表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/61

リバトーン改革――「領主だけが気付かない。」

1.技術指導員

 ギルドとの正式な技術取引が始まると、

 ダリウスは元部下の中から精鋭10名を選び、

 技術指導員名目でリバトーンへ送り込んだ。


 真の目的は街の治安状況を監視すること、

 近衛の残党がどう動いているかを確認すること

 最後にギルドとの連携窓口となることである。


「街の状況を見極めろ。

 町に何らかの動きがあればすぐ知らせるんだ。」


「了解しました、副……いえ、ダリウス隊長。」

 彼らは静かに街へ向かった。


2.港の物流改革

 リバトーンの最大の問題は――

 王子の略奪で混乱しきった 港の物流 だった。


 ハルトは港の現状を見るなり叫ぶ。

「これは……詰まりじゃなくて崩壊だ……!」


 荷車がどこから来てどこへ行くかが指示されておらず、

 路頭に迷っている。さらに、船の荷卸しが順番待ちで大渋滞。

 その結果、積み荷が積まれたまま雨ざらしになり歩留まりが落ちる。

 あまりもの混乱で誰も状況を把握していない。

 

 「まずは動きを全部図にするね!」

 ハルトが問題を起こしている個所を一つ一つ指摘し、

 その問題点と改善策を三月は図にしていった。

 

 具体的には次のような改善策が決まった。

 ●港を6区画に分ける

 ●通票タブレット方式で進入順を管理

 ●荷物の動線をダイヤグラム化

 ●作業手順を図で標準化


 3日後——

 港湾労働者がその成果に驚嘆する

「嘘みてぇだ……」

「渋滞がなくなった……!」

「牛車の出入りがこんなにスムーズだと……気持ちが良いな!」


 ギルドにも報告が上がる

「荷役の事故が2割減っています!」

「倉庫の仕分け効率が跳ね上がりました!」

「……見事だ。

 これだけで街の再生が早まる。」


 ロッシュのその言葉を聞き、ハルトとミツキは控えめに微笑んだ。



3.コージ、街の空気を変える


 一方コージは、港の一角で歌っていた。

「♪ 略奪王子は逃げ出して〜〜

 働く者に光を当てるのは

 姫と歌だ〜〜 ♪」


 港の人々はその歌を聴き、明るさを取り戻した

「ははは!ほんとその通りだ!」

「もっと歌え!」

「この歌、広めようぜ!」


 酒場でも市場でも、

 コージの歌はあっという間に広まった。

 王子=無能

 王女=希望

 というイメージが、街全体に根を張り始める。



4.アヤは……ただの観光客と化す


 そしてアヤは——

 路地裏でパン屋を見て喜び、

 古い家並みにため息をつき、

 市場の道具を弄り倒し、

 勝手に路地に入り込んで迷子になる。


「うわぁ……この梁の構造……最高……!」


 護衛についているダリウスの部下はただ疲れ果てた。

「いったい、なにしてるんですか?」


「歴史を味わってるの!!」


(……まあ、いいのかこれで……?)


 ただし、彼女が都市民と問題を起こしていないという点だけは

 ダリウスの部下たちにも高評価だった。



5.領主ヘイデンはご機嫌


 改革の成果は確実に現れた。

 まずは港の渋滞が激減し、その結果、物流が回復し、市場価格が安定した。

 また、仕事が増えて日当が増えた労働者や売上が増えたが焦点に笑顔が戻る。

 そして、明るい歌が街中で響くようになった。


「ほほほ! やはりこの街は私の統治がよいから回るのだ!」

 ギルドが鉱山から買い付けた商品も増えている!

 街は隆盛!! 何の問題もない!!」


 執事たちはひそひそと現状を語り合っていた

(いや、そんなはずはない。なにかがおかしい……でも聞く耳がない……)


 その懸念は当たっていた。

 街は回復したが——

 都市民が感謝したのは、


 ●ギルド

 ●2人の技術者

 ●歌を広めた青年

 ●技術指導員(ダリウスの部下)

 であって、領主ヘイデンではなかった。


 むしろ、

 市民の声は徐々に辛辣さを増していった。

「なんで領主は何もしないんだ?」

「税金また上げるってよ!!」

「歌の広まりを止めようともせず……聞き流してばかりだ。」

「略奪王子をまだ庇ってるのかよ……」

「ギルドと3人がいなかったら、この街は終わってたぞ?」


 日ごとに不満は蓄積し、

 広場の陰では小さな集まりができ始めていた。

 ダリウス部下たちはその雰囲気をしっかりつかんでいた


「……街の空気が、変わってきたな。」

「盛り上がってるが……不満も膨らんでいる。」



6.そして市民蜂起が静かに迫る


 領主ヘイデンはご機嫌のまま、

 部下たちの不安の声を一切聞き流していた。


「貢ぎ物も集まってきた。

 あとは王子殿下に献上するだけだ!」

「街? 儲かっておるではないか。

 民の声など聞く必要はない!」


 不満は溜まり、

 噂は広まり、

 夜の酒場では小声でこう言われ始める。


「……この街、いずれ爆発するぞ。」

「誰かが火をつけたら、一気に燃え上がる。」

「領主は……その火種を積んでるだけだ。」


 全てが整った。

 街が揺れ始める寸前の臨界点に達していた。


 こうしてリバトーンは、

 市民蜂起前夜を迎えることになる。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。

もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。

たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ