番外編:侍三河少女
またまた出ました番外編!
今回は、三河さんです!ちなみに体育大会の戦争前の彼女の決意や思いも綴っています。
彼女の鋳鶴君に対する思いとか・・・
恋愛感情とか・・・
周りの人たちとか・・・三河家の事とか・・・
彼女も色々大変なのですよ・・・
一応主要ヒロインなんで・・・
今回はポニーテールにした理由なども・・・
「はぁ・・・」
年越し前の十五夜のお月様がキレイに出ていた夜
自宅で1人寂しげに息を吐く、
風に髪を靡かせその黒く艶やかな髪は月の光に照らされて髪の光沢をうむ・・・
私の家は広い、
隣の家の人の家も広いが私の家は隣の家の人の家と同じ大きさなのか、
まだ一度も顔を合わせていないな・・・
しかしこの町に来て1週間というもの・・・
私はこの家から出ていない。
それもそうだろう・・・
私は今では「国宝」の妹なのだから・・・
物思いに耽る中学1年生の三河さん、
今の三河さんはこの時からそう変わっていません。
しかし・・・またこの町に帰ってきたのは嬉しい、
それに隣の家は私の初めての幼なじみと言える者が居るのだから。
鏡を見つめながら髪をとかしている三河さん、
すると家の玄関の方からインターホンの音が家中に響いた
内玄関を開け外玄関に早足で出て行く三河さん、
玄関のインターホンを押したのは
「歩ー!久し振り、元気だった?」
鋳鶴君でしたこの時、
鋳鶴君も1年生事件の後でもうお友達は沢山居る頃です
ちなみに元気でヘタレになり始めた頃の鋳鶴君です。
「私は元気だった。鋳鶴はどうだ?」
少し寒いのか防寒着を着てこなかった三河さん、
そりゃ寒いでしょうよ!浴衣一枚で出てきたんですから、
鋳鶴君はそんな事をついしらず
「元気だよ?
まぁ・・・色々あったけど元気にやってるよ。歩は元気?」
揚々と三河さんの質問に答えて聞き返してきました。
鋳鶴に会えて嬉しい・・・
出来ればここにはずっと居たかった。
私の居場所はこの町だ・・・それを壊したのは・・・
下を向き俯く三河さん、考え込み少し無口になっています。
久し振りに会った幼なじみにさえ言えないことがあるのでしょう・・・
2秒ぐらい周囲が硬直につつまれた後鋳鶴くんが騒ぎ出しました
「歩!手!手、大丈夫なの!?
ボロボロじゃないか!今すぐ応急箱持ってくるね!」
そうだ・・・私は手を怪我していたんだ・・・気づかなかった・・・
もう身も心もボロボロなのか・・・私は・・・こいつの事を・・・もう・・・
そんな今ではかげがえのない幼なじみと会ったのは小学校中学年の頃だった・・・
ーーーー三河家地下道場ーーーー
そこには母が居た。
そして私はいつも母の言うこと通りに稽古をしていた・・・
武術だの稽古だの・・・母は五月蠅かった。
しかし幼い頃の私は反抗期というものを知らずただただ親に従い剣道をするしかなかった・・・
私にはその才能を磨くしかないのだから・・・
「なぜできないんですか!?
そんな事では三河家の恥になる!
なぜ貴方の姉の進<すすみ>は出来たというのに貴方は出来ないのですか!?
それでも三河家の人間ですか!」
「なんで・・・なんでお姉ちゃんは出来るのに・・・
私は出来ないの・・・?
お母さん・・・」
弱音を吐いたり文句を地下道場で言うと母は道場の戸を閉め
私を暗い空間で1人ぼっちにし上の階で私と違い優秀な姉を甘やかしながら2人で暖かいご飯を食べていた。
当然戸を開け外に出る頃にはご飯も冷たくなっていた。
私は何度も自殺しようとした・・・
今では考えられない、しかし小学3年生だった頃の私には耐え難い稽古だった・・・
母は私を嫌っているのかもしれない私は母を殺してしまおうとも思った。
そんな時にあいつは現れた。
それは小学4年生の頃、家に私以外居ない冬の氷点下0℃以下のとてつもなく寒い日だった。
家のインターホンが鳴り私はいつも通り玄関に出て人を確認した。
しかし今日は母には宅配物は無いと言われた上に
友達の居なかった私に会いに来る友達というものも居なかった。
玄関に居たのは私と同い年ぐらいの少年が居た。
初見では私より身長が高く何かどこからともなくこの少年は敵では無いと思えた。
「えっ~と・・・三河さんですよね・・・?
隣の望月と言います!よろしくお願いします!」
なんだこの少年は・・・男に見えない・・・これが男なのか・・・?
私はそう心で思いながら彼に質問した。
「何しに来たんだ・・・?生憎母も姉も外出中でな・・・すまないな・・・」
「違うよ?三河さんに用があってきたんだ」
「私に?何だ?」
そう答えると望月が口を紡ぎしばらく黙り込んだまま生きを吸い込み彼は私にこう言った。
「三河さん!学校にこないんですか!?」
私は本当の事を言えなかった。
学校に行けないと言えば、なぜ?と聞かれるだろうし・・・
逆に稽古で行けないといえばどんな稽古してるの?とか聞かれそうだしな・・・
どうするのよ!私!ライフ0ード続きはWEBで!といいたい所だが・・・
ご近所さんだしいつかは何かのよしみで家に招くことがあるやもしれないな・・・
「まぁなんだ・・・此処では寒いだろう入れ。」
私は望月を家に入れ茶の間へ招いた
茶の間にはコタツとテレビとタンスほどしかなかった。
茶の間にはいつもは雑誌が置いてあったのだが今はない、
多分母が私が稽古を雑誌に夢中になりサボるとでも思っていたのだろう・・・
「三河さんの家って広いよね~・・・
何か日本庭園みたいだったよ!」
それはそうだ・・・
母の趣味と亡き父の形見としてこの家を残したのだから・・・
しかし私は庭で遊んだ記憶があまり無い、
いつも地下道場で剣技や受け身の稽古をしていたのだから庭で遊んだことなどなかなか無かった。
「三河さんは僕と同い年なんでしょ?すっごく大人っぽいよね!」
それはそうだ・・・
毎日修行や稽古をしていたら子供らしくも無くなってしまうし体も精神も自然と成長してしまうものだ。
「でも・・・いっぱい怪我してるよね・・・
僕が治してあげるよ!少し痛いかもしれないけど母さんと詰姉に褒められたんだ。」
「嬉しい」という言葉よりも先に私は動揺してしまった。
体の傷は服で隠されていて見えない手も豆が沢山潰れた手の平ではなく甲を望月に向けていたしかし傷を見破るなんて・・・こいつは何者なんだ・・・?
「大丈夫だ。
剣道をしているのだから傷が多いのは普通だし
まだ知り合ったばかりの君に治して貰う権限なども私は持ち合わせていない、
だから治療とかは遠慮願いたい・・・」
丁重に断った筈だが・・・
望月は私に顔を近づけてきた。
「だったら・・・う~ん・・・友達になろう!
三河さん僕なんかが言ったら失礼かもしれないけど・・・
大人っぽいし、無理していそうだから・・・ご近所つきあいもあるしね?」
友達・・・そういえば、誰も居なかったなこの男なら・・・
初めての友達でも構わないかもな・・・
「そうだな・・・友達なら許そう・・・」
これが私と望月鋳鶴との初めての出会い・・・
こうして私たちは友になった。
そして中学1年の始業式前で引っ越す事が決まる。
でも私はこの8ヶ月後に帰ってくる事は知らずにこの時を迎えていた
私が小学生を卒業した今では母はもう師範のような存在では無く・・・
普通の主婦になっている・・・
今では安心しているがこの時は絶望した・・・
でもあいつは笑顔のままで居てくれた・・・私は少しふてくされてしまった。
私が引っ越す事に躊躇いが無く、別れを告げに来た様な態度をとっていたからだ。
しかしそれは私の勘違いだったことに気づいた。
「三河さん・・・いや!歩!今日でお別れじゃないから!また帰ってきてね!
だからさ?ね?これを持って行ってほしいんだ・・・」
望月から手渡されたのは髪をまとめるリボンと木刀だった。
私は不覚にも泣きそうになってしまった。
望月は私に気をつかってくれていたんだな・・・
普段髪を縛らないからかとても長く美しいリボンとどんな物でも砕けそうな木刀・・・
「ありがとう・・・」
「歩はポニーテールにしよう!
元気ある子に見えそうだしね!
その方がお友達も増える!保障するよ!僕がね」
嬉しくてたまらなかった。
そして私はある結論にたどり着いてしまった。
ーーーー私はこの望月の事を愛してしまっているーーーー
そう思った時点で私は決めた
「あぁ・・・絶対に帰ってくる!それまで・・・首を洗って待ってるんだな!」
私はこの様な事しか言えないこれが精一杯の別れの言葉、
絶対にここには帰ってくるこの事実だけはねじ曲げたくない今までものを言えなかった自分の初めての決意・・・とでも言っておこうか・・・
そして私は待たせていた車に乗る。
絶対にここに帰ってくるという決意を自分の心の中でまた繰り返し言い聞かせて
車は出発し、どんどん望月が離れていく
私はふと叫んでしまった。
「絶対に!絶対に帰ってくるからな!鋳鶴!」
それから8ヶ月後に戻ってきて1年が経った・・・
私にもようやく友達が増えた
100人・・・程では無いが確かに居る。
転校の間の8ヶ月と帰ってきた1年修行の成果とでも言おうものを見せる時が来た
中学3年生初めての体育大会出場、勿論今は私は1人ではない
頼りになる友達と・・・好きな男が私の隣に居てくれている
守られる自分を卒業する為に私は出る・・・後願い事を叶えて貰う!
「さて・・・鋳鶴!会長!みんな!私に続け!」
私は誰よりも早くスタジアムに向かった。
三河さんの話!結構頑張って作ってみました・・・
ポニテの理由はね~♪
多分これは3.5巻かな・・・?