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アヤの受難と王女の再来 ――「あの子は天使、私は役立たず、なにこの格差社会」

1. 文乃アヤの朝

 アヤが鉱山に来てしばらくたったが、まだアヤは慣れていなかった。


 全身バキバキの筋肉痛で起き上がれない毎日だった。

「……痛……っ……!

 ……私……昨日もそんなに働いてないのに……」


 同室のミツキはそっと背中をさすってくれる。

「私も最初はこうでしたよ……」


「うう……役に立ててないのに優しくて死ぬ……」


 そこへ、入口から怒鳴り声が響いた。

「おい!! また下働きがひとり来たぞ!!」

 ルークスのだみ声だった。


 

2. 王女、ふたたび鉱山へ


 ハルトたちが外へ出ると、

 馬車の前に見覚えのある姿が立っていた。


 この間までいた 下働き娘である。


 彼女は前と変わらぬ粗末な服、

 ただし今度は迷いのない眼差しで立っていた。


「……また来たのか、お前……」

 ルークスは頭を抱えた。

「下働きの志願書がギルドから回ってきたときは

 嫌な予感がしたが……やっぱりお前か……」


「……はい。戻ってきました」

アリアは静かに頭を下げる。


「……よりによって……またかよ」

ルークスは呆れながらも、

どこか諦めたように肩を落とす。

(なんでこの子は……こんな場所に……)


だが正体までは欠片も気づいていない。

 

3. ディランの沈黙

 そこへディランが歩いてきた。

「戻ったか」


 その言葉は歓迎でも拒絶でもない。

 ただ、知っていたという声音だった。


「はい。もし……ご迷惑でなければ……」


「迷惑ではない。

 お前の意思なら、それでいい」


 ディランはアリアの正体に気づいている。

 だが決して口には出さない。

 それが彼女の意思を尊重する唯一の道だと悟っていた。


 ルークスだけがぽかんとした。

「……ディラン、お前……なんで平然としてんだ?」


「慣れた」


「は?」


「体力ない頭でっかちも、下働き志願も、最近多いからな」


「……確かに」

 ルークスは苦い顔をした。

 

4. 三人の大喜び

「アリアさん!! 戻ってきたんですね!!」

ミツキが弾む声で駆け寄る。


「うん……戻ってきたよ」

アリアは微笑む。


 ハルトも心から嬉しそうに言った。

「よかった……

 厨房の作業、君がいると本当に助かるから」


「また一緒にやりましょう!」


「はい、よろしくお願いします」


 そして――

「アリアちゃあぁぁぁぁぁん!!!」

 コージが飛びつきそうな勢いで走ってきて、


 ミツキとハルトに首根っこを掴まれて止められた。

 「やめろコージ!」

 「抱きつこうとしないで!」


 「だってぇえーー!

 アリアちゃんの歌聞きたいィィィ!!」


「歌は夜! 夜まで待て!!」


 坑夫たちも小声でざわつく。

「また歌姫が来たぞ」

「今日は宴だな……!」


 アリアは頬を赤らめながら頭を下げた。

「歌は……その……恥ずかしいのですが……」


「恥ずかしがるなーー!!」

 コージが絶叫。


 ハルトとミツキの拳が頭に落ちた。

「「痛っ!」」


 

5.アヤ、ショックを受ける


 そのわいわいとした輪の外で、

 アヤはぽつんと立っていた。

(……え?

 え?

 なにこの人……みんなに受け入れられてる……)


 自分は一週間たっても、

 ロープは縛れない、

 トロッコ押せない、

 石拾いできない、

 そして筋肉痛で死にかけている。


 だがアリアは既に炊事場の中心であり、全員から信用されている。

 コージからは崇拝されており、

 ハルトとミツキとの信頼関係がある。

 坑夫からも「歌姫」「天使」扱いである。


(いやいやいやいや……

 昨日まで私が最底辺だったのに……

 今日からはもっと上の存在が追加されるの……!?)

 アヤは心の中で叫んだ。

(私、どうしたらいいの!?

 歴史オタクだよ!?

 厨房の女神キャラとか、

 そんなポジション取れないよ!?

 何この格差社会!?)


 アリアが優しく声をかけてきた。

「アヤさん……毎日大変だと伺いました。

 少しでも手伝えることがあれば言ってくださいね」


「…………」

アヤは笑顔のまま固まった。

(天使か……?

 いや、天使にしか見えない……

 こんなん勝てるわけないじゃん……!)

 その場で小刻みに震えていた。

 

5.一方、そのころ――王宮

 王宮の一室。

 豪奢な椅子に座り、

 第一王子 ベルトラン=ベルフォードが

 酒を飲みながら不気味な笑みを浮かべていた。

「……ふん。

 何のつもりだ、姉上」


 机には、密偵からの報告書。

 “王女アリア、鉄鉱山で発見される”


「しっぽを掴んだぞ。

 いい機会だ……

 都合よく処分できる」


 ベルトランは笑みを深める。

「今度こそ俺の道を邪魔する者は誰もいない。

 姉上とそして役立たずのあの四人

 あいつらを生贄にすれば次こそ英雄召喚に成功して、俺が…」


「そういえば、あそこにはほかにも生贄に最適なやつがいたな。

 そうかあいつとつるむつもりか、姉上。

 ならばそれ相応の用意が必要よな」


 その言葉は、

 国家の破滅を告げる鐘のように冷たかった。


MOB A「天使が戻ってきた、これでかてる!」

MOB B「何があったのか知らないけど、あの歌声!」

MOB C「それに、ものすごく美人だし!」

MOB AY「あの、皆さん私忘れていません?ほら主人公……

     って、MOB AYって、ちょっと。ねぇ」

ハルト「本編の前に何度も顔出すからこんなことに」

MOB「次回 歌姫革命譚 3人とともに歩んだ姫の物語

   って、ちょっとAYすら消されてる。忘れないでーーー」 


ここまで読んでくださってありがとうございます。

基本は書き終わっていますが、今、あとがきで遊んでいます。

もし時間があればブックマークや評価があれば私は喜びます。

たとえしていただけなくても、今後もお楽しみいただければ幸いです。

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