オルド河原の戦い後半――「秩序(オルド)が変わる瞬間」
1.督戦の悲劇――味方に向く矢
ヒュン! ヒュン! ドスッ!!
「ぎゃっ……!? 後ろから……矢……?」
「味方の……弓隊が……俺たちを……!?」
叫び声が河原に響く。
「逃げる者は撃て!!
前へ出ろ!!! 進軍しろ!!!」
だが前方には石の雨、
後方には味方の矢。
「ふざけるなぁぁぁ!!
前も後ろも地獄じゃねぇか!!」
兵たちは恐怖で崩れ始めた。
2.弓兵の反逆――黙って外す
「……奴らを撃つな。
いいか、全部外せ。」
「でも……督戦命令が……」
「ここで味方を殺したら、
俺たちも同罪だ。
狙うふりをして、河原に撃て。」
弓兵たちは顔を見合わせ、頷いた。
ヒュンッ! ヒュンッ! ヒュンッ!!
矢は前線から大きく外れ、
乾いた草地に突き刺さる。
「あ……外してる……
助けようとして……?」
「武器を捨てろ。
丘の上を見ろ……あれが降伏のしるしだ。」
丘の上には、
親衛隊が掲げた降伏すれば助かるの旗が翻っていた。
3.後方の混乱――ルークスの密命
突然、王子軍後方から悲鳴が上がった。
「火だ!! 火が出たぞ!!」
「補給が燃えてるのか!! 誰か来てくれ!!」
実際には――
ルークス率いる別動隊による
「焚き物破壊&煙幕作戦」。
だが敵兵から見れば、
完全なる 挟撃 に映る。
「挟み撃ちだ!!
逃げないと死ぬ!!」
恐怖が連鎖し始めた。
4.コージの最悪の追い打ち
「♪ お前らの飯が燃えてるぞ〜〜 ♪
♪ 後ろから敵が来てるぞ〜〜 ♪」
「こ、、、このうえ、、、、
飯まで、、い、、、いやだぁぁぁぁ!」
王子はさらにイラつく
アヤはその風景を見て感心した
「……戦場の空気を操作してる……
すごいわ、コージ……」
5.王子、逃亡
ベルトランたち幕僚が後方の煙を見て動揺し始めた
「な、何が起きている!!
後方? 挟撃? 弓隊は何をしている!!」
「わ、、、わかりません!!
しかし、多数の敵がいることは間違いありません」
「は、、、早く、、、伝令、、、伝令を出せーーーーーー」
「こ、、、、こんな重要な役を下っ端に生かせるわけには、
そ、そうだ! 私自らが視察に行く!
この場を離れるが、決して逃げるわけでは――」
それだけ言い残すと馬の蹄が土を蹴り、
王子は煙の向こうへ消えていった。
それを見ていた、近くの兵たちが口々に声を出し始めた
「王子殿下が……逃げた!!
側近たちも、、、撤収準備をしている」
「終わりだ……!
もう無理だ!!」
前線の士気は完全に崩壊する。
6.全面崩壊
武器が次々に地面へ落ちた。
ガチャ……ガチャ……ガチャガチャ……
前線では次々逃げる者や両手を上げる者が現れる。
川の向こうでは味方に殴られて督戦を辞める者まで出る始末
革命軍の降伏者救助隊が進み、
叫び声はすぐに泣き声へ変わった。
「♪ さあ〜降伏者〜!こっち来い〜! ♪」
7.アリア視点――救えるものは救う革命
丘陵上で、アリアは震える声で尋ねた。
「……終わったのですか……?ダリウス」
「……はい。
殿下の勝利です。」
アヤもほっとしている。
「敵の徴集兵もあまり殺さずに済んだ、、、」
アリアは胸に手を当て、静かに息を吸った。
「ええ、、、彼らも戦が終わればわが王国の大事な民です、、、、
……ありがとうございます。
皆のおかげです。」
8.歌姫革命・勝利
「♪ 勝ったどォォォ~~!!!
アリア様のぅぅぅぉぉ〜〜
勝利の歌ァァァ!!! ♪」
「うおおおおおおおお!!!!!」
アリアは丘の上に立ち、
吹き抜けるオルディアの風を受けた。
その風は、
秩序が変わる瞬間を告げていた。
9/歴史書の記述
のちの歴史書は、この戦いをこう記す。
オルド(ordo)は古語で現代では「秩序(Order)」を意味する。
かつての第一次オルド河原の戦いは、
外敵からできたばかりの王国の秩序を守るための戦いであった。
だが、この日同じ地で行われた戦は、
まったく逆の意味を持つ。
第二次オルド河原の戦い――。
それは、腐敗した王権の秩序を壊し、
民の手で新たな秩序を生み出した戦いである。
血ではなく水が軍を分断し、
怒号ではなく歌が人々を導き、
一人の王女の決断が国の未来を変えた。
歴史書は簡潔に語る。
第一次は秩序を守り、
第二次は秩序を創った。
この地は、
古き秩序の終わりと、
新しき秩序の始まりの場所として
永く語り継がれることとなった――。
後書き
謎の若君「河原での決戦が運命を分けるか」
アヤ「そうね、その戦いは誰かが逃げるきっかけになった、
古い秩序を壊した戦いだったね。」
謎の若君「でも、そのあと、さらなる混乱が始まったことを君なら知っているよね」
アヤ「ええ、混乱を収めたカリスマがさらなる混乱を招いたことも。
その混乱が収まったのちしばらくしてその一族が同じ河原で
二度目に起こした戦いがその地での長い戦乱の世の
幕開けになったことも。」
謎の若君「上の歴史書こそ嘘予告では?」
アヤ「そうなるかもしれない。そうじゃないかもしれない。
でも、そうならないために、どうするか考えるわよ、
これからゆっくりアリアと歩いてね」
謎の若君「そうだね。どこかの一族がかつてしたように、
君たちがアリアを傀儡として
裏で牛耳るようにならないかどうか、
しっかり見届けてあげるね。」
アヤ「次回 歌姫革命譚 アリアとともに歩む未来をどう築く」




