膠着する戦線と打ち砕く情報――「商人は儲けのために動く」
1. 膠着する戦線
開戦から一か月。
要塞都市リヒターの朝は、いつも同じような灰色に沈んでいた。
兵士たちは黒パンとチーズ・ベーコンで腹を満たし、
疲労した目をこすりながら城壁へ向かう。
物流革命のおかげで食料には困っていなかった。
そのため士気は辛うじて保たれているが、
持久戦の影は確実に彼らの心を蝕んでいた。
戦況は――完全な膠着。
敵は攻めてこないわけではない。
だが、その攻撃は決して決定打にはならず、
ただじわり、じわりと兵士たちを削っていく。
敵陣の上の弱い魔力の風。
攻撃力はない。
だが、弓兵が射ろうとすると矢がすこしだけ失速する。
それだけだが、致命傷が深い傷に代わる。
神聖魔法使い達の数時間かけた祈りで深い傷がふさがる。
ほんの少しだけ。でも。それが時間をかければ大きな差につながる。
2. 膠着する軍議
その日の軍議室でも状況は重苦しかった。
地図の上に置かれた駒は、ほとんど動いていない。
ハルトが言う。
「……弓が通らない以上、前に出るのも危険。
敵の魔法使いが詠唱を始めたら、
こっちは撃ち抜かれる前に対処できない」
アヤも眉をひそめた。
「防御力は弱いのに……
なんでこんなにじわじわ嫌がらせできるんだろう……」
ただ戦況のグラフをみて、
ミツキが少しだけ希望的観測を述べる。
「で……でもね……ほら、敵の出撃、減っているように見えない?
こちらの負傷者もちょっとずつ減っているの。」
ハルトが答える
「ううん、、、PCがないから厳密に計算できないけど、
統計的に見て有意じゃないな。おそらく」
ダリウスが統括する
「よくわからんが、なにか分かった。。。気がする。
何かを敵が待っているだけかもしれん。
情報としては考慮しておくが、
油断できる状況でないことは確認しておいてくれ」
コージがどんと机を叩く。
「本当、うっとうしいんだよあの呪文!
なんとか止められないの!?
声が届けば……叩けるのに……!
これじゃただ眺めてるだけだよ……
アンプさえあれば! もっと響かせられるのに!」
叫んだあと、拳をぎゅっと握りしめた。
「……魔法ってさ、ほんと現実的じゃないよね」
アヤが、疲れた声でもうすでに何度も言った、
だがどうしようもない現実を口にした。。
みんなが黙り込む。
“距離が遠すぎる”――それが最大の問題だった。
3.抜け目なく登場
そのとき、軍議室の扉が開いた。
「失礼するよ!」
会議室に泥をつけたままのエリアスが入ってきて、
補給の目録を渡す。
「今回はどうしてこんなに山岳民族からの薬草が多いんですか」
アヤが目録を見ながら尋ねると、
エリアスは息を整えながら報告した。
「山岳民族にな、今、
帝国がかなりの兵数をこちらに向けたと言ったら感謝されてな。
いい情報をくれたと」
ハルトが気づいた
「山岳民族って、帝国とも仲悪いんでしたよね」
エリアスが返事をする
「奴らも我々と同じく利益のために動くからな。
どうしていることやら」
コージが残念そうにつぶやく
「でも、それだけじゃあ、何とも言えないしな」
その言い方に、皆が同意しかけた
ちょうどその時、伝令が情報を伝えに来た。
「ロッシュ様から早馬です、内容読みます。
山岳民族から先日の情報提供に感謝されてな。
最近かなり儲かったらしい。お礼に貴重な薬草がまた手に入った。
高く買ってくれるなら送るぞ。
だそうです」
エリアスはにやりと笑った。
「彼らはちゃんと儲けたらしい」
ミツキが目を大きくする。
「え、儲かった?
ってことは……」
ハルトが静かに言った。
「後方撹乱が、成功している……」
アヤとダリウスは頷いた。
「これで……反撃の口火が切れる」
4. 作戦立案――現代の融合
問題は、遠方の魔法使いだ。
ハルトが地図を指しながら言う。
「詠唱をやめさせれば、魔法は止まる。
でも距離が遠すぎる……」
コージが言葉を重ねる。
「本当にうっとうしいよあの呪文!
なんとか止めたい!
音が届けばいいんだけど!」
アヤが顎に手を当てた。
「音……音だけでいいの?
大きな音で詠唱を乱す……
そう、殺す必要はない。
妨害さえできれば…………
そうよ、てつはうよ!あの元寇の!!!」
三人があー、っとなる。
「てつはう!!!」
「教科書で見た!!!」
「それだーーーー」
ダリウスとルークスの唖然とした
顔をよそにして議論が始まる
ミツキが頷いた。
「火薬玉を作るといいのか。信号弾とほとんど同じだね。
殺傷力は弱いけど、爆音は出せる。
あれなら簡単に作れるよ!」
だが、コージが首を傾げる。
「音だけだと……なんか足りなくない?」
ハルトが答えた
「殺傷力はいらない。音で脅かすだけなら。
むしろないほうがいい。
遠くまで飛ばすなら軽いほうがいいし、
陣地で暴発したら危ない。」
ミツキがそれを受けて尋ねる
「音だけじゃダメなら、
見た目で脅かすって……何かある?」
ハルトが小さく手を上げた。
「凧、は?」
三人は反論した
「そんなので驚くかーー?」
「あんなの何百年前からあると思っているの?」
「それこそ簡単に作れるよ」
だがダリウスとルークスが同時に言った。
「そんな空に浮かぶものがあるのか……?」
アヤの目が輝いた。
「え、この世界、凧ないの?
知らないなら、逆にチャンス!
………………
って、凧見ただけじゃ驚かないよね。
なんだあれってなるだけかな?
もっと驚かせないとだめじゃない?」
ハルトがそれにこたえる
「山岳民族が今、後方を邪魔しているんだよね
なら山岳民族がこっちにも来たと思わせるのはどうかな?
援軍が来たって誤解してくれたら、引いてくれないかな?」
ミツキがそれに応じる
「そうだ、山岳民族の文様を書くの!
グランフィールの宴で見たあれ!
あれ見せせれば、
山岳民族と同盟したって勘違いしてくれないかな?」
コージが手を打つ。
「歌も必要だね!
山岳民族っぽい歌……
あ、宴で聞いていた。覚えている!」
5. アヤの提案と孤立
次々と出てくるアイデア。
それまでの停滞がうそのようだった。
その結果練りあがった作戦は、十分すぎるほど勝算があった。
しかし――アヤが口を開いた。
「ダメ押しが必要よ」
全員が彼女を見つめる。
「アリア様に前線へ来て歌ってもらう」
「――――は?」
軍議室の空気が一転して凍りついた。
コージが真っ先に叫んだ。
「絶対ダメ!! アリア様は王様だよ!?
そんな危険なとこにこさせるわけ――」
ミツキも涙目で。
「アリア様死んじゃったらどうするの!?」
皆が口々に反対する。
ルークスも激怒している
「アヤ、お前の冷静な意見にはいつも感謝している。
だが、今回は度を過ぎているぞ!!!!」
ハルトは冷静に説得しようとした
「作戦案は十分に練れたじゃないか。
勝てる可能性が高いのはアヤも納得していたし、
まだすぐやるわけじゃない。
もっと詳細を詰めれば勝ちの確率は十分上がるはずだよ。」
それでもアヤは、強い声で言った。
「わかってるわよ!!!
でも私は知っているの。
天の時、地の利、人の和……
全て揃っていても負けた戦いはある。
赤壁の戦い、桶狭間の戦い。ちょっとした油断で全滅する。
私は……嫌というほど歴史で見てきた」
震える声だった。
「今は、そのどれもそろってないの。
負ける可能性が1%でも上がるなら、
私はそれを潰さなきゃいけない。
私は歴史から目を背けられない!!!」
その言葉に、誰も返せなくなった。
沈黙の中、ダリウスが立ち上がる。
「……陛下に判断を仰ぐ。
期限は四日。ただし、俺は反対だという意見は添えておく」
軍議はそこで解散となった。
6. 決戦準備の異様な空気
城内では静かに、しかし確実に決戦の準備が進む。
ハルト陶器に火薬を詰めて、
どこまで届くかの検証や凧の大きさの検証に余念がない。
ミツキはてつはうの安全運用マニュアルと凧に各文様の準備。
コージは兵士たちに不気味なコーラスを指導する
その全てが、異様で、緊張感に満ちていた。
アヤだけが誰とも口を利かず、
地図の前でただ一点を見つめ続ける。
ハルトたちも、声をかけられない。
7. 三日目の朝――そして足音
重い空気の中、軍議室に幹部が集まった。
ダリウスが口火を開く。
「……今日の軍議をはじめるか。
女王陛下からの返事は今日の夕方か明日の朝か夕方か
それまでにどれだけ準備ができているか」
そのときだった。
コッコッコッコッコッコッ。
ものすごく急いだ、
しかし意志の強い足音響く。
アヤの眉が跳ね上がった。
(……この足音……まさか……!)
全員が扉を見る。
静寂。
バンッ
扉が――いきなり開いた。
そこに立っていたのは。
ロッシュ「こんなこともあろうかと用意しておいた全自動アリアだ。
今なら高く買ってくれるよな。買ってくれたら第3ステージへの設置はおまけしてやる」
全自動アリア「ワタシハアリア。ミナサンノタメニウタイマス。」
全員「どうみてもアナ〇〇サーじゃないか!!!!!!!!」
アヤ「次回 歌姫革命譚 空に浮かぶ大型戦艦―――今放たれる必殺歌姫砲」
ハルト「ステージと階段接続。歌姫充填120人」
アリア「ちょ、、、ちょっとせまいし、、、なんで私がこんなにたくさん
あ、銀河の歌姫さんたちこんにちは。」
コージ「ターゲットスコープオープン。総員対ショック、対閃光防御、最終セーフティー解除、
発射5秒前43210 歌姫砲発射!」
アリア「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー」




