表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/61

王女と責任 ――「国を救うため、私は来ました」

1.アリアの決断

 オルディア丘陵からの観測を終えた夜。

 野営地の空気は、一言でいえば重かった。


 水攻めという戦略は勝てる。

 勝てるが故に、苦しい。


 守りたいと口にした畑を、

 この手で沈めるかもしれない――その現実。


 ミツキは図面を抱えたまま震えていた。

 アヤは考え込むように星を見つめていた。

 コージでさえ、歌詞が浮かばず黙っていた。

 ハルトは無言で地図を見つめ、動かない。


 アリアだけが、天幕の外で風を受けていた。

 頬が冷え、泣いているのかどうか分からない。

 やがて――

 アリアは静かに、しかし決定的に呟いた。

「……守りたいのなら。

 国を救いたいのなら。

 私が……背負わなければ。」

 その瞬間、

 彼女の中で何かが形になった。



2.農民との対面


 翌朝。

 アリアは4人とルークスを連れ、近隣の農村へ向かった。

 村の広場に着くと、老人たちが警戒した目でこちらを見る。


「……何しに来なさった。徴発か?」


 王族としてはあり得ないほど深く頭を下げた。

「違います。

 お願いに……来ました。」

 その声音は震えていない。

 ただ真っ直ぐだった。


「この地を救うため……

 どうしても水を止める時間が必要です。」


 どよめき。

 非難。

 怯え。


「水を止めれば作物が死ぬ!

 この土地の命綱じゃぞ!」


「わかっています。

 だから……お願いするのです。

 命令ではなく、お願いです。」


「だが……王子は奪うばかりで、

 わしらは散々裏切られてきた。」


 思わず村人の言葉が漏れた。

 ここに過去の絶望が滲む。


「干ばつの年にも税を倍にされた。

 徴兵で息子が連れていかれて……

 戻ってきた報せはなかった。

 あんたら王家に……何を信じろと言うんじゃ。」


 アリアは、胸に突き刺さる痛みを隠さなかった。

「……ごめんなさい。」


 村人たちの表情が、一瞬だけ揺れた。


「私がその罪を背負います。

 だから……二日だけ、いや、一日でいいです。

 水を止めさせてください。」


「二日で……戦が決するのか?」


「この国の未来のためには、

 長引かせるわけにはいきません。

 ここが、運命の決戦です。」



3.子どもの声


 沈黙が落ちたその時、

 ひょこっと小さな影がアリアのケープを引っ張った。

「お姫さま……

 お母さん、守ってね……?」


 アリアはしゃがみ込み、目線を合わせた。

「……必ず守ります。」


 少女はにっこり笑い、

 小さな野の花を差し出した。

「じゃあ、これあげる!

 がんばってね!」


「……はい。」


 その光景を見た村人たちは、

 互いに顔を見合わせ、小さく息をついた。



4.村長の言葉:投資という哲学


 村長が口火を切った

「殿下……ひとつ聞いてよいかの。」

「はい。」

「わしらが水を止めて得るものは……なんじゃ?」


 アリアは言葉に詰まった。

 そこに、コージが一歩前へ出る。

「投資だよ、おじいちゃん。」

「とうし……?」


 アヤとハルトが驚く

「コージが、まじめなこと言っている。」

「どうした、キャラ違うくない」


「ちょっと、茶化さない。商学部だから広告だけじゃなくて、

 証券投資も勉強したの!

 で、本筋。思いを託して、

 大きな見返りが返ってくる未来を一緒に作ること。

 これを商人の世界では投資っていうんです。

 アリア様と我々に未来を託してもらえませんか?」


 ミツキも彼女らしくこの話をまとめた。

「と、投資って、未来の設計図だったのね。

 お金儲けだけじゃなかったんだ……」


 村長はしばらく考え、

 やがてふっと笑った。

「……なら、わしらも商人になれるかのう。」

「……!」

「殿下。

 わしらは三日、我慢しよう。

 あんたの覚悟に――

 わしらも一日、覚悟を足すんじゃ。

 これが未来を託す、ということとやらでいいんかのう」


 アリアの胸が震えた。


「だから約束してくれ。

 わしらに儲けさせてくれ。

 そして……

 この村でもライブをしてくれんか?」


「ライブきたァァァ!!!

 殿下ァァァァ!!やっぱあなた最高です!!」


「ちょ、ちょっと……!」


 だが村の空気は、一気に温かくなった。



5.未来を告げる風が吹く


 許可が下り、軍の準備が始まる。

 コージは歌いながら走り回る。

 ミツキは涙を拭いながら農民にお礼を言う。

 ハルトは堰の場所、水量などを確認する。

 アヤは計画の最終チェックに入る。


ルークスが全体をまとめる

「殿下。

 決戦は四日後……。

 準備を整えねばなりません。」

「はい。お願いします。

 村の皆さんの覚悟、ちゃんと応えてください。」


 その時、

 オルディア丘陵から風が吹いた。

 音もなく、柔らかく、

 しかし確かに何かが変わる予兆の風。


「……風が変わったわね。」

 アリアは風にケープをなびかせながら言った。

「この国の風も……変えてみせます。」


 この日、アリアが示した行動は、

 国と民が初めてともに歩みだした最初の瞬間として記憶され、

 後に、革命の誕生日として語り継がれることになる。

謎の金髪「犠牲すら民と直接対話する君主か。素晴らしい」

謎の黒髪「民のために自ら行動する君主。これこそ君主の理想形だね」

謎の義眼「御意。合理的かつ人道的。完璧な判断です」

アリア「あなたたちは?」

三人「次回 歌姫革命 銀河の英雄たちも認めた

我々にできなかったことをこの姫は成し遂げた

アストリアの歴史がまた一ページ」

アヤ「歴女の立場がーーーー!!上位互換出さないで――――!!」




一応ここだだけはきちんと説明しておきます。

元ネタはお分かりのように銀河英雄伝説。

規模こそ小さいけど、これはある意味焦土作戦です。

水攻めを考えた時点でその裏にある背景まで書こうと考えました。

焦土作戦により犠牲になる人にきちんと説明を行い、見返りをの見通しを示す。

これこそ、君主制のあるべき姿だと私は思いましたし、

合理性と人道主義のぎりぎり許される範囲ではないかと思い、

こう記述しました。

これが私の勝手な解釈、傲慢な自己評価の可能性は否定しません。

読者の皆様のご判断にゆだねます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ