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第十七話:繕いきれない想い
コウタのユニフォームは、デスストーカー戦の際に受けたダメージで、所々が擦り切れ、大きな裂け目が目立つようになっていた。
「そろそろ、新しいユニフォームを買わないとな…」
ハンター用品店のショーウィンドウに展示されている新品のユニフォームを見上げながら、コウタはこっそりと値札を確認した。その金額を見て、彼は思わず目を剥いた。
「こ、これは…俺たちが雑用クエストを三ヶ月頑張ってやっと買える額じゃないか!」
内心:(くそ…もっと稼げるハンターにならないと、リアにすらまともな装備も買ってやれない…)
その夜、アパートでコウタがぼんやりとユニフォームの破れを見つめていると、リアが近づいてきた。
「コウタくん、そのユニフォーム…私に直させてくれない?」
「え?でも、こんなボロボロの…」
「だめ!このユニフォームには、コウタくんが私を守るために戦った思い出がたくさん詰まってるんだから」
リアはそう言うと、針と糸の入った小さな箱を取り出した。彼女の手元には、様々な色の糸が揃っている。
内心:(新しいものが買えなくたって、このユニフォームをもっと素敵にしてみせるんだから)
コウタは《クエスト視認》を見る。
【特別クエスト】
『想いのこもった手芸』
内容:リアのユニフォーム修復を見守り、感謝を伝えよう
報酬:リアの幸福感+100% / 装備耐久度+50
リアは慎重に針を動かし始める。彼女の手つきは決して慣れているわけではないが、一つ一つの縫い目に真心が込められているのが伝わってくる。
「ここはデスストーカーに襲われた時の傷だね…」
「うん。でもコウタくんが守ってくれたから、私は無事だった」
リアは縫いながら、これまで一緒に戦ってきた思い出を静かに語り始めた。それぞれの傷跡が、二人の絆の証だった。
数時間後、ユニフォームは見事に修復されていた。しかしそれだけでは終わらない。リアはこっそりと、内側の襟元に小さな刺繍を加えていた。
「これで完成!」
コウタがユニフォームを手に取ると、襟元に「K&R」の文字と、小さなハートの刺繍が施されているのに気づいた。
「これは…」
「えへへ…コウタくんと私の印だよ」
コウタは言葉を失った。目の前にいる少女は、新品を買えないことを残念がるどころか、むしろこのボロボロのユニフォームを、二人の愛の証に変えてしまったのだ。
「ありがとう、リア…これ、一生大切にするよ」
コウタは繕われたユニフォームを抱きしめた。新品よりもずっと温かく感じる。
その夜、コウタは《クエスト視認》の新しい表示を見つめる。
【クエスト成功】
装備が『思い出のユニフォーム』に進化しました
効果:リアの愛情が込められているため、防御力+10%
貧しくても、こんなに幸せでいられる――コウタは改めてリアへの愛を確かめるのだった。明日からも、このユニフォームでリアを守り続けていく。
(第十七話 了)




