
門の前に立つ千鶴ちゃん、周りの生徒達がひそひそと噂話をしています
おそらく9割方千鶴ちゃんの事でしょう
普通科出身で新記録更新ですからねぇ~・・・
入ろうか入るまいか悩む千鶴ちゃん、まぁ・・・正直良い気分にはならないでしょう
「おっ・・・おはようございますっ・・・!」
千鶴ちゃんは顔を引きつらせています
周囲の人は千鶴ちゃんの緊張や不安に気づいていないようです
あまりにも周りはシーンとしています
まぁ・・・新記録作った化け物女(男)がきてるぞっ!ってな感じです
「あら?望月さん?今日はまず生徒会長に会ってもらわないと・・・
と昨日申しあげた気がしてのだけれど・・・
まぁいいですわ
それでは会長の所へご案内致しますわ♪」
すると神宮寺さんは昨日の試験の時と同様、
エレベータらしきものに乗る所まで移動しその間、
神宮寺さんは廊下で挨拶してくる生徒に愛想を振りまきながら
千鶴ちゃんをエレベーターに乗せ昨日とは違い今日は上の階へのボタンを押した
相変わらずエレベーターは綺麗で清潔に保たれており昨日の地震があったのかと疑問を覚えるほど
清潔に保たれている
「昨日は大変でしたのよ?
貴方のせい・・・と言っては悪いのかもしれませんけど
エレベータ、階段、各教室、全て魔法科全員でお掃除してきれいにしたというよりも・・・
私と会長二人で綺麗にしていましてよ♪」
神宮寺さんがもの凄く怒ってると思っていた千鶴ちゃんはホッとしていました
さすがに詠唱ミスでああなったのにも関わらず笑顔で接してくれるなんて・・・
と思っていました
しばらく沈黙が続く中機能の事をまた思い出して泣き出しそうになる千鶴ちゃん、
そこはグッとこらえてエレベータの階表示の数字が神宮寺さんの押した階までの数字になるまで
俯きながら待っています
「チン」という音が鳴ると同時にエレベーターの扉が開きました
しかしエレベータの前には闇しか広がっていません、何も無いのではと思うほどに真っ暗です
神宮寺さんが一歩前に出ると暗い闇のからから蝋燭が次から次に灯りはじめました
神宮寺さんは千鶴ちゃんを手招きすると千鶴ちゃんはそれに付いていくように歩き出しました
千鶴ちゃんが歩くところと神宮寺さんが歩くところだけに足元に設置された蝋燭が灯る
しばらく歩くと先ほどまで灯っていた蝋燭の火は消えてまた進む所に蝋燭が灯ります
どんどんエレベータの光が小さくなっていきついには蝋燭の灯りが無ければ道が分からないほど
周囲は真っ暗になっていました
神宮寺さんはこの何も無い道で、ただ悠然とまっすぐに歩いています
すると神宮寺さんがいきなり歩くのをやめ暗黒の中、扉も無く目の前に闇しか存在していない場所で
ノックをしはじめました
1つ2つ・・・神宮寺さんが程良い加減で扉をノックします
するとその奥らしき所から1つ2つノックを返してくる音が聞こえてきました
「どうぞ・・・」
扉を開ける前に中から小さな声で部屋に入って良い許可が中の人からおりました
恐る恐る扉を開けるとそこには一つのともされた蝋燭、黒色のロッカーそして玉座しかありませんでした
テレビはもちろんのこと電球すらついていません窓も漆黒のカーテンで外の光は遮断されています
玉座には1人の女性が座っていました
研磨剤で磨かれたばかりの黒曜石の様な光を放つ艶のある髪、
仕立て上げられた真っ黒な制服、その黒尾に反する白い肌
「初めまして・・・かしら・・・?
眠いので早急に自己紹介するわ・・・
私は虹野瀬縒佳・・・この陽明学園魔法科生徒会長をしているわ
貴方は・・・そう、知っているわ
昨日の地震を起こした人ね・・・あれには私もあまりにうるさくて起きてしまった
貴方の責任にしても良いけれど、それじゃあ私が少し惨めな女になってしまうわ
そうね・・・しばらくここに通いなさいそれで免除してあげるわ
それにね?今私凄く貴方、そう、望月千鶴という人間に興味があるのよ
久し振りに興味が沸いたわ最近、読破した書物を初めて読んだ時のような感じね
あと私は飽きたら貴方の事を名で呼ばなくなるかもしれないわ
それかもう会わないような所へ送ってしまうかも
それか貴方が死ねばいい私が飽きるまでは生きていて頂戴、
だったとしても貴方に今興味が沸いているから此処に呼んだ
詳しく言うと神宮寺に此処に連れてきてもらった
それじゃそういうことでよろしくお願いするわ
今日は少し話しすぎたかもしれないわ
咽がかれちゃった
貴方は男性っぽい所があるから望月君と呼ぶことにするわ」
千鶴ちゃんは虹野瀬さんの最後の発言にビクッとしながら何とか反応せずに乗り切りました
虹野瀬さんは一通り千鶴ちゃんに伝えたかった事を言うと玉座の肘掛けを180度回転させました
すると闇の中に一つの隠し部屋様な仕掛けが現れ、
虹野瀬さんは千鶴ちゃんに妖艶な笑みを見せると闇の中に消え、再びその闇を閉じた
「あれが内の生徒会長でしてよ?
少しうるさいところもあるけれど人望も厚いそんなお方ですわ
かといってあれほど話すところを見るのは久し振りでしたわね
私はそろそろ授業なので分からない事があったら手帳携帯で連絡してください
それでは私はこれにて失礼しますわ
勉強部屋はお隣にありますから是非お使い下さいまし
ではまたあとでお会いしましょう」
「はっはい・・・
分かりました・・・」
千鶴ちゃんが返事をすると神宮寺さんは笑みを浮かべ教室へ・・・
向かわなかった
彼女は教室へ戻ると言い千鶴の前から姿を消した
しかし彼女が向かったのは・・・
「あら神宮寺、
随分遅かったんじゃ?
私の時間を5分も奪うとは良い度胸してるわね」
「ふふっ
虹野瀬こそ・・・
私の時間を5分いえ15分もよくも奪ってくれましたわねっ!」
「そんなことどうでもいいわ・・・
さぁ会議を始めましょう」
神宮寺さんはため息をつくと闇の中にある虹野瀬さんの向かい側の玉座深く腰を下ろしました
久し振りの更新・・・!
やっと少し落ち着いてきました!
しかしまだ受験シーズン・・・
また休むかもしれません!