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北方領主の生き残り ――「援軍は送る」

1.王都からの際限ない要求に疲れた北方

 北方ハーバーン領。海に面しているが、冬には大雪に見舞われる。

 大雪に閉ざされる冬、民は貴重な干物で飢えをしのぐ。


 そんな中でも王都からの要請は止まらなかった。

「北方は食料供給の要だ。

 干物を千樽送れ。」

「次は兵糧を五百荷だ。」

「馬も寄越せ。」

「武具も追加で――」


 来るたびに増える要求。

 積み重なる徴税と物資輸送。


 これらはすべて、ベルトラン王子の影響だった。


 クレイトンは吐き捨てるように言った。

「……北方を何だと思っている。

 王都の倉庫か?」


 供出が続けば、北方民が冬を越せなくなる。

 だが王都はそれを理解する気配はない。


(王は老い、王子は愚か。

 王家のために北方が犠牲になるのはもうごめんだ。)

 それが、クレイトンの本音であった。



2.ロッシュから届いた商売の手紙

 そんな折――

 商業ギルド長ロッシュから一通の手紙が届いた。

「山岳民族と新たな交易権ができつつあります

 塩、干物、海外からの交易品など、

 売れるものがありましたら仲介いたします。」


 クレイトンは目を細めた。

(……山岳民族と交易ができるなら、

 北方は王都ではなく商業圏として生きられる。)


 ロッシュは政治に口出ししない。

 ただ、商売として「仲介する」とだけ言っている。


 どれほど王都が乱れていようと、

 商人の言葉は冷静で、現実的だった。

 クレイトンは深く頷いた。

「……北方は北方の道を選ぶ時期かもしれん。」



3.かつて王子から受けた侮辱


 クレイトンはベルトランの若い頃の挑発を思い出す。

「なぜお前たちは王家に絶対の忠誠を誓わぬ?」

「戦には参加して当然だろう?」


 北方は寒冷地で、民は厳しい環境に耐えて生きている。

 王子のその言葉は、北方民を侮辱したも同然だった。

(あれ以来、王子に従うつもりは消え失せた。)



4.そして今

 ベルトランからの要請が届く。

「第一王子ベルトランの名において命ずる。

 我に援軍を送れ。」


 クレイトンは苦笑した。

(……王命ですらないのか。)


 クレイトンは即座に判断した。

(王子にも、王女にもつかない。

 だが敵にも見えず、味方にも見えない場所に立つ。)


「閣下……どう返答を?」


「援軍は送る、と答える。

 ただ東部の前線へ派兵する。」


 実際に前線は疲弊している。前線に兵を送らねば国が瓦解する。

 援軍を送る先として筋は通っている。


「王子は援軍を送れとしか要請してこなかった……

 要請はきちんと聞いた。

 もし王女が勝っても恩を売れる。

 問題は北方が生き残ること。」


 彼は静かに断言した。

「北方はこれ以上、王家の犠牲にはならん。」

ここまで読んでくださってありがとうございます。

基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。

もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。

たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです

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