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民と共に歩く王女――「わたしが歴史に残すぅ〜〜〜のっ!!」

1.アヤ vs コージ

 最初の村を出て一日。

 一行は次の村に向かう街道を静かに歩いていた。

 アリアは時折振り返り、

 王都の方角を何度も不安げに見つめていた。


 アヤは歩きながら、諭すように伝えた。

「殿下、もうちょっと胸を張ってください。

 殿下が今やっていることは一言でいえば――」


 コージが割り込む

「物語を作ってるんですよ。殿下。

 『民と共に歩く王女』という物語を。」


 アリアは歩きながら、小さく息を吐いた。

「……勝つために前に立つのではなく、

 一緒に歩いていると、示すこと……ですね。」


「そう、それが一番の殿下らしさ!!

 誠実系アイドル!!」


「ちょっと私の見せ場とらないで!」


「歴女に広告で主導権は取らせない!」


 ハルトはそのやり取りに苦笑しながら、

「確かに心理的効果は大きいそうだね」

 と同意した。


 アリアは少しだけ肩の力を抜いた。

「アイドルが何かはわかりませんが…

 ともに歩めるのは、みなさんのおかげです」


「そうです、もっと頼ってください」


「くそー、私が締めるはずだったのに」

 とその時、アヤの足が石につるっ。

「ひゃあっ!!」


 転びかけたアヤを、ミツキが慌てて支える。

「アヤちゃん、横見ながら歩くからだよ!」


「ちょ、ちょっと見てただけよ!?

 ……ほらっ、地形の特徴とか、大事なんだから!」


 アリアがくすりと笑った。

 緊張していた表情が、一瞬やわらいだ。



2.噂の拡散


 次の村に入ると、

 予想外の光景が広がった。

「王女様が来るぞ!」

「橋を直してくれたって本当か!?」

「あの歌が聞けるんだろう!」


 アリアは驚いて足を止めた。

「えっ……な、なぜ情報が……?」


 アヤは胸を張り、どや顔でこたえようとしたところ、

 またもやコージが割り込んだ。

「口コミ!最強の広告手段!」


「だから、私の見せ場とらないで!」


 村の子供たちが、ミツキの絵を模した紙片を持っている。

「これ!前の村から来たんだ!」


「王女様とみんなの絵!」


「えぇ!?広まってるの!?恥ずかしいけど……嬉しい!」


「姉ちゃん、絵うまいな!この村の絵も描いてくれよ!」


「もちろん!描くよ!」


 ハルトはまた別のところを見て感心していた。

「道が締まってる……。このへんは排水がよくできてるんだな」


「あんた、農地に詳しいのか?」


「多少は。水路をこう……」


 ハルトは聞かれれば相も変わらず下手な図を描いて説明し、

 そのまま村人と水路の点検に行ってしまった。


 コージはというと、

「♪ 王女さま〜が来〜るぞ〜♪」

 と、すでに民謡化しかけている歌を聞きつけ、

 子供たちと輪になって踊り始める。


「皆さん……みんな自分の得意なことで動いている……」


「それが、殿下の軍団ですよ。

 だから大丈夫です。」



3. 夜の宴


 村の歓迎の宴で、アヤに酒が回った。

「あ、ちょっと……これ、甘くて飲みやすい……」


「アヤちゃん、それ強い酒だよ!?」


「ん〜〜?大丈夫よ〜〜?

 わたし歴史オタクだけど、お酒の歴史も詳しいのよ〜〜?」


「(あ、これダメなパターンのやつだ)」


「アヤさん、大丈夫ですか?」

 アヤはアリアの肩を掴み、

 ぎゅっと抱きついた。


「だいじょうぶ〜!殿下は〜……

 こ〜んなに!こ〜んなに……

 偉大な王になるんだからぁ……!」


 真っ赤な顔で泣き笑いしながら叫ぶ。

「殿下は〜〜!

 わたしが歴史に残すぅ〜〜〜のっ!!

 100年後の教科書にぃ〜〜……!」


 ルークスは苦笑しながら今までを思い出した

(こいつ、酒を飲んでも今までは酔わなかったのに。

 生意気そうに見えて、今までは気が張っていたんだな……)


「……ふふ。ありがとう、アヤさん。」


 酔ってポンコツになりつつも、

 アヤの言葉はアリアの胸を温めた。



4.王子の末路

 一方その頃――。

 ベルトランはついに王都に到着した。


 城門は固く閉じられ、

 民衆の視線は氷のように冷たい。

「略奪王子だ!」

「帰ってきやがった!」

「恥さらしめ!」


 石が飛ぶ。

「……っ、や、やめろ!やめろと言っている!」


 門へ駆け寄る。

「開けろ!私は王子だ!王族だぞ!!」


 しかし門番は静かに答えた。

「……王命により、開門は許可できません」


「父上が!? なぜだ!!」


 門番は答えず、背を向けた。

 王子は歯を噛み、

 最終的に決断する。

「……いいだろう。

 ならば……私はこの国を捨てる。

 必ず戻ってきて……お前たちを見返してやる……!」


 神殿の秘宝庫に忍び込み、

 禁忌の古文書を盗み出す。

「英雄召喚……

 これさえあれば……!私は本当の王になる!」


 闇夜に紛れ、

 王子は王都を去った。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。

もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。

たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです。

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