王都セレスティア――「あなた方の想い、必ず王城へ届けます」
1.民衆の歓声
乾いた街道を進み続け、
ついに、遠く霞む巨大なシルエットが見えてきた。
王都セレスティア
高い城壁と塔が夕陽に照らされ、
黄金色に光を返している。
アリアは思わず息を呑んだ。
「……ようやく、ここまで……」
緊張が胸を締めつける。
ハルトも、ミツキも、コージも、アヤも、息をのみ沈黙していた。
だがその沈黙を破ったのは――アヤだった。
「……あ、城壁の設計……ロマネスクとゴシックの中間だ……!」
皆もそれに続く
「あの城壁を背に走る蒸気機関車、すごく撮りたい!
いや、城壁の上から俯瞰した構図も捨てがたい。
逆光にならないためには……」
「王都の街並み……絶対描きたい……!」
「うわっ!!やべぇ!!観客席多っ!?ライブここでできるだろ!!」
「こ、コージさん!?ここは歌う場所じゃ……!」
ダリウスがあきれて苦言を呈す
「お前たち……緊張感というものをだな……」
「「「「だって、王都だよ!?」」」」
アリアは思わず笑ってしまった。
緊張も、不安も、すべて少しだけ軽くなる。
だが次の瞬間――
アヤがきゅっと拳を握りしめた。
「……さすがに、ここからは観光客じゃいられませんね」
ハルト達も深くうなずく。
「ここからは、インフラを作り民を支える責任がある側だ」
「よし……歌で言葉を支える役目だな」
「描くのは……殿下の歩む道」
4人の表情が、一気に引き締まった。
「……ありがとう、皆さん。
行きましょう。民と、国のために。」
2.民衆の対応
王都近郊に近づくにつれ、
道端の民衆の数が増えていく。
子供、老人、旅商人。
そして農民たちまでも。
「王女様が来るって聞いた!」
「本当に……本当に帰ってきてくれたんだ……!」
人々が道の両側を埋め、
アリアを迎え始めた。
アリアは言葉を失う。
4人がそれぞれくつぶやく。
「すごい、熱気が形になりそう」
「口コミ、恐るべし。
殿下の物語は……独り歩きしてますよー」
「いや、歩くどころか基盤になってる!」
「殿下。胸を張ってください。
民が、あなたを求めています」
アリアは深く息を吸い、
その胸に手を当てた。
「……ありがとうございます」
そして、手を振る。
民衆は割れんばかりの歓声を上げた。
3.王城門前
王城の巨大な門が近づく。
石造りの重厚な門。
高くそびえる塔。
そこから見下ろす百以上の衛兵。
だが――
門の前には、それより多い数の民衆がいた。
「王女様!!」
「殿下が帰ってきたぞ!!」
「おお……おおお……本物だ……!」
老人が涙を流し、
若者が旗を振る。
そして――
王都の子供たちがミツキの絵を掲げていた。
村に残した絵が、そのまま王都版として模写されている。
「……こんなに……広がっているなんて……」
ミツキの声が震えた。
さらに、コージの歌が――
王都の民の口から自然と流れ出す。
「♪ 王女様は民と共に〜歩んでくださる〜♪」
アリアは唇を押さえ、涙をこらえた。
「……どうして……こんなに……」
「今までやってきたことが一つ一つつながって……
一つのネットワークになったんです!」
「そのネットワークが……この景色に繋がったのね」
「この方々こそあなたを推してくれる人たちです!!!」
「殿下。この光景こそ――あなたの正統性です」
そして、王城の門――
ギギ……ッ……
ゆっくりと、開き始めた。
兵が叫ぶ。
「王女殿下のご帰還だ!!
道を空けよ!!」
民衆の歓声がひときわ高まる。
アリアは震える手で、胸元をおさえた。
「……行きます。
わたしの……帰る場所、そして民のために動く場所へ。」
ハルト、ミツキ、アヤ、コージ。
そしてダリウスとルークスも。
全員がアリアの背を支えるように一歩前へ踏み出した。
王城の奥へと足を踏み入れる瞬間――
アリアは振り返り、民に向けて静かに手を振った。
「皆さん……ありがとうございました。
あなた方の想い、必ず王城へ届けます」
門が閉まり始める。
その瞬間、
広場全体がコージの歌で揺れた。
「♪ 王女様は民と共に〜♪
♪ 王都へ帰る〜未来を連れて〜♪」
アリアの頬を、静かに涙が伝った。
これは、終わりではない。
アリアという指導者の始まりだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
あと、一話で一部が終わります。
もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。
たとえしていただけなくても、
今後も彼女と彼らの歩みをお楽しみいただければ幸いです。




