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女王の一騎駆け――「地理オタクが国を救う号令なんて生意気な」

1.王座にて

 アリアはアイアングリップからの急ぎの書簡を王座で受け取った。

 ただ、それを読むや否や、理由も告げずに走り出した。


「じょ、女王陛下?」

「い、いずこへ……」


 アリアは馬場にたどり着くと、護衛の兵士に尋ねた。

「すぐに女乗馬服を用意しなさい!

 私が着れれば大きさはどうでもいい。

 あと、一番早い馬はどれ?」


「ふ、服は管理棟に予備が、

 あと一番調子がいいのはこの亜麻色の」


「わかった、管理棟ね、ついてきなさい」


「は、はい、こ、ここ、ここで着替えないでください、陛下。

 ちょ、侍従の皆さん、止めてください!」


「止めるな!王命である!」


 その勢いで、アリアは駆け出して行った。

「おい、わ、、、私もすぐ後を追う、

 他にも女王様がいきなり出ていかれたと伝えてください」



2.早馬の到着


 要塞都市アイアングリップは、

 まだ夜明け前の薄闇に包まれていた。

 その静寂を切り裂くように、

 一頭の馬が土煙を上げて駆け込んでくる。


「はっ……早馬!! って、こんな時間にだれ、、、

 じょ、女王陛下!!?」


 周囲の兵がざわめく。


「えっ……!? ひ、陛下!? お一人で!?」

「護衛は!?」

「誰もいない……!? どうして……!」


 アリアは息を切らしながらも、

 迷いのない足取りで軍議の会議室へ向かう。



3. 軍議の幕が開く


 ダリウスとルークス、そして四人が

 沈痛な面持ちで軍議を始めようとしたその瞬間。


 ——バンッ!!

 会議室の扉が勢いよく開かれた。

 アリアが立っていた。


 衣装は泥で濡れ、息も荒い。

「……アリア、さん……?」「陛下……」


 五人は固まる。

 兵も、将も、全員が蒼白になる。


 そして門衛が転がるように走りこんだ。

「女王陛下!

 お一人で、ただ今ご到着されました!!」


 会議室の中の空気が凍りついた。


 ただ一人——

 アヤだけが別の意味で青ざめていた。

(……本当に来た……

 わたしの提案のせいで……

 この人、本当に……!)



4. アリアの覚悟


 ダリウスが震える声で言った。

「女王陛下……!

 早朝に、お一人で来られるなど……

 危険極まりない。

 そのような無茶な行動はお控え下さい。」


 アリアは一歩進み、まっすぐに言う。

「戦場にいた皆さんに比べたら、

 私が背負った危険なんて大したことありません。」


「……!」


 さらに全員を見据えて、

ゆるぎない信念と最高の笑顔でこう高らかに宣言した。

「知恵が、その声が私を呼ぶのなら、

 その道が民の犠牲を減らすなら、

 私は、どこにだって駆けつけます。

 だって私は——

 民とともに歩むのものだから!」


 その言葉を聞いてまずダリウスが、

 そしてルークスが、胸に拳を当て、膝をつく。

「われらが剣は——王の覚悟とともに!!」


 アヤの肩が震えた。

「アリア……さん……

 ご、ご、ごめ……」


 アリアはアヤの手を柔らかく取る。

「アヤさん。ありがとう。」


「え???」


「私が民とともに歩むという道を見つけられたのは、

 あなたの声があったからです。」


 アヤは固まる。

(……そんな……

 そんな理由で来ちゃダメでしょ……

 でも……)


 その横で、

 コージが涙を流して叫んだ。

「陛下ーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 アヤが即座に突っ込む。

「近寄るな、オタク。」



5. 準備開始!


 アリアの覚悟を受け、四人が一気に動き出す。

 ミツキは涙しながらアリアに話しかける

「私、描くよ!

 山岳民族の文様入りの凧!

 アリアさんの衣装デザイン!

 てつはうの安全マニュアル!

 全部やる!!」


 コージはいつも通り

「軍楽隊! 陛下!

 発声練習いきますよ!

 戦場はライブ会場です!!」


 軍楽隊があまりもの落差に固まる中、

 アリアは真剣にうなずき、コージと歌い始める。


 そして、ハルトは高らかに宣言する

「風……この数週間の法則通りなら2日か3日後の朝に東に向かって強く吹く。

 その日が決戦の時だ……!」


 アヤは照れ隠しで涙しながら毒ついた

「地理オタクが国を救う号令なんて生意気な」


「歴女にばかりいい顔されたらたまらない」


 会議室の風向きが変わった。



6.最後の準備

 ミツキは嬉々としながらデザインをしている

「凧の風の文様とアリアさんの服の文様、これでよし!

 てつはうのマニュアル、模写、どの程度進んでいる?」


 ハルトは風読みに余念がない。

「投石器のてつはうの射程距離実験、順調?

 あと、工兵に伝達。あのステージの高さをきちんと測っておいて、

 敵の弓が本当に届かないか、もう一度計算するから」


 コージとアリアは軍楽隊とリハーサルに余念がない

「国歌はここで気持ちを込めましょう。

 普段と違って風がたなびく感じで。

 アリア様を称える民謡はもっと優しく。」

 (『われらの推しはアリア様』、

  セットリストに入れたら怒られるよな……)


 アヤは緊張の糸が途切れたのか、少しばかり気が緩んでいた

(……みんな動いてるし、私も……)

 机の上に置いてあった干し肉を手に取り、

 口に運ぼうとした瞬間。

 ルークスにとがめられる。

「こら、アヤ。つまみ食いするな。」


「う……ごめん。」

(緊張でお腹すくんだよ……)


 三日後の夜の丑三つ時、ハルトが雲の流れを見てダリウスに告げる

「いけます」


 その一言を聞いて、ダリウスが決断した。

「日が昇ったら決行だ。みんな、持ち場につけ」



7. 騎兵隊出陣前──ルークスとダリウス


 騎兵隊の装備を整えながら、

 ルークスは馬の首を撫でていた。


 そこへダリウスが来る。

「……いつも危険な仕事ばかりで済まん。」


 ルークスは笑った。

「鉱山ほどじゃないさ。

 それに、これは散歩だよ、散歩。」


「散歩……?」


「女王がこれから歩く前の道を、

 ちょっと散歩してくるだけさ。

 ついでに小石の掃除もしておくかな。」


 ダリウスは微笑む。

「そうか……散歩だな。

 帰ってくるまでが散歩だぞ。」


 ルークスは胸を張る。

「当たり前だ。

 この後も、共に歩き続けるぞ。」


 空に雲が流れ、風が、戦の始まりを告げていた。

謎の第六天魔王「供もつれずの一騎駆け見事である」

アヤ「うおーーー、本物の英雄、キタコレ―――――」

謎の第六天魔王「時にアヤよ。天の時、地の利、人の和、

        そろっていて油断で負けた武将は誰を思い浮かべた?」

アヤ「え、、、今川義元。あーーーーーーーーーーーー」

謎の第六天魔王「うむ。アリアよ。わしと同じく大逆転、見事成し遂げるがよい!」

全員「は、はーーー」

アリア「次回 歌姫革命譚 再現!本能寺の変ーーーアヤが狙うは下克上

    って、これ台本あってます?」

アヤ「あーーー、私センターなんて狙ってません―――――――――――

   は、はずかしいから、あそこの竹やぶに身を隠しまーす」

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