表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/104

7

7

第七話:僕だけの笑顔を守りたい


Fランクハンターとしての生活が少し板についてきたある晴れた午後、コウタはハンターギルドの掲示板の隅で、いつもの雑用クエストとは少し違うものを見つけた。


【特別依頼】

内容:街の花壇の手入れと水やり

報酬:800G

備考:花の知識は問いません。心を込めてお願いします


「ねえ、リア、これどうだ?いつもの草むしりよりはマシだろ?」


リアは依頼書をじっと見つめ、目を輝かせた。


「花のお世話…私、とってもやってみたい!」


内心リア:(かわいい花たちに囲まれて、コウタくんと過ごせるなんて…すごく楽しみ!)


そうして二人は街の小さな公園にある花壇の前に立っていた。


「うわー、きれい!いろんな色のお花があるね!」

リアは早速しゃがみ込み、愛おしそうに花びらに触れる。


「よし、じゃあ俺は雑草を抜くから、リアは水やりを頼むよ」


「はい!任せて!」


作業を始めてしばらくすると、コウタの視界にいつものクエスト表示とは違う、柔らかな光の文字が浮かんだ。


【特別クエスト発生】

『リアの笑顔を守れ』

内容:南雲リアを一日中笑顔にする

報酬:絆ポイント+50 / リアの特別な笑顔


「!」


コウタは思わず顔を赤らめた。この《クエスト視認》能力、時々本当に恥ずかしい任務をくれる。


(ま、まあいい…リアの笑顔が見たいのは本当だしな)


コウタは密かに決意を固める。今日はいつも以上にリアを喜ばせよう。


「コウタくん、見て見て!ちょうちょがとまってるよ!」


リアが楽しそうに手を振る。彼女の頬には笑顔と少しだけ汗が光っていた。


「お、おう…可愛いな」


内心コウタ:(ちょうちょより、お前の方が可愛いんだが…)


作業の合間の休憩時間、コウタは勇気を出して提案した。


「な、なあ、リア…ちょっと手をつないでみないか?」


「え?」

リアは一瞬驚いた表情を見せた後、顔を赤らめてうつむいた。

「…いいよ」


そっと手をつなぎながら、二人は公園の小道を歩く。リアの手は小さくて柔らかく、コウタの手のひらにすっぽりと収まった。


【ミッション進捗】

リアの幸福度+20%


「コウタくんの手、大きいね…温かい」

リアは恥ずかしそうに呟く。


「あ、ああ…リアの手は、小さくて可愛いな」


内心リア:(ずっとこのまま手をつないでいたいな…)


花壇の作業が終わり、依頼主のおばあさんから報酬を受け取ると、彼女は温かい笑顔で言った。


「あなたたち、とても仲がいいのね。これからもお互いを大切にしなさい」


「「は、はい!」」


二人は声を揃えて答え、顔を見合わせて笑った。


帰り道、夕日を受けて歩く二人の影が長く伸びている。


「今日は本当に楽しかった!コウタくん、ありがとう」


リアが嬉しそうにコウタの腕に寄り添う。


「俺もだ…またこういう依頼、探してみるよ」


【クエスト成功】

リアの笑顔を確認

報酬:絆ポイント+50 / リアの特別な笑顔を獲得


コウタは心の中でガッツポーズをした。リアの最高の笑顔が見られて、それだけで今日は大成功だった。


「ねえ、コウタくん、今度の休みも一緒にどこか行かない?」


「ああ、もちろん!どこにでも連れて行くよ」


夕焼け空の下、二人の会話はいつまでも続いていくのだった。


(第七話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ