オルディア丘陵・静かな進軍 ――「創り、守りましょう、描ける未来を。」
1.静かな進軍
アリア親衛軍は王都へ続く大河の北側、
オルディア丘陵へと進み始めた。
王都近郊の農業地帯で食糧庫。丘はなだらかにうねり、
小さな森がいくつも点在し、水路が張り巡らされ、
谷には黄金色の畑が穏やかに広がっている。
兵たちの靴音や馬蹄の響きが、
静かな緊張だけを連れていた。
農民たちが遠巻きにこちらを見守る。
恐れているのではない。
期待と安堵が混ざったまなざしだった。
ダリウスが農村の状況をアリアに進言する
「殿下。このあたりは王都の重要な食料庫。
荒らすわけにはいきません。」
「もちろんです。どの村からも、
正当な代価を払っての物資購入を徹底させなさい。
略奪など、絶対にあってはなりません。」
「兵もいい顔しています
金を払って買うというだけで、
軍の雰囲気がまるで違う。」
「この先を守る民が困れば、私たちの戦も意味を失う。
……それだけです。」
兵の背筋が自然と伸びた。
2.オタク四人、それぞれの進軍の緊張
ハルト:川幅と地形を読み続ける
「……渡河はどこでやるべきだ?
川の曲がり方、丘との角度……水深は……。」
ダリウスはいつもとの違いを感じていた
(珍しく我々にわかる言葉を使っている。
彼の、彼らの知恵がフル稼働している証拠か!)
ミツキ:美しさの中にある不安
「この丘の稜線、とっても綺麗……。
堰と水路が畑に溶け込んでて……
人の手と自然が調和してる……。
ほんとは、全部描きたいよ……。
でも、絵の中のこの風景が最後になったら嫌だな……。」
アリアが応える
「創り、守りましょう、描ける未来を。」
「……うん!」
コージ:士気を上げる歌の仕上げ
「♪ 越えろ丘を、越えろ恐れを……
守るは民、導くは歌……
あ、これ採用!」
ルークスはいつも通りのこーじに安堵する
(……こいつがいれば士気は問題ない)
アヤ:歴史的地形比較の脳内会議
「河川戦……会戦……地形……
川中島……ワーテルロー……いや違う、騎兵と歩兵の関係が……」
みんなが心の中で突っ込んだ
(今回はさすがに真剣だ……)
3.この戦の理由が兵たちの胸に刻まれる
谷を抜けたところで、
荷車を引く一家と出会った。
「……どなたか、水を……!」
ルークスが馬を降り、急ぎ駆け寄る。
「何があった?」
「王都近くでは……防衛隊が……
食糧を奪って回り……
農家は皆逃げ出しました……
王子様の……お達しだと……」
その言葉に、兵の顔が凍りついた。
アリアは迷わず馬を降り、父親の腕を取る。
「この先に、リバトーンがあります。
私が保証します。必ず保護します。」
「そ、そんな……殿下自らもったいないお言葉……?」
「はい。ですが、どうか頭は下げないでください。
あなた方こそ、この国を支える民です。」
難民たちは泣き崩れ、
兵たちは静かに拳を握った。
4.ダリウスの最後の迷い
丘の上から広がる景色を見つめ、
ダリウスはひそかに呟いた。
「……王都。
俺が……二度と戻れないと思っていた場所か。」
「帰りましょう、ダリウス。
私たち皆の――帰る場所にします。」
「……殿下。
その言葉だけで、何度でも戦えます
5.偵察隊、急報
やがて、丘陵の先から蹄の音が響いた。
先行していた偵察部隊の騎兵だった。
「報告!!
敵軍、オルド河原に布陣!!
丘陵を下りてすぐの、広い河原です!!」
ダリウスがそれを聞いてつぶやく
「つまり――決戦地はほぼ確定だな。」
アリアは深く息を吸い込む。
そして――
ゆっくりと前へ進み、
静かに、しかし確かな声で告げた。
「決戦は――オルド河原です。」
兵たちの喉がごくりと鳴る。
「ここで負けたら……
あの畑も、あの麦も、あの子どもたちも……
全部、王子のものに戻ってしまう。
だから負けられません。
必ず勝ちましょう。」
ダリウスが全軍に激を飛ばす
「全軍――前進!!
オルド河原へ!」
太鼓が鳴り、
兵たちがゆっくりと歩を進める。
風がケープをはためかせ、
アリア親衛軍はついに
決戦地オルド河原へ向けて進軍を開始した。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。
もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。
たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです。




