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アリア親衛軍――「歌と風と民に見送られてリバトーン出立」

 アリアが「決断」を下したその日から、

 リバトーンの空気は一変した。


 鍛冶場は火花を散らし、

 グランフィールからは次々と物資が届き、

 山岳民族の薬草まで届く。


 革命軍ごっこだったものが――

 本物の軍になった。



1.生贄の孤児、正式に「兵」となる


 広場の中央に、新たに加わる400人が整列した。


 彼らはかつて、

 召喚魔法の生贄の関係者。親を、子を奪われ、

 怒りの中、新鋭軍に参加してきた者たち。

 だが今、彼らは胸を張っていた。


 アリアが前に出る。

 手には、リバトーンの職人が夜通し縫った

 簡素だが丈夫な兵装が詰まった袋。

「今日から、あなたたちは復讐者ではありません。

 どうか……命を、みんなのために使ってください。」


 400人が一斉に膝をついた。

「殿下についていきます!

 今度こそ……誇れる戦を!」


 アリアの胸が強く熱くなる。



2.山岳民族の薬草と、沈黙の友誼


 門の陰に、

 革衣の山岳民族が静かに立っていた。

 誰も気配に気づかず、

 突然の出現に兵が慌てる。


「人の戦に首は突っ込まぬ。

 だが……これだけは置いていく。」


 大きな袋を地面に置く。

 中には乾かされた薬草の束、傷薬、毒抜きの葉。

「歌の姫には礼がある。

 われらの歌とそなたたちの歌が再び交わり始めた。

 また、交われることを祈っている。

 歌姫の歌、聞ける日が楽しみだ」


 そして風のように去った。


「殿下ァァァァ!!推しが国境を越えたァァァ!!」


「こ、越えてません!まだ越えてません!」


 でも頬が赤い。



3.軍糧食(ベーコン+チーズ+黒パン)完成


 武装の隣に積まれる大量の袋。

 ルークスが不思議そうに尋ねる

「……なんだこの妙な匂いのする袋は?」


 ハルトがその問いに応える

「高カロリー携行食。完全食と言っていい。

 これを輸送隊でもっていく」


 ダリウス、コージ、ミツキはそれぞれのやり方で関心を示した。

「ほう……?」

「美味いのか?」

「栄養バランスは!?」


 アヤが胸を張った。

「これ、ぜーーんぶ私が試していたのを選んだのよ!!

 チーズは脂肪とタンパク質、

 ベーコンは塩分と保存性、

 黒パンは炭水化物。

 歩けば勝手にカロリー消費する兵に最適。

 ついでに全部美味い!私が保証する!!!」


「あっちふらふらこっちふらふらの、

 食べ歩きに意味があったんだ。方向音痴にどれだけ困らされたか」

「ごめんアヤちゃん……てっきり観光だと思ってた……」


「あれは仕事!!うそ。ごめん、ちょっと楽しんでた。」


アリアには感謝された。

「アヤさん、ありがとうございます……!」


「べ、別に……当たり前よ……!」


「「「うわ、でたよ、ツンデレ歴女」」」


「うるさーーーい、みんな、持ち場に戻れー」



4.商業ギルド長・ロッシュ来訪


 馬車で走り込んできたのは、

 豪奢な外套を翻したロッシュだった。

「殿下がいよいよ投資価値のある戦に出るとききつけましてな。

 投資家として、最後の見極めに舞いしました。」


「と……投資……?」


「褒め言葉とお取りください。

 殿下、あなた方は価値を生む軍だ。

 そして――」


 彼はアリアの手を握る。

「良い投資だと確信しました。

 これからももっと儲けさせてください。

 だから……必ず、生きて帰ってください。」


「……はい。」



5.「アリア親衛軍」初の点呼


 ダリウスが号令をかける

「全軍、整列!!」

 槍が地を叩き、

 馬が嘶き、

 太鼓が鳴り、

 人々の息が揃う。


 ▼ 編成

 •【アリア親衛軍】総勢 2850

 o騎兵50 (指揮ルークス)

 o工作隊 100(指揮ミツキ)

 o馬輸送隊250(指揮ハルト)

 o軍楽隊 50(指揮コージ)

 oそのほか 投石機・バリスタ・歩兵など


「……よし。

 軍とは名乗れんと思っていたが……

 今この瞬間から、アリア親衛軍は本物だ。」



6.街の見送り


 リバトーンの門前に、

 町中の人が押し寄せていた。


「殿下、どうかご武運を……!」

「歌を……また聞かせに戻ってきてくださいね!」

「アリアさまー!!がんばれーー!!」


 アリアは胸が締めつけられた。

「私は……必ず戻ってきます。

 どうか、その日まで……誇りを持って生きてください!」


 子どもたちが両手を伸ばす。

 アリアはケープを翻して応える。

 それは、

 民の布を縫い合わせた、世界で一つのマント。


「……ほんとに、殿下に似合ってる。」

「うん。あれは王様じゃなくて……守る人のマントだ。」

「推しマントですね!!」

「黙れ。」



7.出立前夜の静かな語り


 出発を目前に、

 アリアは四人と向き合った。

「皆さん……怖く、ありませんか?」


「怖いよ。でも、逃げる気はない。

 この町の、国のインフラになりたいから」

「……帰ってきたら、また皆の絵を描きたいから……

 それまでは、生きる。」

「殿下がいる限り、俺は死にません!!

 推しの活動を見届けたい!!」

「私は……歴史を見る側から作る側になるだけよ。」


「……ありがとうございます。

 皆さんがいてくれるなら、私はどこへでも行けます。」



8.出陣――叫ぶのは、アリアただ一人


 夜が明ける。

 馬の足音が揃い、

 太鼓が低く鳴り始める。


「アリア親衛軍――進発用意!!」

 アリアは馬に乗り、

 胸につけた王家の紋章をそっと撫でた。


 そして――

 青空に向かって叫んだ。

「アリア親衛軍、王都へ――前進!!!」


 地が震え、歓声が爆ぜる。

「親衛軍全軍、前へ!!」

「騎兵隊、歩度合わせ!!」

「輸送隊、荷重計算OK!」

「工作隊、橋材チェックしました!」

「記録開始……これが歴史の転換点。」

「では行きます!!軍楽隊――演奏開始ッ!!」


 太鼓、角笛、掛け声、そして歌。

「進めーーっ!!

 我らはアリア親衛軍!!

 王都を取り戻すぞおおお!!!」


 リバトーンの門が開き、

 アリア親衛軍は堂々と前へ進んだ。

 風がケープをはためかせ、

 民の祈りが背を押す。

 こうして――

 この国の歴史は大きく動き始めた。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。

もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。

たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです。

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