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第八話:隠し味は愛情で
Fランクハンターとしての収入は少なかったが、コウタは《クエスト視認》に表示された新しいクエストに意気込んでいた。
【挑戦クエスト】
『完璧な日本定食を作れ』
内容:ご飯、味噌汁、焼き魚、刺身、お新香の定食を完成させよ
報酬:料理スキル+50 / リアの感動+100%
難易度:★★★★★
「よし!今日は本格的な和定食に挑戦だ!」
コウタはスーパーで新鮮な鯵の切り身、刺身用のマグロ、だしの材料など、普段は買わない食材を購入。予算の大半を使い切ってしまった。
アパートに戻ると、リアが心配そうに声をかけてきた。
「コウタくん、今日は何を作るの?すごくたくさん買い物してたね」
「今日は特別な和定食を作るんだ!楽しみにしててくれ」
内心:(絶対に成功させて、リアを驚かせてみせる!)
キッチンでは早速困難が待ち受けていた。ご飯はちょっと水加減を間違え、味噌汁のだしは薄く、焼き魚は皮が網に張り付いてしまい、刺身の切り方も不揃いだ。
「くそ…なんでうまくいかないんだ…」
焦れば焦るほど手元がおかしくなり、理想とは程遠い仕上がりに。
「しまった…ご飯も芯が残ってるし…」
夕食時、コウタはうつむきながら出来上がった定食をテーブルに運んだ。
「ご、ごめん…全然うまくいかなかった…」
リアは食卓を見て、目を大きく見開いた。
「わあ!すごい!本格的な和定食だね!」
彼女はまずご飯を一口食べ、次に味噌汁をすする。
「コウタくん、とってもおいしいよ」
内心:(ご飯に芯があるけど…コウタくんが一生懸命炊いてくれたんだね)
「でも刺身の切り方も下手くそで…」
「そんなことないよ!大きさが不揃いなのがかえって可愛いし、新鮮でとってもおいしい」
リアは一つ一つの料理に感謝しながら、幸せそうに食べ進める。
「コウタくんが私のために時間をかけて作ってくれたことが、何よりも嬉しいんだから」
その時、コウタの視界に新しい表示が。
【隠し条件達成】
『愛情を込めて作る』を確認
特別報酬:リアの信頼+200% / 料理の腕が少し向上
「次は一緒に作ろうね」
リアはコウタの手を握り、温かい笑顔を見せた。
「二人で作れば、きっと最高の料理ができるよ」
その夜、コウタは《クエスト視認》に新たな表示を見つけた。
【新クエスト】
『二人で作る幸せの味』
内容:リアと一緒に料理を作る
報酬:絆ポイント+150 / 思い出+1
コウタはうなずきながら誓った。
(次は絶対に、二人で美味しいものを作るぞ)
見た目は完璧ではなかったが、愛情たっぷりの食事は、二人の絆を確かに深めていた。
(第八話 了)




