表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/104

43

43

第四十三話:無言の問いかけ


朝、コウタは目覚まし時計が鳴る前に目を覚ました。窓の外はまだ薄暗い。すると、視界が深い青色に染まった。


【特別報酬クエスト(前払い報酬形式)】

報酬:この問いそのもの

※このクエストは、答えを求めるものではなく、問いかけるものです


問い1:

お前が必死に訓練に励んでいた時、二人は共に疲れていた。

クエスト効果の疲労回復はリアになかった。

あなたは彼女を幸せにできますか?


問い2:

ソファで眠る彼女をベッドにそのままにしていました。

掃除を彼女がやってくれてるだろうと思って。自分はやりませんでした。

あなたは彼女を幸せにできますか?


問い3:

師匠をクエストで見つけ出したリアにお前はどう感じました?

一歩先に行く彼女になにを感じました?

あなたは彼女を幸せにできますか?


問い4:

以前の覚悟を振り返って同じ気持ちが保てていますか?

あなたは彼女を幸せにできますか?


問い5:

クエストがあなたに師匠を見つけてくれると期待していましたか?

あなたは彼女を幸せにできますか?


コウタは布団の中でじっと動かず、これらの問いと静かに向き合った。


一つ一つの問いが、彼の胸を締め付ける。クエストが与えてくれた「報酬」は、まさにこの「問い」そのものだった。答えを教えてくれるのではなく、自分自身に問いかける機会をくれた。


(俺は…確かにクエストに頼りすぎていたかもしれない)

(リアが先に行くのを見て、寂しいと思ったこともある)

(でも…)


彼は深く息を吸った。


(それでも俺は、クエストがあろうとなかろうと、リアの幸せを願い続ける)

(クエストはきっかけに過ぎない。本当に大切なのは、俺自身の気持ちだ)


コウタは布団から起き上がり、窓の外のまだ暗い街を見つめた。


【クエスト受領完了】

真の報酬:自己との対話

説明:あなたは自分自身と誠実に向き合うことを選びました


今日も一日、クエストは彼を試し続けるだろう。しかし、この朝の静かな対話を通して、コウタは一つの確信を得ていた。


たとえ答えが出なくても、問い続けること。それが、彼なりのリアへの誠実な向き合い方なのだと。




 【シークレットアンサー】


誰しも、最初から強くはありません。

今のあなたの覚悟は、まだ自分自身さえも幸せにできないほど、もろいものかもしれません。


人は簡単に歩みを止め、知らず知らずのうちに、大切なものをこぼし、失っていくものです。


それでも──

「強くなれ」という単純な言葉では伝えきれない何かを。


「前に進め」 という励ましだけでは埋められない溝を。


私たちは知っています。

あなたが、ただ「強さ」を求めるだけではないことを。

あなたが、本当に望んでいるのは──


“彼女とともに、幸せという名の、かけがえのない未来を掴み取ること”


それを成し遂げるためには、もがき、迷い、時にはクエストに頼り、時には自分自身の弱さと向き合いながら、一歩ずつ、“あなた自身の足で” 歩みを続けるしかない。


どうか、諦めずにクエストを続けてください。

経験を積み、成長し、そして──


“あなただけの『幸せの形』を、二人で見つけ出してください。”


それが、このシステムがあなたに伝えたい、たった一つの真実です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ